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韓国に関する話題を面白おかしく、韓国の文化背景を含めて解説してしまうサイトです。

大統領選挙2017

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韓国大統領選挙:主要候補の外交公約をまとめてみた。慰安婦合意は全員破棄。GSOMIA、THAAD配備は継続へ?

韓国大統領選 洪候補とのインタビュー 発言要旨(毎日新聞)
日韓関係「安保と歴史は分離」 大統領選候補・安哲秀氏(朝日新聞)
日韓関係の悪化は避けられない?韓国大統領候補全員が「慰安婦合意の再協議」を宣言(レコードチャイナ)
大統領候補ら、初めての討論会で朝鮮半島の安保・THAADめぐり攻防(ハンギョレ)


 韓国の大統領選挙まであと2週間ちょっと。
 公約がざっくりとですが見えてきたのでチェックしてみましょう。まずは日本にとって気になる部分、すなわち「慰安婦合意」「日韓GSOMIA」「THAAD配備」といった主たる外交案件について。

ムン・ジェイン(共に民主党・64歳)
 慰安婦合意  ×
 日韓GSOMIA △
 THAAD配備   △

アン・チョルス(国民の党・55歳)
 慰安婦合意  ×
 日韓GSOMIA ○
 THAAD配備   ○

ホン・ジュンピョ(自由韓国党・62歳)
 慰安婦合意  ×
 日韓GSOMIA ○
 THAAD配備   ○

 実際には5人が候補として立っているのですが、有効な候補者というのはこの3人までではないでしょうかね。
 一応、それぞれの立ち位置を書いておきましょうか。

○ムン・ジェイン
 ノ・ムヒョンの盟友。弁護士時代から共同事務所を開くなどしていた。当然、極左と呼べるレベルの左翼。野党第1党である共に民主党前代表。今回の大統領選挙の大本命。

○アン・チョルス
 野党第2党である国民の党前代表。日本では中道とされているが、実際には「新政治民主連合」の共同代表をしていたくらいなのででリベラリスト。大統領選を見据えて新政治民主連合から離党し、国民の党を設立した。中道左派とはいえるかな。というかどちらかというと典型的な風見鶏でポピュリスト。セキュリティソフトのアンラボの創業者。保守系の支持を一部受けている。

○ホン・ジュンピョ
 与党の自由韓国党(旧セヌリ党)からの候補者。保守系候補としては最大の支持を得ているが、そもそも今回の選挙は保守を叩くための選挙なので当選の目はほぼない。
 さらにセヌリ党から離脱した正しい党からも大統領候補は出ているけど、泡沫すぎて話にならないレベル。

●慰安婦合意
 慰安婦合意については全員がなんらかの形で反対。
 ムン・ジェインは「交渉の経緯を明らかにしてから再協議」で×。
 アン・チョルスは「破棄」を主張で×。
 ホン・ジュンピョは再協議もなにもない、一方的破棄で×。

●日韓GSOMIA
 日韓軍事情報包括保護協定については意見が分かれています。
 ムン・ジェインは「軍事情報のやりとりを見て、1年毎の更新時に延長か否かを決める」で△。少しヘタれました。
 アン・チョルスはこのままの維持を主張。
 ホン・ジュンピョも同様に維持。

●THAADミサイル配備
 ムン・ジェインは延々と「次政権で決定する」という話をしてきましたが、最近になって北朝鮮によるミサイル・核問題がクローズアップされるようになって配備容認の発言をするようになりました。
 アン・チョルスは年初あたりから容認に転じています。
 ホン・ジュンピョは当初から容認を党是としている自由韓国党からの候補なので当然容認。

 今回の半島有事を受けてムン・ジェインが若干ですがヘタれはじめました。以前からの話では日本に対してはすべて否定、THAADも「次期政権に任せる」と言いながらも実質的には拒否の姿勢だったのですが、容認しつつあります。
 それ以前にアン・チョルスは保守側からの支持を受けるために、保守受けする政策にシフトしていました。パン・ギムンを外交特使として扱うなんていうのもその一環ですね。
 さすがにここからの大きな方針変更はないと思いますが、どの候補が当選しようとも慰安婦合意に関しては破棄、もしくは再交渉となっています。
 ……できたらいいですね。

