研究開発マネジメントノート

研究開発とそのマネジメントについてのいろいろ

2012年09月

参考書・文献・読書録まとめ(2012.9.30版)その1

今までいろいろな参考書、文献から引用や内容の紹介をさせていただきましたが、どの記事で、どの文献のどんな記述に興味を持って引用したかをまとめておきます(前回まとめは、2012.3.18)。ほぼ書いた記事に登場した順ですが、関連のある文献はまとめました。なお、記事でごく簡単にしか触れていないものは除いていますので、私が印象深く思った参考文献のリストにもなっています。特に重要だと思う文献には一口コメントをつけ、記事へのリンクもつけました(データ容量の関係で同じ記事へのリンクは初出の1ヶ所のみとさせていただいています)。ご参考になれば幸いです。


リストの形式は以下のとおりです。

文献名(翻訳書は訳者を省略、原著の発表年または論文等の掲載書誌事項を付記)

 紹介・引用した記事題名(投稿日):そのトピックス(太字は比較的詳しい引用・まとめ)

 一口コメント(あれば)

丹羽清、「技術経営論」、2006

 はじめまして(2010.3.21):技術経営は未確立

 ノート1「どんな研究が必要なのか」(2010.3.22):イノベーション定義

 ノート2「研究の不確実性をどう考えるか」(2010.3.27):セレンディピティー

 ノート3「研究と競争相手」(2010.4.3):技術の普遍性

 ノート5「研究部門に求められるテーマ」(2010.4.17):オープンイノベーション批判

 ノート6「研究部門が実施したいテーマ」(2010.4.24):カップリングモデル

 ノート8「研究者の適性と最適配置」(2010.5.8):研究者の個性

 ノート9「研究組織の構造」(2010.5.15):事業志向組織とマトリックス組織、トップダウンとボトムアップ

 ノート12「研究プロジェクトの運営管理」(2010.6.5):評価強調の危険性

 ノート14「研究成果の転用」(2010.6.19):特許戦略、ナレッジマネジメントの行き詰まり

 「オープン・イノベーションは使えるか?」(2011.1.10):オープンイノベーションの難しさ

 「理系と文系、とイノベーション」(2011.5.1):考え方の違い

 一口コメント:技術経営の全体感をつかむならこの本がおすすめです。

丹羽清、「イノベーション実践論」、2010

 ノート11「研究組織運営におけるリーダーの役割」(2010.5.29):異端技術者の活用

 ノート14「研究成果の転用」(2010.6.19):総合力発揮の方法

 「オープン・イノベーションは使えるか?」(2011.1.10):オープンイノベーションの難しさ

 一口コメント:上記「技術経営論」の補遺的。

後藤晃、「イノベーションと日本経済」、2000

 ノート1「どんな研究が必要なのか」(2010.3.22):イノベーション定義

Tidd, J., Bessant, J., Pavitt, K.、「イノベーションの経営学」、2001

 ノート1「どんな研究が必要なのか」(2010.3.22):イノベーション、イノベーションマネジメント

 ノート3「研究と競争相手」(2010.4.3):ポーターの競争の枠組み

 ノート5「研究部門に求められるテーマ」(2010.4.17):技術が企業に与える信用

 ノート6「研究部門が実施したいテーマ」(2010.4.24):テクノロジー・プッシュ、ニーズ・プルの調和

 ノート8「研究者の適性と最適配置」(2010.5.8):異質な人材

 ノート9「研究組織の構造」(2010.5.15):最適な組織特性は存在しない、ネットワーク組織

 ノート10「研究組織の望ましい特性と運営」(2010.5.22):イノベーションに重要な組織構造以外の要素

 ノート11「研究組織運営におけるリーダーの役割」(2010.5.29):ゲートキーパー

 ノート12「研究プロジェクトの運営管理」(2010.6.5):様々な評価法が必要

 一口コメント:技術経営の主要トピックスを網羅。現在は新版(第4版)あり。

Christensen, C.M.、「イノベーションのジレンマ」、1997

 ノート4「企業の収益源となる研究テーマの設定」(2010.4.10):イノベーションのジレンマ

 ノート9「研究組織の構造」(2010.5.15):破壊的技術は小規模な組織に任せる

 ノート12「研究プロジェクトの運営管理」(2010.6.5):最初の戦略は間違っている

 「リバース・イノベーション」(2010.10.17):破壊的技術はそれを求める顧客を持つ組織に任せる

 「科学技術と社会の関わり、これからのイノベーション」(2011.7.18):ニーズを超えた技術の発展

 「苦しいときの技術開発頼み」(2011.9.4):製品品質向上が企業の地位を脅かす

 一口コメント:技術経営を考えるなら必読。

Christensen, C.M, Raynor, M.E.、「イノベーションへの解」、2003

 ノート1「どんな研究が必要なのか」(2010.3.22):技術だけでは成功できない

 ノート2「研究の不確実性をどう考えるか」(2010.3.27):創発的プロセス主導が望ましい

 ノート4「企業の収益源となる研究テーマの設定」(2010.4.10):破壊的、持続的イノベーション、ローエンド破壊、新市場型破壊

 ノート11「研究組織運営におけるリーダーの役割」(2010.5.29):経験から学ぶリーダー

 「リバース・イノベーション」(2010.10.17):ローエンド破壊、価値基準、上級役員の役割

 「エスノグラフィーとイノベーション」(2010.12.19):片づけるべき用事

 一口コメント:「イノベーションのジレンマ」続編。これも重要な指摘が多いです。

Christensen, C.M, Anthony, S.D., Roth, E.A.、「明日は誰のものか」、2004

 ノート4「企業の収益源となる研究テーマの設定」(2010.4.10):破壊的、持続的イノベーション、ローエンド破壊、新市場型破壊

Anthony, S.D., Johnson, M.W., Sinfield, J.V., Altman, E.J.、「イノベーションへの解実践編」、2008

 ノート4「企業の収益源となる研究テーマの設定」(2010.4.10):破壊的、持続的イノベーション、資源の80%は持続的改良に配分すべき

 ノート5「研究部門に求められるテーマ」(2010.4.17):安定した中核事業がイノベーションの前提

 ノート9「研究組織の構造」(2010.5.15):研究組織を支える組織

 ノート12「研究プロジェクトの運営管理」(2010.6.5):最初の戦略は間違っている、創発的戦略

 ノート14「研究成果の転用」(2010.6.19):古いアイデアの活用

 「リバース・イノベーション」(2010.10.17):組織の自律性、チームと他組織インターフェースの管理

 「エスノグラフィーとイノベーション」(2010.12.19):片づけるべき用事

 「研究開発におけるスピードと俊敏さ」(2011.2.13):間違った方向に全速力で走る危険性

 一口コメント:クリステンセン著ではありませんが関係者の著書ですし、破壊的イノベーション実践の手引として役に立ちます。

Brown, B., Anthony, S.D.、「P&Gニュー・グロース・ファクトリー イノベーションの成功率を高めるシステム」、Diamond Harvard Business Review、2011

 「P&Gのすごさ-ニュー・グロース・ファクトリー」(2011.11.20):破壊的イノベーションの実践

Dyer, J.H., Gregersen, H.B., Christensen, C.M.、「イノベーターのDNA」、Diamond Harvard Business Review、Apr. 2010、p.36.

