楽韓Web

韓国に関する話題を面白おかしく、韓国の文化背景を含めて解説してしまうサイトです。

パク・クネ

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韓国与党の大統領候補も「慰安婦合意なんて破棄してやる!」と叫ぶ。保守も革新も関係ない模様

自由韓国党の大統領選候補「大統領になったら慰安婦合意は破棄する」(中央日報)
自由韓国党の大統領選挙戦に出馬した洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補と正しい政党の金武星(キム・ムソン)議員が最近会合を持ち、保守陣営の候補単一化を話し合ったことが分かった。22日、釜山(プサン)を訪問した洪候補は記者団に対し、先週金議員との会合事実を確認しながら「(金議員に)『時間上、大統領選挙前の党統合は難しくないだろうか。候補は単一化するのが正しい』と話した。執権すれば2党を統合しようと提案した」と明らかにした。当時、金議員は肯定も否定もしないまま特別な発言はしなかったという。 (中略)

この日、釜山市東区(プサンシ・トング)の慰安婦少女像を訪れて献花した洪候補は、朴槿恵(パク・クネ)政府の韓日慰安婦合意について「政府は10億円ではなく10兆円をもらっても合意してはいけない。大統領になったら慰安婦合意は破棄する」と述べた。洪候補は「慰安婦問題はナチのユダヤ人虐殺に匹敵するほどの反倫理的犯罪」とし「そのような犯罪は合意の対象ではなく、それを金で取り引きするというのは外交ではなく闇取引に過ぎない」と主張した。
(引用ここまで・太字引用者)

 またひとり、大統領候補が釜山の慰安婦像の元で候補として立つことの赦しを得てきた……ということですか。

 さて、記事中の正しい政党は旧セヌリ党非パク派がセヌリ党から分離してできた新政党。
 自由韓国党は残された旧セヌリ党が改名した政党です。両方とも保守として挙げられる政党ですね。
 今回の記事の候補は自由韓国党からの候補予定者。
 与党である保守政党からの候補であってですら、こうして「10兆円もらったとしても慰安婦合意は破棄する」と言っているわけですね。

 現在の与党なのにパク・クネの政策を引き継がないのかって思うでしょうが、これも当然のことなのです。
 同一政党だったイ・ミョンバクからパク・クネが政権を継いだ際にも、4大河川事業資源外交といったイ・ミョンバク政権色の強い政策はすべて否定しています。
 そもそもが大統領選挙の時点で「わたしはイ・ミョンバクとは違う」ということを主張していました。
 韓国の政権交代はたとえ同一政党間であっても易姓革命の性格を強く持っているのですね。

 通常時ですらそうやって前政権の政策を叩きつぶす方向性であるのに、今回はさらに前政権が弾劾されているというおまけつきです。
 そりゃ、すべてを否定されるに決まっています。
 そこに加えて現在の韓国において最高権威者となっている「慰安婦」に関しての案件。
 どの政党からであろうとも否定されて当然というべきでしょう。


 ただ、今回の大統領選挙にかんしてえはなにをどうひっくり返そうとも保守政党が大統領を出すなんてことはありえないので、この人物の言っていることなんてなにひとつ考慮に入れなくても構わないのですが。

慰安婦問題の決算 現代史の深淵
秦郁彦
PHP研究所
2016/5/20

韓国人「パク・クネの揮毫が入った碑がある! 撤去するぞ!」と大合唱……恥ずかしい歴史は塗りつぶそう!

【取材日記】朴前大統領の足跡だから無条件に消す?(中央日報)
罷免された朴槿恵(パク・クネ)前大統領の親筆揮毫石碑をめぐり世宗(セジョン)特別自治市周辺では論争が起きている。石碑は2015年7月と2016年1月、それぞれ世宗市庁舎と大統領記録館(世宗市所在)に設置された。

世宗市民は「憲法をじゅうりんした朴前大統領の石碑をそのまま置くこと自体が市民を冒とくすることだ」とし「恥ずかしい歴史の跡は消さなければいけない」と主張する。

罷免の前にも朴前大統領と関係があるものを消そうという動きはあった。昨年12月には慶尚北道亀尾(クミ)にある朴正熙(パク・ジョンヒ)前大統領の生家が放火にあった。朴前大統領の蔚山大王岩(デワンアム)公園訪問(昨年7月)を記念して設置された案内板の朴前大統領の写真を誰かが毀損すると、蔚山東区は案内板を撤去した。