 次回は経済政策について見てみるとしましょうか。これはアン・チョルス対ムン・ジェインの形にします。このふたり以外の経済公約がほぼ無視されているので。


韓国大統領選:名物のネガティブキャンペーンが開始される。「アン・チョルスは第2のパク・クネだ」「おまえらこそ〜」と切りがない様子

ムン陣営「アン候補は第2の朴槿恵」... アン陣営側「ムン候補は第2の李会昌」…神経戦加熱(聯合ニュース・朝鮮語)
大統領選挙を控え、各種世論調査で事実上の二強構図を形成した共に民主党ムン・ジェイン大統領選挙候補側と国民の党アン・チョルス候補側の神経戦がますます加熱される面を見せている。

双方はムン候補の息子の就職優遇疑惑とアン・チョルス候補の娘の財産告知拒否疑惑など、それぞれの候補周辺の人物の身元はもちろん、最近の世論調査で示された結果についても舌戦を続けた。

ムン候補選挙対策委員会のソン・ヨンギル総括本部長は10日、YTNラジオ「伸びの出発新しい朝」に出てきて「アン候補はムン候補が受けてきた検証の半分も受けてみ判断されなければならない」とし「漠然としたイメージだけを見て投票してしまえば『第2のパク・クネ』を産み出すだろう」と述べた。

ソン本部長は「弾劾に反対していた勢力が組織的にアン候補を活用してレンタルして使おうとする「借り物大統領」の動きが露骨になっている」とアン候補が保守陣営の支持を受ける候補であることを非難した。

これに対して国民の党パク・チウォン代表は、Facebookに文を載せて「イ・フェチャン前総裁が大統領になったかのように傲慢に行動して、ノ・ムヒョン候補ではなく金大中を攻撃して落選したことを覚えていないようだ」と「ムン候補は第2のイ・フェチャンとなるだろう」と攻撃した。
(引用ここまで)

 イ・フェチャンは2002年の大統領選挙でノ・ムヒョンに負けた保守派政治家ですね。
 当初は勝利確実と見られていて、敵はノ・ムヒョンではなく前大統領である金大中であるというような態度を取っていたらあれよあれよといううちに終盤でノ・ムヒョンにまくられてしまったという経歴の持ち主です。

 さて、記事はかなりはしょっているのですが、「向こうは公約で○○と言った、まるで××のようだ」みたいな攻撃ばかりをしているという状況。
 たとえば「アン・チョルスは『北京のスモッグフリータワーをベンチマークする』と言ったが、あれはただの芸術作品だ。そんなものを建てればイ・ミョンバクの魚ロボットの二の舞となるだろう」みたいな話を延々と続けているのですよ。
 公約論争というか、相手をやりこめるのが目的のネガティブキャンペーンになっています。

 まあ、韓国の大統領選というのはいつだってそういうものだったのですが。
 いかにして自分は相手よりも上にいるのか。
 あるいは(穢れた)前政権とは自分がいかに異なっているのかというアピールばかり。

 公約の中身とか、どういう政治をするとかどうでもいいのですね。
 もう、ムン陣営は「アン・チョルスは保守陣営と手を組んだ」ばっかりしか言っていないっていう状況。
 それをどう国民が判断するかとかではなくて、「保守は罪」というようなルールを作りたがっている様子。
 で、その様子が保守派層である高齢者に嫌われているのですね。

 ざっくり計算したのですが有権者の中で保守派層とされている50代以降は1500万人ちょっと。
 一方、20〜40代は2200万人ほどでした。
 全員が選挙に行って、かつ40代以下がすべて左派であるのなら、ムン・ジェインが勝利するでしょうが……。
 まあ、そういうわけでもないでしょうからね。

 アン・チョルスがパン・ギムンと手を結んだ(ように見える)ことでだいぶ混沌としてきた感じです。

情報参謀 (講談社現代新書)
小口日出彦
講談社
2016/7/20

韓国大統領選挙:「中道」のアン・チョルスがいきなり1位に大躍進! その理由とは?

