立川志らく 第二十四回 続・志らく百席
横浜にぎわい座
1月15日(水)

手紙無筆 立川志らべ 19:00~
堀の内 立川志らく
百川 立川志らく
(仲入り)
井戸の茶碗 立川志らく ~21:15
「堀の内」で落語史上初のサゲのパターンを披露するも、「百川」で痛恨のミスをしてしまった志らく。貴重な高座を体験できました。
横浜にぎわい座
1月15日(水)

手紙無筆 立川志らべ 19:00~
堀の内 立川志らく
百川 立川志らく
(仲入り)
井戸の茶碗 立川志らく ~21:15
「堀の内」で落語史上初のサゲのパターンを披露するも、「百川」で痛恨のミスをしてしまった志らく。貴重な高座を体験できました。
日曜日の談慶、昨日の談笑、そして本日の志らくと、新年早々、立川流の3連発となりました。
まずは1年ぶりに聴く志らべは「手紙無筆」。
「そんな無筆の方にはスーパーラーニングはいかが?」、相撲を仕切りから楽しむのではなく大相撲ダイジェストで見れば満足かと問われると「寄席も前座から楽しむことにしてます」。ひとひねりのきいたくすぐりが効果的で笑いが徐々に大きくなりました。
談笑と志らく、それぞれの弟子は、家元よりも師匠のDNAを引き通でいるようで、新時代の立川流が育っています。
志らくは昼間、ラジオの収録でモデルが司会の番組に出演。で、このモデルが落語をまったく知らないのに「談志師匠のイリュージョン落語ってどういうものですか?」なんていう質問を連発。そんな番組が、今月末の朝5時からオンエアされるそうです。
亡くなったやしきたかじんの番組に出演した家元が途中で怒って帰ったエピソードの紹介から、小さんにデコピンをくらわせた談志伝説の数々の披露で笑わせる。
さらに、小1の時、父親が初めて連れて行ってくれた映画が「猿の惑星」。字幕も読めず、よくわからなかったけど、猿の顔が恐くてトラウマになった…。
その「猿の惑星」の最後は、映画史に残る名場面だけど、致命的な穴を発見!
実は、この映画の登場人物はそそっかしいという、ちょっと強引なふりから「堀の内」。昨日の談笑と重なりました。
高円寺の御祖師様が「高円寺の王様」となってしまい、それが「王様と私」、「ゆるゆるのプリン」「ユル・ブリンナー」と、強引な映画くすぐりが炸裂します。
御祖師様に向かう途中も、ポストを見て「真っ赤、共産党の人かと思った」、「シマウマが寝てるのかと思ったら横断歩道だった」とシュールなくすぐりが続きます。
志らくの「堀の内」は、女房もそそっかしい亭主に負けず劣らずのノリのよさで、噺をクレイジー度をレベルアップ。
そしてサゲは、壁の絵を見て「富士山がある。三保の松原がある…こんな日本に誰がした!?」。
私には意味がよくわからなかったのですが、一度、ソデに下がった後、高座に戻って、「落語のサゲにはいろいろなパターンがありますが、初の『猿の惑星オチ』でした。もう二度と演ることはないと思います」と解説。
「猿の惑星」の最後で、自分がいたのが地球であることに気づいて驚く場面を再現したのでした。映画好きの志らくらしい発想ですが、ちょっと無理があったかもしれません。
二席めの「百川」は、一席めの流れから百兵衛の「うひゃ」という奇声や表情が猿に見えて仕方がない。意識したわけではないと思いますが、絶妙のつながりを感じました。
百兵衛が百川の主人から生まれを尋ねられると、自分の田舎では年に2回、祭りがあると紹介。冬は10日間お地蔵さん格好で雪の中でじっとしてる地蔵祭り、夏はひょっとこの顔をして3日間踊り狂うひょっとこ祭り。意味不明な祭りの説明をプラスして、他の噺家が演る百川とテイストをずらしていきます。
百兵衛の発する絶妙ななまりで盛り上げていくのですが、「かめもじ師匠のところに行って」のあと、「薬籠」と言ってしまう痛恨のミスが発生。
さすがにそのまま続けることはできず、「思わず仕込みを先に言っちまった。せっかく良い調子でここまできたのに…」となんとかミスを笑いに変えていきますが、かめじ先生が薬籠の持っていくように言う場面では、「一番大事なところがウケない」とボヤきます。
客としては珍しいミスに遭遇してうれしい気分もありますが、きっと本人は落ち込んでの仲入りです。
後半は、言い間違えが起こった背景を演者の立場から解説。直前の言葉を一瞬忘れたけどなんとか思い出し、ホッとしたところにエアポケットがあったとのこと。
そして、正直者が3人集まると話がこんがらがると「井戸の茶碗」。
千代田の娘・お糸が「とうとう米がなくなりました。かくなるうえは私が吉原に身を売って…」と父に言う。すると「いや、自分が太鼓持ちになって…」と、入口からクレイジーな世界を展開。娘が活躍するのも志らくの「井戸の茶碗」の特徴です。
清兵衛は千代田のことを「まさにこれが貧乏という暮らし」と言い、「自分も正直だけど、あなたは正直の種類が違う。バカ正直だ」と正直に本音をもらし、正直者が話をややこしくすることを強調。
