楽韓Web

韓国に関する話題を面白おかしく、韓国の文化背景を含めて解説してしまうサイトです。

ムン・ジェイン

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ムン・ジェイン、米朝関係の不調具合に「両国が約束を守らなければ、国際社会から厳しい審判を受けるだろう」と発言……おまえが言うか?

文大統領「朝米首脳、約束守らなければ国際社会の厳しい審判」 (聯合ニュース)
シンガポールを国賓として訪問している韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は13日、6月の朝米(米朝)首脳会談を念頭に、「万が一、(朝米)首脳が国際社会の前でした約束を守らなければ、国際社会から厳しい審判を受けるだろう」と述べた。講演会「シンガポール・レクチャー」で演説した後、出席者からの質問に答えた。
(引用ここまで)

 「……おまえはなにを言っているんだ」
 と、iPhoneでこのニュースを見た際に、つい真顔でつぶやいてしまって電車の横にいた人に「なにこの人」って目で見られたわけですが。
 無意識って怖い。
 慰安婦合意を一方的に棚上げにして、ツートラック外交がどうこうとか言っている輩のセリフとは思えませんね。
 米朝首脳会談も言ってみれば慰安婦合意と同じ構造です。
 一方が一方を縛りつけるだけの約束。
 で、現状は韓国は慰安婦合意を棚上げにし、北朝鮮は約束を無視しようとしている。
 米韓首脳会談で唯一具体性のある成果であった朝鮮戦争での米兵遺骨返還についても、北朝鮮が協議をドタキャン。

北朝鮮、遺骸送還会談で米国に待ちぼうけを食わせる(中央日報)

 北朝鮮当局がアメリカの非核化に向けた本気度を過小評価していたといったところですかね。
 ゆさぶりをかけようとしているのでしょうけども。
 しかし、よりによって遺骨返還協議をドタキャン……か。
 アメリカ人の軍人に対する敬意の持ちようというものを勘違いしているなぁ。

 まあ、これを続けて「国際社会から厳しい審判を受ける」のはどっちだ、という話なのですが。
 ムン・ジェインの言うように米朝の両方が審判を受けるような事態になるんでしょうかね?

韓国政府「最低賃金を支払わなかったな! 名簿に晒して銀行からの融資を受けられないようにしてやる」……むしろ零細事業者が仕事を辞めるだけなんじゃ……

最低賃金を出さなかった零細企業の摘発数、昨年より44%増加(朝鮮日報・朝鮮語)
今年上半期(1〜6月)に雇用労働部勤労監督に摘発された最低賃金違反者が前年同期比43.7%増加したことが分かった。時間7530ウォンで、最低賃金が前年比16.4%上昇つつ、大幅に引き上げられた最低賃金を出さなかった零細企業が雇用部の調査で大挙摘発されたものである。11日、自由韓国党チャン・ソクチュン議員が雇用労働部から提出を受けた「2018年上半期の最低賃金違反現況」によると、今年1〜6月の勤労監督から最低賃金違反で摘発された業者は、928箇所であった。昨年1〜6月の違反業者(646ヶ所)より43.7%(282所)増えた。同じ期間、雇用部の勤労監督を受けた企業数は、昨年の8263カ所、今年9081ところである。今年勤労監督件数は前年比9.9%増え、違反企業数は43.7%増えたわけである。労働者が最低賃金に違反したという理由で事業を申告した件数も増えた。昨年上半期17万6960件で、今年は18万9882件と7.3%増加した。このうち、実際に最低賃金を支給していない場合は、昨年上半期995件から、今年1192件19.8%増加した。現行の最低賃金法によると、最低賃金に達した賃金を支給した事業主は、3年以下の懲役または2000万ウォン以下の罰金などの処罰を受けることになる。 (中略)

