無実の罪で終身刑にされた真面目な銀行家が 30年の時をかけて刑務所を脱獄する物語...
久しぶりに読んだお気に入りのキング作品を紹介します。

ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編
ショーシャンクの空に

以前ブログした『スタンド・バイ・ミー』でも触れましたが 『刑務所のリタ・ヘイワース』はS・キングの『恐怖の四季(Different Seasons)』 シリーズ の春編になります。
秋編の『スタンド・バイ・ミー』同様、キングには珍しくホラー小説 ではありません。
原題は『Rita Hayworth and Shawshank Redemption』で 直訳すれば『リタ・ヘイワースとショーシャンク(刑務所)でのことの償却』 にでもなるんでしょうか。
※小説表紙の少年は夏編の『ゴールデン・ボーイ』でこちらは 異色の怖さが

この小説はフランク・ダラボン監督ティム・ロビンス主演で 映画化もされました。『ショーシャンクの空に』が題名ですがTVでも放映 されたので小説よりも有名かもしれません。 物語は映画の中でモーガン・フリーマンが演じた刑務所内の調達屋レッドが 語り始める形でスタートします。
※顔に人生が刻み込まれているモーガン・フリーマン、 まさにハマリ役でしたね。

主人公の銀行家アンディー・デフュレーンは妻と浮気相手のゴルファーを 殺害した罪で終身刑となりショーシャンク刑務所に入れられます。
腕力とは無縁のアンディーは刑務所特有の様々な暴力や理不尽さに モロに直面します。避けようのない男色家や暴力看守達との対決は 容赦なく続きますが大抵の人間は心を凹ましてしまうヒドイ目にあっても 彼は心の骨を折りません。
刑務所という極めて行動に制約がある空間&時間の中で アンディーは自分に何が出来るのかを真摯に考え 智恵を振り絞り様々な物事を時間をかけて改善していくのです。

象徴的な場面は幾つかあるのですが 特に記憶に残っているのは...
アンディーが税金に悩む鬼看守を金融専門家としての知識をふる活動して篭絡し、 仲間の囚人達にビールをご馳走させるまでに至る場面ですね。
僅かな休憩の間に日向ぼっこをしながらぬるいが確かにホンモノの ビールを飲む場面は”人らしい生活とは何か”いうものを読み手の 肌身に感じさせるものがあり初めて読んだ時いらい記憶に残っています。

やがて『リタ・ヘイワース』のポスターに絡んだアンディーの脱獄 からレッドへの手紙へと続くラストに繋がるのですが...
読後の爽快感には、学生時代に初めて読んだ時とは違った新鮮さが あり、大変気持ちの良いものでした。
”脱獄もの”というありそうな話をここまで引っ張り 何度も読むに価する小説に仕立て上げるキングの筆力はツクヅクたいしたもん 思わざるを得ません。

さてさて
会社が牢獄のように感じるサラリーマンのお父さんやお兄さん
日常に閉塞感を感じているお母さんやお嬢さん
深まる秋の中で(小説は春編だが日本の気候では秋に合いそうなんで)ホラーではないキングの小説に時間を預けるのは いかでしょうか?
今後飲むビールの味も一味違うものになるかもしれませんよ。
※映画もかなりの出来でレンタル料に払って見る価値あり