 「イノベーターのDNA」(2011.5.15):上記文献のまとめ、創造性あふれるリーダーの特徴

 「事業創造人材とは」(2011.10.16):事業創造人材との比較

Dyer, J., Gregersen, H., Christensen, C. M.、「イノベーションのDNA 破壊的イノベータの5つのスキル」、2011.

 「イノベーションのDNA」(2012.4.15):この本のまとめ、イノベーター、イノベーティブな組織の特徴

Collins, J.C., Porras, J.I.、山岡洋一訳、「ビジョナリーカンパニー」、1994

 ノート10「研究組織の望ましい特性と運営」(2010.5.22):ビジョンの重要性

 ノート12「研究プロジェクトの運営管理」(2010.6.5):大量のものを試し、うまくいったものを残す

 正しい現場主義と研究開発」(2012.4.8):時を告げるのではなく時計をつくる

Collins, J.、「ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則」、2001

 ノート1「どんな研究が必要なのか」(2010.3.22):技術が飛躍や没落の原因ではない

 ノート8「研究者の適性と最適配置」(2010.5.8):人を選んでから目的を考える

 ノート10「研究組織の望ましい特性と運営」(2010.5.22):針鼠の概念

 一口コメント:ビジョナリーカンパニーシリーズではこの本が最も重要と思います。

Collins, J.、「ビジョナリーカンパニー③衰退の五段階」、2009

 「ビジョナリーカンパニー3 衰退の五段階」(2010.9.20):この本のまとめ、Rozenzweigの批判評価

 「技術を維持する-イノベーションの負の側面への抵抗」(2010.11.14):イノベーションに注力しすぎて失敗した例

 「苦しいときの技術開発頼み」(2011.9.4):一発逆転の追求



その2へ、その3へ、その4

参考書・文献・読書録まとめ(2012.9.30版)その2

Roberts R.M.、「セレンディピティー」、1989

 ノート2「研究の不確実性をどう考えるか」(2010.3.27):セレンディピティー

 ノート5「研究部門に求められるテーマ」(2010.4.17):幸運は待ち受ける心構え(パスツール)

 ノート6「研究部門が実施したいテーマ」(2010.4.24):真のセレンディピティー、擬セレンディピティー

 「研究者の年齢限界?」(2010.12.12):大きな科学的発見をした時の年齢

 一口コメント:技術系以外の方にもセレンディピティーの概念は知ってほしい。

Shapiro, G.、「創造的発見と偶然」、1986

 ノート2「研究の不確実性をどう考えるか」(2010.3.27):セレンディピティー

Rogers, E.M.、「イノベーションの普及」、2003

 ノート2「研究の不確実性をどう考えるか」(2010.3.27):技術とは不確実性を減じるための計画

 ノート10「研究組織の望ましい特性と運営」(2010.5.22):グラノベッターによる弱い絆

 ノート13「研究成果の活用」(2010.6.12):イノベーション普及学まとめ

 「創造性を引き出すしくみ」(2010.10.24):情報交流における同類性と異類性

 「『もうダマされないための『科学』講義』-科学でダマし、ダマされる状況について考える」(2012.1.22):チェンジエージェント

 一口コメント:イノベーションを実用化する上で普及学の知識は必須だと思います。この本が基本。

Kim, W.C., Mauborgne, R.、「ブルー・オーシャン戦略」、2005

 ノート4「企業の収益源となる研究テーマの設定」(2010.4.10):ブルー・オーシャン戦略

 ノート10「研究組織の望ましい特性と運営」(2010.5.22):公正なプロセス

Moore, G.A.、「ライフサイクルイノベーション」、2005

 ノート4「企業の収益源となる研究テーマの設定」(2010.4.10):状況に応じたイノベーション戦略

 ノート5「研究部門に求められるテーマ」(2010.4.17):アウトソーシングによる優位性

 ノート12「研究プロジェクトの運営管理」(2010.6.5):状況に応じたイノベーション管理

Moore, G.A.、「エスケープ・ベロシティ キャズムを埋める成長戦略」、2011.

 「『エスケープ・ベロシティ』(ジェフリー・ムーア著)感想」(2012.8.19):しがらみや障害からの脱出

Chesbrough, H.、「Open Innovation」、2003

 ノート5「研究部門に求められるテーマ」(2010.4.17):オープンイノベーション

 「オープン・イノベーションは使えるか?」(2011.1.10):オープンイノベーション

Leonard-Barton, D.、「知識の源泉」、1995

 ノート6「研究部門が実施したいテーマ」(2010.4.24):レディネス・ギャップ

 ノート8「研究者の適性と最適配置」(2010.5.8):創造的摩擦、研究者の個性

 ノート12「研究プロジェクトの運営管理」(2010.6.5):消耗する心のエネルギー

 「コア・リジディティ」(2010.9.5):コア・リジディティの特徴、問題点、脱出

 「技術を維持する-イノベーションの負の側面への抵抗」(2010.11.14):的を撃ちすぎる失敗

 一口コメント:研究をする「人」の問題についての重要な指摘が多いです。

Leonard, D., Swap, W.、「『経験知』を伝える技術」、2005

 ノート5「研究部門に求められるテーマ」(2010.4.17):10年ルール

 ノート12「研究プロジェクトの運営管理」(2010.6.5):スピードは学習を妨げる

 ノート14「研究成果の転用」(2010.6.19):人脈、少数意見や反対意見の活用

 「技術を維持する-イノベーションの負の側面への抵抗」(2010.11.14):ディープスマート

 一口コメント:「知識の源泉」とあわせて重要。

Polanyi, M.、「暗黙知の次元」、1966

 ノート6「研究部門が実施したいテーマ」(2010.4.24):形式知と暗黙知

Nonaka, I., Takeuchi, H.、「知識創造企業」、1995

 ノート6「研究部門が実施したいテーマ」(2010.4.24):暗黙知、ミドルアップダウンマネジメント

 ノート7「研究者の活性化」(2010.5.1):知識創造のための条件づくり

 ノート8「研究者の適性と最適配置」(2010.5.8):研究における多様性

 ノート9「研究組織の構造」(2010.5.15):知識創造のための条件、ミドルアップダウン

 ノート10「研究組織の望ましい特性と運営」(2010.5.22):組織的知識創造促進要件、多様性、自律性

 ノート14「研究成果の転用」(2010.6.19):知識変換、組織的知識創造

 「創造性を引き出すしくみ」(2010.10.24):知識変換、SECIモデル、ナレッジ・クリエイティング・クルー

 一口コメント:知識創造理論の基本。ただし、その後の発展もフォローが必要と思います。

野中郁次郎、竹内弘高、「『実践知』を身につけよ 賢慮のリーダー」、Diamond Harvard Business Review、2011

フロネシス(賢慮)と研究開発」(2012.1.29):フロネシス、実践知

野中郁次郎、遠山亮子、平田透、「流れを経営する――持続的イノベーション企業の動態理論」、2010.

