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韓国に関する話題を面白おかしく、韓国の文化背景を含めて解説してしまうサイトです。

北朝鮮関連

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ハワイで北朝鮮からの攻撃を想定した避難訓練が開始、国家情報長官は「アメリカにとって実質的な脅威だ」と宣言、そして新規空母が就役して……

米情報当局者「金正恩は普通ではないが狂ってはいない」(朝鮮日報)
北の核ミサイルを想定、米ハワイ州で避難訓練実施へ(朝鮮日報)
 コーツ米国家情報長官は22日、NBCテレビのインタビューに応じ、「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)氏はとても普通ではないタイプだが、狂ってはいない」との認識を示した。

 コーツ長官は「金正恩氏はどう考え、どう行動するのか疑問を抱かせる行動を公然と行ってきた」とした上で、「彼の行動を裏付ける理性的な要因が一部ある。すなわち政権の維持だ」と指摘した。また、「北朝鮮のミサイル発射実験は失敗か成功かにかかわらず、米国にとって実質的な脅威だ」と述べた。
(引用ここまで)
 ハワイ州非常事態管理庁(EMA)は21日、北朝鮮の核攻撃に備え、住民と訪問客の迅速な避難を助け、正しい行動要領を周知するための訓練プログラムを構築し、11月から毎月最初の平日に訓練を実施すると発表した。ハワイニュースナウなど現地メディアによると、同庁は15キロトンの核兵器がホノルルの上空300メートルで爆発したという最悪の状況を想定し、訓練プログラムを作成したという。初回訓練となる11月1日には、北朝鮮の核ミサイルによる攻撃という仮想状況を知らせる非常サイレンが鳴る。住民と訪問客は自宅や周辺の建物の地下などに避難することになる。

 冷戦終結以降、米国が敵国の攻撃に備え、非常訓練を行うのは初めてだ。1400万人のハワイ州住民だけでなく、年間900万人に迫る観光客も訓練に参加することになる。ハワイにとって最大の収入源である観光産業に影響を与えかねないという反発もあるが、ハワイの保安当局は「最悪の状況に備える訓練は必須だ」との立場だ。 (中略)

 最近ワシントン・ポストとNBCテレビが共同で実施した世論調査で、「米国と北朝鮮による全面戦争の可能性を懸念しているか」との質問に対し、74%が「懸念している」と答えた。うち39%は「非常に懸念している」と回答し、米国人の間で北朝鮮が「実質的な脅威」になりつつあることが分かった。
(引用ここまで)

 NBCのインタビューはこちら。



 朝鮮日報がちゃんと訳していますね。感心感心。
 コーツ国家情報長官が「キム・ジョンウンは政権の維持を目的に行動している」とインタビューに答え、かつ「失敗であれ、成功であれ、アメリカにとっては脅威となる」と語った。
 発射実験の失敗は成功への道筋ですからね。
 どちらにせよ脅威になることは間違いない。

 その一方でハワイ州が北朝鮮の大陸間弾道弾に対する避難訓練を行うと発表。
 アメリカ国民にとって、北朝鮮が現実的な脅威として認識されつつある。
 ワームビア氏が亡くなったこと、および北朝鮮がICBMクラスのミサイル発射実験を行ったことで相乗効果が見られますね。

 完全に大義名分はゲットできてます。
 1994年以来の最大の盛り上がりといっても過言ではない。

 問題はアメリカ政府がこの盛り上がりを使いこなすことができるかどうか、ですけども。
 解体作業中のエンタープライズの代わりとなる新規空母ジェラルド・R・フォードも就役して空母の数にも余裕が出たところ。
 かつ、中国に与えた100日の猶予が終わったところでもあるわけですが。

 北朝鮮はさらに三段式のICBMも打ち上げるのではないかとされています。
 核実験もいつやってもおかしくないと。
 さて、そのときにアメリカはどう動くのか。100日が経過した以上、動き始めるとは思うのですけどね。

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知られざる空母の秘密 海と空に展開する海上基地の舞台裏に迫る (サイエンス・アイ新書)
柿谷 哲也
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2010/9/15

アメリカ上院「北朝鮮核問題が解決するまで開城工業団地の再開はまかりならん」→ムン・ジェインの次の一手は?

