昨日の続き。
 明日の判決で日本企業側が敗訴したとして(そしておそらくはそうなる)、その後になにが起きるのか。

 まず、韓国では類似の訴訟が山ほど起こされるでしょう。
 賠償金額は1兆円では済まなくなりますね。数兆円クラスになると思われます。
 ただ、賠償命令が出たとしても今回の新日鐵住金は韓国における資産はほとんどないようですから、差し押さえのしようもありません。
 それでもそれ以外の企業では韓国での事業を行っているところもあることでしょう。
 敗訴したら韓国国内の資産が差し押さえを食らう可能性がある……と。ここポイントです。

 ちなみに日経新聞によると賠償のために韓国政府が財団を設立して、そこにポスコや日本政府、企業が参加するなんて構想もあるそうです。

徴用工裁判、韓国最高裁で30日判決 日本企業に「賠償命令」焦点に(日経新聞)

 そんな構想が通用するかどうかはともかくとして、おそらくそのあたりを昨日書いた「外交による解決」として提案してくるだろうな、とは思います。

 で、日本の対応はどうなるか。
 実は短期で見ればそれほど変わったことは起きないと思われます。
 政府から遺憾の意は出るでしょうし、さまざまな対策も出るとは思います。昨日書いたICJへの単独提訴なんてのもその一環ですね。
 でも、ドラスティックな変化はありません。
 断交? ますますもってあり得ません。
 ただ、中長期で見た際には日韓関係は大きく変わります。

 日本から韓国への投資は「コリアリスク」を伴うようになり、忌避するようになるでしょう。
 日本政府はより韓国との交流を避けるようになり、国民感情はなおのこと悪化していきます。
 これまでイ・ミョンバクによる天皇謝罪要求や、中央日報による「原爆は神の懲罰」発言、軍艦島の世界遺産登録望外といったさまざまなポイントがありました。
 これらはじわじわと日韓関係を悪化させてきています。
 明日の判決はそれ以上の効果を出してくれるはずです。
 政府単位での経済的な協議も行われなければ、民間での協力、投資も最小限にせざるを得ない。
 地味にですが、コリアリスクによって日韓関係は崩壊するのです。

 以前はそこまでの「日韓関係崩壊」の責任を裁判官が負いきれるのか、ということもあって判決が出るとしたら原告敗訴であろうと考えていたのですが。
 日韓関係が以前に比べて濃厚さを持たなくなっている状況、さらに政治的なパイプがほぼなくなっている現状では相対的にその責任の度合いも低くなっているわけです。
 さらにいえば「パク・クネ政権が判決の遅延を企んでいた」という事件も日本企業敗訴の判決出すことに心情的な気楽さを与えています。

 韓国政府がどこまで緩衝材として働く気があるのか。
 最低限の交流しかなくなるか、それともあるていどを許容されるのかはここにかかっていますね。
 ムン・ジェイン政権は日本に対してさんざん「日韓通貨スワップ協定再開を」とか「ツートラック外交を」だの言ってきましたが、あるていどの韓国国民からの反感を韓国政府が呑まないことにはツートラックもくそもなくなります。

 あ、それと韓国では「対日損害賠償請求を代行します」という詐欺が再度隆盛して件数を増やすでしょうね。