 「『流れを経営する』を読む」(2012.3.25):この本のまとめ、知識創造理論の体系化、SECIモデル、場、フロネシス

 一口コメント:知識創造理論の全体観をつかみ活用する上で重要な本だと思います。

野中郁次郎、勝見明、「イノベーションの知恵」、2010

 「『イノベーションの知恵』感想」(2011.3.21):この本のまとめ、イノベーションケーススタディ

Rasmusson, J.、「アジャイルサムライ――達人開発者への道」、2010.

アジャイル、スクラム、研究開発」(2012.5.27):アジャイル開発の原則


Schwaber, K.、「スクラム入門 アジャイルプロジェクトマネジメント」、2004.

「アジャイル、スクラム、研究開発」(2012.5.27):スクラム開発手法


勝見明、「石ころをダイヤに変える『キュレーション』の力」、2011

キュレーションと研究開発(勝見明著『キュレーションの力』感想)」(2012.3.11):キュレーション、編集、創発

三崎秀央、「研究開発従事者のマネジメント」、2004

 ノート7「研究者の活性化」(2010.5.1):モチベーション

 ノート8「研究者の適性と最適配置」(2010.5.8):研究における多様性

 ノート10「研究組織の望ましい特性と運営」(2010.5.22):野中による「場」のコンセプト、コミュニケーション

 ノート11「研究組織運営におけるリーダーの役割」(2010.5.29):ゲートキーパー

 「技術者が問題社員になるとき」(2011.7.24):技術者の二重のロイヤリティ

 一口コメント:基本的な説明も多く、研究者を考える上で参考になります。


開本浩矢、「研究開発の組織行動」、2006

 ノート7「研究者の活性化」(2010.5.1):モチベーション、エンパワーメント

 ノート11「研究組織運営におけるリーダーの役割」(2010.5.29):リーダーシップ 、ゲートキーパー

 「モチベーションは管理できる?」(2011.1.23):モチベーション、エンパワーメント

 一口コメント:基本的な説明も多く、研究者を考える上で参考になります。

福谷正信、「研究開発技術者の人事管理」、2007

 「研究者と金銭的報奨再考」(2010.10.3):民間企業技術者アンケート、昇進を望まない

 「研究者の年齢限界?」(2010.12.12):年齢限界に関する調査、アンケート結果

Kelly, T., Littman, J.、「イノベーションの達人!」、2005

 ノート8「研究者の適性と最適配置」(2010.5.8):役割を演じる

イノベーションに必要な人材」(2010.11.7):この本のまとめ、創造性を高めるIDEO戦略

 「技術を維持する-イノベーションの負の側面への抵抗」(2010.11.14):T型人間

 「エスノグラフィーとイノベーション」(2010.12.19):「人類学者」の重要性

McCall, Jr. M.W.、「ハイ・フライヤー」、1998

 ノート11「研究組織運営におけるリーダーの役割」(2010.5.29):経験によるリーダーシップ育成、ロールモデル

 「リーダーがつまずく原因」(2010.7.19):脱線する経営幹部の特徴

Davila, T., Epstein, M.J., Shelton, R.、「イノベーションマネジメント」、2006

 ノート12「研究プロジェクトの運営管理」(2010.6.5):イノベーションは管理できる

 「研究の管理と評価再考」(2010.8.1):この本のまとめ、インクリメンタル・イノベーション、ラディカル・イノベーション、インセンティブ

 「研究者と金銭的報奨」(2010.9.12):適度なインセンティブはプラスだが過剰になると業績低下を招く

Dixon, N.M.、「ナレッジ・マナジメント5つの方法」、2000

 ノート14「研究成果の転用」(2010.6.19):知識蓄積がうまくいかない理由

Rosenzweig, P.、「なぜビジネス書は間違うのか」、2007

ビジネス書の間違い?」(2010.8.11):この本のまとめ、ハロー効果

Levy, P.F.、「模範的チームはなぜ失敗したか」、Diamond Harvard Business Review, Feb.2010, p.154, (2010).

 「ナットアイランド症候群」(2010.9.26):上記文献のまとめ、自律的組織の暴走

根岸英一、「発見の条件」、有機合成化学協会誌、vol.54、No.1、p.1、(1996).

 「祝ノーベル賞:『発見の条件』by根岸英一教授」(2010.10.11):上記文献まとめ、発見を導くマネジメント

Immelt, J.R., Govindarajan, V., Trimble, C.、「GEリバース・イノベーション戦略」、Diamond Harvard Business Review, Jan.2010, p.123, (2010).

 「リバース・イノベーション」(2010.10.17):上記文献まとめ

 一口コメント:現在進行形の新イノベーション手法として重要と思われます。

Washburn, N.T., Hunsaker, B.T.、「新興国市場発のアイデアを橋渡しする 破壊的イノベーターの条件」、Diamond Harvard Business Review, 2012, 5月号、p.116.

 「橋渡し役の重要性」(2012.9.17):橋渡し役


Mullins, J., Komisar, R.、「プランB 破壊的イノベーションの戦略」、2009.

 「イノベーションをビジネスへ(マリンズ、コミサー著『プランB』より)」(2012.6.17):アイデアをビジネスにつなげるノウハウ


池田信夫、「イノベーションとは何か」、東洋経済新報社、2011.

 「『イノベーションとは何か』(池田信夫著)より」(2012.7.22):この本のまとめ


その1へ、その3へ、その4

参考書・文献・読書録まとめ(2012.9.30版)その3

福岡伸一、「動的平衡」、2009.

 「動的平衡」(2010.10.31):この本の感想

福岡伸一、「生物と無生物のあいだ」、講談社、2007.

 「動的平衡」(2010.10.31):動的平衡の説明はこの本が詳しい

内田麻理香、「科学との正しい付き合い方 疑うことから始めよう」、2010

 「『科学との正しい付き合い方』感想(2010.11.21):この本の感想

東京大学i.school編、「東大式 世界を変えるイノベーションのつくりかた」、2010

 「東大式 世界を変えるイノベーションのつくりかた」(2010.11.28):この本のまとめ、i.schoolの特徴

 エスノグラフィーとイノベーション」(2010.12.19):人間中心のイノベーション

内田賢、「研究者と年齢的限界」、組織行動研究 (Keio studies on organizational behavior and human performance). No.26 (1996. 3) ,p.67- 75.

 「研究者の年齢限界?」(2010.12.12):上記文献のまとめ要約

上木貴博、「エスノグラフィー 人類学に学ぶ現場主義」、日経ビジネス、2010.12.6号、p.78.

 「エスノグラフィーとイノベーション」(2010.12.19):上記記事の簡単なまとめ、活用事例

橋本紀子、「『エスノグラフィ』という手法」、RANDOM誌、vol.53、p.1、(2007).

 「エスノグラフィーとイノベーション」(2010.12.19):上記論文の簡単なまとめ、心脳マーケティング(ザルトマン)

小田亮、「ヒトは環境を壊す動物である」、2004

 「『ヒトは環境を壊す動物である』感想」(2010.12.26):この本の簡単なまとめ、身の丈を超える環境問題

Dunbar, R.、「友達の数は何人? ダンバー数とつながりの進化心理学」、2010.

