金原ひとみさんの『蛇にピアス』と同時に芥川賞を
受賞した作品です。随分とメディアに登場したので
名前位はご存知の方も多いのではないでしょうか?
蹴りたい背中
綿矢りささんは19歳。史上最年少での受賞ですね。
TVや雑誌で見る綿谷さんはさらに若く見え、少々
ななめな感じの金原さんとは対照的です。なんか
ストーカーが出てきたとかで人気者はツライですな。
『蹴りたい背中』は金原さんの作品のような濃い目の話
ではありません。もう実にアリキタリな女子高校生の
ゴク々日常的なお話です。ここらで読みたい人とそうでない
人に分れそうですね。

さて、そんな普通な背景の小説のお味の方ですが。。。
主人公は陸上部に所属する高校1年生。クラスに馴染めない
というか馴染まないようにしていて、そんな自分を強く
意識してもいる。同じように輪から浮いた男の子が一人いて
これがある女性モデルの大ファンで、授業中にそのモデルが
載ってる女性誌を読むような。。。まあオタクなんですね。
その女性誌に載ってるモデルに主人公が会ったことがあるところ
からその男の子との妙なる付き合いが始まります。お家に行ったり
もしますが、エッチなところは全く無く、カラーは違うけど、
尾道3本立てのような雰囲気もあります。ここらの描写が細かい。
この小説には、もう一人の登場人物がおり主人公の中学時代
の友達で、同じクラスなんだけど高校に入ってから、他の人と
グループを作っています。新しい輪の中に入っていく友人と
少々捨てられた気持ちの主人公の微妙な関係が面白いですね。
-------------ちょっとした思い出話------------------------------
会社勤めをしてた頃にあった話ですが。。。
女性社員がいつも同じ面子で飯を食べるのを見るので、
『いつも同じメンバーでツマラナイ?』って聞くと
『いや、××さん(私)、本当はそんなに仲良くない子もいる
けど、最初に昼飯食べたグループはずっと続くんですよ』との答えに
『でも、結婚して止めていく子とかいたらどうするの?』とのQに
『その時は他のグループに吸収されてくんです。止めてく子が
さりげなく他のグループに打診してうまくまとめるんですよ』とAns、
『ウーン、企業のM&Aみたいだね。』と私、
『それ分りませんが、立つ鳥後を濁さずです。大変なんですよ』と
含蓄のある言葉で締めくくれました。
-------------------------------------------------------
主人公の友人はことあるごとにグループに誘いますがが、
『私は中学時代のように迎合して悩むようなことはしたくない』と
の自らの基本方針に従いグループには入りません。
どこのグループにも属さないオタクな彼には、男性として引かれる
とこはないけど、共感というのでもないむず痒い親しみまでいかない
強い何かを感じ始めます。モデルの女の子に夢中な男の子にその
気持ちを抑えられず男の子の背中をキックするシーンがあるんですが、
ここらはいいですね。ニュアンスは違ってるけど、好きな
女の子イジワルした男の子の気持ちと一脈通じるものもあるかな。
そんなこんなで過ぎて行くのですが、ある時オタクの男の子が
モデルの子のコンサートに主人公を誘います。強いファン心理から
4枚もチケットを買ってしまったので、主人公の先程の友人?も
行くことになります。主人公が友人を誘いOKしてもらうまでの
描写はいいですね。コンサートが終わり遅くなり過ぎてオタク
の男の子の家に泊まることになるんですが、夜また例のキック
をすることになります。想いが強く出てるね〜

はっきり言ってこれが芥川賞?ってな作品ですが、気持ちの描写が
なんか良くそこらに1票入れたいですね。私は読んで良かったと
思っています。(短いんで1時間もあれば読めます)
りさちゃんが激しく失恋した時の小説を読みたいですな。