開城工業団地再開には北朝鮮核状況で進展必要=韓国統一部(聯合ニュース)
   ↓
米議会上院、発議法案に開城工団再開反対を明記(朝鮮日報)
韓国統一部の李有振(イ・ユジン)副報道官は14日の定例会見で、北朝鮮との経済協力事業で現在は操業を中断している開城工業団地について、「南北関係の改善と朝鮮半島の平和醸成の過程で持つ価値を勘案すると、(操業)再開の必要性がある」と述べた。同時に、「再開のためには(北朝鮮の)非核化に向けた対話局面がつくられるなど、北の核の状況で進展が必要になるだろう」とした。

 政府高官が前日に、賃金など開城工業団地に入った資金が北朝鮮の核開発に転用されたという根拠はないと発言したのに対し、政権交代により韓国の立場が変化したのではないかという指摘も出ている。これに関し李氏は、「昨年政府が発表した時にも、開城工業団地の資金が核・ミサイル開発に転用される確実な根拠となる資料はないと把握していると申し上げた」と述べた。
(引用ここまで)
 北朝鮮が国際金融市場へアプローチするのを全面遮断する北朝鮮金融制裁法案が、米国連邦議会上院で発議された。ここで、発議を行った議員らは、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が示唆する開城工業団地再開の可能性に反対する立場を法案中に明示するという異例の措置も取った。 (中略)

 この法案は、北朝鮮に対する金融制裁を忠実に履行しない金融機関について、米国金融システムへのアクセスを全面遮断し、事案ごとに民事上の罰金を科することもできるようにした。また、海外の金融機関が北朝鮮の金融機関による国際銀行間通信協会(SWIFT)国際金融決済ネットワークの利用を援助した場合、これに対する制裁もできるようにした。

 これは、北朝鮮の金融取引を支援している中国の銀行に「セカンダリーボイコット」(第三者制裁)の警告を送り、北朝鮮を国際金融ネットワークから事実上排除して金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の資金源を圧迫するものだ。

 また同法案は、北朝鮮が核の廃棄に乗り出したり、抑留している米国人を釈放したりした場合、制裁を解除できるようにした。しかし、大統領が北朝鮮制裁を緩和する場合には議会での検討を経ることとし、北朝鮮制裁を容易に緩和することはできないようになっている。

 さらに同法案は、北朝鮮が核を含むあらゆる大量破壊兵器とミサイルなどの運搬手段を廃棄するまでは、開城工業団地が再開されてはならない、と明示した。開城工業団地を通して流れ込む現金が、北朝鮮制裁の効果を弱めるというのだ。法的拘束力のない「議会声明」(sense of congress)条項に記された内容ではあるが、開城工業団地の再開に対する米国議会の反感をそのまま表現したものとみられる。
(引用ここまで)

 大統領選挙当時から「開城工業団地を再開し、金剛山観光事業も再開する」という話をしていたムン・ジェインですので、いろいろな場面で「開城工業団地を〜」という話をはさんでくるのですね。
 統一部長官候補に記者会見で「開業工業団地を再開すべきであると信じている」なんて言わせたのも、ほぼ同じ文脈。
 おそらく、そのことによって北朝鮮が対話に乗ってこれるようにという呼び水的な話なのかな。
 いつでもその主張に乗ってこられるように、できるだけ数多く撒き餌をしておきたいのでしょう。

 14日の統一部副報道官による会見もその一環なのでしょう。
 「対話が必要だから核開発を中止しろ」とまでは言っていませんが、何度も根気強く語りかけるというのが韓国政府の基本的な立場であると。

 それを見越してアメリカから釘を刺されたというのが、今回の法案。
 アメリカの本気度が分かりますね。圧力をかけつづけるからそれに対して邪魔をするなという宣言でしょう。
 法的拘束力がない項目だそうですが、こうして明示されているだけでも韓国への(そして北朝鮮への)圧力となります。

 ただ、それでもムン・ジェインが対北朝鮮対話路線をやめるようなことはないと思いますね。
 そのために大統領になったのだといっても過言ではない人物ですから。
 「核開発はブラフで、北朝鮮は本心では対話をしたがっている」なんて言葉を大統領になってからであってですら吐ける人物です。現実よりも理念が大事であるのでしょう。

独裁国家・北朝鮮の実像 核・ミサイル・金正恩体制
坂井 隆 / 平岩 俊司
朝日新聞出版
2017/1/20

ムン・ジェインが無理筋の「南北会談提案」をこの時期に行わなければならなかった理由とは?