 「進化心理学からの示唆(『友達の数は何人?』ロビン・ダンバー著)より」(2012.8.26):人間の認知、判断の問題、環境とのかかわり

菊池聡、「超常現象をなぜ信じるのか」、1998

 「イノベーションとあいまいな意思決定」(2011.1.):ヒューリスティクス、認知的保守性、認知的一貫性

文部科学省「科学技術要覧平成22年版」

 「論文から見た各国の科学力比較」(2011.1.16):論文数、被引用数シェア

Goodnight, J.、「クリエイティビティを引き出す」、Diamond Harvard Business Review、Sep., 2006, p.3.

 「働きがいのある会社とは」(2011.1.30):上記記事の簡単なまとめ、SASの特徴

Heike Bruch, H. Menges, J.I.、「社員を追い詰める『加速の罠』」、Diamond Harvard Business Review, Dec. 2010, p.76.

 「研究開発におけるスピードと俊敏さ」(2011.2.13):上記文献の要約

Perlow, L.A., Porter, J.L.、「プロフェッショナルこそ計画的に休まなければならない」、Diamond Harvard Business Review, Mar. 2010, p.102.

 「研究開発におけるスピードと俊敏さ」(2011.2.13):休みをとらせることで仕事の質が上がる

Berkun, S.、「イノベーションの神話」、2007

 「イノベーションの神話」のまとめと感想(2011.2.20):この本のまとめ、イノベーションの現実

大竹文雄、「競争と公平感-市場経済の本当のメリット」、2010

 「競争心と研究開発」(2011.3.6):この本の簡単な紹介、競争心に影響する因子、経済成長への影響

Joni, S.A., Beyer, D.、「あえて戦うべき時、協調は譲歩は本当のチームワークではない」、Diamond Harvard Business Review、Mar. 2010, p.40.

 「競争心と研究開発」(2011.3.6):GE前会長ウェルチ氏の後継者選び事例

伊丹敬之、東京理科大学MOT研究会編著、「技術経営の常識のウソ」、2010

 「『技術経営の常識のウソ』感想」(2011.4.17):この本の要約とオープンイノベーション批判、プロジェクトマネジメント批判、ステージゲート法批判

竹内薫、「理系バカと文系バカ」、2009

 「理系と文系、とイノベーション」(2011.5.1):この本の簡単な紹介と感想、行動と思考の問題点

田嶋清一、「自分と向き合う心理学」、2007

 「研究開発とフラストレーション」(2011.5.8):意外感としてのフラストレーション

平川秀幸、「科学は誰のものか 社会の側から問い直す」、2010

 「科学技術と社会の関わり、これからのイノベーション」(2011.7.18):科学と社会の相互作用、ガバナンス

菊池誠、松永和紀、伊勢田哲治、平川秀幸著、飯田泰之+SYNODOS編、「もうダマされないための『科学』講義」、2011

「『もうダマされないための『科学』講義』-科学でダマし、ダマされる状況について考える」(2012.1.22):ニセ科学、サイエンスコミュニケーション


Singh, S., Ernst, E.、「代替医療のトリック」、2008.

 「科学的判断の受け入れ(『代替医療のトリック』感想)」(2012.9.23):懐疑的吟味と受容のバランス

鬼塚俊宏、先読み!人気のビジネス洋書、「卓越した知識・技術を持つ米国版「オタリーマン」を企業で活かす『ギークを指導すること~テクノロジーをもたらす従業員を管理・指導する方法~』 Leading Geeks : How to Manage and Lead People Who Deliver Technology――ポール・グレン著」、DIAMOND online、2011.6.10

 「技術者が問題社員になるとき」(2011.7.24):上記抄録にもとづくまとめ、ギーク

DIAMONDハーバードビジネスレビュー編集部編訳、「いかに『問題社員』を管理するか」、2005

 「技術者が問題社員になるとき」(2011.7.24):技術者(ギーク)と問題社員の類似

沼上幹、「やらせメール ご無体な命令が思考を止める」、朝日新聞、2011.7.15.

 「思考停止をもたらすもの」(2011.7.31):トップの指示の無反省な実行

新井紀子、「コンピュータが仕事を奪う」、2010

 「技術で仕事はどう変わる?」(2011.8.21):コンピューターにできることできないこと

平川克美、「移行期的混乱-経済成長神話の終わり」、2010

 「技術で仕事はどう変わる?」(2011.8.21):人口減少の影響

金井壽宏、「危機の時代の[やる気]学」、2009

 「モチベーション再考」(2011.8.28):代表的モチベーション理論

 一口コメント:モチベーション理論の説明が参考になります。

高橋昌一郎、「理性の限界」、2008

高橋昌一郎、「知性の限界」、2010

 「『理性の限界』『知性の限界』」(2011.9.19):この本の簡単なまとめ。科学哲学入門。

 一口コメント:科学哲学入門ならこの本がおすすめ。

森田邦久、「理系人に役立つ科学哲学」、2010

科学哲学の使い方」(2011.10.10):少し詳しい科学哲学入門

Brown, J.R.、「なぜ科学を語ってすれ違うのか ソーカル事件を超えて」、2001

「『なぜ科学を語ってすれ違うのか』に学ぶ」(2011.11.6):サイエンス・ウォーズソーカル事件

Arthur, W.B.、「テクノロジーとイノベーション 進化/生成の理論」、2009.

 「『テクノロジーとイノベーション』感想」(2012.4.1):テクノロジーの本質と発展


その1へ、その2へ、その4



参考書・文献・読書録まとめ(2012.9.30版)その4

Peterson, C.、「実践入門 ポジティブ・サイコロジー 『よい生き方』を科学的に考える方法」、2006

 「ポジティブ心理学の可能性」(2011.9.25):ポジティブ心理学入門

Achor, S.、「PQ ポジティブ思考の知能指数 幸せな気持ちになると、何事もうまくいく」、Diamond Harvard Business Review, 2012, 5月号、p.58.

 「幸福感と成果」(2012.9.9):成果をもたらす幸福感


Spreitzer, G., Porath, C.、「社員のパフォーマンスを高める 幸福のマネジメント」、Diamond Harvard Business Review, 2012, 5月号、p.46.

 「幸福感と成果」(2012.9.9):活力、熱意をひきだす環境


Gilbert, D.、「些細な出来事の積み重ねが幸福感を左右する 幸福の心理学」、Diamond Harvard Business Review, 2012, 5月号、p.34.

 「幸福感と成果」(2012.9.9):さまよう心と幸福感

白石久喜、石原直子編、「事業創造人材の創造」、リクルートワークス研究所、2011.6.1.

事業創造人材とは」(2011.10.16):イノベーションを立ち上げる人の特徴、青黒い人

COACH A 、「今日から変わるコミュニケーション」

 「研究組織におけるコミュニケーションの難しさ」(2011.11.13):コーチング活用ポイント

朝日新聞大阪本社科学医療グループ著、「iPS細胞とはなにか 万能細胞研究の現在」、2011

「iPS細胞研究に見る研究の進め方雑感」(2011.12.11):研究の進め方ケーススタディ

高橋克徳、河合太介、永田稔、渡部幹、「不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか」、2008

協力的環境と研究-『不機嫌な職場』に学ぶ」(2011.12.18):成果主義の問題点、協力を促す

長谷川英祐、「働かないアリに意義がある」、メディアファクトリー、2010.

