16カ国の自由貿易圏構想、実質妥結は見送り 日中など(朝日新聞)
台湾、TPP参加意向 日本に伝達へ 中国の反対を警戒(日経新聞)
 日本や中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加する自由貿易圏構想「東アジア地域包括的経済連携(RCEP〈アールセップ〉)」をめぐり、年内に主要分野で合意する「実質妥結」が見送られることになった。関税の引き下げ幅でインドが中国や豪州などと合意できなかったためだ。各国は来年秋に完全な妥結をめざすが、世界人口の半分を占める巨大経済圏をつくる交渉は漂流するおそれもある。

 「実質妥結はなくなった。14日の首脳会合では来年まとめると宣言してもらいたい」。12日昼過ぎから夜まで続いたシンガポールでの閣僚会合後、経済産業省幹部は疲れを見せた表情で述べた。 (中略)

 だが、インドとの交渉がまとまらなかった。昨年度のインドの貿易赤字は対中国が全体の4割、630億ドル(約7兆2千億円)を占める。安い日用品や工業品などが中国からインド国内に流入し、関税引き下げを安易に受け入れられない。加えて中国の不透明な国内産業保護策も不満だった。

 インドは来年に総選挙を控えていることもあり、今回の実質妥結を拒んだ。参加国の交渉関係者は「インドが抜けると(世界人口の半分をカバーする)RCEPの魅力は半減する」として、各国はインドの主張を受け入れた。

 複数の交渉関係者によると、これ以外にも日本と韓国の関税交渉があまり進んでおらず、知的財産保護などのルール分野で各国の隔たりが残っているという。 (中略)

 米トランプ政権の保護主義的姿勢も影響を及ぼすこともありえる。9月末に妥結した「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」は、中国との貿易協定の締結を難しくする「毒薬条項(ポイズンピル)」を盛り込んだ。米政権は日本を含む今後の通商交渉のひな型にすると明言している。中国が引っ張るRCEPと距離を置こうとする国が出ないとも限らない。
(引用ここまで)
台湾は環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を目指す方針を固め、TPPを主導する日本政府に伝える。11月中旬にパプアニューギニアで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の機会に安倍晋三首相へ意向を示す。台湾で経済政策の司令塔の役割を担う国家発展委員会の陳美伶・主任委員(閣僚)が日本経済新聞のインタビューで明らかにした。
(引用ここまで)

 中国主導によるもうひとつの自由貿易協定であるRECPが事実上の座礁。
 正直、「ですよねー」くらいしか言いようがない。自由貿易協定に中国を含めることの危険性しかないものだったので、周辺国が警戒して終わりだろうなとは思っていました。
 案の定、インドが反発して終了。
 実際のところ、インドの対中貿易赤字はひどいものになっています。
 中国の一路一帯路線による世界征服の意向がだんだんと知られるようになり、「中国になんらかの枷をつける」という意味では発行するかもしれないなーとも思っていたのですが。
 まあ、そのために毒を飲むのは無理か。
 韓国はこのRCEPにけっこう期待していたようなのですけどね。

 その一方で発行が決定したTPPはイギリスをはじめ、タイ、フィリピン、コロンビアなんかが参加を希望しているとされています。
 そして今回は台湾が参加へ希望表明。
 難しいなあ……。
 かつて、「韓国がTPPへ参加できるとしたらアメリカと同時の参加表明という路線しかない」ということを書いたことがありますが。
 これを書いた時に「台湾が参加するとしたらこの方法だけだなぁ」ともちらと思ったのですよ。
 トランプ政権は台湾寄りになっているのは確実で、その庇護下にあるということを見せつけるための手段としてはありかなと。
 逆にいえば単独参加は難しいのではないかと感じていたということなのですよ。

 TPPは対中国包囲網としての役割を持っているのは確かなのですが、それは「匂わせる」ていどで充分なのです。
 あからさまな中国排除の動きを見せてしまうのは危険。
 ルールを守れるのであれば中国でも加入できるという建前も大事。
 そして、台湾の加盟は踏み込みすぎているかもしれない、といったところになるのですね。
 あ、韓国の話題が最小限過ぎた。……まあいいか。

ドキュメント TPP交渉―アジア経済覇権の行方
鯨岡 仁
東洋経済新報社
2016/9/16