【時視各角】バカなのか、これが危機だ=韓国(中央日報)
【社説】所得主導成長発「雇用惨事」、いつまで繰り返すだろうか=韓国(中央日報)
最近、いくつかの統計が注目を集めた。まずは保険の解約件数だ。生命保険会社が今年上半期に保険を解約した加入者に払い戻した金額は12兆9000億ウォン(約1兆2900億円)にのぼった。前年同期比で21%増え、年間では過去最大となる見込みだ。庶民にとって保険には厳しい現実にも持ちこたえようとする未来が込められている。保険を中途解約すれば元金より少ない金額が払い戻され、金銭的な損失は相当大きい。余程のことでなければ保険に手をつけずに済ませようとする理由だ。しかし生計が崖っぷちに追い込まれれば手段はない。庶民は涙をのんで保険を解約する。通貨危機の時もそうだった。当時の商工会議所の資料によると、銀行の積立金や貯蓄性保険を解約した世帯は35.6%にのぼった。

保険約款貸付の増加も尋常でない。保険料を担保にしたこの貸付は金利が年7−10%だ。それでも上半期に前年同期比9%近く増え、60兆ウォンを超えた。

さらに不吉なのは金利が年14−15%にもなるカードローンの急増だ。カード7社の今年上半期のカードローンは17%増となり、21兆ウォンに迫った。急な資金が必要だが、銀行の低利貸出を利用できない人たちが突然増えたことを見せている。

保険解約、約款貸付、カードローンの共通点は不況であるほど増えるということだ。典型的な不況型商品だ。不況の到来を知らせている。韓国経済の不況が深まり、民生が苦しくなっているという警告音が響いている。 (中略)

このあたりで確認しておくべきことがある。問題がなかった経済がなぜこのように崩壊しているかという点だ。米国をはじめとする主要国の景気は好調であり、国外の環境のせいにすることはできない。これは経済政策の失敗だ。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は直ちにすべきことがある。まずは今の状況を危機として受け止めることだ。所得主導成長政策がもたらした弊害と問題点を直視する必要がある。そうしてこそ解決方法が見えてくる。市場の現実と力比べをする時ではない。同時にこうした雇用惨事を招いた政策の張本人、雇用事情が改善すると虚偽報告をした人たちに責任を問うことだ。民間でも不渡りを出せば経営陣をそのまま置いておくことはない。
(引用ここまで)
韓国経済が再び惨憺たる雇用成績表を受けた。昨日、統計庁発表によると、8月就業者数は1年間3000人増加にとどまった。金融危機の直撃弾を受けた2010年1月1万個が減少して以来、最悪だ。せいぜい5000個が増加して「雇用惨事」と呼ばれた7月より状況がさらに悪化した。「雇用大惨事」と言われる理由だ。昨年毎月30万人以上の就業者が増え、8月に入り21万2000人へと大きく落ちた基底効果も全く現れなかった。雇用政府で起きた雇用大乱だ。

全体の失業者は113万3000人、若年層(15〜29歳)の失業率は10%に達する。いずれも8月を基準として19年ぶりに最高値だ。通貨危機の余波に苦しめられていた1999年に次ぐほど、状況が厳しいという意味だ。 (中略)

このような状況でも青瓦台は不動の姿勢だ。金宜謙(キム・ウィギョム)青瓦台報道官は雇用惨事を「経済体質の変化に伴う苦痛」と語った。検証されていない所得主導成長を押しつけるという声のように聞こえる。青瓦台が我執に陥っている間に雇用はますます減り続けている。フィンテックのような4次産業の企業は規制を避けて海外に投資している。普段なら韓国で作られるべき雇用が外国に飛んでいく局面だ。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は先月「結果に職をかけよ」と雇用改善策を強力に呼びかけた。しかし、所得主導成長をドグマのように抱えていれば、経済を泥沼に落としてから退くとしても何の意味がない。退くからといって国民の苦痛が緩和されるわけではない。一刻も早く政策の舵を切る必要がある。経済学は「生産性を高めて成長を遂げ、その果実で所得を高めよ」と解答を提示している。「反企業親労働」一辺倒から抜け出し、規制を緩和して労働市場の柔軟性を高める措置が急務だ。これ以上、待つ時間がない。
(引用ここまで)

 ムン・ジェイン政権に取り込まれたとばかり思われていた中央日報が、最近になって一気に政権に罵声を浴びせるようになってきました。
 かつて80%以上の支持率を誇っていたムン・ジェイン政権も、支持率が50%台を割ったり割らなかったりしている状況。
 おまけに経済問題が主たる不支持要因となっている現状であれば所得主導成長については文句がつけられるようになった……という判断でしょうかね。

 もっとも先日もちらっと書いたように、現在の韓国の不況は構造上の問題が噴き出しているだけで、所得主導成長によって毀損されたのではないというように思うのですが。
 まあ、実際にバタバタと自営業が廃業してたり、軽工業や部品産業が韓国から逃げ出したりしているのは所得主導成長によって最低賃金が引き上げられたことが原因でしょうけども。

 その一方でちょっと面白い事実を発見したのでご報告。
 左派紙……というか極左と言っても過言ではないハンギョレは、社説でムン・ジェイン政権の経済政策について言及したことなし。日本語版だけでなく、韓国版も見たのですがまるっきりなし。
 あえていうなら下の社説は8月の壊滅的だった雇用情勢に言及したものですが、「造船・自動車・自営業の構造調整や人口減少が問題」となっていて、所得主導成長への言及は一言くらい。

[社説]悪化の一途「雇用事情」、社会安全網強化が急がれる(ハンギョレ・朝鮮語)

 視点、立場の違いがそのまま出ているのがなかなか面白いですね。