 「『働かないアリに意義がある』感想」(2012.4.22):この本のまとめ、反応閾値


Benkler, Y.、「生物学、心理学、神経科学の知見が教える 利己的でない遺伝子」、Diamond Harvard Business Review, 2012, 2月号、p.8.

 「利他性と協力」(2012.5.13):人間や生物の利他性、協力的環境づくり

Johnson, M.W.、「ホワイトスペース戦略 ビジネスモデルの<空白>をねらえ」、2010

「『ホワイトスペース戦略』-ビジネスモデルイノベーションの方法」(2012.1.9):ビジネスモデルイノベーションの方法

McGrath, R.G.、「マイクロソフト、3Mが実践する『知的失敗』の戦略」、Diamond Harvard Business Review、2011年7月号、p.24.

知的な失敗」(2012.2.26):失敗を生かす

坂村健、「不完全な時代――科学と感情の間で」、2011

「『不完全な時代――科学と感情の間で』感想(2012.3.4):科学と感情、情報

SuttonR.I.、「社内外のじゃま者と戦う 部下を守る『盾』となれるか」、Diamond Harvard Business Review, 2011, 2月号、p.86.

 「部下を守る?組織を守る?技術を守る?」(2012.4.30):上記論文のまとめ、部下を守る意味

Sargut, G., McGrath,「ビジネスリーダーの新しい経営学 [入門]複雑系のマネジメント」、Diamond Harvard Business Review, 2012, 1月号、p.118.

 「複雑系経営(?)の効果」(2012.5.6):複雑系」の観点から見たマネジメント上の注意


Johnson, N.、「複雑で単純な世界 不確実なできごとを複雑系で予測する」、2007.

 「複雑系の可能性(ニール・ジョンソン著『複雑で単純な世界』より)」(2012.6.10):複雑系の特徴、本質、予測と制御


Watts, D.J.、「偶然の科学」、早川書房、2011.

 「いかに判断、予測するか(ダンカン・ワッツ著『偶然の科学』より)」(2012.7.29):判断、予測、測定-対応アプローチ


小林三郎、「ホンダイノベーション魂 第16回 自律、信頼、平等」、日経ものづくり、2011年7月号、p.103.

 「研究者の主体性」(2012.6.24):自立(自律)、平等、信頼


Hand, E., “People power”, Nature, vol.466, No.7307, 2010.8.5, p.685.

 「シチズンサイエンス考」(2012.7.1):シチズンサイエンスの意義


Heath, C., Heath, D.、「アイデアのちから」、2007.

 「アイデアの扱い方と知の呪縛(『アイデアのちから』より)」(2012.7.16):記憶に焼きつくアイデア、知の呪縛



その1へ、その2へ、その3



科学的判断の受け入れ(「代替医療のトリック」感想)

人は何を正しいと思い、何を受け入れるのか、人の判断には何が影響するのでしょうか。特に科学的な考え方が人の判断にどう影響するのかは、イノベーションや研究開発、科学と社会の関わりを考える上で重要なポイントになるでしょう。例えば、イノベーションを実用化する場面では、新しい技術や考え方を顧客(社会)に受け入れてもらわなければなりません。また、さらに広く考えれば、組織において人の行動をマネジメントするような場面でも、ある考え方を受け入れてもらうことは必要になるはずです。

しかし、人間の意思決定が必ずしも合理的に行なわれるものではないことは、今までにも取り上げてきたとおりです(イノベーションとあいまいな意思決定(判断の根拠は何か?、ヒューリスティクスの活用?)、いかに判断、予測するか(ダンカン・ワッツ著「偶然の科学」より))。実際、科学的な根拠に基づいていることすら合理的な判断がなされない場合もありますので、こうした人間の判断の傾向はきちんと理解しておくべきではないでしょうか。今回は、サイモン・シン、エツァート・エルンスト著「代替医療のトリック」[文献1]を参考に、科学的な考え方の受容と、人間の判断の問題について考えてみたいと思います。

著者は、代替医療を「主流派の医師の大半が受け入れていない治療法」と定義しています。つまり、「科学の観点からすると、『代替医療は、生物学的に効果があるとは考えにくい』と言うことになる。」[文献1、p.11]ということです。しかし、著者によれば、代替医療は「何十億という人びとに用いられている」そうですから、科学的な考え方がうまく受け入れられていない例としてその理由を考えてみる価値があるように思います。

本書では、鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法についてかなり詳しく、またその他約30種類の代替医療について、その効果を主流派の医学で用いられている科学的評価法に基づいて評価した結果が解説されています。中には効果の認められた療法もあるものの、ほとんどが効果のない(プラセボ効果のみ)ものであり、好ましくない副作用を持つものすらあるとのことです。この結果は、私には説得力があるように思われるのですが、評価方法や結果に納得されない意見もあるということは非常に興味深く思いました。代替医療の効果に関する評価は本書をご参照いただくとして、本稿では、なぜそのような代替医療を受け入れる人が多いのか、科学的評価がなぜ容易に受け入れられないのか、という点にしぼって考えてみたいと思います。

代替医療に対する科学的評価が受け入れられない理由

著者はまず、「『代替医療はどれもこれもクズだ』という確固たる信念の持ち主もいるだろうし、逆に、『代替医療はあらゆる痛みや病気を癒やしてくれる万能薬だ』と言って譲らない人もいるだろう。」「すでに答えをもっているなら、たとえ何千件という研究から引き出された結果であろうと、今さら聞く意味はないだろう。」[p.16]と述べ、科学的な考え方を受け入れない人々の存在を認めています。その上で、物理学者のカール・セーガンの「提示された仮説は、とことん懐疑的に吟味すること。それと同時に、新しいアイディアに対しては、大きく心を開いておくこと。」という言葉を引用し[p.362]、このバランスを取ろうと努めた、と言っています。大きくまとめてしまえば、このバランスが取れないことが科学的評価が受け入れられない理由といえるのでしょう。