南北会談提案、韓国「米に説明」米国「確認できない」(朝鮮日報)
   ↓
21日の南北軍事会談が事実上不可能に 北朝鮮の反応なし(聯合ニュース)
 文在寅(ムン・ジェイン)政権が「南北会談提案に先立ち、米国側に事前説明して理解を求めた」と明らかにしたことに関連して、米国務省は18日(現地時間)、「確認(confirm)できない」と明言を避けた。

 米国務省のヘザー・ナウアート報道官は同日の定例記者会見で、「韓国政府が米政府と南北会談について事前協議したことを確認してほしい」という記者の要求に対し、「私はその点に関しては、いかなる外交的対話内容も確認できない」と答えた。

 同報道官はさらに、「我々は少し前、文大統領の素晴らしい訪問を受けた。韓国は米国の素晴らしいパートナーだ。(南北対話)提案問題については韓国政府に聞いてほしい」「我々は韓半島(朝鮮半島)非核化という同じ目標を共有している」「我々は完全で、検証可能で、不可逆的な韓半島非核化が実現されればと望んでいる」と述べた。

 米国側のこうした反応に関しては、「トランプ政権は文在寅政権の南北対話提案を対北朝鮮制裁共助からの離脱と見なし、不快感を示したのではないか」との懸念が出ている。

 これについて、韓国外交部(省に相当)当局者は「米国務省報道官の『確認できない』という発言は、事前協議がなかったのではなく、事前協議の事実を公表しないという意味だ」と述べた。
(引用ここまで)
韓国政府は17日、北朝鮮に対し南北軍事境界線付近での敵対行為の停止に向けた軍事当局者会談を21日に実施することを提案したが、20日現在、北朝鮮は何の反応も示しておらず、21日の会談開催は事実上不可能となった。
(引用ここまで)

 ふむ、これは興味深い。
 ムン・ジェインは両親が北朝鮮出身であり、朝鮮戦争時に逃げてきたという個人のプロフィール、かつノ・ムヒョンの後継者であるということもあり、北朝鮮に対して宥和政策を掲げて当選しました。
 ただ、当選時期が5月。
 トランプ大統領が北朝鮮に対して「独自の制裁措置もあり得る」と語ったのが4月。どうあがいても独自の対北外交戦略は執りづらい状況であったのです。
 実際にアメリカは「対話よりも圧力」が基本方針。これは日米に共通した見解です。

 にも関わらず、ムン・ジェインは「朝鮮半島情勢の主導権を韓国が握ることで米韓は合意した」と大見得を切っていたのですよ。
 「大見得を切る」といえば格好もつきますが、ただ単に韓国国内向けに嘘をついているだけなのですけどね。
 それでも、こうして対話のきっかけを掴むことさえできれば、大元が嘘だろうとなんだろうと主導権を握ることはできる、という考えがあったのでしょう。

 アメリカから不興を買うというリスクを賭けて、対話の可能性に賭けたのです。
 そして、敗れ去ったということなのですよ。

 ただ、興味深いのはタイミングです。
 ムン・ジェインは就任してまだ2ヶ月ちょっとです。残り任期は4年10ヶ月。
 こんな米韓関係をオールインするほどのリスクを賭ける必要があるとは思えない。北朝鮮問題は課題としては任期の5年をフルに使ってもいいものであって、なにもこんな任期初期からフルアクセルで進めるような問題ではないはずなのです。
 内政でもやることはいくらでもありますしね。

 という視点からすれば、もしかしたらタイミングが今しかなかった……ということなのかもしれません。
 ムン・ジェインとしてはかなりのリスクを賭けて、行われたものと思わざるを得ません。
 この「南北対話の呼びかけ」があったのは17日でした。

