韓経:【コラム】韓国経済に臨界点が近づいている(韓国経済新聞)
通貨危機、金融危機は一撃必殺だったが、製造業の強い回復弾力性のおかげで再起することができた。しかし今は国内外から飛んでくる無数のジャブを受け、徐々にダメージが蓄積している。全体産業の中で好調な分野はなく、自営業は厳しくなっている。唯一の支柱となっている輸出までが2けた減少だ。税金投入で創出したアルバイト以外には仕事も見つけにくい。青年はため息と挫折の中で怒りを表している。「失われた20年」の日本もこのような状況だったのだろうか。

先月1週間、京畿道平沢(ピョンテク)から全羅南道霊光(ヨングァン)、釜山(プサン)、慶尚北道浦項(ポハン)、江原道高城(コソン)まで海岸線に沿って2400キロをを回ったある教授の言葉が脳裏から離れない。「話にならない。停止した工場、つぶれた飲食店、船が2隻だけの釜山(プサン)新港…憂鬱になるしかない」。

将来が見えないのも同じだ。ライドシェア、ビッグデータ、自動運転車、遠隔医療など新しいものはすべてふさがっている。世界が激しく競争しているが、単独で逆走している。4年時限付き規制サンドボックスも次期政権でどのような運命を迎えるか分からない。グリーン成長、創造経済もそうだった。消極行政を厳罰するという脅しのため規制は消えない。「成長が止まった社会」は停止しているすべての場所が既得権だ。

「各自生き残り」時代に誰もが熱心に艪を漕いでいる。ところがどこに向かって進むのかは分からない。リーダーシップの舵が故障したからだ。 (中略)

多くの知識人が「経済が総体的に沈んでいる」と懸念している。生産人口が減少すれば技術、法・制度、革新などで国家レベルの「実力」を高めるのが急務だ。そのような実力を見せる全要素生産性の低下が危機の本質だ。租税財政研究院によると、2001−05年に0.83%、2006−10年に1.08%だった全要素生産性の増加率は2011−16年には−0.07%に急落した。

所得主導成長を信仰するように守る文在寅(ムン・ジェイン)政権でこれを変える可能性はゼロに近い。 (中略)

物理の世界だけでなく経済にも急激な墜落の臨界点(critical point)がある。水があふれるのは最後の一滴であり、岩が転がり落ちるのは小さな石一つが抜ける時だ。企業人は本能的に臨界点が近づいたことを感じている。持ちこたえるだけ持ちこたえて手を放してしまうのも一瞬のことだ。
(引用ここまで)

 この記事、わりとよくできてます。
 現状、韓国経済のなにが辛いかって構造的に経済がダメになりつつあるのに、対抗する手段がないこと。
 そしてもうひとつの問題は「日本のような失われた20年」に対して耐えることのできる資本蓄積がないこと。
 さらにいえば、その状態の中で国家元首が経済のことをミリほども分かっていないっていう人物であるということですかね。

 以前からうちでも延々とそういった話をしてきて「もう時間は大して残されていないよ」と語ってきたのですが、なにもせずに……というかむしろ悪影響をふりまきつつ、この記事でいうところの「臨界」の時を迎えつつある。
 1997年の通貨危機や、2008年あたりのグレートリセッションはまだ耐えることができたのですよ。記事にもあるように大打撃ではあっても「ここを耐えて抜けることさえできれば希望が見えている」ということが分かっていたから。
 でも、現状の韓国経済は淀み、濁った水の中を一切の目印もなしに息継ぎなしで泳いでいるようなものです。

 サムスン電子も以前は「半導体がダメな時期はスマホでカバー」「スマホがダメな場合はテレビで」「テレビがダメな時は半導体」というような感じでどうしても訪れる製品のサイクルをやりくりできていたのですが、それらの製品の多くがコモディティ化してしまったがために半導体一本槍になりつつある。
 ファウンドリ事業も拡大する予定とのことなので、半導体全体の事業としての安定性を鑑みてはいるようですがそれにしても半導体サイクルに左右されることになるでしょう。これから中国勢のフラッシュメモリ、DRAMへの猛追もあるでしょうしね。
 ちょっと前までは「ディスプレイからメモリまですべてを自前で揃えることのできるサムスンのスマホ事業は無敵だ」くらいの扱いだったのですが、いまはその垂直統合がかえって足を引っ張りかねない状況。

 ヒュンダイ自動車もそうですね。かつての強さだった「そこそこの性能の車を安く出す」ことを中国市場では現地企業にやられてしまった。この構造が世界に蔓延するのにあと10年かかるかどうか……。
 意外と健闘しているのがポスコなのですが、創業以来はじめての赤字を出してまでいらない子会社を切り捨てて身軽になったことがいまになって功を奏しているものの「韓国全体」を引っ張っていくほどの規模ではありません。

 いまになってみてみるとイ・ミョンバクは新たな輸出策をいろいろと目指してはいました。
 高速鉄道、原発等の新たなジャンルの輸出を目指していたのはイ・ミョンバク時代だったイメージです。
 まあ、その原発輸出も積弊として終わりそうな勢いですけども。
 よりによってこの時期にムン・ジェインを国家元首に抱くのだから、韓国人も持っているよな……。