より具体的には、代替医療が支持される理由として次のような要因を指摘しています。「人々が代替医療に心惹かれるきっかけは、多くの代替医療の基礎となっている三つの中心原理であることが多い。代替医療は『自然(ナチュラル)』で、『伝統的(トラディショナル)』で、『全体論的(ホーリスティック)』な医療へのアプローチだと言われる。・・・代替医療の三つの中心原理は、誰もが陥りやすい罠なのだ」[p.285]。また、「治療法の効果をまのあたりにすれば、患者はそれを使ってみたくなるだろう。要するに、自分の経験こそは、何にもまさる証拠になるのだ。」しかし、「二つの出来事が立て続けに起こると、私たちはその二つに関係があるはずだと思ってしまう」[p.297]とも述べています。さらに、「確証バイアスとは、何が起こっても、先入観を強めるようなかたちでその出来事を解釈する傾向」[p.301]であり、代替医療の問題点が正しく認識できない原因にはこうした傾向の影響もあると考えられます。また、「世界中のどこで行なわれた調査でも、代替医療を使うきっかけの少なくとも一部は、通常医療への失望であることが示されている。」「調査によると、患者は、医師は自分のためにろくに時間を割いてくれず、思いやりも共感もないと感じている。それに対して、代替医療を受けている患者は、自分のために時間をかけ、理解と共感を示してくれることをセラピストに求め、セラピストはおおむねそれに応えている」[p.349-350]ということも、判断に影響を与えているのでしょう。加えて著者は、「イギリスで行なわれた調査からは、インフォームド・コンセントという、倫理的にも法的にもきわめて重要な基本方針に反しているカイロプラクターが、到底容認できないほど大勢いることが明らかになっている」[p.351-352]とも指摘しています。私見ですが、これは、実は患者の中にはインフォームド・コンセントを求めず、結果のみを求める人がいることと関係しているのではないでしょうか。なお、訳者は「科学に対する反感もまた、多くの人が代替医療に心惹かれる理由になっているようにみえる。」「代替医療にまつわる三つのキーワード(ナチュラル、トラディショナル、ホーリスティック)には、私たちの思考を停止させる強力な魅力があるらしい」[p.461]という指摘もしています。

以上が代替医療を使う側の考え方の問題といえる点です。このような要因により、代替医療を懐疑的に評価する視点が甘くなり、新しいアイデアの可能性ばかりが認識されていると考えることができると思います。さらに著者は、上記の要因に加え、人々をこれほどまでに代替医療に熱中させた責任者集団、つまり、環境の要因も指摘しています[p.322-364]。具体的には、以下の点です。

・代替医療の普及活動、支援(代替医療の導師、代替医療コースを持つ大学、代替医療を積極的にあるいは補完的に用いる医師)

・代替医療の信用を高める行為(代替医療を使ったり信じたりする著名人、一部の大学、医療関係者)

・代替医療に疑問を呈さない態度(医療関係者、一部の大学、代替医療の協会、政府と規制担当当局)

・代替医療に関する臨床試験情報の不足や誤解(関係者の告知不足、WHOによる誤解)

・代替医療および正統的医療に関する誤った、あるいは偏った報道(センセーショナルな報道をするメディア)

・代替医療を使おうとした患者に対して、採用を押しとどめる役割の不足

このような外部要因により、代替医療にかかろうとする側の判断がさらに歪められていると考えられるでしょう。

科学的な判断とその受け入れ

以上、代替医療を例に、データを科学的に認識し、科学的に判断を下し、それを受け入れることの難しさについて考えてみました。しかし、科学的な判断は代替医療の問題だけではありません。代替医療の問題は比較的わかりやすい事例だと思うのですが、科学と社会との関係、さらに広くは、何かの根拠に基づいて判断する場合にはすべて似たような問題がつきまとうのではないでしょうか。代替医療の問題にならって考えれば、科学的な判断に願望や感情が入ってしまうことには十分注意しなければならないでしょうし、判断にバイアスがかかる人間としての性質、環境に左右される可能性についても注意が必要でしょう。一般に技術者、研究者は一般の人よりは科学的なデータに基づく判断には慣れているはずなのですが、しかし、医療関係者であっても科学的根拠に基づく代替医療の評価に違いがあるということは、技術者にとっても判断の根拠は慎重に吟味する必要があるということを示していると考えられます。

さらに広げて、マネジメント上の判断についてはどうでしょうか。自分の経験や、有名人、権威者の経験ばかりにこだわっていないでしょうか。流行の概念に踊らされていないでしょうか。もちろん、マネジメントの世界では、医療の世界で用いられるような2重盲検試験や対照比較試験はできない場合がほとんどでしょう。また、判断の正しさを理論的に裏付けることも難しい場合がほとんどでしょう。加えて、人間の行動が関与する現象ですから、プラセボ効果を積極的に活用してもよいかもしれない点も科学的な判断とは違うと思います。しかし、代替医療の例で見たような人間の判断の危うさは常に念頭に置いておく必要はあるはずです。科学の世界でも、マネジメントの世界でも、仮説の懐疑的吟味と、新しいアイデアに対して大きく心を開くことのバランスをとることは重要なはずです。もし将来「科学的なマネジメント」と「代替マネジメント」の区別が生まれるなら、代替マネジメントには惑わされないようにしたいものです。



文献1:Simon Singh, Edzard Ernst, 2008、サイモン・シン、エツァート・エルンスト著、青木薫訳、「代替医療のトリック」、新潮社、2010.

 原著題名:”Trick or Treatment?, Alternative Medicine on Trial”

参考リンク



 


 

橋渡し役の重要性

イノベーションを成功に導くためには、様々な役割を担う人が必要です。今回は、ワッシュバーン、ハンセイカー著の論文「新興国市場発のアイデアを橋渡しする 破壊的イノベーターの条件」[文献1]に基づいて、「橋渡し役」の意義について考えてみたいと思います。

この論文で取り上げられている「橋渡し役(Bridger)」とは、「新興国市場でイノベーションを見出し、アイデアを試し、それを本国へ持ち帰って世界的な製品・サービスにつなげる」ことができるマネジャーのことで、著者らは、新興国における多国籍企業のマネジャーを調査した結果に基づいて、その特徴をまとめています。まずはそのポイントを以下にご紹介しましょう。なお、論文の原題は「Finding Great Ideas in Emerging Markets」ですので、破壊的イノベーターに限った議論ではありません。どちらかというとリバースイノベーションをうまく進めるマネジャーについて述べられていると言ってよいでしょう(もちろん、破壊的イノベーションとリバースイノベーションは関係がありますが)。

すぐれた橋渡し役の特徴

1、信頼関係の維持:「地域の重要人物や、本社で自分のアイデアを支持してくれる経営幹部と関係を築く必要がある。」「ある研究によれば、人は親切で、有能で、誠実であると見なされた時、すなわち他者や組織の利益を最優先に考え、仕事をやり遂げる能力があり、合意した原則を必ず守ると思われた時に、信頼を築くことができる。」

2、新興国市場に対する理解:「成功する橋渡し役の多くは、海外でさまざまな任務についた経験がある。あるいは、新興国市場の重要性やグローバル・ビジネスに注力する教育機関で学んだことがある。途上国で生まれるアイデアに価値を見出そうとするなら、そうした準備や経験は欠かせない。」まずは、「新興国市場にイノベーションの潜在力があると考える」ことが必要と考えられます。

3、社歴の長さ:橋渡し役は「会社の競争優位性、歴史、ビジネスモデルに関する深い知識に大きく依存している。その知識ゆえ、彼らは有望なイノベーションを見極めるのに長けている。」

4、アイデアの売り込み:「橋渡し役はまたコミュニケーション能力にも優れ、自分のアイデアの正当性を他人に納得させるのが特にうまい。」

橋渡し役が果たすべき役割

このような特徴を持った橋渡し役がどうやって成果を挙げるのかについて、著者は以下の点を指摘しています。

1、アイデアを見出す:「『見たいものを見る』から『見るべきものを見る』へ」。「優れた橋渡し役は、顧客、サプライヤー、競争相手を意識的に観察し、これらの人たちの行動の基礎となる諸条件を理解しようとする。」

