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所得主導成長

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韓国のIMF転落から20年、これからも韓国経済が絶望的な理由はこれ!

韓国IMF危機から20年、サムスンは大きくなったが…(JBPress)

 著者の玉置直司氏は日経新聞の元記者。JBPressで韓国系コラムを書いておられるかたですね。
 今回の記事は「IMF管理下転落から現在までの韓国経済のポートフォリオ」といったところでしょうか。
 3ページ目の30大財閥の行方とかすごいよなぁ……と改めて思いますね。
 IMF危機を機に、韓国社会は大きく変貌してしまった。

 社会全体で競争が激化した。一度、猛烈な人員削減で危機を乗り切った企業は、経営が悪化するとすぐに「雇用調整」に乗り出すようになった。

 社内競争はすさまじく激化した。いや、それ以前に、新規採用拡大にきわめて慎重になり、大学生の就職難は慢性的に深刻だ。正規職がどんどん非正規職に置き換わり、「質の高い働き場」は一向に増えない。

 一部の大企業は、業績が絶好調だが、なかなかこれが産業界全体に浸透しない。雇用も増えないとなれば、「好調な経済」を実感できるはずもない。

 IMF危機を比較的短期間で乗り切りはしたが、それは、雇用を痛め、一部の大企業への経済依存度を高め、経済格差を急拡大させるという副作用も生んでしまった。
(引用ここまで)

 この20年間というもの、韓国がやってきたのは「富の囲いこみ」なのです。
 ごく一部の既得権益者のみが富裕層として富を独占し、それを他に分け与えない。トリクルダウンを与えないというものだったのですね。
 こちらはヨーロッパで進んでいるタイプの「就職できたものは天国、そうでないものは地獄」というパターン。
 そして、その富の偏在のしかたはアメリカと同レベル(かつアメリカンドリームがほぼ存在しない)。
 やったね、欧米に追いついたじゃないですか(笑)。

 労働組合は既得権益を堅く堅く保持しようとして、ウリとナム化をさらに進める。
 ウリに入るためには労働組合にお金を払って正社員の椅子を買わなければならないというような状況になっている。まるで李氏朝鮮時代の両班戸籍の売り買いですね。

 ムン・ジェインがやるべきなのは、所得主導成長よりもこういった既得権益へメスを入れることなのですが。
 労働組合とムン・ジェインはなによりも堅いウリの絆で結ばれていますから無理なのです。
 労働組合にメスを入れることができないからこそ、それ以外の労働者の最低賃金を増やそうという方向性になっているということもできるかな。
 まあ、その結果が企業の海外脱出になるのは火を見るよりも明らかなのですが。
 歪みきったジェンガをぶっ壊さずに、指でつついて直そうとしているようなもんですよ。
 これまでなんとなく感じていたことがこのコラムを読んで言語化できました。

HGUC 1/144 RGM-89 ジェガン (機動戦士ガンダム 逆襲のシャア)
バンダイ
2009/8/7

ムン・ジェイン「韓国でドローンを製造すれば革新成長が可能だ」……やっぱり経済センスゼロだな

【社説】革新成長にJノミクスの命運をかけよ=韓国(中央日報)
きょう青瓦台で開かれる革新成長戦略会議は文在寅(ムン・ジェイン)政府の経済政策(Jノミクス)が成功に向かうか、失敗に終わるかのカギを握っている。当初取り上げられていた期待効果は姿を消し、後遺症を病んでいるJノミクスを補完できる決定的な転換点になることができるためだ。Jノミクスはそもそも雇用および所得主導、公正経済、革新成長を4本柱に設計されたが、雇用・所得主導という言葉が名ばかりで終わるほど成果はみすぼらしい。体感青年失業率は22%まで高騰し、韓国経済の下支えである輸出も半導体・石油化学の錯覚現象を除けば楽観することが難しい。