功過論争がある政治家の足跡を消す事例は海外にもある。昨年1月に中国河南省開封で毛沢東の銅像が完工を控えて撤去された。毛沢東が発動した「大躍進運動」の最大被害地域が河南省だったという理由のためだった。

しかし恥ずかしい歴史という理由でなくすべきかどうかは冷静に考えてみる必要がある。ソウル鍾路区橋北洞(キョブクドン)の独立門に刻まれた「独立門」の文字は親日派の李完用(イ・ワンヨン)の親筆だ。ソウル松坡区(ソンパグ)にある三田渡碑(史跡101号)は丙子胡乱当時に仁祖が南漢山城(ナムハンサンソン)で降伏したことを記念するために清の太宗が設置した石碑だ。恥ずかしい過去を消すのなら、こういうものからなくさなければいけない。 (中略)

行政首都の移転と世宗市誕生の過程で朴前大統領のポピュリズム的な姿が論議を呼んだりもした。在任の4年間に朴前大統領の不適切な行為が国民の胸に残した傷は到底言い表すことができない。実際、憲法裁判所は10日、「(朴前大統領の)憲法と法律に背く行為は在任期間全般にわたってあった」と指摘した。

だからといって「正しい過去」だけを残して「過ちの過去」を消してもかまわないのだろうか。記録がなければ歴史もなく未来もないだろう。
(引用ここまで)

image

 恥ずかしい歴史は覆い隠そうってことですね。
 パク・クネは多くの韓国国民にとってウリ、もしくはウリの象徴ではなくなった。
 ありとあらゆる足跡を削り取り、存在そのものをなかったものにしたい。

 記事中にあるように「パク・クネ大統領がお歩きになった公園」という表記はすでに破棄。朴正熙の生家には放火。パク・クネ本人の生家跡には「ここがパク・クネの生家である」という看板が撤去されて囚人服姿のコラ画像看板が掲示される

 であれば、この揮毫石碑も撤去されるべきだろう、というのは韓国人の考えかたなのでしょう。
 特にその周辺住民にとっては「あっちは撤去されたのに、こっちはそのまま?」という気分にもなりますわな。
 記事中には「三田渡碑も消すつもりか?」みたいに書かれていますが、実際に何度も毀損されているのですよ。碑文ももうあるんだかないんだか分からないレベルで掠れてる。韓国の文化財の扱い方が常にそうだろって話もありますが。

 パク・クネに多少でも関わったものは人物であろうと、こういった物であろうとすべて悪という勢いですねぇ……。

いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編
安藤 達朗 / 佐藤 優 / 山岸 良二
東洋経済新報社
2016/3/30

韓国メディアが「読売新聞の弾劾を否定するような社説は行き過ぎた干渉だ」と書かなくてはいけない理由

[記者手帳]日本マスコミの“度を越した”報道をどう見るべきか(ハンギョレ)
読売新聞、憲法裁判所判決に「国民の声におもねったとすれば行き過ぎだろう」(ハンギョレ)
 10日、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の罷免決定に対する日本マスコミの報道態度もこれと似ている。日本の保守を代弁する読売新聞は12日、朴前大統領の罷免を確定した憲法裁判所決定に対して「憲法裁判所が大統領罷免を要求する国民の声におもねって権力を行使したのなら行きすぎだろう」と主張した。それと共に、韓米日3角同盟深化、THAAD配備決定維持、12・28合意尊重を要求した。日本の口に合うように韓国の国家利益を規定した後、干渉して、入れ知恵して、罷免決定が下されると癇癪を起こすような態度だ。

