<光復節祝辞>韓国大統領、日米含めた7カ国に鉄道共同体を提案(中央日報)
アメリカ国務省、南北鉄道・道路の連結に「一致した対北朝鮮対応のために韓国と緊密接触」(ニューシス・朝鮮語)
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が15日、光復節(解放記念日)の祝辞で平和の定着を通じた韓半島(朝鮮半島)の経済発展という「平和=経済」構想を打ち出した。文大統領はこの日の祝辞で、戦争による分断が引き起こした社会・経済的損失を説明するために相当な時間を割いた。「分断は戦争の恐怖を日常化し、莫大な経済的費用と力の消耗をもたらした。分断は安保を前面に出した軍部独裁の名分になり、理念の葛藤と政治理念論政治の口実になった」としながらだ。続いて分断克服の必要性を力説した。

文大統領は「政治的統一は遠くても、南北間に平和を定着させて自由に行き来して一つの経済共同体を成し遂げることが我々にとっての真の光復(解放)」と強調した。文大統領は対外経済政策研究院の資料も引用し、今後30年間、南北間経済協力に伴う経済的効果が170兆ウォン(約16兆5400万円)になるとして具体的な数値まで提示した。東国(トングク)大学北朝鮮学科のキム・ヨンヒョン教授は「非核化平和体制が政治的領域だけにとどまるのではなく、結局、韓国経済を発展させることができる原動力という意味」と述べた。 (中略)

東アジア鉄道共同体は1951年に欧州6カ国が結成した欧州石炭鉄鋼共同体(ESCE)を手本としている。東アジア鉄道共同体を通じて、南北がモンゴル・中国・ロシア・日本の中心に立つ物流・輸送のハブとなり、北東アジアの同伴成長を引っ張る“機関車”になろうという構想だ。政府消息筋は「東アジア鉄道共同体は、これまで南北経済協力の最も大きな課題だった不安定性を大きく軽減する“安全装置”になりえる」と説明した。特にこの共同体には、鉄道など経済分野を越えて北東アジアの軍事的緊張をなくす方向で発展させる安保協力体構想まで含まれている。政府消息筋は「鉄道共同体が安保協力体になるためには米国の参加が必須」としながら「6カ国+1(米国)で提案した理由はこのため」と説明した。

この日、文大統領は「韓半島問題は、我々が主人であるという認識が大変重要だ。南北関係の発展こそ韓半島の非核化を促進する動力」と強調した。これは南北間の信頼を資産とし、米朝が不信を克服して非核化の進展を築くことができるように主導的役割を果たすという宣言だ。外交消息筋は「米朝関係がこじれたからといって、南北関係もこれに引っ張られて停滞してはいけないというのが大統領の考え」と説明した。
(引用ここまで)
国務省スポークスマン室の関係者は15日(現地時間)ムン大統領の祝辞に対する米国の声( VOA)のコメント要求に「米国と韓国は、北朝鮮問題において緊密に協力している。北朝鮮に対して我々の一致した対応を調整するために密接な接触を維持している」と述べた。

国務省関係者は、北朝鮮との鉄道、道路連結事業が対北朝鮮制裁に違反余地がないかとの質問に「韓国は米国の最も近い同盟であり友人であり、私たちのパートナーシップは、民主主義と人権、法治と共同の価値に基づいて置いている」と即答を避けた。

一方、米財務省の関係者は、 VOAに送信したメールのムン大統領が明らかにした南北鉄道と道路の接続構想は、米国の対北朝鮮制裁に違反する可能性と関連し、財務省は制裁を事前に通知したり、展望されている行動について言及していないとし線を引いた。
(引用ここまで)

 昨日の光復節の演説で「南北鉄道接続に対して北朝鮮、韓国だけではなくモンゴル、ロシア、中国、日本に加えてアメリカも参加してもらい、平和の礎になる構想とする用意がある」と語りました。
 要するに韓国単体でやってしまうと制裁違反になってしまう可能性が高いので、他国を巻きこんで行こうという話なのでしょう。
 北朝鮮に対して韓国だけでなく、日本、モンゴル、中国、ロシアといった実際にこの南北鉄道接続に際して利益を得るであろう(と韓国が考えている)国々だけでなく、アメリカも参加させてしまおう。
 そうすればアメリカも文句を言わないに違いない、というような構想ですね。

 韓国国内の軽工業を主とした企業からも「開城工業団地の再開をしたい」との要請があり、かつ北朝鮮からも「開城工業団地の再開はどうした。板門店宣言の精神に従え」と突き上げられている。
 でも、アメリカの態度は「パク・クネ政権で行われた閉鎖を支持する」というもの。
 要するに、「再開したらおまえらも制裁対象だからな」とのことで韓国はミリほども動けない。
 であれば南北鉄道接続でまず往来をできるようにし、その事業にアメリカも日本も巻きこんでしまえって話なのでしょう。

 で、それに対してアメリカの国務省と財務省は「そういう話をしているんじゃないよ」と頭を抱え気味。
 賛同の言葉なんて出るわけがないのですけどね。
 アメリカの立場は制裁ありき。非核化が進まない以上、制裁は継続するしかないという以前からの基本方針ですね。
 北朝鮮に対してはなにごとも「非核化ありき」が前提であり、それなしではなにも進まない。
 むしろ制裁を強化していってもいいくらいに考えているようです。
 いまはお盆休みなので菅官房長官の記者会見はありませんが、あったとしたら「日本はその事業に組み込まれることを承知していない」くらいのことはさらっと言うでしょう。

 ムン・ジェインの「北朝鮮に利益を供与する」という頑なな意思がこの宣言からも見えてきますね。
 韓国では「南北鉄道接続さえしてしまえば、とてつもない経済的利益がある」という話で確定しているのですよ。少なくとも構想上においては。
 安いロシアの天然ガスをばんばん購入して、さらに日本が外国へ輸出する物流をすべて韓国が引き受けるみたいな話になっています。
 ま、いまのところ日米共にそんな話にミリほども共感しておらず、同調もしていないので資金の引き出しようがないってことが最大のネックですかね。
 第3回の南北首脳会談への土産としたいのでしょうけども、強行すれば韓国に対してもセカンダリーサンクション。
 焦りによる発言くらいにしか見えないなぁ……。

35日間世界一周!! Part2 ヨーロッパ鉄道編
水谷さるころ
イースト・プレス
2012/6/15