何より経済現場では所得主導成長という話が聞こえなくなっている。Jノミクスという名の下で最低賃金の急激な引き上げ、企業負担を考慮しなかった通商賃金、一律的正規職化などで経営にプレッシャーをかけながら、むしろ「職員を減らすべき状況であり、投資も難しくなった」という企業からのため息が溢れでる。労働市場は直ちに1カ月先に迫っている「最低賃金フォビア」で揺れ動いている。小商工人連合会は事業主10人中9人は最低賃金の引き上げのせいで従業員を縮小する計画だと調査されたと明らかにした。

このような経済の非常時期に開かれる革新成長戦略会議は現実を直視しなければならない。問題はここ6カ月間、絶えず追い込んできた雇用・所得主導および公正経済は基本的に雇用と投資の主体である企業に負担を与えるということから今後も成長につながる可能性が大きくないという点だ。企業の足首に砂袋を幾重にも巻き、いくら意見を提示しても「反省からせよ」という風に圧力の標的になっているから企業が投資と雇用を考慮する余裕があるわけがない。
(引用ここまで)

 「革新成長戦略会議」なるものが今日あったそうで。
 なんでも「民間主導、スピード重視、規制緩和、第4次産業革命」といったものを主体にするんだそうですよ。

200日目に浮かべた「革新成長」。文大統領、キム・ドンヨン副首相に注文した5つの宿題(ファイナンシャルニュース・朝鮮語)

 あまりにも「所得主導成長」の評判が悪いので、お為ごかしに「革新成長」とかいうお題目を述べた……というだけにしか見えませんね。
 いまさらドローンやるとか言い出してるし。

 なにしろ大統領本人が企業が嫌い、財閥なんてなおのこと大嫌い。
 統制経済が大好きな左派大統領ですから。
 事情さえ許せば韓国でもコルホーズ、ソフホーズをやりかねない人物なのですよ。
 上から経済政策を流せば、社会はその通りに動くはずだという確信の元に動いていますよね。

 まだ記事をピックアップしていないのですが、公的住宅を100万戸供給するというニュースがありまして。
 公共賃貸65万戸、公的支援民間賃貸20万戸、公的分譲15万戸。
 韓国の世帯数が2000万世帯だという話ですから、その5%に低価格な住宅を供給してしまう。
 本格的に不動産バブルを潰しにかかってきてます。
 本人は「高騰する不動産を安価に供給する」という「善意の政策」を施している気になっているのでしょうね。
 不動産は安く、賃金は高く。
 これでなんの問題があるのだというくらいのものなのでしょう。

 あ、でもなんか韓国の今年の経済成長率の予想が3.2%に上方修正されたそうですよ。

 半導体のスーパーサイクルが半端ないな……あ、いや。これこそ、ムン・ジェインの所得主導成長政策の成果ですよ。
 ひるむことなく、この方針のまま突き進んでいってほしいですね!
 もしかしたら深圳を上回るようなドローン製造都市ができるかもしれませんし?

ドローンビジネス参入ガイド
関口 大介 / 岩崎 覚史
翔泳社
2017/8/24

ムン・ジェイン「2020年までに最低賃金を1万ウォンにする!」→中小企業は補助金漬け、政府負担は1兆円規模!?

3兆血税で済ます最低賃金・・・キム・ドンヨン「1年で終わらない」(ソウル経済・朝鮮語)
最低賃金の高騰によって零細自営業者の経営難と大量解雇への懸念が大きくなると、政府が最終的には血税3兆ウォンを注ぎ込んで人件費を節約する処方を出した。さらにキム・ドンヨン副首相兼企画財政部長官は、「(賃金保全が)一年で終わらないだろう」と明らかにし、別の議論を予告した。

政府は9日、経済関係長官会議を開き、最低賃金引き上げの負担を軽減するために、合計2兆9,708億ウォンの資金を支援することにした。約300万人に恩恵がある。

サポート条件は、△30人未満の事業主△最低賃金遵守△支援申請当時、雇用保険加入などである。給料190万ウォン未満の労働者に1人当たり月13万ウォンまで支援する。政府はまた、雇用保険に加入していない場合にサポートを受けられない事例を減らすために、社会保険料も大幅に軽減ことにした。雇用安定資金(3兆ウォン)のほか、間接的なコストが追加で、よりかかることになる。

