「韓日海底トンネルができれば釜山港は衰退していく」(中央日報)
韓国の作家、柳時敏(ユ・シミン)氏が「韓日海底トンネルができれば、釜山(プサン)港は衰退していくだろう」と主張した。

柳氏は19日、済州(チェジュ)新羅ホテルで開かれた第43回大韓商工会議所済州(チェジュ)フォーラムの招待講演で「韓半島(朝鮮半島)終端鉄道とユーラシア鉄道などがつながれば大陸間の物流に途方もない変化がやってくる」と口火を切った。

続いて「エネルギーだけとっても、ロシアから陸路で天然ガスを持ってくるようになれば、石炭など鉄鉱石物流の費用を軽減することができ、粒子状物質などの公害問題まで解消することができる」と述べた。ただし、最近再浮上した韓日海底トンネルには否定的だった。柳氏は「日本まで道を延長すれば経済地理学的な利点を奪われて釜山港は衰退していくだろう」と述べた。
(引用ここまで)

 なんというか、韓国では異常なほどに陸上輸送というものを過大評価しているのです。
 以前にちょっと取り上げた「南北鉄道接続で韓国経済にはバラ色の未来が待っている」みたいな未来予測がありましたが。
 そのときにも「ロシアから陸便でLNGが輸送されてガス代は1/4になる」「日本は船便をすべてやめて、韓国からスタートする鉄道輸送に依存しなければならなくなる」みたいな表現があって、首をかしげたものでしたが。

 そのときは船便の輸送力を過小評価しているのか、陸上輸送を過大評価しているのか分からなかったのですが。
 今回のこの記事を見ると、どうやら「陸上輸送」にとてつもない夢を見てしまっているようですね。
 おそらく、大陸の端っこに存在しながらも大陸からは断絶されている島国状態に置かれているという、韓国の持つ特殊な地理条件が背景にあるのではないかなと思われます。
 「南北鉄道さえ接続されたら、韓国にこれまで秘められてきた本来の能力が発揮されるのだ」くらいの勢いですかねー。中二病的な表現をするのであれば。

 それに加えて「日本を大陸とつなげてあげる」という幻想がそれを強化してしまっているのでしょう。
 韓国にとっては日本を「島国」と呼ぶことは悪口なのですよ。
 ついでにいうと北朝鮮の国連大使も国連安保理だったかで「このまま北朝鮮に対抗する態度を取り続けるなら日本を『島国』と呼ぶぞ」とか言ってて多くの日本人の頭にはてなマークを生じさせていたことがありました。
 彼らの中の華夷秩序で「島国」は格下に相当する言葉なのです。大陸に接続していない。つまり、蛮夷であるということで悪口になるのですって。

 そういう意識もあり、かつ大陸に直接つながるという憧れもあって、こうやって陸上輸送への幻想を膨らませているのでしょうね。
 南北鉄道接続の話が出た時に各紙から「これで韓国人はヨーロッパへの列車旅行ができるようになる」みたいな記事が複数出てきて、これまた唖然とさせられたものでしたが。

 まあ、そういった幻想を持っているからこそ「日韓海底トンネルができたら釜山港は衰退する」というような話につながるわけです。
 個人的には日韓海底トンネル敷設には反対ですので、こういった幻想を利用するのは悪くない話じゃないですかね。
 こういった記事を引用して「釜山港が衰退してしまうぞ、それでもいいのか? コンテナの扱い数が半減してしまうんだぞ?」というような働きかけをするのがよいと思います。

何度か勧めている書籍。「標準化」の持つ力を見せつけてくれる話でもあります。
コンテナ物語
マルク レビンソン
日経BP社
2007/1/22