韓国大統領選支持率 安哲秀氏が文在寅氏を逆転(聯合ニュース)
潘基文前国連事務総長「私の経験必要なら応じたい」(中央日報)
 世論調査会社のコリアリサーチが9日発表した大統領選の支持率調査結果によると、安氏が36.8%で1位を記録し、文氏が32.7%で2位となった。

 調査は聯合ニュースとKBSが共同で依頼し、8〜9日に全国の成人2011人を対象に行われた。

 3位は朴槿恵(パク・クネ)政権の与党だった保守系「自由韓国党」の洪準杓(ホン・ジュンピョ)慶尚南道知事で6.5%、4位は革新系の少数党「正義党」の沈相ジョン(シム・サンジョン)候補で2.8%、5位は保守系「正しい政党」の劉承ミン(ユ・スンミン)候補で1.5%。「支持候補がいない・分からない」と「無回答」は合わせて19.8%だった。

 最近実施された別の調査で、安氏対文氏の2者対決なら安氏と文氏の支持率が逆転するという結果が出たことがあったが、洪氏、沈氏、劉氏が加わった5者対決で安氏が文氏をリードしたのは今回が初めて。

 世代別では、19〜29歳、30代、40代の支持率は文氏が安氏より高く、50代以上では安氏の方が高かった。 (中略)

 安氏と文氏の2者対決では、安氏が49.4%で文氏(36.2%)を13.2ポイント上回った。 (中略)

 政党支持率は共に民主党が33.2%でトップ。国民の党は25.5%、自由韓国党は9.7%、正義党は6.3%、正しい政党は5.6%だった。前回調査(3月11〜12日)に比べ、共に民主党(46.4%)は10ポイント以上下落し、国民の党(10.7%)は2倍以上上昇した。
(引用ここまで)
国民の党の安哲秀(アン・チョルス)大統領候補が外交特使を提案したことに対しては「だれが大統領になろうが私の経験が必要ならばいつでも応じるのが基本道理だと考える」として肯定的な立場を明らかにした。
(引用ここまで)

 唐突にアン・チョルスの支持率が一気に上昇しました。
 何事かと調べたらパン・ギムンに対して「当選したら外交特使としてTHAAD事態などを解決してもらいたい」と呼びかけて、この週末にパン・ギムンがそれを受諾するコメントを出していたのですね。
 そもそもパン・ギムンは保守派の候補として出馬の意向でしたから、その支持層の取りこみに成功したということなのでしょう。

 アン・チョルスは「中道」とされていますが、実際の立ち位置は左派です。共に民主党の前身である新政治民主連合の共同代表を務めていた人物ですから。
 そのイメージを薄めるための戦略ということなのでしょう。これはうまいな。
 これで保守派の受け皿としてアン・チョルスが一気に有利な立場になったわけです。

 年代別で50歳以上でアン・チョルスの支持率が高いことが、保守派に受けている証拠といえるでしょう。
 ただ、政党別支持率では共に民主党がまだ1位。アン・チョルスの国民の党は7.7ポイント差の2位。
 まだなんとも言い切れない……けども、アン・チョルスはこの一撃で相当な票を稼いだってところでしょうね。

光文社新書半額対象本。
残念な政治家を選ばない技術〜「選挙リテラシー」入門〜 (光文社新書)
松田 馨
光文社
2016/6/20


韓国大統領選:アン・チョルスが支持率2位に躍進、その理由は「ノ・ムヒョン時代だけには戻りたくない」というアレルギーも?

安哲秀氏猛追なぜ? “反文在寅”で保守、無党派層の支持獲得(産経新聞)
韓国大統領選で「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)元共同代表が支持率を急速に伸ばし、「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表を猛追している背景には、文氏が党公認候補に決まり、同党の他候補を支持していた“反文在寅”勢力が安氏支持に回ったことがうかがえる。

 文氏は3日、安氏は4日にそれぞれ党大会で党公認候補に選ばれた。共に民主党では文氏よりも左派傾向が薄い安煕正(アン・ヒジョン)忠清南道知事が文氏に次ぐ支持を集めていた。韓国紙、中央日報は公認決定で「安煕正氏の支持の相当数が安哲秀氏へ移った」とみている。

 文氏は先月までの世論調査の支持率では独走を続けていた。半面、親北朝鮮・反米色の強い文氏を敬遠する世論も強い。文氏は支持率トップを維持する一方、不支持が支持を上回る状態が続いた。

