韓国議長「天皇の直接謝罪で慰安婦問題は解決できる」(朝日新聞)
文氏が天皇を「戦争犯罪の主犯の息子」と呼んだとも報じたが、インタビューに同席した国会報道官はこの表現は否定している。 (中略)

 国会報道官は朝日新聞に「他の同席者にも確認したが、文氏は(天皇に関し)『戦争犯罪』という表現は使っておらず、『戦争当時の天皇の息子』と述べたと思う」と記事が引用した文氏の発言を一部否定。「天皇が訪韓の意思を明らかにしており、元慰安婦の手を握って謝罪すれば、心のしこりが解けるのではないかというのが文氏の趣旨だった」と説明した。
(引用ここまで)

 ムン・ヒサン韓国国会議長は「戦争犯罪者の息子」という言葉を使っていなかった、と報道官が否定しているとのこと。
 ほほう、つまりブルームバーグが嘘をついている……と。
 ブルームバーグの原文である英語版を見てみると、小見出しにも「彼は戦争犯罪の主犯の息子だろう?」という言葉が出てきています。
 つまり、このインタビューでの主たる発言のひとつであると扱われているわけですよ。
 これはこれでブルームバーグ側の釈明が気になりますね。
 インタビュワーも韓国人だったようです。

 ちょっとここで2012年8月にあったイ・ミョンバクの天皇謝罪要求発言がどうなったか見てみましょうか。
 実はイ・ミョンバクは発言の一ヶ月後くらいに「そういう意味で言ったつもりはなかった」「誤解がある」と釈明に転じているのですよ。

天皇謝罪要求「誤解されている」 韓国大統領が釈明(日経新聞)

 日本側のあまりの感情の発露にびびったっぽい。なにしろ撤回を要求する国会決議まで出ましたからね、当時。
 ついでさらに一ヶ月後の2012年10月には訪韓した麻生太郎氏と会談したのですが、その際にも「韓国に来いとか謝れと言ったことはない」と謝罪要求を撤回するような発言をしたとされています。
 ただし、これの釈明は日本ではほとんど報じられることはありませんでしたね。
 いや、違うな。
 大元の謝罪要求発言のインパクトが強すぎたためでしょう。

 もうひとつ言うと、10日後くらいには大統領府高官から「悪意はない」「意図的な発言ではない」と釈明があったのですよ。
 ま、もちろんこんなていどの釈明で日本側の逆鱗に触れた怒りが収まるわけもなく。
 その年の10月31日には「日本国民が韓国との通貨スワップ協定を望まない」として570億ドル分の拡大枠を終わらせてしまいましたね。

 日韓関係における信頼性というものが一気に欠ける事件であったのですよ。
 韓国側は日本政府、日本人のすさまじい反感を感じて外交ルートでなんとかしようとしていたようですが、あの発言が現在の日韓関係を形成しているといっても過言ではないほどのインパクトを与えたのですね。

 2015年に第7回世界水フォーラムが韓国で開催されましたが、この時に皇太子殿下が招待を断ったのはこの発言の影響であるのは間違いないでしょうね。
 去年に開催された第8回の世界水フォーラムには参加されて基調講演がありました。
 まあ、その前回のフランスでの水フォーラムも欠席されていますが、東日本大震災の翌年であることを考えれば当然の措置。

 さて、今回はどのていどの強度で日本は反発するのか。
 官邸はどうするのか、国会はどうするのか。そして宮内庁はどうするのか。
 そこも見定めるべき部分ではありますね。

他人を引きずりおろすのに必死な人 (SB新書)
榎本 博明
SBクリエイティブ
2016/9/5