国民年金制度の改革案 文大統領が「全面的な再検討」指示(聯合ニュース)
韓経:韓国、福祉支出増加速度がOECDの4倍…国家債務の処理は誰が?(韓国経済新聞)
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は7日、保健福祉部がまとめた国民年金制度の改革案について「全面的な再検討」を指示した。青瓦台(大統領府)によると、文大統領は改革案の草案に盛り込まれた内容のうち、保険料率の引き上げに関する部分が国民の考えと見合っていないと判断したという。

青瓦台の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官は、文大統領がこの日午前に保健福祉部長官から制度改革案に関する中間報告を受けた後、「国民の意見がより幅広く、忠実に反映されるよう修正、補完するように」と求めたことを記者団に伝え、「単なる再検討ではなく全面的な再検討を指示したものと理解している」と述べた。
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韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は昨年の大統領選挙当時の公約で65歳以上のうち所得下位70%の高齢者に支給する基礎年金(2017年月20万ウォン)を2018年に月25万ウォン(約2万5000円)に、2021年には月30万ウォンに引き上げると述べた。この公約は国政計画として確定し、昨年8兆1000億ウォン規模だった関連予算は今年9兆1200億ウォンへと1兆ウォン以上も増えた。政府は来年の基礎年金予算を今年より2兆3800億ウォンほど多い11兆5000億ウォン規模とした。政府・与党が「高齢者福祉をさらに強化する」として2021年に予定されていた「月30万ウォン」(所得下位20%台上)を来年に操り上げたからだ。

福祉分野の財政支出で代表的な基礎年金は支給額を引き上げなくても予算が雪だるま式に増えるしかない。韓国の高齢化ペースは世界最高レベルであるからだ。今年516万7000人の基礎年金受給者は2022年には628万5000人と100万人以上増えると予想される。
(引用ここまで)

 以前から「韓国は低負担低福祉の国である」と何度か書いていますね。
 その最大の理由は福祉費用増大による国庫の圧迫を避けるため。IMF管理下に置かれたトラウマを再現しないためだという話もしています。
 それ以前に福祉をまともに施す余裕がなかったというのも実際のところなのですが。
 孤児輸出や障害児輸出は韓国の福祉予算削減が産み出したひずみですね。

 現在でも基礎年金は月額20万ウォン。もともと10万ウォンであったものをパク・クネ政権が20万ウォンに引き上げたのでした。
 で、ムン・ジェイン政権はそれを今年は25万ウォンにし、2021年には30万ウォンにするという予定でした。
 そして、なぜか30万ウォンへの引き上げを来年に前倒ししています。
 まあ、どっちにしても30万ウォンになったところでまともな生活なんてできるわけもないので、他の収入手段がない高齢者は大学の無人教室の灯りを消す仕事にありつけなければ段ボールを集めるしかないのですが。

 で、その年金金額引き上げに際して国民年金保険料を現行の9%から引き上げたいという答申を保健福祉部がムン・ジェインに対して出したのですよ。
 案にはいろいろなパターンが用意されていました。もし、料率と支払いパターンの変化に興味があればこちらの記事をごらんください。

保険料引き上げに世論が沸き返るとすぐに……ムン・ジェイン、異例の不満表明(毎日経済・朝鮮語)

 要するに保険料率は現行のままで基礎年金を引き上げろと言い出したのですね。
 さすがポピュリストの権化。
 急激な高齢化がはじまっている韓国では、年金金額の引き上げがなくても福祉予算が異常なペースで増加しているのですね。
 それでも保険料率引き上げはまかり成らんと。

 低負担のままで中福祉くらいまで引き上げようとしているのですよ。
 そんな魔法のようなことができるわけもなく。赤字国債で負担するしかないと。
 通貨危機への備えがムン・ジェインのポピュリズムによって削られているっていうのがなかなか面白いですね。