韓国企業の開城工業団地訪問申請 当局「諸要因踏まえ検討」(聯合ニュース)
韓国統一部の白泰鉉(ペク・テヒョン)報道官は9日の定例会見で、南北経済協力事業として北朝鮮南西部の開城工業団地で操業していた韓国企業の関係者が現地の状況を確かめるため訪朝を申請した場合、諸要因を踏まえて検討するとの姿勢を示した。

これら韓国企業でつくる非常対策委員会は同日、開城工業団地内の施設を点検するため訪朝の許可を求める記者会見を開いた後、統一部に訪朝申請書を提出する計画だ。 (中略)

企業側の訪朝申請があれば、政府は米国、北朝鮮と関連協議を本格化すると解釈してよいのかと問われると、「さまざまな要因をよくみて、検討する」と答えた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領も、北朝鮮に対する国際社会の制裁問題が解決すれば金剛山観光や開城工業団地事業を進められるとの見方だと伝えた。
(引用ここまで)

 開城工業団地の再開を求める声が大きくなってきましたね。
 これには3つ、もしくは4つの要因が絡んでいて事態が難しくなっているのですよ。
 まずは記事にもある韓国企業の声。
 大企業は開城工業団地には進出していなかったので、軽工業の中小企業が中心になって進出しています。
 ですが、2016年に開城工業団地の閉鎖が決まった際に、すべての設備は持ち帰ることができなかったのですね。
 それに加えて昨今の最低賃金上昇で韓国の中小企業は死に瀕しています。賃金の安い開城工業団地は希望の地なのですね。

 ついで北朝鮮の意向。
 キム・ジョンウンは新年の辞で開城工業団地と金剛山観光について「前提条件なしの再開」を求めています。

「新しい道模索」も 金正恩委員長が新年あいさつ(朝日新聞)

 去年、北朝鮮は「南は口ばかりだ」と怒りの声明を発したことがあります。
 経済的にだいぶ厳しい状況に追いこまれていることは間違いない中、北朝鮮はさらに韓国政府に圧力を加えてくることは間違いないでしょう。

 ですが、アメリカを中心とした国際社会は北朝鮮への制裁緩和を許さないのは間違いありません。
 去年、ムン・ジェインは北朝鮮の走狗としてヨーロッパASEANを相手に制裁緩和を叫んで廻っていましたが、成果はゼロ。
 北朝鮮から怒りの声明が出た際(去年8月)、そして去年の1月にもアメリカからは「開城工業団地の閉鎖を支持する」≒「開城工業団地の再開を許さない」との声明が出ています。
 まあ、今年も「絶対阻止」で変化はないでしょう。
 その一方でムン・ジェインにとっては開城工業団地、および金剛山観光の再開は大統領としての選挙公約のひとつでもあります。
 開城工業団地の閉鎖はパク・クネ政権が決めたことでもあるので、「積弊清算」のひとつとしてもなんとか再開にこぎ着けたい。
 そして、なんとかして北朝鮮に利益を供与してキム・ジョンウンの覚えめでたくなりたい。
 どうにか有耶無耶のうちに経済制裁を迂回できないかというのが大統領府の意向です。
 これ以上、北朝鮮から叱責されたくないし、キム・ジョンウンにソウル訪問をしてもらって外交ポイントを稼ぎたいというのが本音でしょう。
 それ以外にムン・ジェイン政権ができることなんて内政、外交共になにもないですからね。

 特に企業側からこれ以上の突き上げを喰らった時に、ムン・ジェイン政権がうまく裁けるとは思えないのです。
 開城工業団地をどう扱うか。これが南北関係、そして米韓関係にとって今年の大きなポイントになると感じます。