韓国開発研究院「最低時給1万ウォン引き上げで32万人失業」(朝鮮日報)
韓国大統領府、KDI最低賃金レポートに「研究員の個人レポート」(朝鮮日報・朝鮮語)
 最低賃金引き上げのペースをめぐり、雇用委員会と企画財政部(省に相当)が対立する中、主要シンクタンクである韓国開発研究院(KDI)は4日、「最低賃金引き上げには速度調節が必要だ」との立場を示した。

 KDIは同日発表した「最低賃金引き上げが分配に与える影響」と題する報告書で、大統領の公約通りに2020年までに最低賃金を時給1万ウォン(約1020円)に引き上げれば、今年は8万4000人、来年は9万6000人、2020年には14万4000人が職を失う可能性があると予測。「大幅な引き上げが繰り返されれば、雇用減少の幅が大きくなり、賃金秩序が乱れるなどプラスよりもマイナスが多くなりかねない」と指摘した。世帯所得分配指標の悪化、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「プラス効果が90%」発言などで最低賃金引き上げの効果をめぐる論争が高まる中、国策シンクタンクで初めて「速度調節論」を主張した格好だ。最近キム・ドンヨン経済副首相らが最低賃金引き上げの速度調節論を主張すると、大統領直属の雇用委員会の李穆熙(イ・モクヒ)副委員長は「今は速度調節論に触れるべき時ではない」と反発していた。

 KDIの分析通りならば、最低賃金を現在のペースで引き上げれば、今年から3年間で最大32万4000人が失業することになる。2013年から昨年までの5年間の就業者数の伸び(前年比平均37万4400人)と比較すると、ほぼ1年分に近い雇用の伸びが吹き飛ぶ計算だ。今年に入り、就業者数の前年同月比の伸びが平均16万8250人に鈍化していることを考慮すると、急激な最低賃金引き上げが約2年分の雇用を蒸発させるのではないかと懸念される。

 KDIは報告書で現在の韓国の最低賃金水準が先進国と比べても決して低い水準にはない点を強調した。韓国の賃金中間値と比較した最低賃金の水準は2016年時点で0.5で、フランス(0.61)を下回るものの、米国(0.35)、日本(0.4)、英国(0.49)、ドイツ(0.47)より高い。KDIは「韓国が2020年に最低賃金を時給1万ウォンまで引き上げた場合、同数値が0.68となり、世界最高水準になる」と予想し、「最低賃金引き上げペースを調整する必要がある」と分析した。KDIはまた、速度調節論の根拠として、▲低賃金の雇用が減り、単純な技能労働者の就職が難しくなる点▲下位勤労者の多くが同一賃金を受け取ることになれば、向上意欲が弱まり、管理が難しくなる−−などを挙げた。
(引用ここまで)
大統領府は5日、韓国開発研究院(KDI)の「最低賃金の引き上げに速度調節が必要である」という趣旨の報告書を出したことと関連し、「その問題については、私たちが特に言及する必要を覚えない」という立場を明らかにした。

キム・ウイギョム大統領府報道官はこの日午前、春秋館定例ブリーフィングでこのように語り、「すべての事案についても立場を必要かどうかは疑問」と述べた。 (中略)

そのレポートを作成したKDIチェ・ギョンス選任研究委員はこの日、CBSノーカットニュースのインタビューで、「(報告書は、外部変数である)最低賃金算入範囲の拡大も、雇用安定資金も考慮していない」とし「今後懸念されることで、今後9万人、14万人(雇用の減少効果を)話したが、現実的にそのように起こる可能性は非常に少ない。というのは算入範囲を広げたうえ、各種補完措置が入るものだから」と説明した。

キムスポークスマンのこのような発言はレポートをKDI公式な立場ではなく、研究者個人の見解として限定し、位置づけを大きくしないという意味で解釈される。
(引用ここまで)

 5月中頃に経済副首相兼企画財政部長官のキム・ドンヨンは「私見だが」と前置きした上で「最低賃金引き上げが雇用・賃金に影響を及ぼしているようだ」という話を会見でしたことがあるのですよ。
 あくまでも私見。
 2020年までに最低賃金1万ウォンというのはムン・ジェイン大統領様の聖公約であるので、反抗することは禁忌なのですね。企画財政部長官ごときが聖公約に逆らうことはできないのですよ。

 で、それに対してムン・ジェイン大統領は「最低賃金引き上げは前向きの影響が90%」という意味の分からない発言をして、キム・ドンヨンの発言を制した形になっています。
 2020年の最低賃金1万ウォンまで走り続けるぞ、という宣言ですね。

 で、今度はそのムン・ジェインの発言に対して今度は韓国政府傘下の韓国開発研究員から「このまま最低賃金を引き上げていったらとんでもないことになるぞ!」という警鐘のレポートが提出されまして。
 2020年に時給1万ウォンを達成したら、3年間で30万人以上が失職する事態になるというもの。
 政府内でも意見が割れているのが分かりますが、大統領府は「これはあくまでも私的なレポートであってKDIから提出された意見ではない」というようにしています。
 ほぼ黙殺です。

 いいんじゃないでしょうかね。
 全土で最低賃金1万ウォン、やってみなければムン・ジェイン政権が言うところの「所得を増やせば消費も増えるという善の循環」が達成できるかどうか分かりませんからね?
 個人的にはやる前から結果は見えていると思いますが、もしかしたら世界の大半の経済学者が誤っていたという可能性もなくはないですから。
 もしもこの「所得主導成長」によって「善の循環」とやらが達成できたら、ノーベル経済学賞を受賞できると思います。
 がんばって、ムン・ジェイン!
 でも、やりすぎて日本への出稼ぎを増やさないていどにはしておいて!!

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三輪芳朗
筑摩書房
2002/6/20