 安倍晋三政権は彼らの支援を背景に韓国の新しい政権が朴槿恵政権の外交・安保政策を修正しようとすれば、多様な報復措置を次々と与えると予想される。日本マスコミの「大陸浪人」のような報道を見て、韓日関係の本質は100余年前と全く変わっていないことを改めて痛感する。
(引用ここまで)
 日本の保守を代弁する読売新聞は12日、朴槿恵大統領の罷免を確定した韓国憲法裁判所の10日の決定に対して「司法の行き過ぎた政治的決定か」というタイトルの特別社説を載せた。社説で同新聞は、憲法裁判所が「朴氏が崔被告の国政介入を隠蔽し、政府から独立して捜査する特別検察官や検察の取り調べに応じなかったとも指摘した。(それにより)朴氏には『憲法を守る意志がない』と結論づけた」として「憲法裁が、大統領罷免を求める国民の声に阿(おもね)って権力を行使したとすれば、行き過ぎだろう」と指摘した。進歩と保守を合わせた8人の韓国の憲法裁判官が下した「全員一致」の決定に対して、外国のマスコミが「国民におもねった政治的決定」ではないかと疑問を提起するのは行き過ぎた干渉と受け止められる。
(引用ここまで)

 ハンギョレは今回の弾劾騒ぎを「世界史的にも類例を探し難い市民革命の貴重な勝利」と位置づけているというエントリを以前に書きましたが。
 その素晴らしい市民革命に読売新聞が文句をつけている、という構図なのですね。

朴大統領罷免 司法の行き過ぎた政治決定か(読売新聞)

 このコラムで「憲法裁判所の判断は国民の声に阿って、法理をねじ曲げた」というようなことが書かれています。
 実際、鈴置氏やシンシアリーさんから同じような声が上がっていますね。
 憲法裁判所は主観だけでパク・クネを裁いたのではないか、と。

 でも、ハンギョレ曰くこのように外国マスコミが「韓国の市民革命」に対して疑義を呈するのは行き過ぎた干渉であると。
 これ、自分たちの業績に文句をつけさせたくないという心理も働いているのでしょうが、それ以上に「韓国人に真実を知らせてはいけない」という焦燥も見て取れますね。
 だからこそ、社説ひとつにこんなに神経を尖らせなくちゃいけないのです。
 そこまできっちりと自分たちの心理を把握しているかはともかく、「これを知らせてはいけない」「否定しておかなければならない」という心理が働いているように見えます。

 憲法裁判所の判事が告発されていない罪状で弾劾を成立させてしまった。それも判事全員が賛成するという異様な光景の中で。
 ハンギョレがいうところの「素晴らしい市民革命」が、実際にはポピュリズムからしか成り立っていないという真実に光を当てるのはいまの韓国社会では厳禁なのだ、ということなのでしょう。

SAPIO (サピオ) 2017年 4月号 [雑誌]
SAPIO編集部
小学館
2017/03/04

パク・クネは本来、弾劾されるべきではなかった……韓国の国民情緒法で裁かれた結果

「儒教式法治」を極める韓国(日経ビジネスオンライン)
──「宣告がおかしい」という意見は、韓国紙の日本語版には見当たりません。

鈴置:韓国語版も同じです。保守、左派を問わず韓国紙は「朴槿恵下野」を要求してきましたから、自分たちの主張に沿った宣告に疑義は挟みません。ただ瞬間的にですが、宣告に首を傾げる法曹関係者の姿が垣間見られました。

 TV朝鮮の「<ニュースを撃つ> 弾劾審判 憲法裁判所の要旨…「容認」決定の争点は?」(3月10日、韓国語の動画)で、です。

 座談会の焦点は、大統領の友人、崔順実(チェ・スンシル)氏による「国政壟断事件」に関し、朴大統領が罷免されるに足る憲法・法律違反をしたか、でした。

 国会がそれ以外の訴追事由としてあげた言論の自由の侵害や、旅客船「セゥオル号」沈没の際の行動に関し、憲法裁判所は宣告の中で罷免するには当たらない、との判断を示したからです。

 この座談会で、ヨ・サンウォン弁護士(前・ソウル地裁副所長)とイ・サンギョン弁護士(前・憲法裁判所裁判官)の2人が大略、以下のように述べました。

憲法裁判所は罷免の理由に、国政壟断を許した職権乱用に加え、大統領が検察や特別検察の事情聴取を拒否したことをあげた。しかし、後者は弾劾訴追案には入っていない。訴追されていないことまで罷免の理由とするのはおかしい(それぞれ動画開始後8分20秒後と11分48秒後)。

