李明博政権時の「ノーベル賞プロジェクト」、研究費大幅削減で存続の危機(朝鮮日報) Web魚拓 1/2/3
揺れる韓国版ノーベル賞プロジェクト(中央日報)
 IBSは、物理、化学、地球科学、生命科学、数学、融複合の6分野、計30にわたる研究機関から成り立っている。国内外の500人の科学者たちが研究を進めている。11月13日、科学技術情報通信部(日本の省庁に相当)やIBSによると、来年度の研究機関別の研究費は平均65億ウォン(約6億5000万円)で、2012年の100億ウォン(約10億円)に比べ3分の2水準に低下した。政府は、IBSを設立した2011年当時、「全ての研究機関に10年間安定して年間100億ウォンずつ支援する」としていたのに、その約束が守られていないのだ。 (中略)

 しかし、7年が過ぎた今、IBSの姿は当初の計画とは程遠い。研究機関数はもともと2017年までに50機関が目標だったが、現在は目標の60%水準の30機関で運営されている。来年は、研究機関が2機関増にとどまる見通しだ。にもかかわらず、政府は来年度のIBS予算を今年よりも200億ウォン(約20億円)減となる2365億ウォン(約236億5000万円)とした。IBSの全予算が減ったのは設立7年目にして初めてのことだ。(中略)当初来年から1130億ウォン(約113億円)を投入して進められる予定だった第2次の研究機関ビル建設計画も、今年の予算編成過程で大幅に削減され、事実上の無期限延期となった。昨年工事が終了する予定だった「重イオン加速器」は2021年の完工と、4年先送りされた。

 一体何があったのだろうか。現政権が発足して以降、与党はIBSの運営が放漫だとし「不正の総合セット」「もともと設立する必要がなかった事業」と攻撃している。先月国政監査でIBSの予算が問題になると、科学技術情報通信部は11月6日からIBSの特別監査に着手した。政府は昨年までIBSに全30に上る研究機関の予算をまとめて与えていたが、今年からは研究機関別に予算計画を提出し、一つ一つ審議している。
(引用ここまで)
韓国版ノーベル賞プロジェクトが揺れている。基礎科学研究院(IBS)のことだ。IBSは「ノーベル賞に近い」とされている国内外の科学者28人を招へいして分野別研究団長に任命した。韓国政府が「長期・自主研究と研究費支援」を約束しながらだ。基礎科学に十分に投資をし、長期的な革新を起こそうというのが目標だった。一部の外国人科学者は契約を結ぶとき、研究費を支援するという約束まで契約書に含めた。しかし来年度の予算を策定するにあたり突然雰囲気が変わった。研究費を削り、研究の自主性も締めつけ始めた。研究団は不安のため騒々しくなっている。ついに複数の外国人研究団長が共同名義で抗議の書簡を青瓦台(チョンワデ、大統領府)と科学技術情報通信部に送ったことが確認された。

IBSは李明博(イ・ミョンバク)政権時に推進された。モットーは「世の中を変える巨大な基礎科学研究」だ。 (中略)

国際的な信頼が落ちる懸念が叫ばれているにもかかわらず、韓国政府がIBSに対する当初の約束を守らない理由は何か。さまざまな解釈のうちの一つは、現政権が掲げた「草の根基礎科学」だ。研究費を集中させるよりも大学などに均一に配分するということだ。だが、現在、IBSには世界最高水準の科学者が集まって最高水準の研究成果を出し始めた。このような状況でIBSの研究費を削減するのは国の革新競争力を削ぐことになる。

もし前政府の業績であるIBSを消すために「草の根基礎科学」を前面に出したとすれば、それはもっとよくない話だ。大学の研究を育成するのもよいが、そのために世界が羨む基礎科学研究力を損なうようなことはやめなければならない。
(引用ここまで・太字引用者)

 韓国で「コリアニウムを発見するのだ」として大々的にプロジェクトが開始された重イオン加速器をはじめとして、「韓国でノーベル賞を」というかけ声ではじまった基礎科学研究院が「積弊だ」として縮小の憂き目にあっているという話。
 まあ、その「韓国独自のデザインを施した重イオン加速器」とやらはアメリカにあるもののパクリだったということが判明しています。
 その後、基礎設計からやり直しが決定して、海外からも協力を得て去年には完成予定だったのですが。
 本文にあるように2021年完成予定となっています。
 その他、海外の研究者や海外で研究していた韓国人、あるいは韓国系の研究者なんかも招かれていたはずです。

 さて、それでなぜムン・ジェイン政権になってからこの基礎科学研究院が叩かれるようになったのか。
 もちろん、際限のないバラまきで福祉予算が膨大になりすぎているという現状の韓国の問題はあるにはあるのです。
 日銭にならないようなものはカットするぞということでしょう。
 ただ、この問題はそれだけではないと見ています。
 というのも、もともと基礎科学研究院(IBS)というプロジェクトはイ・ミョンバク政権時にスタートしたという経緯があるのです。
 上記の重イオン加速器もイ・ミョンバクが「必要だ」と言い出したのでプロジェクトがスタートしています。
 これが最大の理由でしょうね。

 ムン・ジェイン政権はパク・クネ政権を打倒して成立したことから、パク・クネやその周辺を叩いているように思われています。
 ですが、ムン・ジェインにとっては最大の標的はイ・ミョンバクなのです。
 なにしろ師匠筋にあたるノ・ムヒョンを自殺に追いこんだのはイ・ミョンバクであると思っていますからね。
 ノ・ムヒョンの自殺後、葬儀委員長をやったのも僚友であったムン・ジェインでした。

 イ・ミョンバクのやったことをすべてゼロに帰したいというのがムン・ジェインの本音でしょう。
 え、そんな風に個人的な復讐で国家プロジェクトを揺るがしたりするのかって?
 するんですよ。韓国では。
 むしろ実に韓国的な出来事であると言えるでしょうね。

理化学研究所 100年目の巨大研究機関 (ブルーバックス)
山根一眞
講談社
2017/3/14