千代田は150両を素直に受け取り、「先方にさしあげたい物があります」と自分から娘を嫁にと言い出し、会ったことのない高木を褒める。清兵衛も、「今回のことで自分勝手な連中だと侍が大嫌いになりましたが、いまの言葉で胸が熱くなりました」、正直に語って、こんがらがった話もハッピーエンドに。
本日の3席も、くすぐりが満載。どんな噺も明るく楽しく、そして聴いた人に重い印象を与えず、あくまで落語を軽く頼んでもらう。そんな志らくのサービス精神が一杯でした。
まずは1年ぶりに聴く志らべは「手紙無筆」。
「そんな無筆の方にはスーパーラーニングはいかが?」、相撲を仕切りから楽しむのではなく大相撲ダイジェストで見れば満足かと問われると「寄席も前座から楽しむことにしてます」。ひとひねりのきいたくすぐりが効果的で笑いが徐々に大きくなりました。
談笑と志らく、それぞれの弟子は、家元よりも師匠のDNAを引き通でいるようで、新時代の立川流が育っています。
志らくは昼間、ラジオの収録でモデルが司会の番組に出演。で、このモデルが落語をまったく知らないのに「談志師匠のイリュージョン落語ってどういうものですか?」なんていう質問を連発。そんな番組が、今月末の朝5時からオンエアされるそうです。
亡くなったやしきたかじんの番組に出演した家元が途中で怒って帰ったエピソードの紹介から、小さんにデコピンをくらわせた談志伝説の数々の披露で笑わせる。
さらに、小1の時、父親が初めて連れて行ってくれた映画が「猿の惑星」。字幕も読めず、よくわからなかったけど、猿の顔が恐くてトラウマになった…。
その「猿の惑星」の最後は、映画史に残る名場面だけど、致命的な穴を発見!
実は、この映画の登場人物はそそっかしいという、ちょっと強引なふりから「堀の内」。昨日の談笑と重なりました。
高円寺の御祖師様が「高円寺の王様」となってしまい、それが「王様と私」、「ゆるゆるのプリン」「ユル・ブリンナー」と、強引な映画くすぐりが炸裂します。
御祖師様に向かう途中も、ポストを見て「真っ赤、共産党の人かと思った」、「シマウマが寝てるのかと思ったら横断歩道だった」とシュールなくすぐりが続きます。
志らくの「堀の内」は、女房もそそっかしい亭主に負けず劣らずのノリのよさで、噺をクレイジー度をレベルアップ。
そしてサゲは、壁の絵を見て「富士山がある。三保の松原がある…こんな日本に誰がした!?」。
私には意味がよくわからなかったのですが、一度、ソデに下がった後、高座に戻って、「落語のサゲにはいろいろなパターンがありますが、初の『猿の惑星オチ』でした。もう二度と演ることはないと思います」と解説。
「猿の惑星」の最後で、自分がいたのが地球であることに気づいて驚く場面を再現したのでした。映画好きの志らくらしい発想ですが、ちょっと無理があったかもしれません。
二席めの「百川」は、一席めの流れから百兵衛の「うひゃ」という奇声や表情が猿に見えて仕方がない。意識したわけではないと思いますが、絶妙のつながりを感じました。
百兵衛が百川の主人から生まれを尋ねられると、自分の田舎では年に2回、祭りがあると紹介。冬は10日間お地蔵さん格好で雪の中でじっとしてる地蔵祭り、夏はひょっとこの顔をして3日間踊り狂うひょっとこ祭り。意味不明な祭りの説明をプラスして、他の噺家が演る百川とテイストをずらしていきます。
百兵衛の発する絶妙ななまりで盛り上げていくのですが、「かめもじ師匠のところに行って」のあと、「薬籠」と言ってしまう痛恨のミスが発生。
さすがにそのまま続けることはできず、「思わず仕込みを先に言っちまった。せっかく良い調子でここまできたのに…」となんとかミスを笑いに変えていきますが、かめじ先生が薬籠の持っていくように言う場面では、「一番大事なところがウケない」とボヤきます。
客としては珍しいミスに遭遇してうれしい気分もありますが、きっと本人は落ち込んでの仲入りです。
後半は、言い間違えが起こった背景を演者の立場から解説。直前の言葉を一瞬忘れたけどなんとか思い出し、ホッとしたところにエアポケットがあったとのこと。
そして、正直者が3人集まると話がこんがらがると「井戸の茶碗」。
千代田の娘・お糸が「とうとう米がなくなりました。かくなるうえは私が吉原に身を売って…」と父に言う。すると「いや、自分が太鼓持ちになって…」と、入口からクレイジーな世界を展開。娘が活躍するのも志らくの「井戸の茶碗」の特徴です。
清兵衛は千代田のことを「まさにこれが貧乏という暮らし」と言い、「自分も正直だけど、あなたは正直の種類が違う。バカ正直だ」と正直に本音をもらし、正直者が話をややこしくすることを強調。
千代田は150両を素直に受け取り、「先方にさしあげたい物があります」と自分から娘を嫁にと言い出し、会ったことのない高木を褒める。清兵衛も、「今回のことで自分勝手な連中だと侍が大嫌いになりましたが、いまの言葉で胸が熱くなりました」、正直に語って、こんがらがった話もハッピーエンドに。
本日の3席も、くすぐりが満載。どんな噺も明るく楽しく、そして聴いた人に重い印象を与えず、あくまで落語を軽く頼んでもらう。そんな志らくのサービス精神が一杯でした。