──裁判官が、検察官が訴えていないことまで裁いてしまった、ということですね。

鈴置:その通りです。朴大統領の弁護団との間でかなりの諍いがあったので、憲法裁判所が感情的になってこのくだりを入れたのだろうとヨ・サンウォン弁護士は解説しています。 (中略)

鈴置:今回の宣告はまさに「情理」――韓国人の気分にのっとったものでした。8割近い人が「大統領を罷免しろ」と考えている。だったら憲法裁判所もそれに従うだろう――という空気の中での宣告でした。

 憲法裁判所としては、訴追案になくても「国民をバカにした罪」かなにかで、とにかく大統領をやっつける必要に迫られたのです。
(引用ここまで)

 鈴置氏のいつものコラム。
 うちもパク・クネの弾劾が成立した際に主文を読んで、頭の上にはてなマークがいくつも出たのですよ。
 要約すれば「事情聴取に応じなかった。つまり、憲法に従う意思を見せようとしなかった態度は大統領として失格である」としか読めなかったのですね。
 そもそもそんな話が国会での弾劾訴追案にあったかな、と。
 ただ、それに言及している韓国マスコミがどこもなかったので「翻訳の問題かなぁー」くらいに思っていたのですが。

 弾劾成立した日の夜にシンシアリーさんが解説していて、「ああ、やっぱり妙な主文だったのだな」ということは理解したのですが。
 どうもうまくエントリにならなかったので放置していたのですね。なにか書くにしても、シンシアリーさんを丸写しして終わりになりそうだったので、若干の違和感を抱きつつスルーしていました。 
 今回、鈴置氏はその原因を「儒教的法治に先祖返りしたからだ」と指摘しています。

 そして、そんな儒教的法治を敷いている韓国は、日本から見ればもはやモンゴルよりも遠い国なのだ……との指摘でとりあえず今回のコラムは締められています。
 基本的価値を共有していない国なのだ、と。

 膝を叩きましたね。頭の上に浮いていたはてなマークが破裂した感じです。
 本来であればパク・クネの「罪状」は弾劾が成立するようなものではなかったということは、憲法裁判所の判決が出る前に楽韓Webでも重ねて指摘していました。
 それでも憲法裁判所は保身のために弾劾を成立させるであろうという話をしていましたね。

 なんのこたぁない、いつもの韓国なのです。
 その強度が国民情緒法によって強化されたというだけの話だったのですね。ただ、その強化のされかたがもはや日本人にとっては違和感を抱くしかない、気持ち悪さを感じるレベルのものになっていたということでした。
 まあ、韓国にとってはターニングポイントになったであろうことは間違いないでしょうけどね。

SAPIO (サピオ) 2017年 4月号 [雑誌]
SAPIO編集部
小学館
2017/03/04

韓国人「弾劾成立で我々の勝利だ! シャンパンを開けてチキンを食べよう!」 → で、それからどうするの?

【萬物相】勝者の宴のあとに韓国社会が直面する現実(朝鮮日報)
 朴槿恵大統領の弾劾が決まった10日、普段から弾劾を支持していた友人からメッセージを受け取った。「夕方に家族とチキンで一杯やる」というのだ。それだけにとどまらず、外電は「弾劾決定後、韓国がチキンを食べて祝っている」と伝えた。不義に対する風刺か、敗者に対するあざけりか。広場では人々がシャンパンを開ける姿も見られた。翌日には数万人が広場に集まった。祝いの歌が流れ、祝砲も響いた。

 彼らが歓呼しているその時、ため息をつく人々が韓国社会にはいた。法治主義を拒否するわけでも、民主主義を否定するわけでもない。特定の個人ではなく国を憂う人々、考えが異なるために敗者にされた人々だ。弾劾後の政治変動、安全保障危機、経済危機への不安で落ち着かない人も少なくない。大統領弾劾はないに越したことはない不幸な事件だ。声を上げて笑うようなことではない。勝者の宴はいつまで続くのか。宴が長引くほど、社会の亀裂は深まる。パーティーが終われば、現実は間違いなくやってくる。
(引用ここまで)

 日本やアメリカの社会を知っている韓国人は、今回の狂騒をどう感じているのかということを興味を持って探していたのですが、ちょうどソンウ・ジョンがそんな記事を書いていました。
 文章から疎外感を感じます。
 違う社会を知ってしまっているからこその疎外感というか、「勝利」に沸いている韓国人こそが実は敗者であるということを理解しているからの疎外感なのか。
 そもそも勝者は弾劾裁判なんか起こさないよねって話でもあります。