 それほど韓国では文氏を嫌う世論も多い。特に文氏に対抗できる保守系候補がいない中、文在寅政権誕生だけは何としても阻止したい保守層や無党派層の支持が安哲秀氏に集まっているとみられる。
(引用ここまで)

 これまで保守派の支持を受けてきたアン・ヒジョンが共に民主党内の予備選挙で落選したことを受けて、中道とされている野党第2党の国民の党所属のアン・チョルスが支持率2位に躍り出ました。
 パン・ギムンが撤退したときに「なんとアン・チョルスが保守派側として扱われるのではないかという事態に」と書きましたが、まさにその状況。
 中道とされていますが、そりゃムン・ジェインと比べたら中道でしょうよ……。

 アン・チョルスの政治的方向性は「風見鶏」です。
 基本的には左派なのですけど、ポピュリストである疑念が拭えない人物です。

 前回の大統領選挙ではムン・ジェインと競っていたのですが、公示前にはムン・ジェインに一本化……というか大統領選を放棄。
 ムン・ジェインはパク・クネに惜敗したのですが、その際にムン陣営からは「アン・チョルスが応援してくれたら当選できたのに」という恨み節があったそうです。
 一応、選挙戦中盤からはムン・ジェイン支持を言明していたのですが、投票日前には渡米してましたね。

 その前のソウル市長選挙に出馬するのではないかという噂もあったのですが、このときもパク・ウォンスンに出馬を譲る形で辞退していました。
 どうも諦めが早いというか、放り投げるクセがあるのではないかなぁ……と感じます。

 んで今回、アン・チョルスが支持率2位になっているのにはふたつ理由がありまして。
 まず、保守派といえども今回はパク・クネのいたセヌリ党系列の「自由韓国党」 と「正しい政党」には投票できそうにもないということ。
 そして、記事にもあるように「なにがなんでもムン・ジェインだけはいやだ」という層が左派にも少なからずいること。
 ノ・ムヒョンアレルギーとでも言うべきかもしれません。あの時代にだけは戻りたくないという考えはまあ理解できます。ムン・ジェインは弁護士時代、ノ・ムヒョンと共同で事務所を設立していた仲ですからね。
 パク・クネのいた政党は無理。かといって、ムン・ジェイン(≒ノ・ムヒョン)はなおのこと無理。第3の選択肢としてアン・チョルスにならざるを得ない、という消極的な事情なのです。

 これで見えることはムン・ジェインはなおのこと過激な言説を捨てられなくなってきたということ。アン・チョルスを裏切り者として吊し上げるくらいの物言いをするようになりますかね。
 そして、アン・チョルスは左派からの支持を得つつ、保守派の支持もキープするという綱渡りをし続ける必要があると。
 うーんなかなか難しそうな事態ではありますが。

 それでも大統領はムン・ジェインではないかとは見ています。少なくとも現状では。


韓国大統領選挙:「最低賃金1万ウォンだ!」と公約をぶち上げる候補者たち、ため息をつく韓国人

韓経:【社説】「最低賃金1万ウォン」掲げる韓国大統領選候補の無知(中央日報・韓経)
明日から始まる来年度最低賃金の審議が大統領選期間と重なって多いに難航が予想されるという報道があった。2000年以降、年平均8.7%も引き上げられてきた最低賃金を大統領候補が2桁以上に引き上げると約束しているためだ。李在明(イ・ジェミョン)城南(ソンナム)市長、正しい政党の劉承ミン(ユ・スンミン)候補、正義の党の沈相ジョン(シム・サンジョン)代表などは2020年までに最低賃金を時給1万ウォンに引き上げると掲げ、共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)前代表も1万ウォンになるまで引き上げを加速化する必要があると主張している。今年6470ウォン(約643円)である最低賃金を1万ウォンに引き上げるためには、3年間平均15%以上ずつ引き上げなければならない。

「最低賃金が1万ウォンはしないと」という同情交じりの話は誰にでもできる。しかし、国家を総体的に率いていく大統領候補が口にする話ではない。最低賃金を引き上げれば、その恩恵が脆弱層に回ると思うこと自体が誤解で無知だといえるからだ。最低賃金を引き上げれば、脆弱層でなく中流層を含めた既存の労働者にもっと利益になる。ソウル大学のイ・ジョンミン教授の研究によると、最低賃金の影響圏にある労働者の中で所得が最も少ない「1分位(下位20%)世帯」に分布している労働者は8%に過ぎない。中流層である4〜7分位に44%が集まっている。