韓国、北朝鮮に異例の軍当局者会談を提案(BBCニュース)

 米中首脳会談であったとされる「対北朝鮮圧力に関して中国がアメリカに求めた100日の猶予」が終わるのが7月16日。
 その翌日にこの「南北軍事会談の呼びかけ」は行われたのでした。
 であるとするならば、ものすごくいろいろなことが符合するのですが。
 まあ、すべてを偶然であるとしてしまうこともできますし、ムン・ジェインには他の意図もあったのかもしれません。
 なんともいえませんが、タイミング的にはこういう視点を持つこともできますよね、というお話。

アメリカ国民「我が国にとって最大の脅威はISではなく北朝鮮だ」→空爆に賛成の割合も増加傾向の模様

米国人10人に4人「ISより北朝鮮が安保に脅威」(中央日報)
12日(現地時間)、米国政治専門メディア「ポリティコ」と世論調査機関「モーニング・コンサルト」の共同調査で、「米国安保に最も脅威となる存在は何か」という質問に対して、回答者の40%が北朝鮮を挙げた。続いてイスラム国(IS)30%、ロシア16%の順だった。

北朝鮮を米国の最大安保脅威とする認識は、回答者の年齢帯が上がるほど顕著だった。年齢帯別では、65歳以上の50%、30〜44歳の36%、18〜29歳の30%が北朝鮮を挙げた。

また、回答者の49%は北朝鮮の核実験場および軍事的標的に対する空襲を支持し、3人に1人は地上軍の投入に対しても賛成した。北朝鮮に対する米国の外交的措置にもおおむね強硬な立場を示した。

回答者の78%は北朝鮮の核プログラム中断に向けた持続的な外交努力と圧迫を支持し、北朝鮮追加制裁の立場も75%に達した。

今回の世論調査は今月7日から9日まで2日間、米国内の成人1983人を対象に実施された。標本誤差は±2.0%p。
(引用ここまで)

 アメリカ国民にとって、現状で最大の脅威はなによりも北朝鮮であるという認識。
 北朝鮮に対しての空爆に関してもほぼ半分の国民が賛成している。
 やはり、ワームビア氏の死はかなりのインパクトがあり、大義名分となっていますね。

 北朝鮮に関してがなんというかうまいこと連鎖が続いているのですよね。
 4月にはトランプ大統領が「中国がこの問題をケアしないのであれば我々が独自でやる。その際のオプションはすべてテーブルの上にある」と発言
 ついで6月には大学生のワームビア氏が1年以上拘束された上で意識不明のまま帰国し、さらに死亡。
 さらに北朝鮮はアメリカを攻撃できる(と主張している)ICBMの発射実験>を行っている。

 北朝鮮関連の話題がきっちり続いている。
 というか、むしろ北朝鮮がアメリカをテーブルに着かせようと努力しているというべきか。
 北朝鮮はなんとしてでも六者会合のようなふんわりとした場ではなく、韓国のような木っ端に主導させるのでもなく、アメリカとの二カ国対話を望んでいるのでしょう。
 そういった視点から見れば、北朝鮮が絶え間なく挑発を繰り返しているのは合理的な動きともいえるのです。アメリカのような大国の気を引くためにはなんらかのアクションを起こさなければならないわけですからね……。

 ただ、その動きをアメリカや日本から見れば単に挑発されているだけとなるのですけどね。
 それを韓国から見ると「核はただのブラフで、心底望んでいるのは対話だ」ともなるのかな。これはちょっと理解できないものの見方ですが。

 北朝鮮の望んだものかどうかは疑問ですが、一貫した動きでアメリカ国民には「北朝鮮は脅威である」という認識を植え付けることに成功した。
 ただ、アメリカの方針は「対話ではなく圧力」ですし、「軍事オプションも考慮している」とまで発言がきてしまいました。
 それでもまぁ、内政的にも止まることはできないのでしょう。
 北朝鮮核問題は以前とは異なり、先送り以外のなんらかの結果が出ることにならざるを得ないところまで構造ができてしまいました。
 「なんらかの結果」がどのようなものになるかはまだ分からないのですが、かつてに比べればぐっと軍事オプションの可能性が高まっていることは否定できない事実……ですかね。
 かつ、アメリカ国民もそれを支持しつつある。
 それ以外で核廃棄ができる結末というのが見えてこないのです。

戦争にチャンスを与えよ (文春新書)
エドワード・ルトワック
文藝春秋
2017/4/20

北朝鮮の石炭輸出、中国は「公式には輸入中断」したものの効果はゼロ?

