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先週、「ワールドビジネスサテライト」という番組でキャノン電子の酒巻社長がおすすめの本として山岸先生の「日出処の天子」を薦めたそうだ。
作者が歴史を丹念に調べ、史実を忠実に描くことで、説得力を持たせつつ、物語は独創的かつ奔放な発想で展開していくところが素晴らしいとのこと。この発想を社員にも見習ってほしいそうだ。
2010年、大企業の社長が、約30年も前の少女漫画を全国ネットで推薦するとは驚きだ。ファンの私はなんだか嬉しい
『日出処の天子(山岸凉子著)』
中高学生くらいの時、この漫画を夢中で読んだ。当時はまりすぎてセリフまで覚えていたほどだ。30年近くたっても今だに折にふれ頭に浮かぶ自分におののくこの漫画で難しい漢字も覚えた。郎女、女孺、魑魅魍魎、私部、、などなど数え切れない。今も私の教養の一部として役立っている、・・・かも・・・。
先日、奈良の池辺で花のイベントあったと聞いて、もしやそれは”池辺のなみつきの宮”のあった場所?などと思いをめぐらせてしまった。後遺症だな。
(90年代以降あまり漫画は読んでないが)、なかなかこれ以上の作品には出会えない。私の中ではダントツNO.1の名作だ。この作品だけは嫁入り先に持ってきてしまった。
大人になってからも何年かに一度読み返しているが、その度にこの世界に吸い込まれてしまう。胸を深くえぐられ、何日間かは後を引く。
しかし、そうは言っても、ここもう何年もこの作品を読み返していなかった。しかしある時、mixiで「日出処の天子」のコミュニティをたまたま見つけた。ついうっかり懐かしくなり覗いてしまった。皆さんの書き込みを読むと、「あ~わかるわかる、なつかし~」と、タイムスリップした気分。中には、「お母さんに薦められてファンになりました」という若い人も。また、「昨年、念願の奈良へ行きました」と書いている人もあり、「え?今?平成22年の今?」と驚いた。
名作はいつまでも読みつがれるんだね。
またそこでは、先生が最近まで連載していた『テレプシコーラ』話題がちらほら。何やら面白そう。つい買って読んでしまった。ストーリーは噂に違わず読み応えがあり、どんどん引き込まれていった。絵は随分変わり、荒さが目立つのは残念だが、ドライな絵のなんともいえない余韻は今も健在。
そして!謎の登場人物ローラの容貌があの厩戸王子にそっくり!彼女からも厩戸同様目が離せなかった。これは先生の往年のファンへのファンサービス?いや巧みな営業戦略?ローラを見たら、必然的に厩戸王子に会いたくなる。
結局、戦略(?)にはまり、再び『日出処の天子』を手に取った。
本は4半世紀前のもののため、黄ばみや痛みが目立つ。もう他人には貸せないなあ。
深く重い内容なので、読み返そうと思う度、いつも最初は「さあ、読むぞ!」という意気込みがいる。また、あの世界観をしっかり味わうためには、最初から一気読みが基本だ。どうも「この辺りだけ読もう」という気になれない。中高生の頃、何十回も読んだせいか、セリフの随所に覚えがある。とても懐かしい。ただ、これも問題だ。あまり読みすぎると新鮮さがなくなってしまう。読み直すのは何年かに一度にしないと!
これだけこの漫画を絶賛したものの、他人に「この漫画面白いよ」と薦めるのはちょ~っと勇気がいる。そこんとこ、キャノンの社長はエライ!
だって、設定がトンでもないんだもの。聖徳太子が同性愛、マザコン、冷酷非道、姑息な手段も厭わず、恋に破れたら母似の気狂い女児に愛を求め、、、。普通、これだけ聞くとちょっとキワモノっぽい話?と思うわな。
でもこんな奇抜な設定にも関わらず、読み進むといつしか魅せられ、どんどん物語に引きずりこまれていく。主人公厩戸王子を緻密にリアルに描きつつ、史実を上手~く絡めているため、最後にはこのトンでもない設定が逆に悲壮感を際立たせ、これしかないというくらいの説得力を帯びていくのだ。
数ある歴史創作漫画の中でも傑出している作品だと思う。
今さらだけど、『日出処の天子』感想 書いてみました⇒
厩戸王子、守屋討伐ゆかりの奈良・信貴山(毘沙門天を彫り戦勝祈願した山)の記事はこちら⇒
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