2008年11月12日

「聖女の救済」 東野圭吾

ドラマや映画にもなった
「ガリレオ」先生の新刊・長編ヴァージョン(同時発売の短編集「ガリレオの苦悩」は先にUP済み。出版社恐るべし)です。


さて。
「聖女」とは誰のことを示すのか。
『こどもが出来ないことで離婚を切り出したIT企業の社長が毒殺された時、美貌の妻には完璧なるアリバイがあった。誰がどうやって彼に毒を飲ませる事が出来たのでしょう?』
という粗筋なんですが、ラムネには彼女が「聖女」とは思えないんですね。
草薙、騙されているぞ、と真犯人が判る前からムカつきがこみ上げて仕方ありませんでしたよ
女優さんだと石田ゆり子さん辺りがラムネの真柴綾音のイメージなんですが、
「男って、こういう可憐で大人しく耐える風情で、でもきっと芯は強いんだよ。に惹かれる」んですよね。

実際に間近に存在したとしても、お友達にはしたくないタイプ。
でも「底力」を表に出さないから、腹の中は怖いって見抜けないかもね。


愛憎絡みとしては、「容疑者Xの献身」に引き続き。長編だからこそ、こういう心理面を深く描いたんでしょうか。
草薙が愛に苦悩する分、内海が冷静に的確に湯川准教授の相方になっていて話は進んで行くのですが、ラストで、きっちり「男」を見せた草薙は、エリートだから、というより、理系推理小説の登場人物だな、と思いました。
(でもいつの間に「あれ」を持ってたんだろう?ちょっと憐れかも)


それにしても。
犯人は「完全犯罪」を目論んで、のトリックだとは思えないんですよね。
天才ガリレオ湯川が挑んでも超難関だったトリックなんだから、狙ったとは絶対に思えない。
もちろん、証拠隠滅も図っているし、すぐにはばれないようにと考えただろうけど、たまたま「虚数解」になったんじゃないかなあ。

と、したら。
「残りの毒」はどこにいったんでしょう。
「毒」を手に入れた方法は判ったけど、残りは処分したのか、持ち歩いてたのか、全部使っちゃったのか、とか。

気になりませんか?

もしもラムネが犯人だったらひとり分持っておいて、発覚したら、飲んで後を追うんじゃないかと思うんだけど
ただし、毒殺された社長にまだ愛情を持っていたら、の、話。
もう愛なんか冷めてしまってたら、そもそも毒殺なんかしないだろうし。
まあ、ラムネのような小市民にはひとを殺そうって気持ちがそもそも判らないからねえ。
なんで犯人が殺人を犯すのか、あの理由だけでは希薄過ぎる気がしました。
ただ、社長の女性に対する目線は、彼の子供時代を考慮に入れても酷過ぎます。そんな奴に、これからの人生を棒に振るリスクを負ってまで、入れ込む価値ないと思いますよ


『恐竜の化石』(P212)の話は良かったなあ
戒められました。
ラムネも目に見える「骨」に夢中になる分、周りを軽く見過ごす方なので、肝心なものを見極める「眼」を使うことが大切ですね。



湯川×草薙萌え、っていったら、いまさらなのか、投石モノなのか。(ビジュアルが福山×北村だからOKなんですが)
P298〜P299で、ふたりの根底にある揺るぎない友情と信頼にうっとりでした


「ガリレオ」シリーズ。
まだまだ続きそうですが、テレビみたいに安易に湯川と内海の恋愛に走らせないで欲しいなあ。
小説の内海は、オトコマエでカッコイイ姐さんです。びしびしいっちゃってください

ramunetea at 15:45 この記事をクリップ!