こうした中、国会では最低賃金違反事業主名簿を公開して融資制限などの信用を制裁する与党法案が発議された状態だ。賃金未払い事業主に適用した名簿の公開と信用制裁を最低賃金違反事業主にも拡大適用するというものである。パク・ジスン高麗大法学専門大学院教授は、「零細事業主が保障困難なレベルで最低賃金を上げながら、名簿を公開して、信用制裁して、事実上撤退するしかないなら、零細事業主としては大きな負担を負うしかない」と話した。
(引用ここまで)

 最低賃金を守らなかった事業主が増加(646→928件)。
 最低賃金を払わなかったとして告発してきた労働者も増加(17万6960→18万9882件)。
 ……まあ、全業種、全国で一律に100円も最低賃金を上げればこうなりますわな。
 社会不安の要因にしかなっていない気がする。

 その一方で国会では「最低賃金を支払わなかったら名簿に晒して、信用制裁を課して銀行を使えなくしてやるからな」という法案が審議中。
 これ、以前から政府で検討されていたアイディアです。
 事業主に対して信用制裁=債務不履行者と同等の扱いとするということですね。
 まあ、そうすることで最低賃金を支払わなかったらとんでもないことになるぞという警告を出そうとしているのでしょうが。
 あと懲罰的な制裁金(差額の3倍)を支払わせるというアイディアもあったようですが、これはまだ立法化されていない模様。

 最低賃金を上げて国民の暮らしを楽にしよう、というのは、ムン・ジェイン大統領様の聖公約ですからね。
 その「善の循環」に逆らうような輩はこうやって晒されて当然ということなのでしょう。
 むしろ、こうして逆らうような輩がいるからこそ、所得主導成長がまともに動作していない可能性すらありますね。
 最低賃金を支払わなかった事業主は一人残らず懲役刑までいけるようにすればいいんじゃないかな? なんだったら「メガネをかけているから逮捕→死刑」でもよいと思いますけどね。

ポル・ポト〈革命〉史 虐殺と破壊の四年間 (講談社選書メチエ)
山田寛
講談社
2004/7/10


韓国公取委員長「なんでムン・ジェイン政権は規制緩和をしない!」と内ゲバ状態……残された時間はあと半年?

韓国公取委委員長、成果ない文政権の経済政策にいら立ち(朝鮮日報)
 「過去1年は外交・安保問題で高い支持を得てきたが、政権の成否は結局、経済問題だ。国民の暮らしの問題をどのように解決するかにかかっているということだ。今はあまりにもいら立たしい」。市民団体にいたころは「財閥スナイパー」と呼ばれ、今では文在寅(ムン・ジェイン)政権の経済民主化公約を総括している公正取引委員会の金尚祖(キム・サンジョ)委員長=写真=の口から「切迫」「いら立たしい」「危機」といった言葉が何度も飛び出した。金委員長は「今年下半期から経済環境がいっそう厳しくなる可能性が高い。政府が成果を出す時間的余裕は短くて6カ月、長くても1年しか残っていない」と述べた。

 金委員長とのインタビューは6日、ソウル市内の公正取引調停院で行われた。文在寅政権の経済政策で中心的役割をするブレーンに、この1年間の経済運用に関する評価と、今後の計画について説明を聞こうと企画されたインタビューだった。金委員長は「国民が耐えて待ってくれる時間はあまり残っていない。こうした状況を文大統領もよく分かっており、規制改革点検会議を中止するほど切迫感を抱いている」と言った。文大統領は先月、「国民が実感するほどの成果がない」という理由で規制革新点検会議を中止している。

 金委員長は「文大統領が2年目に入り、規制革新のための政治的決断に頭を痛めている。支持層の批判を受けざるを得ない非常に難しいことだが、規制改革がなければ政府は成功できないということをよく分かっている」と言った。規制革新を推進する過程で、文大統領の支持層である進歩系陣営の反発が避けられないため、これを受け止めて正面突破する方針だという説明が続けられた。この1年間の文在寅政権による経済政策の成果については、「所得主導成長・革新成長・公正経済という3つの軸が別々に動いていた面があり、政府も反省している。今は動きがそろってきたと感じている」と説明した。
(引用ここまで)