むしろ、脆弱層の雇用は減ることになっている。最低賃金を1%引き上げれば、若年層は0.29%、高齢層は0.33%減ることが分かった。女性は0.2%、勤続3年以下の労働者は0.25%減って打撃が大きいことが明らかになった。最低賃金が過度に引き上げられ、賃金を支払えなくなる事業者が職員をやむをえず解雇するためだ。最低賃金法を違反すれば「3年以下の懲役、もしくは2000万ウォン以下の罰金刑」に処される。「現実」を考えて取り締まりを緩めている雇用労働部が本来通りに法を適用すれば、最低賃金に満たない賃金を支払われている労働者が大量に失職する事態が起きるだろう。

大統領候補は何より最低賃金を支給する主体が誰なのかを正確に分かる必要がある。都合が悪い中小企業または、零細事業者だ。いったい誰のお金で恩着せがましい態度を取っているのだろうか。「最低賃金1万ウォン引き上げ」は他の経済公約まで疑わせる非常に危険な発想だ。
(引用ここまで)

 よくできている記事で、全文引用になってしまいました。
 韓国の記事はよけいな装飾文が多くて読みづらいので、ざっくり削っても意味が通じることが多いために半分くらいにはできるのですけどね。

 さて、現在の韓国における最低賃金は時給6470ウォン。今日のレートだとほとんど10ウォン=1円なので、そのまま647円。
 韓国の場合は全土統一での最低時給となっています。
 ま、もっともその額ですら、6人にひとりはその最低賃金を受け取ることができていない

 特に学生のバイトとしてありがちなコンビニでは2人にひとりというレベル。
 未払い賃金は人口比で日本の25倍
 取り締まりもよっぽどひどい状況でないと行われません。
 なぜなら厳格に最低賃金を適用させると職場自体がなくなってしまうから。
 それでなくても自営業者が500兆ウォンの負債を抱えている現状で、その自営業者に雇われているような労働者に韓国で時給10000ウォンを支払わせることになったら……。
 ちょっと想像の埒外です。

 そんな中、大統領候補たちは「時給は10000ウォンだ!」と叫んでいる。これまで最低賃金は記事によると2000年以降で年8.7%という伸び率を示してきました。
 2000年以降で韓国の経済成長率がそんな数字になったことは一度すらないのにです。
 2020年には最低賃金を10000ウォンにするには年に15%の伸び率でも9840ウォンにしかならない。年16%ずつの上昇でようやく10098ウォンですよ。
 今年の韓国の経済成長率が2%台半ばとされている中で、どうやったらこんな時給をたたき出すことができるのやら。

 自営業者「時給10000ウォン? そんなものがもらえるくらいなら、わたしが賃金労働者になりたいわ」
 取締官「貴様、誇り高い革命政府の通達に逆らうつもりか!」
 ……なーんてことにならなければよいですね(はぁと)。

ルポ 賃金差別 (ちくま新書)
竹信三恵子
筑摩書房
2012/4/10

韓国大統領選挙にまったく出てこない経済公約……この国はどこに行くの?

韓経:【社説】残り40日の韓国大統領選挙、誰も成長を話さない(韓国経済新聞)
大統領選挙まであとわずか40日だ。にもかかわらず大統領候補の誰も成長を話さない。かなり前から大統領選挙に向けて準備してきた候補は多かったが、国の未来、国富の根源には触れない。国家経済を成長させるという政党もない。低成長構造から抜け出す戦略も、国の将来に対する真摯な悩みも見えない、おかしな選挙だ。選挙の後が心配だ。 (中略)

大統領候補らが出している「分配公約」は改めて言及する価値もない。公共部門で職場を分けようという「大きな政府」主張からバラ色一色の労働時間短縮、最低賃金引き上げのほか、全国民に月給を与えようというような基本所得保障論まで終わりがない。経済民主化の旗幟のもと企業を締めつけるだけでは足りず、「財閥解体」レベルのスローガンまで出ている中、成長戦略を聞こうとするのは無理なことなのかもしれない。