北朝鮮産石炭、中国の輸入中断は効果薄?(朝鮮日報)
 中国は今年2月の金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件以降、北朝鮮産の石炭輸入を全面中断したが、北朝鮮の購買力には特に影響が出ていないもようだ。10日付英フィナンシャル・タイムズが伝えた。

 石炭は北朝鮮にとって最大の輸出品目で、輸出額全体の40%を占める。国連によると、北朝鮮は15年初めから昨年まで石炭輸出で毎年9400万ドル(約107億円)を稼いできた。このため、中国の石炭輸入中断で外貨収入が減った北朝鮮の購買力が影響を受けるのではないかとみられていた。

 中国税関総署の統計によると、北朝鮮の対中輸出は今年1月から4月まで減り続け、4月は1月の半分にまで落ち込んだ。ただ、5月には増加に転じた。

 一方、北朝鮮の中国からの輸入額は2月に減少しただけで、3−5月は昨年末の水準を回復した。同紙は北朝鮮の購買力がさほど打撃を受けていないことを示していると分析した。 (中略)

同紙は「統計上は北朝鮮の石炭輸出が減少したが、ロシアなど他国に石炭を輸出して得る利益で中国製品の輸入を続けているのではないか。中国税関の公式統計に把握されない船舶が中国の港湾にひそかに石炭を下ろしている可能性もある」と指摘した。
(引用ここまで)

 たとえ中国の当局が「北朝鮮からの石炭輸入を取りやめろ」と言ったところで、地方政府がそれを聞き入れるかどうかは分からない。
 反習近平派とされる旧瀋陽軍区は独自に動くし、「公式の石炭輸入」ではない方法で輸入している可能性もある。
 中央からの統制が効いていない中国の弱みというか、強みというか。
 中央は「いや、わたしは言ったんですけどね、地方が言うことを聞かないのですよ」という言い訳ができてしまう。

 日本やアメリカからしてみたら「そんなわけあるか」となるのですが、まあ中国の現実としては実際あり得る話。
 であれば、中国の国家元首と話している時間はまったくムダじゃねえかって言われるようになるのですが、少なくともまだそこまでは行っていない。多少の時間稼ぎはできるって感じですかね。

 アメリカがそんな言い訳(そして現実)を受け入れる余地はもはや少なくなっている。
 その意思の現れが先日の丹東銀行への制裁発表で「おまえに与えた100日はもうすぐ終わるぞ」という警告でもある。
 少なくともオバマ政権時代のぬるくて実行力に欠けた制裁よりは遙かに効力を持った制裁を矢継ぎ早に課している、というのが現状。
 すでにオバマ政権の8年分と同じくらいの動きを対北朝鮮にしているんじゃないですかね。

 ICBMの発射実験でレッドラインを超えたという見方があります。
 キム・ジョンウンが元日の新年の辞で「アメリカに届くICBMの発射実験は最終段階に達した」というコメントを出したとき、トランプはツイッターで「そのようなことは起きないだろう」(It won't happen!)と書いています。


 この「起きないだろう」をどう解釈すべきか。
 「圧力を加えるからできないだろう」なのか。あるいは、「それをやったら戦争だ」なのか。
 あるいはなにも考えずにツイートしただけなのか。
 いずれにせよ、このように書いた以上は「北朝鮮のICBM発射実験は起きないだろうとアメリカ合衆国の大統領が発言した」という引き返せないポイントに来てしまっているのです。
 ちょうど、ムン・ジェインが「THAAD配備に対して環境アセスメントを絶対に行う」と発言してしまって、そこから後退できなくなってしまったように。