問題は、賃金保全が来年だけで終わらないという点である。金副首相は「少なくとも上半期に執行状況を見ながら、経済・財政条件等複合要因を考慮して適切に軟着陸する案を、来年に決めるつもりだ」と語った。数年はさらに支援するとのことですが、このような傾向が続けば、10兆ウォン以上の血税投入が避けられず、これをめぐる議論はさらに大きくなるものと予想される
(引用ここまで)

 ムン・ジェイン政権の「2020年には最低時給を1万ウォンにしてみせる」という意向によって来年の最低賃金は16.4%上昇します。
 額にして1060ウォン。日本円で時給100円のアップですね。
 でも、中小企業はそれに耐えられない構造になっています。特に地方はいま現在の6470ウォンだって払っているところは珍しいという状況。

 というわけで、3兆ウォンを負担して中小企業への補助金を支払うことに決定。
 最大月額でひとり13万ウォンまで負担。
 年間でひとり156万ウォンの負担。けっこうでっかいなぁ……。
 まあ、この政策自体は以前から公表されていたので、「バカだなぁ」くらいの感想しかないのですが。

 記事によると案の定、このバカな政策が1年切りでは終わらないことが判明しました。
 来年以降はさらに最低賃金は上昇する予定。2020年に1万ウォンという目標を達成するには年15%強の上昇が必要です。
 その上げ幅をすべて補助金で補うのであれば、3年後には1兆円規模の予算が必要になるであろうと。
 一度補助金を出した以上は、そう易々と切ることもできません。
 延々と1兆円規模の補助金を出し続けるんでしょうかね。

 ムン・ジェインは世界ではじめてとなる「所得主導成長」を提唱していて、こうやって補助金漬けでも最低賃金を上昇させれば人々が豊かになるのだと主張しているのですが。
 構造を変革しないで補助金漬けにしたところで、なにも起きないと思いますけどね。
 そもそもこの補助金が一番必要なのは地方のコンビニやカフェで働いているアルバイトだと思うのですが、「雇用人数が多いので対象にならない」だもんなぁ……。

専業主婦が資格をとって講師業を始めてから流れのままに補助金200万円をつかんで起業した話
林田玲子
金風舎
2015/11/5

意味のないばらまき経済政策にムン・ジェインがすべてを賭けなければいけない理由とは?

【中央時評】経済学原論と正反対の危険な所得主導成長(中央日報)
文在寅(ムン・ジェイン)政権は所得主導成長について「足を踏み入れたことがない道を行く」と述べた。それほど孤独な道だ。ごく少数が「信じる」仮説であり、科学的に検証されていないからだ。最近、青瓦台(チョンワデ、大統領府)は2人の海外貴賓に期待する姿だった。2人の権威を借りて所得主導成長論が公認されればよいという感じだった。その1人が国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事。しかし彼女は文大統領に会った後、「所得主導成長は一部プラスの側面があるが、バランスを維持して慎重にしなければいけない」と忠告した。IMFは韓国政府が主要理事国であり外交的発言に優れた国際機関だ。にもかかわらずラガルド専務理事が「慎重にすべき」と注文したのは間接的な警告と変わらない。共に訪韓したIMF専門家らは私的な席で「IMFが強調する包容的成長と所得主導成長は完全に違う概念」と一線を画した。続いて「4年前から韓国は最低賃金を毎年6.1−8.1%ずつ、世界で最も速いペースで引き上げてきたが、それほど経済が急成長したのか」と反問した。信じられないということだ。

青瓦台が祝福の洗礼を渇望したもう一人の貴賓はシュレーダー元ドイツ首相。ドイツ経済の成功神話を築いた主人公だ。所得主導成長論によると、シュレーダー元首相は経済危機当時、賃金を引き上げ、福祉も増やすべきだった。そうしてこそ家計の所得が増え、消費と投資が増え、経済が成長する。しかし2003年の「ハルツ改革」は所得主導成長と正反対だ。政労使の合意で実質賃金を減らし、福祉も縮小したのだ。その代わりドイツ企業は海外に進出せず国内に投資し、雇用を創出した。もし青瓦台がシュレーダー元首相から「所得主導成長は良い政策」という称賛を期待していたのなら恥知らずだ。 (中略)

