米関税免除の成功に沸いた韓国鉄鋼界 代償の割り当て枠で苦境、日本と明暗(ニューズウィーク)
韓国で大きな外交的成果として当初歓迎された米国による鉄鋼輸入関税免除は、今ではその代わりに導入された輸入数量を制限するクオータ制がネックとなり、一部の鉄鋼メーカーの生産能力が半減するまでに追い込まれている。

事情に詳しい複数の人物によると、生産ラインは休眠状態だという。その一方で、日本の鉄鋼メーカーは、25%の米関税に直面しているにもかかわらず、鋼管の対米輸出を拡大している。日本勢は、石油高で増産傾向にある米国の石油業者などに、高性能な掘削鋼管などを提供しているが、地元企業による代替は難しいと言われる。韓国企業の製品ではそうはいかない。

韓国は3月、米鉄鋼関税の適用対象から除外された最初の国となった。自国の鉄鋼メーカーにとって3番目に大きな輸出市場である米国に、無関税で継続的なアクセスが可能なはずだった。

ネクスチールやヒュースチール、世亜製鋼といった特殊鋼管メーカーにとって追い風となるはずが、逆風に変わった。前年から3分の1近く減った今年の輸入割当枠は、5月までにすでにほぼ使い切ってしまった。その結果、ネクスチールとヒュースチールは、来年分の出荷を開始できる10月と11月までそれぞれ工場稼働率の引き下げを余儀なくされている。 (中略)

ある鋼管メーカーの社員はロイターに対し、5つある工場のうち1つを今年後半まで停止すると話す。

「わが社の工場の稼働率は、ほぼ半分まで低下した」と、この社員は匿名で語った。輸入割当枠を回避するため、工場の1つか2つを米国に移転することを検討しているという。

また、世亜製鋼の社員は匿名で「米国に工場が2つあるため、輸入割当枠の影響をそれほどひどく受けてはいない。中長期的には、米国での生産能力を拡大することを検討している」と話した。

公式統計に基づくIHSマークイットとグローバル・トレード・アトラスのデータを使用した米商務省の国際貿易局(ITA)のウェブサイトによると、日本の米国向け鋼管製品の輸出額は今年1─7月、前年同期比で84%増の1億9000万ドル(約210億円)に上った。

一方、韓国の輸出額は8億3100万ドルだが、伸び率はわずか2.6%にすぎない。(中略)

相場が上昇したことで、一部の韓国メーカーは輸入割当枠に対する失望感を一段と強めており、関税対象になっていた方がまだよかったと考えている。

「輸出量は制限されている。韓国が輸出を続けられていたなら、価格上昇がその影響を埋め合わせてくれていただろう。たとえ関税がかけられたとしても、その方がましだったかもしれない」と、韓国産業研究院(KIET)のLee Jae-yoon氏は語った。
(引用ここまで)

 アメリカからの鉄鋼製品関税を避けるために、韓国はかなり無理をしたというのは既報ですね。
 関税を避ける代償として……

・過去3年の輸出量70%までというクォータ制を導入
・韓国政府は為替介入への透明化を約束させられる
・自動車や保険といった業界でも一層の市場解放を強いられる

 と、いうような結果になったのですよ。
 当時から「こんなんエビで鯛を釣るどころでなくアメリカが一方的に有利な話」という話をしていたのですが。
 そこまでして守ったはずの韓国の製鉄業界が苦しんでいるというニュース。

 韓国の鉄鋼各社はなにを勘違いしたのか「クォータ制が導入されるのは他国に課税される月からだ」と思って、今年の前半に輸出をブーストさせたのですよ。
 で、アメリカから「一年を通しての数量に決まってんだろ」っていわれて、5月の時点ですでに枠を使い果たした状況なのです。なぜ確認しないんだ……。
 現在、アメリカの鉄鋼業界はかなりの好況期を迎えているのですが、それにも与れないという状況。

 日本からの輸出品目は高付加価値なものばかりだったので、関税がかけられても代替できるようなものではないってことで輸出額はほぼ倍増。
 まあ、そもそも輸出額自体は大きなものでもなく、新日鐵住金もアメリカでニッポンスチールUSAを展開しているのでアメリカ向けはそこから出荷しているというだけだったのですけどね。

 アメリカからの関税を回避した当時、「これがムン・ジェインの外交力だ!」みたいなコメントにあふれていましたっけ。
 巡り巡った上での勝者ってどこだったんでしょうかね。