「寧辺のほか、大きな核施設」北も驚いたカード……「秘密施設2カ所」(SBS・朝鮮語)
米国がハノイで北朝鮮からの非核化の確約を受けようとした場所は寧辺だけではありませんでした。
トランプ大統領はアメリカは北朝鮮で寧辺の他にも大規模な核施設を発見したと言いました。
これを交渉のテーブルに上げた際には、北朝鮮側がかなり驚いた伝えました。

トランプ大統領:「(質問:ウラン濃縮施設を言ったのですか?)その通り。我々はその部分を多く指摘しました。私たちがそれら施設について知っていることに対して、北朝鮮は驚いていたように見えた」

偵察衛星と民間商業衛星の監視を受けている公開された寧辺ではなく、北朝鮮が隠し続けてきた秘密ウラン濃縮施設の廃棄も、米国が要求したと思われます。 (中略)

ポンペオ長官は、既存のミサイルと核のリストの作成も求めたことを明らかにしました。

マイクポンペイオ国務長官:「(寧辺のほかに)ミサイル、核弾頭、兵器システムなども残されています。いくつかの要素について北朝鮮との合意をしようとしていました」

北朝鮮は寧辺の核施設の閉鎖や廃棄を考慮した米国は、非核化ハードルの高さを高め、寧辺廃棄は基本であり、それ以外の秘密濃縮施設と核弾頭、ミサイルまで出せと要求したのです。
(引用ここまで)

 そりゃあ分かるでしょ。
 北朝鮮は寧辺だけで「非核化」が成立すると見ていたようですが、アメリカが持っている情報網でそのあたりが分からないわけがない。
 今回はすべてが噛みあわなかったイメージがあります。

 んでもって、どうも情報を統合すると韓国政府は寧辺の核施設排気だけでアメリカが納得して、制裁を緩和する方向に向かうと認識していた感じなのですよ。
 大統領府の認識としては最低限でも開城工業団地や金剛山観光事業といった南北経済交流は解禁されるはずだと。
 あるいはそれ以上すら求めることができるのではないか……みたいな認識でいたように感じられます。

 なにしろ、米朝首脳会談前日には「韓半島の運命の主人は我々だ」だの「歴史の中心に立って戦争と対立から平和と共存に、陣営と理念から経済と繁栄に進む新韓半島体制を主導的に準備する」だの言っていたほど。
 挙げ句の果てには「ムン・ジェイン大統領は三一節の演説で朝鮮半島の新たなレジームに関する具体的な構想を述べる」まで言い切ってましたからね。

文大統領、制裁解除後の「南北経済協力主導権」に強い意志(中央日報)

 この韓国大統領府による今回の米朝首脳会談への認識がどこから生まれているのか、楽韓Web的にはさっぱり分からずに困惑していたのです。
 一般的な情勢を考えれば「今回の首脳会談でアメリカが望むような決着はない」という状況は見えていたのですが、韓国大統領府だけが異様な興奮状態にあったというべきか。
 本当に異常なくらいに前のめりでした。
 なので、韓国大統領府には後ろ盾としてなにか北朝鮮かアメリカに強力な太い情報源があるのかとも思っていたのですよ。

 まあ、そんな強力な情報源とかまるでなかったということは判明しました(笑)。
 ただ単に願望でそう動いていただけって話でしたね。
 やっぱりムン・ジェインは北朝鮮のこと以外なにも考えていない、ってことでしたわ。
 どちらかというと、北朝鮮がこの韓国大統領府側の前のめり具合にだまされたというか、韓国側から願望込みの情報を渡されていた可能性すらありますね。

 奇妙なことに、今回の米朝首脳会談の最大の敗者はアメリカでもなければ北朝鮮でもない。
 最大の敗者は韓国。もっといえばムン・ジェイン個人です。
 懸命に「我々はフィクサーである」とか「仲介者である」とか言い続けてきたのですが、そんな実力はないことが世界に晒されてしまった。
 「北朝鮮核問題でジャパンパッシングを受けて日本が焦っている」みたいに韓国メディアは言っていたのですが、実はもっとも蚊帳の外だったのは韓国だったというオチ。

 自分たちの姿を大きく見せるために、事前から賭けに出ていたのでしょうね。
 制裁緩和されることに賭け金をオールインして「我こそは米朝の仲介者」というイメージを作り上げようと考えていたのではないかと。
 そして完膚なきまでに負けて、賭け金を没収されたのです。

 さらに言うのであれば、この結果を受けて三一節の演説でムン・ジェインがなにを言うのかが俄然注目されるようになりましたわ。
 大統領自らが会見する少ない機会のひとつが三一節の演説なのですが、本当だったらここで高らかに勝利宣言するつもりだったのでしょうね。
 さて、楽しみ楽しみ。なお、100周年公式式典は午前11時から。

敗者の古代史 戦いに敗れた者たちはどうなったのか? (中経の文庫)
森 浩一
KADOKAWA / 中経出版
2016/10/13