日韓「レーダー照射問題」の背後にある韓国政治の闇(デイリーNKジャパン)
日韓の「レーダー照射問題」が混迷の度を深めているが、こうした問題の理想的な解決策は、双方の実務者が「現場で何が起きたか」を互いに情報を出し合って事実を見極め、必要なら再発防止策を講じる――という形にあったはずだ。しかし、今回の問題はすでに実務レベルを飛び越えて政治問題化し、さらには世論化してしまっている。

そうなってしまった理由を探ってみたところ、日韓の情報関係筋から次のような解説を聞いた。

「韓国は、国軍機務司令部が解体されてしまったのが痛かった。そのため現場で何が起きたかを知るために、現場からの任意の報告に頼ってしまっている」

韓国国防省は昨年9月1日、軍の情報機関である機務司令部を解体し、新たに設置された軍事安保支援司令部の発足式を開いた。機務司令部は、朴槿恵前政権下で権限を越えて戒厳令布告を検討する文書を作成していたことが判明し、文在寅大統領が解体と再編を指示していた。

国防省直轄の機関だった機務司令部は、軍に対するスパイ行為を摘発する「防諜」が最大の任務だったが、それ以外にも軍事と安保に関わる様々な問題について調査し、大統領に報告していた。 (中略)

「今回の『レーダー照射』のような問題が持ち上がれば、機務司令部が大統領の意を受けて『捜査』にも似た客観的調査を行い、大統領に報告していた。そういった取り組みなしに、任意の報告に頼ってしまうと現場の『言い訳』や『保身』が入り込む余地が出来てしまう」(前出・情報関係筋)

機務司令部の後身たる軍事安保支援司令部が発足しているものの、まだ十分に機能していないということなのだろうか。
(引用ここまで)
 デイリーNKジャパンのサイトはかなりひどい作りで、特にスマートフォンだと可読性ゼロに近いのでニューズウィークにリンクしています(定期)。
 なるほど、これは面白い視点。

 機務司令部は軍部の情報機関です。通称、機務司(キムサ)。
 朝日新聞の牧野支局長が尾行されていた際にも「国情院か機務司令部あたりではないか」と推測していましたね。
 ですが、ムン・ジェイン政権は機務司令部について「戒厳令発布を検討していた」という疑惑を大々的に報じて、実質的にこの部署を叩き潰しました。
 司令官は更迭され、人員も2/3とかになったとの話。新名称は軍事安保支援司令部。
 「情報機関」としては骨抜きになったとの話です。
 「戒厳令発布を具申するとは何事だ!」みたいな報道があった際に、楽韓Webでは「これをきっかけにムン・ジェイン政権は機務司令部を解体するまであり得ますね」と語りましたが、その通りになってます。
 というか機務司令部を解体することが目的であって、あえてこの疑惑を「積弊だ」だのなんだの言って騒ぎ出したんじゃないかという感じもします。

 で、機務司令部は軍内部の警察、監察官的な役割をも担っていたとのこと。
 かつてはなにか不祥事があれば大統領府から機務司令部に司令が行って監査していたものが、現状はそれぞれの現場から保身コミの報告しか上がらない。
 他部署を通すことであるていどは客観的な報告になっていたものが、保身のためのものにしかなっていないということなのでしょう。
 今回であれば海軍の当該部署も「どうせ機務司令部はないのだから、適当な報告書だけ上げておけばいい」ということになり「火器管制レーダーを使用していない」と言い張り続けることになる。

 今回、あまりにも日韓間で不通がすぎるのですが、これが理由であるというのなら納得できるところでしょうかね。
 まあ、だからといって韓国のやっていることの言い訳にはならないのですが。

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2017/8/15