 楽韓Webでも何度かその後をどうするの、弾劾成立直後にはまだなにも変わってないでしょって話をしてますね。
 アメリカの外交政策誌では「このまま左派政権誕生だと米軍撤退」という予測をしています。
 韓国人は政府を恨み、大企業を恨み、社会を恨み、大統領を恨み続けて弾劾にたどり着いた。
 弾劾が成立して大統領が罷免された。シャンパンを開けて、チキンを食べて、ついでに号砲も鳴らして祝っちゃおう。

 で、その後はどうするの、と。
 ムン・ジェインを元首に掲げてどこに行こうとしているのか、というお話なのですが。

「文在寅が反日路線に走れない理由」という記事が気になる。
週刊ニューズウィーク日本版「特集:北朝鮮 新次元の脅威」〈2017年3/21号〉 [雑誌]
ニューズウィーク日本版編集部
CCCメディアハウス
2017/3/14

 

ムン・ジェイン、パク・クネに「敗北宣言をしろ!」と詰め寄る

朴氏に罷免承服表明要求=次期大統領候補の文在寅氏−韓国(時事通信)
 韓国最大野党「共に民主党」前代表で5月上旬に見込まれる次期大統領選の有力候補、文在寅氏は12日、ソウル市内の党本部で記者会見し、朴槿恵前大統領に対し「一日も早く憲法裁判所の罷免決定に承服する意思を表明することが国民に対する道理だ」と呼び掛けた。

 朴氏支持派が罷免に反対する集会を連日開き、一部が暴徒化、死傷者も出ている。沈静化に向け、朴氏自ら決定を受け入れる立場を明確にすべきだと促した。
(引用ここまで)

 ムン・ジェインが勝利の凱歌を歌い上げています。
 ここでパク・クネに対して「弾劾を受け入れるというコメントを発表しろ」というのは、「おまえは敗者なのだから下であることを認めろ」ということに他なりません。
 そもそも、この弾劾裁判に勝者は存在しないのですよね。
 敗者はパク・クネ本人ですが。
 国民が勝利者であるように見えますが、よく考えると行って戻っているだけで「勝利……?」みたいな感じです。
 実は韓国国民ですら、弾劾に値する国家元首を選出してしまった敗者なのではないかという部分がある。
 本人たちは「市民革命を成し遂げた! 大勝利だ」と大盛り上がりしていますけども。

 ムン・ジェインは弾劾成立に向けて国会議員として投票したというだけの人物。
 野党党首ですらない。
 現状では大統領選挙へ出馬表明すらしていない。
 それがまるで弾劾を主導した勝利者であるかのように振る舞っている。

 以前から「ムン・ジェインはすでに大統領になった気でいる」という話はありましたけどね。
 もはや勝利者であることを確信しているのでしょう。
 まあ、こうして振る舞わなければ韓国では支持を得られない、ということでもあるのでしょうが。
 大統領選挙では敗者が敗北を認めて一段落。勝利者は敗者をいたわる言葉を投げかける、というのがよくあるパターン。
 今回は最後までムン・ジェインら共に民主党側が勝者としてふるまっている。
 そこになんともいえない気持ち悪さを感じます。
 この気分を外交政策にそのまま持ちこみそうな気がするのですよね。
 持ちこまざるを得ないというべきでしょうか。
 「絶対の勝者」の価値観で日本に挑んでくる将来がありありと見えるのですよ。

勝者の思考 いい仕事をして、いい人生を送るために
財部誠一
PHP研究所
2007/2/28

パク・クネは罷免決定、韓国大統領選出馬予定の候補たちの横顔を見てみよう

【社説】中国の放送で「THAAD撤回」を約束した李在明城南市長(中央日報)
有力な大統領選候補者である李在明(イ・ジェミョン)城南(ソンナム)市長の安保思想が度を越した。2回にわたって「共に民主党」選挙候補討論会でTHAAD(高高度ミサイル防衛)体系に対して偏った認識を露わにしたあげく、今回は論争を巻き起こしそうな発言を行った。彼は7日、中国中央テレビ(CC−TV)に出演して「THAAD配備は大韓民国の国益につながらないため、原点に立ち戻って再検討して撤回しなければならない」と話した後、記者が「大統領になればTHAAD配備を撤回するか」と質問すると、「はい、そうです」と答えた。李市長の発言が中国と中国人にどれほど大事な話だったのか、中央テレビはこの日に4回にわたって同じ場面を放映したという。中国記者とのインタビューは前日、李市長が自身の大統領選キャンプで主催した「全国THAAD被害商人懇談会」で行われた。
(引用ここまで)

