韓経:韓国銀行「G7の景気が良くなっても、韓国の輸出は増えない」(韓国経済新聞)
【中央時評】文在寅大統領の「偉大な後退」(中央日報)
世界金融危機以後、先進国の輸入需要が韓国の輸出に及ぼす影響力が弱まったと分析された。先進国の景気回復傾向が強まり輸入の需要が増えても、韓国の先進国への輸出が大きく増加するのは難しいとの見通しだ。 (中略)

報告書は「今後、先進国の景気回復傾向が強まり輸入需要が増加しても、韓国の対先進国輸出の急激な成長につながることは難しい」と明らかにした。また「中国および新興国を含む世界の輸入需要と韓国の輸出の関係に対する研究が追加で必要だ」と付け加えた。
(引用ここまで)
最低賃金の問題が工場の記憶を呼び起こした。最低賃金を大きく上げれば勤労者の所得と消費が増え、企業の生産が増加し、雇用が創出される好循環が形成されるのか。噴水効果(Trickle−up effect)という高尚な表現も使う。各種手段を動員して大声を出せば事業主はやむを得ずついてくるのか。とんでもない。食堂・チキン店・コンビニエンスストアの自営業者も、零細業者も、中小企業人も、事業をする人も、「そうではない」ということは身をもって知っている。

彼らは来年の最低賃金「8350」ウォン(約835円)をただの数字ではなく危機のメッセージと読んでいる。人件費の支出が増えて稼げない状況がくるから計算機をたたけという警告とみている。経済は心理という。「人格」を捨てて緊縮と人員削減の誘惑に近づけという商売人の動物的本能が作動する。雇用と解雇は善悪の道徳的レベルではなく実存的な問題であるからだ。17年ぶりの最悪の失業率と過去最大の失業給与支給額がその兆候を語っている。「8350」は雇用という時限爆弾の雷管に触れたということだ。 (中略)

文在寅(ムン・ジェイン)政権が展開する社会主義的分配の正義に共感する。111年ぶりの猛暑の中で眠れない屋根裏部屋の人たちを心配し、貧しい人たちにもう少し分け与えようということに誰が反対するだろうか。ところが実物経済をよく知らない運動圏と市民運動家、世情に疎い学者の絶妙な組み合わせが現実とかけ離れた机上の空論を実験している。賃金を上げたので消費が増えるとし「やればできる」と言い張る。 (中略)

所得主導成長の核心動力である最低賃金政策が完全に故障した。「雇用大統領」になるという文在寅大統領の夢はますますかすんでいる。修理せずに無謀な突進をして雇用大乱の惨劇を迎えないか心配だ。文大統領が軌道修正を決心すれば「偉大な後退」と評価されるだろう。
(引用ここまで)

 これまでは多くの場合で世界経済の成長はほぼそのまま、もしくはそれ以上の数値となって韓国経済の成長になってきたのですよ。
 そんな旧来の韓国の経済構造が最大限に発揮されたのが、イ・ミョンバク政権時代にあった2010年。6.5%という、周辺国が驚くほどの経済成長率でした。
 ま、これは中国がまだ中間材の生産を国外に頼っていて、かつグレートリセッション後になりふり構わない中国国内への投資をしたおかげ。
 特に韓国から中国への鋼材輸出がとんでもないことになってましたっけね。
 あれで韓国は「我々はいち早くリーマンショックから脱することができた。優秀な経済構造を持っている国なのだ」みたいな勘違いをしてしまった部分がありました。

 それまでも中国は中間財の国内生産を目標としていたのですが、あのあたりから本格的に舵を切った感じです。
 すでに韓国にできて中国にできないことはメモリーの大量生産くらいなものになりました。
 中国への輸出不振をTHAAD問題のせいにしていたのですが、その実は韓国製を買うくらいなら国内製品で充分になりつつあるというのが実際なのですよ。
 そして、世界市場でもその中国製品を購入するようになっている。
 つまり、もはや世界経済の順調に成長したところで、韓国がそれと同じペースで経済成長できなくなったということなのですね。

 もうひとつの経済の要である内需はムン・ジェイン政権の「所得主導成長」によってグダグダにされています。
 さまざまな反対があったのですが、それらの申立をすべて却下して来年は8350ウォンとなることが完全に決まりました。

来年の最低賃金11%増で確定 経営側反発も再審議行わず=韓国(聯合ニュース)

 パイ全体を大きくする前に一人分の切り分けを大きくしたらどうなるか。
 普通は切り分けがもらえる人数が少なくなると考えるはずなのですが。
 ムン・ジェインの言い分では切り分けを大きくしたらその分、パイ全体も大きくなるはずということですからね。
 突き抜けろってところです。
 「最低賃金1500円!」って言っている連中にとってもいいケーススタディになるでしょうし、社会実験としては本当に興味深い。
 そういう意味でもムン・ジェイン政権を応援してます!

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竹中 平蔵
光文社
2010/11/20