 鳴り物入りで入閣(正確にいうのであれば公正取引委員長は大臣格ではなく、国会からの承認も必要ないので入閣ではありませんが)したキム・サンジョでしたがムン・ジェイン政権の経済政策に対する無策具合に苛立ちを隠せずにいます。
 ムン・ジェインが入閣させない人間の条件として挙げていたいわゆる5大不正「偽装転入、兵役逃れ、不動産投機、脱税、論文盗作」のうち偽装転入に引っかかっていたのですが、それでも公正取引委員長は彼しかいないという形で登用された人物です。

 なにしろ「財閥スナイパー」の二つ名を持ち、イ・ジェヨンサムスン電子副会長の裁判でも証言をしにきたくらいの人物。当初は「財閥に牛耳られてきた韓国経済を規制緩和で正常化させてくれる」みたいな期待があったのですが。
 まー、ムン・ジェイン政権がなにもしない。
 しないというかできないというか。
 現在の韓国で財閥の手から経済を取り戻すということは、経済そのものをぶっ壊すことに他なりません。

 たとえばIMF管理下に置かれたあととかであればまだ発展途上国の勢いがキープされていた状況の中だったので、なんとかなったかもしれませんが。経済成長率もまだそこそこ高い状況でしたし。
 いまの韓国は先進国でもないのに先進国病にかかってるような状況。
 世界最高(最悪?)の少子高齢化社会となっていて、成長率も半導体のスーパーサイクルという上げ底があったのにぎりぎり3%。

 手を突っこんで引っかき回すには遅すぎた、ってところでしょうか。
 まあ、それでも今朝の韓国GMの件のように引っかき回せる部分は引っかき回して、明らかに悪化させていますけどね。
 経済構造そのものはほぼ手つかず。
 個人的には全部を引っかき回すほうを期待していたのですけどね。
 サムスン電子の工場で労働者に被害があったからという理由で、工場で使われている技法を企業機密もなんもかも含めてすべて公開しようとするとか、やりかけてはいるのですが(ちなみにこれはサムスンディスプレーでも同じことをやろうとしてどちらも公開停止の仮処分申請が通っています)。
 もっとハチャメチャな動きを期待していたのだけどなー。


韓国GM「工場閉鎖でようやく一息つけたわ」→韓国政府「非正規雇用者を全員正規雇用にしないと違法派遣認定な」

政府が幇助した韓国GM非正規職問題(中央日報)
民主労総韓国GM群山(クンサン)・富平(プピョン)・昌原(チャンウォン)非正規職支会は9日から韓国GM本社社長室の占拠を始めた。彼らは非正規職の直接雇用と解雇した非正規職労働者の復職を要求し徹夜で座り込みを行っている。

韓国GM富平非正規職支会は10日現在「カハー・カゼム社長が直接交渉すれば社長室占拠を解散する」という立場だが、韓国GMは「韓国GMの労働者ではない協力会社の労働者と韓国GM社長が直接対話する理由はない」として拒否している。

韓国GMがまたもこうした問題に巻き込まれたのは、韓国GM非正規職労働者の身分をめぐり意見が入り乱れているためだ。自動車工場では多くの下請け業者の労働者が勤務する。自動車メーカーは長期間の熟練が必要な工程には正規職労働者を投じ、単純組み立て工程は外注に任せる場合が多い。 (中略)

韓国GMは雇用労働部の監督結果を履行し、「工程ブロック化」作業を進めた。外注に任せる工程が正規職労働者の動線と重ならないようベルトコンベヤーから組み立てプロセスまで再配置した。派遣労働法の規定に基づいて独立的な場所で指揮監督権を行使しない一部組み立て工程だけを外注に任せた。