 一時期、「日本は敵性国家だ」とか「慰安婦像撤去は内政干渉だ」といった過激な言説でムン・ジェインに次ぐ支持率2位の位置にいたイ・ジェミョンですが、現在は10%に届くことが珍しい状況。
 どうしてもムン・ジェインとの違いを打ち出せずに低迷しているのですね。

 そこで今回は中国に対して「私が大統領だったらTHAADミサイルなんて一瞬で配備撤回してみせます」と言ってみた、ってところですか。
 ついでなんで現状の大統領候補たちの情勢をチェックしてみましょうかね。

 現在、ムン・ジェイン(共に民主党)が支持率30%前後で独走中。
 それをアン・ヒジョン(共に民主党)、ファン・ギョアン(無所属)、イ・ジェミョン(共に民主党)が支持率10%前後で追っており、さらにその後ろに国民の党前代表アン・チョルスがいるというようなところです。
 調査によって差は出ていますが、おおよそこんな感じ。

 アン・ヒジョンは左派でありながら保守派に対して「わたしならムン・ジェインのようにすべてを否定しない」というようなメッセージを送っていて、一時期は20%近い支持率を誇っていたのですがその後に左派的な発言を繰り返して支持率低迷。
 ファン・ギョアンは現在の大統領代行(首相)であることから、パク・クネ派であるとされて保守派の受け皿になりきれていません。
 イ・ジェミョンは前述のようにムン・ジェインとの決定的な違いを打ち出せずに低迷。
 ソウル市長のパク・ウォンスンも同様で大統領選撤退。
 アン・チョルスはポピュリストというか風見鶏であることが分かってしまって忌避されている。

 この状態があと2ヶ月継続するのであればおそらく70%以上の得票率を持って、次期大統領はムン・ジェインになることでしょう。
 慰安婦合意は再交渉THAADは次期政権に判断持ち越し、GSOMIAは見直し、さらに就任したらまず北朝鮮に向かうと宣言している。
 あのノ・ムヒョンの系譜を継ぐ男が韓国の「皇帝」ともされる大統領になるのですよ。
 それも圧倒的な支持率をもって。しかも、パク・クネ政権で行われたすべてを否定するために。

 ある意味で楽しみというか……。日韓関係が新たな局面を迎えるのは間違いないでしょうね。

音無さんは破壊神! 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
ちゅー太
芳文社
2016/3/26

韓国人「我々は市民革命を成し遂げた! 勝利だ!!」 → 実際にはなにも変わっていない件

[社説]民主主義の道しるべを新たに打ち立てた市民革命の勝利(ハンギョレ)
 愚かで極悪非道な大統領は、結局権力の座から追い出された。事必帰正。国民を蔑視し国家権力を私物化して国の根本を揺るがした罪に対する当然の因果応報だ。長い冬が去り春が来る町角で、腐って病気にかかった枝は落ちた。そしてその場に新しい芽生えが始まっている。

 朴槿恵(パク・クネ)大統領罷免の外的形式は憲法裁判所の弾劾認容だが、実際的内容は常識と当然な道理の勝利だ。これは、左右の問題でも、進歩と保守の対決でも、理念と階級の問題でもない。冬の間に広場で燃え上がったろうそくの炎は「法治と民主」に向けた渇望であったし、憲法裁判所は「全員一致の罷免賛成」でこれに答えた。「大統領の違憲・違法行為は、憲法守護の観点から容認できない重大な法違反行為」であり「大統領罷免により得られる憲法守護の利益が圧倒的に大きい」という憲法裁判所の決定は簡潔で的を射ている。ろうそく市民が流した涙は、不正な権力によって汚された世の中を浄化し、炎に宿った生命力は国を新たに脱皮させようと力強くゆらめいている。

