韓国大法院の強制徴用判決控え…日本「企業の賠償確定ならICJ提訴」(中央日報)
年内に結論が出るとみられる韓国大法院(最高裁判所)の強制徴用判決に関連し、日本政府が「日本企業の賠償が確定する場合、韓国を国際司法裁判所(ICJ)に提訴する」という方針を決めたと、外交筋が7日伝えた。

両国関係に詳しい韓国側の情報筋によると、日本政府は「2012年の判決のように日本企業の賠償判決が出れば『個人に賠償金を支払うよりも国が一括で受けるのがよい』という趣旨の1965年の韓日請求権協定を正面から覆す」「韓国政府が司法府の判決を正さなければICJに提訴する」という立場を決めた。日本政府は公式・非公式チャンネルを通じて韓国政府にこうした立場を通知したという。 (中略)

日本とは違って韓国は「自国を当事者とする紛争が生じる場合、裁判に無条件に応じる」というICJの強制管轄権関連の選択議定書に加入していない。ICJに提訴されても韓国側の同意がない限り裁判権が自動的に発動されるのは難しい。

これに対し日本は数年間の持久戦を念頭に置いて「韓国司法府の判決が国際法を違反し、韓国政府も正そうとする努力をしなかった」という点を浮き彫りにして国際世論戦をする態勢だ。これに関連し、三菱重工業が韓国内の事業規模を大幅に縮小したという話が外交関係者の間で出ている。
(引用ここまで)

 ムン・ジェインが大統領就任100日会見で「徴用工個人が日本企業に請求できる権利は残っている、と韓国の裁判所は判断している」と述べているように、現政権は徴用工裁判に対して日本企業に賠償金を支払わせる方向に好意的です。
 この話が日本で大きく報じられたことに焦ったのか、その後に「あれは法的判断について語っただけ」と言い訳していましたが。
 もちろん、最初に語ったことが本音であるのは言うまでもありません。

 年内に出るであろう判決を足がかりにして、日韓基本条約を揺るがすところまで行きたいというのがムン・ジェインの基本的な方向性だと考えています。
 というのも左派にとっては日韓基本条約は朴正熙政権、すなわち違法な軍事政権の下で結ばれたものであるために、条約そのものも違法。認めることのできないものだからなのです。
 なんとか破棄して新たな(韓国にとって有利な)条約を結び直したいというのは念願ですらあります。
 というわけで韓国の現政権にとっては、徴用工裁判というものは避けて通ることができない一里塚なのですね。

 それに対して日本政府は「ICJへの提訴を行う」と以前から発言しており、かつ再度それを韓国政府に通達したとのこと。
 記事中にあるように韓国はICJへの提訴につきあう義理はないのですが、単独提訴するだけでも悪くはないでしょう。
 ICJでの提訴に応じるよう外交的に挑発することもできるでしょうし、さらに外交カードとして「提訴に応じていないので、○○に関する協力はできない」というようなやりかたもあり。

 韓国が慰安婦合意に反したためにハイレベル経済協議が潰れ、それにともなって日韓通貨スワップ協定再開も潰れている。
 一時帰国させていた大使、総領事は北挑戦核問題を巡って帰任しましたがこれはやむを得ないでしょう。
 むしろ、酒の席で政権批判をした釜山総領事が更迭されたことがフォーカスされるべきかなと。

 そして今回は韓国から不条理な判決があるようであれば、ICJに提訴すると宣言。
 韓国との2国間関係をしっかりとマネージしつつある、というのが実情ですね。

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前坂俊之
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2010/4/10