韓国GMのこうした工程ブロック化作業は2012年に雇用労働部から正式に「立派だ」という認定を受けた。

雇用労働部は2013年に再び点検に乗り出す。当時労働監督を実施した監督チーム長は10日、中央日報のインタビューで「下請け労働者が働く事業所も分離しており、下請け労働者の指揮・監督状況もなかった。派遣労働法上の違法派遣は判断基準が明確で、個人的に判断経験も豊富だが、韓国GMは違法派遣ではなかった」と断言した。

当時管理監督に参加したある関係者も「韓国GMを違法派遣とみるなら韓国の自動車・自動車部品産業自体が事実上派遣が不可能だ。明確な法令に基づいて私心なく判断した」と主張した。

こうした雇用労働部の立場が180度急変したのは「非正規職の正規職転換」を掲げた文在寅(ムン・ジェイン)政権が発足してからだ。雇用労働部は5月28日、「韓国GMの特別労働監督を実施した結果、韓国GM昌原工場の下請け労働者774人の労働形態は違法派遣だ」とし、「彼らを全員直接雇用せよ」と判定した。

問題は2013年と現在の韓国GMの下請け勤務システムが完全に同一だという点だ。また、適法性を判断する派遣労働法と運営指針もほとんど変わっていない。すべての状況がそのままなのに、「合法」としていたシステムを突然「違法」と判断したのだ。これに対し雇用労働部は「現在捜査中である事案は判断の根拠を具体的に話せない。捜査終了後に違法派遣の労働を明らかにする」という立場だ。
(引用ここまで)

 事業をしていてなにが困るって、こういう「昨日までは合法だったけど、政権(の気分)が変わったから明日から違法ね」みたいなやりかたです。
 これをやられると本当に参ります。

 さて、ムン・ジェイン政権にとっては大企業はすべて悪。
 大企業こそが二極分化を招いた主犯だ、って言ったことすらありますからね。
 それでなくとも悪なのに、立場の弱い派遣労働者から切るとは大悪。
 よって成敗してくれる、くらいの感覚なのでしょう。

 ムン・ジェインが仁川空港の非正規雇用者をゼロにするという宣言をしたことがあります。公企業(公社)からは非正規雇用をゼロにするというのがムン・ジェインの公約のひとつでしたので。
 で、その宣言に対して仁川空港側が当初にとった方針は「じゃあ、非正規雇用者全員クビ」だったのですよ。
 まあ、非正規雇用にするにはそれなりの理由がある。
 繁忙期には人を増やしたいし、閑散期ならその逆。そういった雇用の調整弁として使えるのが非正規雇用だったのに全員を正規雇用にしてしまったら人件費がどうなるか分かったもんじゃない、というのが本音だったようです。
 さすがにムン・ジェインの聖公約に反するということでこの仁川空港の非正規雇用全員クビはなくなったのですが。

 まあ、こういった感じでムン・ジェイン政権は「労働者に優しい」ということを旗印にしているのですよ。
 韓国GMの場合、群山工場を閉鎖して大量の解雇者を出したことへの懲罰的な意味もあるでしょうね。
 「韓国国内の雇用を脅かしたらこうなるぞ」というアナウンス効果も狙っていると思われます。
 しかも、韓国GMは純粋な国内企業ではないというところに旨みがある。どれだけ叩いても企業側に韓国人からの同情が集まりにくい。
 一石何鳥もの効果を見逃すはずがありませんね。

 しかし、また社長室占拠か。本当に事業の邪魔させたら韓国の労組の右に出るものはないですね……。


ムン・ジェインが「ろうそくデモに対してパク政権は戒厳令を企図していた! 軍に対して捜査せよ!」と指示。軍情報機関の消滅も

ろうそく集会当時に「戒厳令」検討か 文大統領が捜査指示(聯合ニュース)
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は10日、市民らが朴槿恵(パク・クネ)前大統領の退陣を求めて「ろうそく集会」を行っていた当時、軍の捜査・情報機関である国軍機務司令部が「戒厳令」を検討する文書を作成したことと関連し、独立捜査団を構成して迅速かつ公正に捜査するよう宋永武(ソン・ヨンム)国防部長官に指示した。青瓦台(大統領府)の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官が会見で伝えた。
(引用ここまで)