 これでなにも動かなければ、レッドラインなど存在しないと宣言したも同然。
 新たな国連安保理決議あたりでお茶を濁すのか。それとも実効力を伴う動きを見せるのか。
 中国に対してどのような話をするのか。
 今月中はそのあたりが注目点ですかね。

金正恩の核ミサイル 暴発する北朝鮮に日本は必ず巻き込まれる (扶桑社BOOKS)宮崎正弘
扶桑社
2017/5/31

北朝鮮核問題解決に世界が「軍事オプションもありかな……」という趨勢になりつつある件

英国防相「北朝鮮への軍事オプションはまだ遠い話」(中央日報)
米国が北に先制攻撃を仕掛けるなら、有力な方法は(朝鮮日報)
北朝鮮が米国のアラスカまで攻撃できるICBMを開発したと主張したが、北朝鮮に対する軍事オプションはまだ遠い話だと英国のファロン国防相が明らかにした。AFP通信が7日に報道したもの。
(引用ここまで)
 香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」が、北朝鮮に対する米国の先制攻撃の方法として「核と在来式攻撃能力を同時に無力化させる3重の空爆が有力」との見方を示した。

 SCMPのコラムニスト、トム・ホーランド氏は9日(現地時間)、SCMPの電子版に掲載された「次の韓国戦争(朝鮮戦争)はどのようになるだろうか」と題するコラムで、米国による北朝鮮への先制攻撃について予想した。

 ホーランド氏は「米国が北朝鮮に先制攻撃を仕掛ける場合、一度に北朝鮮の核施設を完全に破壊するだけでなく、在来型兵器や化学兵器による韓国や日本への攻撃も不可能にする必要がある」と分析した。

 同氏は「米軍が地上から休戦ラインを超える可能性はない」として「3種類の空爆を同時に行う可能性が高い」と指摘した。 (中略)

 しかしホーランド氏は、これらの攻撃の問題点として「あらかじめ2000基以上の巡航ミサイルを搭載できる米海軍の潜水艦と150機以上の戦略爆撃機を準備する必要がある。動きを事前に察知される可能性があり、計画・訓練・攻撃・演習にも数か月を要する」と指摘した。
(引用ここまで)

 イギリスの国防相が北朝鮮への軍事オプションへ言及。
 といっても、「軍事オプションはまだ遠い話」(we are a long way away from looking at military options.)というものではあるのですが。
 それでも「軍事力行使のオプションが遠い」という言葉からは、逆説的に「あり得ない話ではない」という可能性を嗅ぎ取ることができます。
 先日、アメリカの国連大使であるニッキー・ヘイリー氏の「軍事オプションもあり得る」という安保理における会議での発言からこっち、明白に「軍事オプションを取るのであれば……」というような話が増えてきています。

 その文脈に乗っているのが後者の「北朝鮮を攻撃するのであれば……」という記事。
 B-2、B-1Bでバンカーバスターを核関連施設に投下し、改オハイオ級からの巡航ミサイルで指揮系統を寸断、休戦ラインの砲台は巡航ミサイル、B-52の爆撃で殲滅するというもの。
 まあ、順当なところ。
 最後に「訓練、演習には数ヶ月かかる」とありますが、もうすでに空母打撃群を用いた合同演習は行われているのですよね。
 おそらく改オハイオ級込みで。
 あとは戦略爆撃機ですが、これはグアムと日本の在日米軍基地が慌ただしくなったら……かなぁ。

 中国がアメリカに依頼した「対北朝鮮圧力100日の猶予」はおそらくこの週末くらいまで。
 それが過ぎれば「我々は独自に制裁を行う」という言葉が生きてくるのですが……。
 さて。

B-2スピリット (イカロス・ムック 世界の名機シリーズ)
青木 謙知
イカロス出版
2014/7/31

アメリカ政府がはじめて「北朝鮮への軍事力行使も辞さない」とコメント。この「軍事力」という言葉の持つ意味とは?