今の大韓民国に必要な戦略は明確だ。成長なしにはいかなる福祉も持続可能でない。大半の大統領候補が公正と平等を叫ぶが、どのような公正なのかはっきりしない。はっきりしているのは成長のない公平と分配は貧困の道という点だ。低成長から抜け出せなければ企業と市場が生み出す雇用も期待しにくい。所得3万ドル達成どころか2万ドル維持も難しくなれば、それこそ「ヘル朝鮮」になるだろう。成長がなければ安保も社会統合も基本的に不可能になる。より大きな問題はポピュリズム政治がこのように経済的な自由を殺すという点だ。有権者は誰が真の成長を語るのか注目する必要がある。
(引用ここまで)

 これ、確かにそうなのですよ。
 特に最有力候補であるムン・ジェインの公約やら演説での話はいろいろとチェックしているのですが、経済政策に関しては公務員を81万人+50万人増やすというものの他にはこれといって具体的な方策は出していません。
 どんなものに投資して、韓国経済をどういう方向に導いていくのか。
 どうやって韓国経済の舵取りをしていくつもりなのか、ビジョンを出している候補がまったくいない。

 細かい部分では家計負債をどうするのか(宣言している徳政令と上限金利制限以外に)なんて話は最初にあってもいいと思うのですが、まったく見えてきていません。
 財閥絶対殺すマンを政策ブレーンに入れている以上、財閥や高所得者層への増税を目論むのは間違いないでしょう。
 そして、左派政権の習いとしてまず間違いなく大きな政府になるでしょう。
 でも、どんな経緯でそうしていくのか。そうやって、どうなるつもりでいるのか。アナウンスはゼロ。

 ま、韓国での公約はノ・ムヒョンの7%成長公約とか、イ・ミョンバクによる747(7%成長、10年以内に1人あたりGDP4万ドル、10年以内に世界7大経済大国入り)みたいなものでどれも実現不可能なものに決まってます。
 そもそもが「韓国に輝かしい未来がある」なんて言葉は全部嘘になるに決まっているのですけどね。
 ノ・ムヒョンの7%公約なんて、当時のハンナラ党(→セヌリ党→自由韓国党)の候補が「6%成長」を述べていたから、腹立ち紛れに7%って数字を出しただけって後から言ってますから。
 経済政策について公約が出ても、結局は声闘になるだけです。
 一切出ないというのはそれはそれでよいことなのかもしれませんね。
 なにを言っても結局はムン・ジェインが大統領になるんだからさー、という無気力選挙である……という部分もあるのかもしれません。

がんばらない成長論
心屋仁之助
学研プラス
2016/3/1

次期大統領候補のムン・ジェイン、「絶対財閥殺すマン」を政策ブレインに……そこから見えてくる韓国経済の未来とは?

韓国大統領選支持率 文在寅氏が34%で首位=安熙正氏17%(聯合ニュース)
韓国世論調査会社のリアルメーターが27日発表した次期大統領選有力候補の支持率調査結果で、進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表が34.4%と、12週連続で首位を維持した。2位の2倍以上の支持を集めている。

 文氏の支持率は前週から2.2ポイント下落した。党内の候補者間のネガティブキャンペーンが激化した結果、小幅下落したとリアルメーターは分析した。 

 2位は共に民主党所属の安熙正(アン・ヒジョン)忠清南道知事で、17.1%と前週から1.5ポイント上がった。第2野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)前代表が0.6ポイント上昇の12.6%、共に民主党所属の李在明(イ・ジェミョン)城南市長が0.6ポイント下落の10.2%と続いた。朴政権の与党だった保守系「自由韓国党」の洪準杓(ホン・ジュンピョ)慶尚南道知事は0.3ポイント下落の9.5%だった。

 政党支持率は、共に民主党が50.4%でトップ。4週連続で上昇し、前週に引き続き50%を上回った。次いで、国民の党と自由韓国党が13.7%で並んだ。それぞれ前週より1.7%、2.1%上昇した。
(引用ここまで)