 機務司令部、いわゆるキムサ。旧保安司令部ですね。
 情報院(旧KCIA)とは別に存在する、軍部の情報機関のひとつ。
 軍政時代には共産主義者と目される連中に対して拷問を繰り返していたような部署でもあります。
 左派であるムン・ジェイン政権とは当然ながら相性最悪。

 さて、その機務司令部がろうそくデモが行われている期間に戒厳令の宣布を検討していたということが確認されています。

機務司令部、「光化門に3個旅団配置」ろうそく集会への戒厳令を具体的に計画した(ハンギョレ)

 で、ムン・ジェインがそれに対して厳正に捜査せよという指示を出したという話。
 国軍が関与できない独自捜査が行われるとのことです。

 ただハンギョレの記事を見ても分かるように、機務司令部が企図していたのは「弾劾が棄却された場合にろうそくデモを行っていた連中が大統領府と憲法裁判所に乱入するであろうから、その対策として戒厳令の宣布を」というもの。
 治安維持を考えるのであれば、ごく普通の対応策ではないでしょうか。
 「軍情報機関に対して独立捜査権を持って捜査せよ」とか言うほどのものでもないような……。

 ろうそくデモが平和裏に行われていたのはそうするほうがパク・クネ政権に打撃を与えられるからという目論見があったからです。
 というような話を、楽韓Webでは当時から書いていますが。
 「市民がろうそくを掲げているだけのデモ」に対して警察力、軍事力を行使するようなことがあれば国際的な非難を避けられないという考えもあったでしょうね。
 ろうそくデモを主導していた連中(民主労総等)が本来やっているデモはこっちのほうですからね。



 まあ、この「戒厳令を企図した」ということを口実にして機務司令部解体まであるでしょう。
 朴正熙政権当時の学生運動時代に逮捕・収監の経験があるムン・ジェインの個人的な指向性としてそう感じます。
 軍への圧力としてもそうするだろうなぁ……といったところです。

情報機関を作る 国際テロから日本を守れ (文春新書)
吉野準
文藝春秋
2016/4/20

サムスン電子総帥とムン・ジェインがはじめて出会う場所がインドの工場であった理由とは

【社説】文大統領のサムスン工場訪問が大ニュースになる韓国(朝鮮日報)
文大統領、インドでサムスン電子副会長と面会(朝鮮日報)
文大統領、李在鎔サムスン電子副会長に「韓国でもさらに多くの雇用を」(中央日報)
文在寅(ムン・ジェイン)大統領はインド訪問中の9日、現地のサムスン電子工場完工式に出席し、李在鎔(イ・ジェヨン)副会長と言葉を交わした。文大統領が大統領に就任してから二人が直接会うのはこれが初めてだ。文大統領は李氏の案内で工場を見学し説明を受けた。韓国大統領府は「通常の外交日程」と説明したが、財界関係者の間からはサムスンをはじめとする大企業と政府との関係改善のきっかけになることを期待する声も上がっている。サムスンは韓国を代表するグローバル企業だ。そのような大企業の海外工場を大統領が訪れるのはごく自然なことだろう。ところが今はそれが大きなニュースになっている。韓国の政治状況がいかに異常な状況にあるかはこれだけでも十分想像がつく。

 現政権が大企業を敵対視しているのは今や公然たる事実だ。政権発足直後に国政企画委員長が「財閥は最大の既得権だ」と発言したのを皮切りに、現政権は過去のどの政権よりも厳しい反大企業的な政策を進めてきた。韓国の10大グループの中で検察や警察、国税庁、公正取引委員会などから捜査や調査を受けていないところは一つもない。公正取引委員会による規制を強化し、それによって大株主の経営権を弱体化させる法案も相次いでいる。影響で大企業は経営権の確保に危機感を抱き、未来への投資に二の足を踏んでいるのが今の実情だ。

