「米官僚ら、表面では笑っているが実際には文大統領の対北朝鮮政策に憤怒」(中央日報)
米識者らが警告「対北制裁解除すれば韓国経済に害」(朝鮮日報)
保守指向シンクタンクであるヘリテージ財団のブルース・クリングナー専任研究員は16日、米国務省の招請で訪米した韓国外交部担当記者と会い、「米国は公開的には文在寅(ムン・ジェイン)大統領と彼の努力を支持し顔に微笑を浮かべているが、米政府関係者らと話を交わしてみれば相当数が文大統領の対北朝鮮政策に対し非常に懸念していたり、甚だしくは憤怒している」と話した。彼は「ワシントンでは事実何回も文大統領に速度を遅らせるようにとの強力なメッセージを送ってきた。文大統領は北朝鮮に与えたい経済的恩恵リストをたくさん持っており、さらに項目が増えている。国連安保理決議と米国法違反になりかねない」と明らかにした。北朝鮮の非核化措置を促進する相応措置と関連しては「例えるならば現在テーブルの片側に警察、もう片側に犯罪者が座っているもの。警察が『これまで犯した罪を軽減させるために何をするか』と尋ねているのに犯罪者が『2度と銀行を襲わないと言ったことに対し何をしてくれるのか』というようなもの」と説明した。

15日に記者らと会った外交問題評議会(CFR)のスコット・スナイダー専任研究員も制裁問題と関連し「韓米の意見が完全に一致するのか調べなくてはならない」と話した。続けて「米国が平昌(ピョンチャン)冬季五輪の時とは違い制裁免除に対してそれほど気分の良い立場ではない理由は韓国がとても速く進んでいるのではないかという部分、そしてとても広範囲に一括的に制裁例外を適用してくれと言うのではないかという部分」と説明した。彼は「対北朝鮮制裁と関連した問題は『この程度の制裁緩和を勝ち取るほど北朝鮮が非核化で十分な措置を取ったのか』という質問と合致する」と話した。
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スーザン・ソーントン元米国務次官補代行(東アジア・太平洋担当)は22日夕(現地時間)、ハーバード大学で開かれた北朝鮮問題討論会で、「文大統領は非核化で根本的な進展がある前に、北朝鮮との関係改善をすることが重要だと固く信じている」と述べた。また、「過去の交渉を見れば、北朝鮮はパートナーを別れさせる達人だ。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は韓米間でもそのようなことを試みるだろうと我々は知っておく必要がある」とも語った。今年7月末に国務省を退職したソーントン元次官補は「私が国務省にいた時は韓国のカウンターパート(韓国側担当者)とうまく意思疎通できていたが、両国が(北朝鮮に関して)互いに違ったことをしているため、今後これはますます難しくなるだろう」とも言った。

 ミッチェル・リース元国務省政策企画部長も23日、米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)とのインタビューで、「北朝鮮との進展をどのように進めていくのかという戦術をめぐり、韓米間に根本的な意見の違いがある。もし、韓国が対北朝鮮制裁を解除して、北朝鮮に一方的なアプローチを取ることに決めたら、韓国経済に極めて有害だろう」と述べた。クリストファー・ヒル元国務次官補(東アジア太平洋担当)もこの番組で、「南北対話が非核化の進展速度に比べこれほど速く進む姿は初めて見た。南北対話と非核化過程は現在のところ密接につながってもいないように見える」と言った。ブルース・ベネット米ランド研究所上級研究員もVOAに「現状のように米軍司令官が韓国国内の軍事配備に責任を負う状況で、米軍司令官に知らせずに北朝鮮との軍事合意をするのは、同盟の信頼にかなり違反している」と述べた。

 これと関連して、このほどソウルを訪問した米国のある外交消息筋は「米朝交渉を見守るワシントンの専門家の10人中9人は北朝鮮の非核化意志に対して懐疑的だ。非核化が足踏み状態に陥っているのに、南北関係を加速化させようとしている韓国政府に対し、トランプ政権やその周辺の意見も非常に良くない」と伝えた。
(引用ここまで)

 そりゃそうだよね、という話でもありますが。
 いまのところまだアメリカ政府は公式の場で韓国に怒りを伝えたことはありませんが、本当に「公式の場では控えているだけ」という状況になりつつあります。
 先日、ビクター・チャ教授が中央日報とのインタビューでかなり強い憂慮を伝えていたのも印象的でしたが、これらのアジア外交に通じた専門家が口を揃えて危機感を表明しているのは壮観ですらあります。
 今年1月にもアメリカ側から「ムン・ジェイン政権には若干の反日反米傾向が見てとれる」という話があって、当時から「若干……ねぇ」と楽韓さんは首をひねっていたものでしたが。
 まあ、3度の南北首脳会談とそれに付随する南北融和でどれだけ反米的な政権であるかを思い知ったってところですかね。

 かく言う楽韓さんも大統領選以前から「ムン・ジェイン政権はノ・ムヒョンの後継者であり、韓国はとてつもない厄災に見舞われるであろう」くらいのことを言っていましたが、正直なところここまでの速度で行われるというのは想定外でした。
 元駐韓日本大使の武藤正敏氏がいうところの「ムン・ジェインは北朝鮮及び南北統一のことしか考えていない」という人物評については「そういう傾向はあるだろうけど、そこまでじゃないだろ」とか思ってました。
 甘かったわ。
 経済政策については想像通りの壊滅さではあったのですけど、対北政策についてはここまでとは……。
 「この楽韓の目を持ってしてもムン・ジェインという男を読めなかった……」とでも言っておくべきでしょうかね。

米韓同盟消滅(新潮新書)
鈴置高史
新潮社
2018/10/17