米国連大使「やむを得なければ北への軍事力行使辞さず」(中央日報)
Nikki Haley: U.S. prepared to use "full range" of capabilities to defend against N. Korea(CBSニュース・英語)
「やむを得なければ北朝鮮に対する軍事手段も辞さない」。

5日(現地時間)に国連安全保障理事会(安保理)が招集した緊急会議で、米国のヘイリー国連大使が熱弁しながら述べた言葉だ。大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射に成功したと推定される北朝鮮を制裁するには国際社会の同調を得なければならず、そのために意図した部分もなくはないが、トランプ米大統領が望む言葉をそのまま話したとみられる。

ヘイリー大使は「北朝鮮のICBM発射は明白な軍事力増強だ。北朝鮮は外交的解決法で(事態を解決する)可能性を閉ざしている」と強調しながら「強大な軍事力」(considerable military forces)に言及したのだ。 (中略)

会議場の雰囲気はまさに一触即発だった。特に米国と中国の神経戦が激しかった。安保理の7月の議長国である中国の劉結一大使が「中国とロシアの高官級会談で対話で解決すべきだという共同声明を発表した」とし「客観的、公平、合理的で実現可能な提案として支持してほしい」と述べた。従来の立場を繰り返したのだ。

するとヘイリー大使がまたマイクを握った。ヘイリー大使は「もし北朝鮮と友人になりたいのなら拒否すればいい」とし「本当に対北朝鮮制裁を望まないのなら、私たちは私たちの道を進む」と語った。

さらに「北朝鮮だけを見るのではない。どこの誰であれ彼らと事業をする人もそうで、これ以上決議案を無謀に作ることに忍耐心は必要ない」と話した。事実上中国を狙った発言だ。対北朝鮮貿易量の90%以上を占める中国が国連制裁を違反する場合、中国の対米貿易も危険になると警告した。

ヘイリー大使は中国に「協力する」としながらも「しかし私たちを今日のこの暗鬱な日々に導いた過去の誤った接近法を私たちは繰り返さない」と述べた。この日午前、トランプ米大統領とこうした貿易制限問題について十分に時間にかけて議論をしたと伝えながらだ。
(引用ここまで)

 ……アメリカ政府関係者が公式に軍事オプションに対して言及したのははじめてかもしれませんね。
 これまでトランプ大統領から「空母を送った、原潜もだ」というような発言はありましたが、それによってどうするのかという話は出していませんでした。
 もっとも軍事的な話をしたのはロイターによるトランプ大統領のインタビューで「大きな、大きな紛争が起きる可能性がある」という言葉がありました。それでも「軍事=Military」という単語は使われていませんでした。

 あくまでも「すべてのオプションがテーブルの上に置かれている」「ありとあらゆる選択肢を考慮している」という言いかた。
 もちろん、言っている側も聞いている側も、その「すべてのオプション」の中に「軍事的オプションがある」というのは暗黙の事実として受け止めているのだけども、口には出していない。
 軍事オプションを公式に認めていないというのは、まだ引き返すことのできる余地があるからだという意味でもあるのです。 

 ですが、今度のニッキー・ヘイリー氏の言葉はこうでした。
"One of our capabilities lies with our considerable military forces. We will use them if we must, but we prefer not to have to go in that direction."
 「アメリカの使用可能な能力のひとつに強大な軍事力というものがある。我々は必要に応じてそれらを使うが、その方向性に向かいたいとは思っていない」ってところですかね。
 「Military forces」という言葉をはっきりと使っています。
 それを使いたいとは思っていない、だけども北朝鮮がこれ以上進んでくるのであれば使わざるを得ないとコメントしているのです。
 国連大使が個人としてこの言葉を使ったとは思えません。つまり、アラームが鳴る時刻に向けて時計の針が進んだということですね。

世界44カ国「本当の軍事力」(禁)格付け読本
東京ミリタリー研究所
双葉社
2016/7/22

ムン・ジェイン、ドイツで「キム・ジョンウンにいつどこででも会う。体制は保証する」と断言……もうそんな事態じゃないよ

韓国大統領、北朝鮮の吸収統一推進せず=「体制保障」を断言 (時事通信)
 韓国の文在寅大統領は6日、訪問先のベルリンで演説し、北朝鮮に核・ミサイル開発の放棄を求めるとともに「われわれは北朝鮮の崩壊を望んでおらず、いかなる形態の吸収統一も推進しない」と断言した。また「北朝鮮の体制の安全を保障する朝鮮半島の非核化を追求する」と述べた。
 さらに「正しい条件が整い、朝鮮半島の緊張・対立局面を転換する契機となるなら、いつ、どこでも、金正恩朝鮮労働党委員長と会う用意がある」と表明した。
(引用ここまで)