 中でもサムスングループに対する捜査は2年近くにわたり続いているが、これには大統領府が事実上の先頭に立っている。労働組合設立妨害事件では4回にわたる家宅捜索と14人に対する逮捕状申請という記録的な事態となった。さらにはサムスン半導体工場の企業秘密公開、バイオ関連子会社の粉飾決算、子会社が保有するサムスン電子株の売却など、どれも各部処(省庁)が実績を上げるためにサムスンを標的にしたものばかりだ。韓国の輸出全体の20%以上を占める大企業が政府によってここまで食い物にされているのだ。 (中略)

政府が企業から意見を聴き、それを政策に反映させれば、企業側は投資や雇用を生み出すことでそれに応える。政府が大企業と一線を画して敵対視するような先進国などない。大企業を「積弊」ではなく「経済運営のパートナー」とする政策の見直しが今後は必要だ。文大統領のサムスン電子工場訪問がぜひともそのきっかけになることを願う。
(引用ここまで・太字引用者)
 文大統領は李氏の案内を受けながら新工場の内部を視察した。李氏はモディ首相が車から降りた際には頭を下げただけだったが、文大統領が来たときは何度も腰を曲げてあいさつした。与党・共に民主党の一部議員からは文大統領のサムスン工場完工式出席を疑問視する声も上がっているが、韓国政府のある高官は「韓国とインド双方の経済発展と雇用の改善に貢献する工場だ。その完工式に出席することに特別な政治的意味合いはない」と主張した。

 大統領府も「文大統領と李氏との面会は、現政権が掲げる所得主導成長や大企業政策の転換を意味するものではない」とくぎを刺した。
(引用ここまで)

 ムン・ジェインとサムスン電子副会長であり、実質的なオーナーであるイ・ジェヨンが会うのは、大統領就任以来では今回がはじめてだとのことで。
 まあ、去年の2月に逮捕されてから今年の2月に高裁で執行猶予つきの有罪判決が出るまで収監されていたのだから当然ではないかという気がしますけどね。
 それでも両者がはじめて会うのが国外工場の完工式であるというのは象徴的です。

 法人税増税企業機密を暴露するといった大企業を叩くことでポピュリストとして人気を獲得してきたムン・ジェインが国内で会うのは難しい。
 まあ、国外で会うのであれば……ということなのでしょう。

 ムン・ジェインが「所得主導成長」なる経済政策を続ければ続けるほど、雇用は海外に逃げていくしかない。
 インドにスマートフォン組み立て工場ができる、というのはその典型例のひとつでしょう。
 こうした組み立てのような人手のかかる、言ってみれば雇用に直接影響するような工場は海外に建設する。
 半導体のように安定した電気の供給があればいいだけで最低限度の雇用しか産まない工場は韓国に残す。

 ムン・ジェイン政権と韓国企業の思惑ががっちり噛みあったのがインド工場での出会い、といったところです。
 逆にいえばこういった機会がなければムン・ジェインとサムスン電子の総帥が会うようなことはなかったと思うとそれも面白い。
 いまの韓国で何が起きているかということを象徴するような出会いですね。

ルポ 絶望の韓国 (文春新書)
牧野愛博
文藝春秋
2017/5/19

韓国労組「来年の最低賃金は1万790ウォン、43%の引き上げだ!」→産業界「無理、時給凍結でお願いします」

来年の最低賃金43%の引き上げを要求する労働者側は別世界に住んでいるのか(東亞日報)
5日開かれた最低賃金委員会(最賃委)で、労働者側は来年度の最低賃金として今年より43.4%上がった時給1万790ウォンを示した。昨年まで3年連続で示した時給1万ウォンより最初提示額がさらに上がったのだ。一方、使用者側は今年と同じ7530ウォンを示して、据え置きを主張した。労使間の最初提示額の格差である3260ウォンは過去最大水準だ。