2、翻訳者を育てる:「現地国の環境を良く理解し、橋渡し役が注目しているものを説明できる人材の育成」。橋渡し役の同僚や部下のみならず、部外者(現地国の競争相手の戦略を把握しやすい)も翻訳者として活用できる。

3、実験する:「優秀な橋渡し役は、観察した結果をふるいにかけて価値が高いものを選り分け、みずからの力で、または翻訳者の助けを借りて、実験を行なう」

上記のポイントに加えて、「橋渡し役は自分たちのアイデアが会社の中枢に届くよう、多角的なアプローチを取る必要がある。本社の言葉で話し、実験に基づく証拠を提出し、アイデアを売り込み、他のエグゼクティブを支援者として味方につけなければならない。」という指摘がなされています。このとき支援者となるエグゼクティブは、「アイデアがこき下ろされるのを防ぎ、他の人にその価値を説得するために必要な会話を促し」、さらに「破壊的イノベーションに向けた組織体制を新たにつくらせる」など、「単なる助言や援助以上のことをする」べきであるとし、さらに、「橋渡し役にアイデアを製品化する責任を持たせる」ことも成功のカギだとしています。

橋渡し役の本質は?

以上が、新興国市場発のイノベーションを念頭においた著者の考え方ですが、上記の橋渡し役の役割は、新興国のみならず、様々な状況のイノベーションにおいても意味のあることではないでしょうか。橋渡し役の役割を言い換えると、現場と協力して情報収集し、アイデアを発見し、アイデアの有効性を認め、実験で確認し、社内に説明して支援・協力してもらう、ということになり、これらは他の様々な状況のイノベーションでも必要なことだと思われます。情報収集においては、信頼関係構築が有効でしょうし、情報ソースの確保(著者が翻訳者と言っている人の役割の一つ)も有意義なはずです。また、アイデアの発見においては新市場の理解が有効に作用するでしょう。自社にとってのアイデアの意味を判断し、それを会社にとって有意義で実現可能な形に仕上げていくには、社内事情を良く知らなければできないでしょうし、そのアイデアが社内で生き残り社内の資源を獲得するには、社内への説明と支援者の獲得がカギになるでしょう。つまり、本論文で述べられた「橋渡し役」の存在意義とその果たすべき役割は、イノベーション全般に一般化可能、すなわち、新興国に限らず市場の情報を集め、それに基づいてイノベーションを行なおうとする場合に有効となると考えることができると思います。

さらに、橋渡し役の意義は、上記の例のようなニーズ情報に基づいたイノベーションだけでなく、シーズ情報に基づくイノベーションにまで拡張できるのではないでしょうか。例えば、シーズ情報を保有している大学や研究機関、さらに社内の研究部隊からアイデアを得てイノベーションを進める場合にも橋渡し役は有効に機能すると考えられます。社内の研究部隊に関して言えば、本来そこが保有している情報は社内に知られているべきなのでしょうが、実態としてはあらゆる情報が社内に報告、周知されているわけではありません。報告されない知識は、研究員の頭の中に暗黙知の形で保有されることになるわけですが、それを知的資源として活用するには、何らかの表出化プロセスが必要になるでしょう。それを担うのが橋渡し役、という考え方もできると思います。橋渡し役と研究者との信頼関係が重要であることは上記の指摘と同じでしょうし、研究者が保有している生の情報の性質(その精度や、確実性まで含めて)を知っておくことは、「市場の理解」に通じるものだと思われます。その後の社内支援の獲得については、シーズ主導の研究でもニーズ主導の研究と同様に重要であることは言うまでもないと思います。

もちろん、従来でもこうした橋渡し役の意義は認識されていたかもしれません。多くの場合、橋渡し役の役割は暗黙のうちに研究員または研究マネジャーに求められていたのではないかと思います。しかし、橋渡し役がすべき仕事の内容と、橋渡し役の特性、その仕事への適性を考えてみると、その役割を第一線の研究員に期待することは必ずしも効率的とはいえないように思います。では、研究マネジャーの業務として橋渡し役の役割が認知されているのかというと、そうでもないでしょう(そもそも、研究マネジャーの仕事、あるべき姿というものが曖昧なことが多いのですが)。橋渡し役の機能を重視するなら、研究マネジャーに対しその業務を公式に認知してその遂行を求める、あるいは、研究マネジャーとは別にそうした役割を専門に担う担当者を置くことが必要なのではないでしょうか。研究開発、イノベーションを研究部隊だけに任せっきりにしてそれがうまく進むのかどうかを考えると、研究に付随して求められる橋渡し役の役割を明確化し、その役割に適した人材を選び、職務として与え、有効に活用する環境を整え、組織としてイノベーションを成功に導く方法と体制を整備することが今後ますます必要になってくるのではないかと考えます。


文献1:Nathan T. Washburn, B. Tom Hunsaker、ネイサン・T・ワッシュバーン、B・トム・ハンセイカー著、編集部訳、「新興国市場発のアイデアを橋渡しする 破壊的イノベーターの条件」、Diamond Harvard Business Review, 2012, 5月号、p.116.

原題”Finding Great Ideas in Emerging Markets”, Harvard Business Review, Sep., 2011.

参考リンク<2013.1.14追加>


 

 

幸福感と成果

「幸福優位(happiness advantage)」という概念があるそうです[文献1]。これは、「ポジティブ思考を養ってきた人は、困難に直面した時こそ、通常以上の結果を出す」のであって、「成功すると幸福になれる」ということではない、ということを意味し、その結果、「幸福感が高まると成功確率が高まる」のだといいます。そうだとすると、研究の成功確率を上げるためには幸福感を高めることが有効かもしれません。そこで、今回は幸福感の役割について考えてみたいと思います。

一般にポジティブな感情がよい結果を生むことは、ポジティブ心理学でも指摘されています(拙稿「ポジティブ心理学の可能性」)。さらに、幸福感と成果に正の相関があるとするデータも多いようで、幸福感が高いと欠勤や離職率が低くなることも認められているようです[文献1、2]。そうであれば、幸福感はマネジメントのツールとして使えるはず、と期待したいところですが、一方では、成功のためには精神的負荷やハングリー精神が重要だという考え方もあり、幸福感と成果の間に因果関係があるのか、本当に幸福感がよい成果を生む原因になっているのかについては多少慎重に考えるべきだと思われます。加えて、実際にこのアイデアを使ってみようとしても、「幸福感」という言葉だけでは曖昧すぎてどうやって効果を引き出したらよいのかも明らかではありません。つまり、現状では、幸福感はその効果への期待とは裏腹に、効果が確立された実用的概念とは言いにくく、使うためには工夫が必要と言わざるを得ないと思います。以下、私見も含めた内容になってしまいますが、幸福感を利用しようとする際の気になる点についてまとめてみたいと思います。

