北朝鮮外相、米大統領に反論=制裁解除要求「全面でなく一部」(時事通信)
北、国連制裁のほぼ全面解除を要求と米高官(産経新聞)
北朝鮮の李容浩外相は1日未明、ベトナム・ハノイで記者会見し、合意に至らないまま終了した2回目の米朝首脳会談について、米側に要求したのは「全面的な制裁解除ではなく、一部解除だ」と述べ、北朝鮮側から全面解除を求められたとするトランプ大統領の主張に反論した。 (中略)

李氏は2016〜17年に国連安保理で採択された制裁決議のうち、「民需経済や人民生活に支障を来す項目」を先に解除するよう米側に求めたと主張。非核化措置として、「プルトニウムとウランを含む全ての核物質生産施設を米専門家の立ち会いの下で永久に完全廃棄」することを提案したと明らかにした。
 李氏はこうした非核化措置が、米朝間の「現在の信頼水準でわれわれが踏み出せる最も大きな」措置だと指摘。「核実験と長距離ロケットの試験発射」を永久に中止することを確約し、文書化する用意もあったという。
(引用ここまで)
ロイター通信によると、米国務省高官は1日、不調に終わった2度目の米朝首脳会談に関し、北朝鮮が寧辺(ニョンビョン)の核施設の一部閉鎖と引き換えに、同国の大量破壊兵器開発計画を直接の標的とする制裁を除き、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁を全面解除するよう要求していたことを明らかにした。

 同高官は「北朝鮮には現時点で、大量破壊兵器の開発計画を全面凍結する意思はない」と指摘した上で「制裁緩和によって何十億ドルもの資金を北朝鮮が手にする事態となれば、結果として米国が北朝鮮の大量破壊兵器開発計画を支援することになる」と述べ、米国として到底容認できない要求だったと明かした。
(引用ここまで)

 アメリカは「北朝鮮は制裁の全面解除を求めてきた。それが決裂の最大要因だ」とポンペオ国務長官をはじめとして語っています。
 それに対して北朝鮮側は「全面的解除は求めていない」と弁明会見とも取れる緊急記者会見をベトナムの現地時間夜12時過ぎに行いました。
 ただ、記者会見を見てみると北朝鮮は大量破壊兵器関連開発に関する制裁以外のすべてを解除するように求めているのですよね。
 要するに通常の貿易ができるようになるレベルの解除を求めている。南北経済交流も当然、その中に含まれています。
 で、北朝鮮側がそれに対して提供するのは「核兵器とミサイル開発の中止と実験の停止」と「寧辺の核施設廃棄」ていどのものだった。しかも寧辺の核施設に関しては全面廃棄ではなく一部廃棄しか提示してこなかったと話もちらほら出ています。



 現状を追認するだけで制裁をほぼすべて解除しろという要求ですね。
 アメリカが求める非核化にはほど遠いものだったわけですよ。

 北朝鮮がこうして交渉の場に出てきたのは、これらの制裁が効いているからという認識がアメリカにはあります。
 トランプ大統領が度々「北朝鮮はミサイル発射実験や核実験を繰り返してきたが、現在の制裁を課してからは行われなくなった」と語っていますね。
 中国やロシア等にセカンダリーボイコットも辞さないというレベルの制裁でようやく効いてきて、北朝鮮が前に出ざるを得なくなってきた。
 韓国の金融機関にも財閥企業にもアメリカ当局から直接、「北朝鮮と取引するのであれば制裁を課す」と注意喚起するという現在のレベルであるからこそ、制裁が意味を為しいているという認識なのです。

 20年前の生温い制裁とはなにもかも異なっている。それを大した代償もなしに解除するわけがない。
 北朝鮮の目論見は去年6月のシンガポールと同様、外れきっているということです。
 「これが限界だ」と提供できるものを示せば、アメリカは制裁解除をすると信じ切っていた感があります。
 ひとつ前のエントリで書いたように、韓国政府の思い違いに影響されていたのではないかとも思えますけどね。

 今回の決裂でアメリカは「完全で検証可能、かつ不可逆な非核化」以外は求めていない、ということがしっかり分かったわけです。
 交渉のテーブルにボルトン補佐官を加えたというのもその意思表明でしょうね。
 そして、当初から事務方の交渉もうまくいってなかったことから、決裂もオプションのひとつとして事前から用意していたとのこと。
 「北朝鮮の外交手腕は高い」とか書いてた連中は全員土下座ものだな、これは。

 ただ、北朝鮮側がこうした記者会見を深夜に開くことの目的がちょっと分からないなぁ……。
 国際世論を味方につけようとでもしたんでしょうかね?