労働界は、来年から最低賃金の算入範囲に定期賞与と福利厚生費が含まれることを理由に、最初の提示額を高めた。算入範囲の調整によって賃金が平均7.7%減るので、最低賃金の議論の基準点も、現在の最低賃金より7.7%高い8110ウォンにならなければならないというのが労働界の主張だ。最低賃金を1万ウォンを合わせるには、現在(7530ウォン)より33%ほど引き上げが必要であり、8110ウォンを基準にして33%を引き上げれば、1万790ウォンが出てくるというのだ。

賃金が7.7%減るという労働界の「独自の推計」の結果もなかなか信頼できないが、来年度の最低賃金を決める場で、すでに国会で可決された算入範囲の拡大に足を引っ張るのも理に合わない。最低賃金算入範囲の調整は、労働界寄りと言われている与党が主導した。過去の基準であれば、定期ボーナスと福利厚生費を合わせて年俸が6000万ウォンを超える労働者も、最低賃金引き上げの恩恵を受けるほど、制度の問題が深刻だったからだ。最低賃金引き上げが、大企業と中小企業及び零細事業所労働者の賃金格差を拡げるという指摘もあった。

昨年より16.4%引き上げた今年の最低賃金だけでも、韓国経済は大変苦しんでいる。5月の就業者数の増加が8年4ヶ月ぶりに最低値に落ちた「雇用ショック」が最も深刻だ。最低賃金引き上げの影響を大きく受ける臨時・日雇い労働者が、昨年よりそれぞれ2.2%と7.9%減少し、卸小売・宿泊飲食店業の従事者も1.7%減少した。現政府に入って、新しくできた事業所より廃業となった事業所のほうがより多いほど、自営業者も直撃を受けた。脆弱階層の被害が最も大きい。それでも労働界は、再び大幅な最低賃金引き上げを主張しながら、雇用ショックを他人事のように見ている。 (中略)

最低賃金委は今後、さらに4回交渉を行って、14日、来年度の最低賃金を議決する。急激な最低賃金引き上げの副作用はすでに十分経験している。それでも労働界は、別世界に住んできるようだ。
(引用ここまで)

 今年、最低賃金に週休手当(韓国独自の風習で1週間で規定時間以上働くと1日分の給料がもらえる)をはじめとした定期ボーナスと福利厚生費が組み込まれるという算入範囲の拡大が行われまして。
 ムン・ジェイン政権側にもいくらなんでも単純賃金だけを一気に16%も上げるのはまずかったという反省はあったのですね。驚いたことに。
 でも、労働者側はそれを不服としてストライキやらデモやらをやりまくっていました。
 いつものように一般民衆からはまったく支持されていないようなのですが。

 で、今度は「週休手当や福利厚生費の最低賃金への組み込みがあったので実質的な減給があったも同然」という理論(?)で、賃上げを要求してきたと。
 その額、なんと1万790ウォン。
 ムン・ジェインの提唱する「2020年までに最低賃金を1万ウォンにする」という公約をさらに前倒し要求。

 東亞日報曰く「こいつらは別の世界に住んでいるんじゃないか」とのこと。
 要求額ですので、できるだけ頬張らないという部分はあるにしても。
 昨今の格差拡大や雇用ショックを見ても要求が変わらないというのはすごいことですね。
 まあ、ムン・ジェイン本人も「最低賃金上昇による肯定的な効果は90%」とか言っちゃっていたから、それに乗っているのでしょうが。
 ちなみに去年も労組側の要求は1万ウォンでした。

