南北鉄道・軍事合意・対北制裁解除…ことごとくぶつかる韓米(朝鮮日報)
【社説】軽すぎる韓国外交長官の5・24措置解除発言(中央日報)
 韓国外交部(省に相当)の康京和(カン・ギョンファ)長官が「5.24措置(対北独自制裁)の解除を検討中」と発言したことをめぐり、米国のトランプ大統領と米国務省は即座に反応した。トランプ大統領は10日(現地時間)「彼ら(韓国)はわれわれ(米国)の承認なしに(対北制裁を)解除しないだろう」と述べ、国務省は「われわれがその地点(非核化)に早く到達できれば、より早く制裁を解除できるだろう」とコメントした。北朝鮮の非核化が口先だけの状況にある現在、制裁解除を検討するのは早すぎるというわけだ。

 この日の米国務省の定例記者会見では「(トランプ)政権内には『韓国は現在進行中の(非核化)プロセスで北朝鮮に傾倒し過ぎている』という認識があるのか」との質問が飛び出した。パラディーノ副報道官は「我々は緊密に調整している」と答えたが、これに対し「それは、あらゆる面で同意するという意味ではないのではないか」との質問が続いた。パラディーノ副報道官は「われわれ(韓米)は互いに率直に話しているため、さまざまなことを成し遂げる可能性がある」と述べた。外交の世界では「率直に(frankly)話す」という表現は、意見の隔たりが大きいという意味に受け止められる。 (中略)

 このように、さまざまな次元で対北制裁解除をめぐる韓米の意見の違いが表面化したことは、韓米間の亀裂が深刻になっている証拠だと受け止められている。南北関係の進展を急ぐ韓国と、韓国の「前のめり」に不満を抱く米国は、既に8月からことごとくぶつかり合っている。開城工業団地内の南北共同事務所の開所、南北鉄道連結事業、板門店宣言の履行に向けた南北軍事合意書、対北制裁の緩和・解除、これらに対する韓米の立場の違いが鮮明になり、その範囲も急拡大する様相を呈している。

 韓国政府は当初、開城工団の南北共同連絡事務所を8月に開所する方向で物資などを搬出していた。これに対し、米国務省は水面下で「対北制裁に違反する恐れがある」と警告してきたが、韓国政府は「制裁違反には全く当たらない」と真っ向から反論した。すると米国務省のナウアート報道官は「(韓国が制裁に違反していないかどうか)それら全てに目を通したい」とさらに強く警告した。
(引用ここまで)
韓国国会の国政監査初日の昨日、外交部国政監査で情けない状況が繰り広げられた。康京和(カン・ギョンファ)長官が5・24対北朝鮮制裁措置解除に関し、「関係部署と検討中」と発言し、論議がおきるとすぐに「政府レベルで検討しているという話ではなかった。言葉が先走ってしまったのであればお詫びする」と謝罪した。5・24措置の主務部署は統一部だ。外交長官が言うべき発言でもなく、北朝鮮による韓国哨戒艦「天安」爆沈事件によって指定された対北朝鮮制裁の5・24措置を、北朝鮮の謝罪がない状況で決して軽く言及する事案ではなかった。 (中略)

康長官と政府与党の李海チャン代表の問答は、韓国政府が対北朝鮮制裁緩和に力を入れているとの誤った信号を国際社会に送ったも同じだ。李代表は康長官に開城(ケソン)工業団地と金剛山観光再開問題を国連安保理を相手に説得するべきだとまで話した。
(引用ここまで)

 朝鮮日報、中央日報と韓国国内では比較的「保守派」とされる新聞ではありますが、米韓関係が異常な状況になりつつあるという認識が韓国に届いているというのはちょっと意外でした。
 5・24措置というのは、天安艦撃沈事件への対抗措置として開城工業団地閉鎖、金剛山観光の中止をしていたわけです。
 で、外交部長官であるカン・ギョンファが「解除を検討している」という話を国会で語ったのですね。
 実際にはこの「制裁解除検討云々」という話が出るまで、メディアも大方は「韓国がこれほど動き回っているのにアメリカが対応しないのは何事だ」みたいな論調になっていたのですけどね。

 というか、もはやアメリカとしても看過できないところまで来ているのでしょうね。
 カン・ギョンファが「制裁解除を検討している」と言うやいなや、トランプ大統領から「我々の承認なしに制裁解除はしないだろう」って言葉が出て、国務省副報道官からは外交用語で「米韓関係に齟齬がある」との単語が出てしまう。
 南北鉄道接続のテストに国連軍(という名称のアメリカ軍)が反対したことくらいでは、アメリカの意向が伝わっていないという判断がなされたのでしょう。
 ムン・ジェインの南北融和路線の暴走を止めるには、こうしてリアクションを即座に起こす必要があるということなのだろうなぁ……。
 まあ、日本は「外交関係をマネージ」する関係性になっているので助かりますね。
 以前だったら日本にも「韓国をどうにかしろ」みたいなタスクが割り当てられていたと思うのですが。アメリカからも日韓関係は無理筋だなという理解をしてもらえたことは収穫といえるんじゃないでしょうか。