 法治主義は統治者の恣意的支配を排撃することから始まる。憲法の「憲」は、何人も社会構成員に対し害を及ぼせないよう、目と心で徹底的に監視するという意味を含んでいる。大韓民国が一瞬にして奈落の底に落ちたのは、合理的な法の支配ではなく権力者の自分勝手な支配が横行したためだ。憲法裁判所は傍若無人な恣意的統治にとどめを刺し、国家に害悪を及ぼした最高権力者を厳しく懲治することによって法治主義の大義を再び打ち立てた。

 大統領の罷免は国民にとって羞恥であると同時に誇りでもある。ねつ造された神話と虚像にだまされて傲慢無道な資格未達者を国家の最高指導者に選んだことは復元が難しい失敗であった。だが、私たち国民は誤りを自ら原状回復させる偉大な底力を発揮した。「水は船を出すことも、ひっくり返すこともできる」という古の先賢の言葉を身をもって証明した。これを通じて民主主義を一段階進展させた。2017年3月10日は、世界史的にも類例を探し難い市民革命の貴重な勝利の貴重な勝利の日として歴史に長く記録されるだろう。 (中略)

 朴前大統領と彼女の支持者は、もう狂気の濁流から抜け出さなければならない。大統領に対する弾劾反対は、灯りに向かって無為に飛び込んでいく夏の虫に過ぎないことが、憲法裁判所の決定により確認された。それでも無駄になった迷妄と盲信から抜け出せずに、このままずっと太極旗を辱める行為を続けるならば、それは国の不幸であり本人の不幸だ。

 憲法裁判所は単に朴大統領の弾劾可否だけを決めたのではない。国の根幹を新たに立て直し、今よりもっと良い国を作らなければならないという課題が、そこには含まれている。憲法裁判所の決定は、弾劾列車の終着駅であり、新しい挑戦に向けた出発駅だ。国の根幹を新しく立てることは、単に法治主義の確立、最高権力者の節制などにとどまらない。“ヘル朝鮮”という言葉で代弁される社会全般の不条理と不平等、社会の随所で乱舞する反則と特権、政官財界の強固な既得権体系など、これまで韓国社会に重々積み上げられた積弊の清算がそれだ。
(引用ここまで)

 うわぁ、今回の弾劾に関して危惧していたことが全部ここに込められてますね……。
 韓国の停滞や失敗をパク・クネ個人のミスによるものであると認定してしまい、その極悪犯を正義の剣で裁いたのだから韓国には明るい未来しかない、という勘違いです。

 そりゃまあ、古代の「皇帝」にすら比肩される韓国の大統領制度ですから。
 大統領の手腕によるところもあるでしょうよ。特に失業対策は青年希望ファンドでの寄付なんかに頼らず、もっとできることがあったんじゃないかとは思います。
 韓国の問題は構造的なものであって、大統領ひとりが政策でどうこうできるものじゃないのですよ。

 パク・クネ政権を常に目の敵としていたハンギョレの社説ですから、ことさらそういう部分が強調されているのですが、これは別にハンギョレだけの意識ではないのですよね。
 極悪人のパク・クネを裁いて、正義の象徴であるムン・ジェインが大統領となって、韓国は端から端までよい世の中になるのだ、なんていう気分が韓国人に蔓延している。
 特に格差がひどいとされている若年層はそういう意識になっている。
 この記事でいうところの「市民革命の勝利だ!」と。
 いうなれば「映画の途中」なのに、クライマックスシーンになってしまっているのですよ。
 
 これからまだまだ物語は続く、というよりもこれからが本番。
 なのにもう多幸感でいっぱい。もう自分たちはこれから幸せになるしかない、みたいな話になっている。
 実際には大統領を罷免しただけで韓国でなにが変わったわけでもない。
 構造も制度も風習も法律もなにも変わっていないのです。
 ろうそくデモに参加していた人間が成長したわけでもなんでもない。大統領が辞めたからって食べなければ腹は減るし、食事をすれば金も減るのですよ。
 希望を持てないままならともかく、一度希望を持ってからのヘル朝鮮への強制送還はきついでしょうね。精神的に。 
 保守派が大暴れしているのは流行の先取りだった、なんてことにならなければいいですね。

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