 その一方で産業界側の主張は「賃金凍結」。
 去年、最低賃金を上げる際に「地域や業種で特例を作るから」という韓国政府からの密約があったのに実行されることはなかったという話ですから。
 だまし討ちを恐れているのでしょうね。

 なお、こうして折衝を何度か重ねて来年の最低賃金は今月中頃に決定予定です。楽しみですね。

韓国の合計特殊出生率が1を割るという事態に突入。この数字こそがムン・ジェイン政権への本当の支持率である理由

韓国、世界唯一の「出生率1人未満」の国になるのか(中央日報)
韓国の合計特殊出生率、世界で唯一「1.0割れ」(朝鮮日報)
少子化が深刻になり、今年の出生率は1人以下に下落し、出生児数が2022年になる前に20万人台に下落すると予測された。このままだと韓国は世界唯一の出生率0人台の国になる。

韓国大統領直属の低出産齢社会委員会は5日、本会議でこのような予測をした資料を公開した。昨年の出生率(1.05人)はぎりぎり1人台を維持したが、今年はそれ以下に下落するとみている。今年の出生児数は昨年(35万8000人)より少ない32万人台に下落する。

今年1〜4月の出生児数が11万7300人で昨年より9.1%減少し、1人台以下になるのが既成事実化した。低出産委員会はこのような傾向が続けば、2022年になる前に一年の出生児童が20万人台に落ちると見通した。50万人台だった出生児数が2002年40万人台に下落し、それから15年後の昨年には30万人台に落ちた。30万人台が4〜5年続き、その後20万人台に落ちる。

統計庁は2016年、将来人口推計分析で出生児数が30万人台に落ちる時期を2035年だと予想したが、昨年30万人台になった。予想より18年も早まった。

国際連合人口基金(UNFPA)が発刊した「2017世界人口現況報告書」によると、198カ国の中で合計特殊出生率が1.0人以下の国はない。超少子化の基準である1.3人以下の国は韓国を含み9カ国だ。香港・マカオ・キプロス・ギリシャ等が1.3人、ポルトガルが1.2人だ。香港は2005年に出生率0.95人で1.0人以下に落ちたが、2010年1.04人に回復し、その後1.3人に小幅上昇した。
(引用ここまで)
 韓国政府は5日、少子化対策の一つとして「新婚希望タウン」(公共分譲住宅)入居者に対し、30年分割払い(年1.3%の固定金利)で住宅購入費の70%、最大4億ウォン(約4000万円)を融資する案を打ち出した。さらに、人生初の小型住宅(専用面積60平方メートル以下)を構えようとする新婚夫婦に対し、取得税の50%を減免する方針だ。
(引用ここまで)

 少子化対策としてやろうとしていることが、これまでの政策延長に過ぎないのですよね。
 企業に対して人件費を上げたら税金の免除とかいうような普通の景気浮揚手段を執らないくせに、なぜか結婚や子育てに関してはごくごく普通の(そして解決手段になり得ない)政策を執ってくる。
 謎。

 代わり映えしないし、これまでも似たようなことはやってきたのですからそれで少子化が解消するわけがない。
 結婚したら取得税減免とか、分譲住宅の優先融資とかそういう話じゃないのですよ。
 そもそも、実際の若年層失業率は25%とまでされている将来に向けての不安や、無限大にまで増大していくのではないかと思われるような教育費負担があるからこそ結婚、出産を諦めているわけで。
 因果が逆なのです。
 一般民衆が結婚しても大丈夫だし、出産しても問題ないくらいに経済的な支えがあればいいというだけ。

 充分な金か、もしくは将来に向けての展望がなければ少子化が進むしかない。
 それを「所得主導成長だ」とか「善の循環が完成する」だのバカみたいな経済政策しかしていないから、誰もが未来を恐れているのですよ。
 ムン・ジェインの支持率は70〜80%を行ったり来たりしていますが、この極度に進む少子化こそが本当の支持率とでもいうべき数字なのです。
 それでも夢を見たいのでしょうけどね……。

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