【社説】尋常でない米財務省の対北制裁遵守警告(中央日報)
韓米関係は本当に問題がないのだろうか。このように問わざるを得ないことが最近続いていて心配だ。先月、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の3度目の北朝鮮訪問直後、米財務省が韓国金融圏に連絡し、対北朝鮮制裁の遵守を要請した。対北朝鮮金融制裁を総括する米財務省の関係者らが韓国の金融当局ではなく国策銀行と都市銀行に直接接触し、警告メッセージを送ったのだ。異例のことだ。

時期からして微妙だ。米財務省が産業銀行と国民銀行、農協など韓国の金融機関に電話などを通じてカンファレンスコール(映像または、電話会議)をしたのは先月20日と21日だ。文大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が9・19平壌(ピョンヤン)共同宣言を発表した直後だった。会議の内容も気になる。米国側は韓国の銀行が推進する対北朝鮮関連事業現況を問いただし、「対北朝鮮制裁を違反しないことを願う」という要請とともに「あまり先走ってはいけない」という趣旨の話を何度もしたという。北朝鮮の非核化で可視的な成果がある前に急いで制裁緩和措置を取ってはいけないという注文だ。

一部では「韓米間の亀裂」という声も出ている。韓米関係がこのように揺れることになった裏には、対北朝鮮制裁緩和をめぐる両国の視点の違いがある。韓国政府は南北関係を加速させようとしている。非核化を牽引する好循環の役割をするという考えからだ。こうした南北関係の解氷は制裁緩和の方向に流れる。ところが米国の考え方は違う。南北関係の早い春は非核化問題を解決するどころか、むしろこじれさせると見ている。こうした違いのため衝突を繰り返す姿を見せているのが最近の韓米関係だ。 (中略)

7月には北朝鮮産石炭密搬入事件があり、韓国が制裁の穴になるのではという米国の疑惑が生じた。8月には国連司令部の不許可で南北鉄道・道路共同点検計画が実現せず、9月には南北共同連絡事務所開所問題で韓米が衝突した。政府が米国側との十分な協議なく80トン分の石油などを北朝鮮に搬出しようとしたことが問題になった。このように韓米間の不信感が累積する状況で米財務省が制裁遵守警告を送ったというのは尋常でない。

韓国の金融界も今回の事態を深刻に受け止めている。もし米財務省が主導する金融制裁の対象になれば、保有中のドルは短期間に流出し、韓国の銀行が危機を迎えるという悪夢になるからだ。しかし政府には現在の対北朝鮮政策速度を調節する姿が見えない。
(引用ここまで)

 アメリカの財務省が韓国の金融機関に直接「北朝鮮に課されている制裁に違反しないでほしい」と連絡してきた……って。
 すごいな。
 通常であれば財務省から韓国政府の金融当局に連絡して「制裁違反は困ると通達してほしい」と依頼するくらいで済ませるものでしょう。
 それを個別の金融機関に直接通話して「制裁違反しないことを願う」「先走ってはいけない」って話す。
 どれだけ韓国政府を信頼していないか、ということがよく分かりますね。

 アメリカ政府としても韓国の金融機関を潰すことにつながるセカンダリーボイコットを課すことは避けたいということなのでしょう。
 それだけ真剣にアメリカは韓国が先走って独自に援助するのではないかと危惧しているのですね。

 引用していない部分ではポンペオ国務長官がピョンヤン宣言に対して「(韓国政府は)なにを考えているんだ」激怒したという例のニュースについても触れています。
 ちなみに外交部は当初「ポンペオ長官が激怒したなんてことはなかった」とアナウンスしたのですが、その後に「ニュアンスとしては不満の表明はあったものの、1日2回の通話で理解してもらった」という話にしています。

ポンペオ国務長官の不満提起に外交部の遅れた消火「丁重なトーンでの通話」(ニュース1・朝鮮語)

 公式のアナウンスでは「強い苦情を申し入れられた」のではなく「丁寧なトーンでの会話」であった、とのことですが。
 まあ、そんなの信じている人はいませんわな。

 「ポンペオ長官が激怒した」という通話、およびは金融機関に対して直接連絡したのは先月半ばだったとのことですが、マスコミにそういった話がリークされたのが今月になってから。
 どちらも今週になってから明らかになったニュースですね。

 さらにカン・ギョンファ外交部長官が「韓国政府は独自制裁の解除を検討している」と国会が発言したことについても、即座にトランプ大統領が「彼らは我々の承認なしに制裁解除などはしないだろう」と反応したこともこの一連の流れに含まれるでしょう。
 アメリカが米韓関係が危ういことを隠さなくなってきた。
 これまでは「違反になる可能性がある」というようなていどの警告でしたが、このままムン・ジェインの行動を放置できないという認識になったというわけですね。

北朝鮮 核の資金源―「国連捜査」秘録―
古川勝久
新潮社
2017/12/22