 ちょっとこれから支持率の発表がある度にメモ的に扱っていこうかな、ということもあってチェック。
 2位のアン・ヒジョンに対してダブルスコア。
 しかも、そのアン・ヒジョンも共に民主党所属なので、実際の大統領選挙ではライバルにはなりえない(党内予備選で落選するので)。
 いまのところ、盤石に見えますね。
 というわけで以前にも書いていた「ムン・ジェインが大統領になった韓国の姿」を予測していこうかなということで支持率掲載の度にちょこちょこ書いていきましょう。

 今日は経済政策について。
 昨日エントリを書いた大宇造船海洋の支援策について、ムン・ジェインは大賛成。
 「造船業は再び韓国経済の孝行息子になるだろう」というようなコメントを発しています。

「底の抜けた瓶」大宇造船にまた5兆8000億ウォン支援

 企業の存続=雇用を守るという図式ですかね。
 財閥を批判してきたこれまでの経緯とはちょっと方向性が異なるな、という気もしないではないのですが。

 ムン・ジェインはようやく大統領選挙に出馬表明したのですが(ええ、いまさら)。
 それ以前から財閥批判を繰り広げていたのですよ。

韓経:【社説】財閥改革で経済を亡ぼした3流政治の責任を免れることができるか=韓国(韓国経済新聞)

 この1月にあった記事にも書かれているように、「4大財閥の集中改革」「政経癒着の改革」を次政権の大きな旗印として掲げているのですね。
 チェ・スンシルとサムスン電子が贈収賄の関係にあったとされていることからこれ幸いとばかりに。

 すでにそのための人材をブレインとして集めています。
 サムスン電子を延々と批判してきたキム・サンジョ教授という人物がその筆頭とされています。
 これがどんな人物かというと……「絶対財閥殺すマン」です。
 ブレインっていっても対日政策のそれがホカサ・ユウジ教授であることからその陳腐さは推して知るべしですが。

 実はまだ経済政策というのは全然見えてこないのです。
 これまで言及があったのは徳政令と上限金利制限くらいなものです。
 あとは雇用を公務員増員によって増やす、という話はしているか。
 でもまぁ、見えてくるのはこれまで甘やかし続けてきた財閥に対して、これからは厳しく行くので覚悟しろって話ですかね。

 韓国の法人税率は地方税も合わせると24.2%とけっこうな高額。
 であるにも関わらず、財閥に対してはさまざまな特例で実効税率はその半分にしているという優遇具合。
 電力に関しても大企業に対しては原価割れで供給しているなんて話もありましたね。
 これらの優遇措置をやめる可能性が高い。
 なにしろ財閥絶対殺すマンがブレインですからね……。

 これまでの韓国の経済成長というものはいい意味でも悪い意味でも財閥偏重で行われてきました。
 財閥がなければ韓国もない、というが実際。
 そのためのさまざまな特例だったわけですが、それを「すごい民主主義」の民意によってすべて消し去ろうとしている。
 それによって「すべての韓国人が等しく豊かになる未来」を手に入れようとしているのだそうですよ。

 まあ、それが韓国人の民意であるというのであれば、尊重すべき……なのでしょうね(笑)。

ソ連史
松戸清裕
筑摩書房
2011/12/10

韓国保守派「もう意見が違おうとなんだろうと保守派の統一大統領候補を出せよ!」と悲鳴を上げる

【コラム】韓国大統領選、土壇場で逆転はあるのか(朝鮮日報) 
 日本で徳川幕府打倒のきっかけとなった薩摩と長州による薩長同盟(1886年)は、勢力が弱い2つの陣営が連合し、強者を倒した代表的な事例として挙げられる。薩長同盟は不可能と思われた両勢力の連帯を実現した交渉の結果だ。両陣営の対立は韓国で言うと、嶺南(慶尚道)と湖南(全羅道)の不和を上回る水準だったという。幕府も両藩の連帯は「あり得ない」として、状況を楽観していた。

 しかし、両藩は積年のわだかまりを洗い流し、力を合わせた。不可能とされた合意を引き出した人物が日本の近代を切り開いた英雄として慕われる坂本龍馬だ。彼が双方を行き交い語った「まずはもう一度会ってほしい。そして、半歩だけ譲歩してほしい。後は自分が引き受ける」という言葉が印象的だ。 (中略)