問題は所得主導成長が一言で物理学の研究機関と同じ論理という点だ。賃金を上げれば経済が成長し、経済が成長すればまた賃金が上がるという、無限動力の反復だ。しかし歴史上、永久機関を発明したという多くのアイデアはすべて詐欺だった。 (中略)

『マンキュー経済学』145−146ページを見よう。「価格統制は助けようとする人に被害を与える場合が多い…最低賃金制で一部の勤労者の所得は増えるが、他の勤労者は職場をを失う」。マンキュー教授は「最低賃金が10%上がれば経済成長率が小幅下落し、青年雇用も1−3%減るという実証結果が学界に報告されている」と強調する。所得主導成長と正反対の結果が出るということだ。もし所得主導成長が韓国で科学的事実として立証されれば、経済学の教科書はすべて新しく書き直さなければいけない。

最近、青瓦台発の所得主導成長論が独走し、経済部処の官僚はうつむいている。韓国開発研究院(KDI)・産業研究院(KIET)・金融研究院も沈黙し、労働研究院出身者ばかりが次々と青瓦台に入っている。主要大学の経済学教授も口を閉じている。教授らは「所得主導成長論は信念であり、検証された経済学ではない。しかし企業や投資の重要性を言い出せば『積弊』にされないか心配」として黙っている。 (中略)

この政府はグリーン成長と創造経済に投入される税金は浪費で、公務員を増やすことに使う血税はよいと錯覚しているのではと疑問を感じる。いま韓国では経済学の教科書と正反対の危険な生体実験が行われている。間違えれば致命的な後遺症を招く。所得主導成長の暴走をしばらくやめて、経済学者の幅広い意見に耳を傾けることを望む。
(引用ここまで)

 昨日の1919年建国説のエントリで引用した記事に「最近、パク・ソンジン中小ベンチャー企業部長官候補が「1948年の建国を擁護する歴史観を持ち、ろうそく精神に合わない」という理由で与党の共に民主党から辞退を求められた」という文章があって驚愕したのですが。
 ろうそく精神に合一しないと閣僚になれないのですよ。
 いわばろうそく革命に対する反革命派は、ムン・ジェイン政権では登用されないという宣言だったのですね。

 すなわち、現在の韓国においては歴史観では1919年建国説に跪かなければならない。
 そして、経済では所得主導成長説を奉じなければならないのですよ。
 どちらの説に背いても「反ろうそく革命主義者だ!」と叩かれて、社会的に高く吊されるかギロチンにかけられることでしょう。
 THAADミサイルを配備した際にも韓国国民の多くは支持していましたが、その一方で「ろうそく革命を裏切ったな!」という声も少なからずありました

 そして、ろうそく革命の元締めであるムン・ジェインはポピュリストとして中小企業かそれ以下に属する国民の大半が所得を増やす方向に行くしかないのです。
 なにしろ雇用は30大財閥で1.6%100大財閥にまで拡大しても4%しかないのです。100大財閥の末尾のほうなんてほとんど中小企業と変わらないのですけどね……。

 財閥に所属する人間だけが高収入になる韓国の経済構造として固定されている。
 なので「所得主導成長」が実効性のある政策であるかどうかに関わらず、主義として導入しなければならないのですよ。
 政府予算からばらまきまくるしかない。ヘリコプターマネーのように。
 「コンクリートから人へ」で公共事業否定聖公約である時給1万ウォンの実現。福祉の充実(財源はチェ・スンシル関連予算
 まあ、こんな手法で経済成長ができるのであれば、ありとあらゆる国がその手法を採用していると思いますけどね。
 資源国でそこら辺にパイプを差せば原油が出てくるとか、そこら辺の山肌を掘っただけで金や宝石が湧き出てくるっていうのであれば話は別でしょうが。

 それでも楽韓Webはムン・ジェイン政権を応援しています。
 こんなバカな経済政策が5年間も続けられたらどんな末路を辿るか結果になるのか見てみたいですしね。

はじめての経済学〔上〕 (日経文庫)
伊藤元重
日本経済新聞出版社
2004/4/15

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