 G20が行われるドイツ・ベルリンにムン・ジェインが向かっていまして。
 訪独当日に行われた懇談会でこんな話をしていたのですよ。

文大統領「朝鮮半島問題は対話で平和的に解決」 独の懇談会で (聯合ニュース)
 先週末の韓米首脳会談などで韓米の協力が堅固になり、摩擦要因も解消されたと述べた上で、「北の核問題と朝鮮半島の安保問題について、私と新政権を信じ、対話による平和的な解決を後押ししてほしい」と呼びかけた。

 文大統領は先月30日に米ワシントンで開かれた韓米首脳会談について「先週の訪米は(大統領として)初めての海外訪問だったが、期待以上の大きい成果を上げた」と述べた。 

 また「何よりも韓米両国が北の核問題を平和的に解決することを原則とし、朝鮮半島に恒久的な平和を定着させることで一致した」とし、「その過程でわれわれの主導的な役割と対話再開に対して、米国から同意と支持を取り付けられたことは大変重要な進展」との認識を示した。
(引用ここまで)

 ……さすが握手を徹底分析しただけのことはありますね。
 ホントにこいつやばい。「我々は対話路線で主導的役割を得ることができた」なんて本気で思ってるわ。
 対内的な業績誇示とかじゃなくて、本気でアメリカから「対話路線において主導的な地位が韓国にある」と認めてもらえているって思っているっぽい。
 いや、実際にはそう思ってるっぽいなぁ……とはちょっと感じていたのですよ。
 あの「すべてを先送りにして、対面しただけ」の米韓首脳会談だったものを、なにやら誇らしげに「期待以上の成果だった」とか帰国後の記者会見で述べていたので。

 ダメなことは婉曲に言っても理解できないタイプですね。
 で、こっちの「対話路線の主導的地位〜」の記事についていろいろと書いていたのですが、それ以上のお話(キム・ジョンウンへの会談申し込み)が飛びこんできてどう処理すればいいやら……。
 ICBM打ち上げ以前の米韓首脳会談の共同記者会見で、トランプは「北朝鮮への忍耐はもはや尽きた」と表明していたのですよ。

米韓首脳会談、トランプ大統領 「北朝鮮への忍耐尽きた」(AFPBB)

 オバマ政権による北朝鮮への「戦略的忍耐」政策を否定するという面もありますが、実際に北朝鮮に対してのソフトランディング政策は行き詰まっていることを表明したのですよ。
 それもムン・ジェインの面前で。
 その4日後、アメリカの独立記念日に北朝鮮はICBMの発射試験をやってきた。
 トランプのメンツも、そしてムン・ジェインのメンツも潰されているはずなのですが、なぜか「体制は保証するから対話しよう」と呼びかける。

 これ、事前の予定の通りの発言なのだと思います。
 ICBM打ち上げ以前から「G20の前に呼ばれている場所で、こういう算段で対話を呼びかけよう」ということだったのでしょうね。
 もはや事態は完全に動いていて、こんな談話は悪い冗談くらいにしか受け取れない状況。
 動じないというか、なにも考えていないというか。
 アメリカは今晩空爆を開始していてもなんの不思議もない状況下で、対話を呼びかけるとかもうね。

 ノ・ムヒョンよ、見ているか。おまえの後継者は立派にやっているぞ。期待以上の働きをしてくれている……。

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楽韓WebのBlog版。今年中にはドメイン含めて移行予定。

うちはそこらにありがちなゼノフォビアライクなところとは異なっており、文化的・文明的背景をもって「なぜこのようになっているのか」を解説して、大いに韓国を楽しんでしまおうというコンセプトの元に2002年から設立されているサイトです。単純に韓国が嫌いなかたは他を見てもらったほうが満足できるんじゃないかと。

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