 大統領選は果たしてこのまま終わるのか。中道・保守陣営は唯一逆転できるシナリオとして、民主党以外の候補・政党の連帯を描いている。自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏、国民の党の安哲秀(アン・チョルス)氏、正しい政党のユ・スンミン氏が有力となっている3党候補が劇的に手を結び、文氏との一騎打ちの構図を形づくれば、土壇場での逆転もあり得るとの考えだ。各党有力者が水面下で調整に入ったとのうわさもある。

 さまざまな状況からみて、3党の連帯が実現するには険しい峠を越えなければならない。2陣営の連携でさえ難しいのに、考えが異なる3つ以上の陣営をまとめなければならないからだ。時間が足りない上に考慮すべき不確定要素だらけだ。各陣営は利害関係が食い違い、支持層の考えも異なる。 (中略)

 無論そうした悲観的な見通しは劇的な交渉の可能性もはらんでいる。ただ、そのためには「名分」と「譲歩」が求められる。主な政治家は故障した大統領制を修正するため、分権型憲法改正、反覇権の名分を掲げ、各陣営を説得できなければならない。また、連帯なき大統領選以降は共倒れになると説得し、半歩ずつ譲歩を引き出すことができなければ、連帯を期待するはできない。国民の党の朴智元(パク・チウォン)代表が言うように、「政治は生き物」であり、洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏が言うように「不可能を可能にするのが政治」でもある。しかし、それが可能となるためには少なくとも「半歩の譲歩」が必要だが、それが可能かどうかは動向を見守るしかない。
(引用ここまで)

 先日のソンウ・ジョンのコラムもそうですが、韓国国内の保守派からは悲鳴にも似た叫びが連日上がっています。
 現状のままでムン・ジェインが大統領となった場合、怖ろしい事態になるのは間違いないですからね。
 シンシアリーさんによると、すでにテレビ朝鮮は停波されるのではないかとされているとのこと。
 こういった有形無形の圧力はこれからも続くでしょう。
 最低で5年。長いと13年。
 さらに長ければ今世紀中はそのままなんて可能性すらあります。その場合の国名は「大韓民国」ではないかもしれませんが。

 パン・ギムンが出馬宣言を撤回し、ファン・ギョアンが不出馬宣言をしてしまった現状では保守派の受け皿そのものが存在しないのです。
 「保守側の気持ちを汲もう」と発言している共に民主党からの候補であるアン・ヒジョンに最後の望みをかけているような状況。

 そのアン・ヒジョンですら支持率調査では20%に達することすらない。
 そして現状ではアン・ヒジョンは共に民主党内の予備選挙で落選すること間違いなし。

 旧セヌリ党の自由韓国党、正しい政党に加えて国民の党を合流させて統一候補を立候補させることで対抗軸にさせようというのが、この記事の目論見なのです。
 この記事の目論見、というか保守派に残された最後の望みとでもいうべきでしょうかね。
 そのために日本の維新前夜の薩長同盟のような「それぞれが半歩だけ譲歩してほしい」という精神を持ち寄れば可能になるのでないかという話ですが。

 無理ですね。
 薩長同盟はどちらにも「このままじゃ日本がダメになる」という認識があって、そのための手段を探していたところに坂本龍馬というカリスマが介在したからこそうまくいったわけで。
 まあ、その他にもいろいろと重なってはいるけども、登場人物の全員に「日本をどうにかする」という意識があったのですよね。
 廃藩置県で中央集権制度になったときも、島津久光が一晩中花火を打ち上げて抗議したくらいなもので、そうせざるを得ないという共通意識があったからこそできた。

 果たして韓国にそんな意識があるのかどうか。
 そもそもこの話をしている保守のほうも「韓国のために」というよりは、自己保身のためなんじゃないのって気がしてならないのですよね。
 そもそも論としてムン・ジェインにならなかったとして、アン・チョルスなり旧セヌリ党の重鎮が統一大統領候補になったところで、韓国のためになるのかってことなのですが……。

 どっちにしても現状では保守派=パク・クネという図式になっていて、かつパク・クネに対してのアレルギーが強すぎて、対抗軸にはなり得ないと思います。

風雲児たち 幕末編 28巻
みなもと太郎
リイド社
2016/11/30

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