成果をもたらす幸福感

具体的にどのような幸福感が成果をもたらすのでしょうか。まずは、ポジティブ思考[文献1]が挙げられるでしょう。加えて、ソーシャル・サポート(身近な人間関係における相互支援)、特に、サポートを提供することが重要といいます[文献1]。また、生き生きとして熱意をみなぎらせ(活力)、知識や技能の習得を進めている(学習)ことが成功を支えている、という指摘もあります[文献2]。一方、「人間の心は一日のほぼ半分はさまよっており、これが気分を落ち込ませる要因になっている」「心が定まらない時には、集中している時よりも、はるかに幸福度は低くなる」「業務中に心がさまよえば、幸福度が低くなるだけでなく、生産性も低下する」という研究結果も発表されています[文献3]。もちろん上記の例だけで幸福感を十分に表わせるとは言えませんが、成果に寄与する幸福感の一面をとらえているとは言えると思います。

仕事への熱意を引き出す環境

スプレイツァーらは、上記の「活力」と「学習」のポイントに関連して、仕事への熱意を引き出す環境づくりの方法として、以下の4つが有効であると述べています。[文献2]

1、判断の裁量を与える:これにより「『仕事を任されている』と感じ、業務のやり方について積極的に発言するようになり、学習の機会も増える。」

2、情報を共有する:「情報を広く共有する仕組みの下では信頼感が醸成され、社員たちは優れた判断を下したり、自信を持って主体性を発揮したりするための必須知識を手にできる。」

3、ぞんざいな扱いを極力なくす:「職場でぞんざいな扱いを受けた人の半数は仕事に傾ける努力を意識的にセープしたとの研究結果がある。」「働き手をぞんざいに扱うと、順調な仕事ぶりを妨げることになる。そのような扱いを受けた人は、往々にして自分が受けたのと同じような仕打ちを他人にするようになる。同僚の足を引っ張るのだ。」

4、成果についてフィードバックを行う:「フィードバックは学習の機会をもたらし、働き手の熱意を引き出す。」「フィードバックを受けるとモヤモヤが消えるため、社員たちは自分と組織の目標に向けて脇目も振らず邁進する。」

なお、これらは「4つすべてがそろってこそ、全体として相乗効果を発揮する。」とのことです。

上記の4つの要因は、特に目新しいものではなく当たり前のことのように思えます。それぞれ、その要因が満たされていない場合にどうなるかを考えてみれば、その有効性は納得できるでしょう。重要なことは、それぞれが有効に作用する理由を幸福感という概念で統一的に理解できるかもしれない、さらに上記の方法が心のさまよいを減らし、幸福感を醸成しているとして理解できるかもしれない、ということのように思います。ソーシャル・サポートを与えることも、自分が他者のためになっていると自覚することで、自分の行為や考え方に対する迷いを断ち切る効果があるでしょう。また、「適度に挑戦しがいがある時、すなわち困難ではあるが、手が届かなくもない目標を達成しようとしている時に、人は最も幸福であることかわかっている」[文献3]ということも、挑戦に意義(挑戦しがい)を見出し、挑戦する手段の見通し(手が届かなくもない)が得られていることが迷いを低減しているとも考えられます。さらに、ストレスには成長を後押しするというプラスの面もあるという指摘[文献1]も、ストレスに立ち向かわなければならないと覚悟することで迷いを断ち切る効果があるのかもしれません。また、幸福感を得るトレーニングや、ストレスを減らす方法として、具体的な状況を書き出すことが勧められるのも同じ効果に基づくものかもしれません。つまり、成果達成に役立つ幸福感というのは、「迷いのない心の状態」なのではないか、とも思えます。

研究開発と幸福感

研究開発は不確実性が大きいため、本来的に成果達成への不安が大きいものです。従って、その不安に輪をかけて幸福感を損なうようなことは、業務への集中を妨げ、アウトプットの質や量、スピードの低下につながると考えられます。上記の4つの方法はそのような幸福感が損なわれる状況を防ぐ意味で研究開発の場面でも重要と言ってよいでしょうが、このようなポイントは、自律性、冗長性、情報共有、コミュニケーション重視など、従来から言われている考え方と大きな違いはないと思われます。一方、ソーシャル・サポートを与えることによる幸福感の獲得という観点は、従来あまり強調されていないのではないでしょうか。研究開発課題自体の社内的、社会的意義を認識し、他者や社会に貢献しているという自覚を持つことや、自らが保有する能力を用いて、他部署の業務に貢献することが幸福感をもたらし、それが成果につながるなら、他者との協働をもっと積極的に促すべきなのかもしれません。加えて、研究活動には、本来的に未知への挑戦、自らの好奇心を満たす、という本来的に「楽しい」側面があります。幸福感を損なうようなことをしないだけでなく、そうした楽しさを強調すること、困難な課題の中にもそうした楽しみを見出すように心掛けること(不確実性を楽しめる人材を育成、活用することも含めて)も重要だと思います。なお、「ポジティブな経験の頻度は、ポジティブな経験の強さよりも、幸福度の予測材料としてはるかに優れている」そうです[文献3]。つまり少数の大成功よりも、数多くの(小さな)成功の方が重要なのかもしれません。研究開発は課題によっては、一発の大きな成果を狙うものもあるでしょうが、そういう場合でも、そうした成果への期待だけで幸福感を維持しようとするのではなく、その過程で多くの小さな幸福感を得られるようにすることが重要なのではないでしょうか。研究は、それが成功して幸福が得られる場合ばかりではありませんので、研究活動の過程から得られる幸福感をもっと重視しなければならない、ということだと思います。仕事に幸福感を与えるというと、ともすると甘やかしていると思われがちですが、マネジメントさえうまく行なえば、結局はそれが研究成果につながることになるのかもしれません。


幸福感が成果に与える影響については、まだ研究途上でしょう。今回も最近のDiamond Harvard Business Reviewにたまたま掲載された3編の論文を題材にしたものにすぎませんので、考察の偏りや不足の点はあると思います。本稿では、幸福感が成果にプラスの作用を及ぼすという考え方が正しいという前提で、その応用を中心に考えてみましたが、幸福感の作用とそのマネジメントについては今後も注目していく価値がありそうです。


文献1:Shawn Achor、ショーン・エイカー著、二ノ方俊治訳、「PQ ポジティブ思考の知能指数 幸せな気持ちになると、何事もうまくいく」、Diamond Harvard Business Review, 2012, 5月号、p.58.

原題”Positive Intelligence”, Harvard Business Review, Jan.-Feb., 2012.

文献2:Gretchen Spreitzer, Christine Porath、グレッチェン・スプレイツァー、クリティーン・ポラス著、有賀裕子訳、「社員のパフォーマンスを高める 幸福のマネジメント」、Diamond Harvard Business Review, 2012, 5月号、p.46.

原題”Creating Sustainable Performance”, Harvard Business Review, Jan.-Feb., 2012.

文献3:Daniel Gilbert、ダニエル・ギルバード、聞き手:ガーディナー・モース、スコフィールド素子訳、「些細な出来事の積み重ねが幸福感を左右する 幸福の心理学」、Diamond Harvard Business Review, 2012, 5月号、p.34.

原題”The science behind the smile”, Harvard Business Review, Jan.-Feb., 2012.

参考リンク


 

 

科学の話題・目次(2012.9.2版)

  「科学の話題」というカテゴリーでは、社会や企業活動、研究開発と関係のありそうな科学の話題について書いています。配列はランダムに近くなってしまっていますが、大雑把な話題ごとにまとめています。前回目次(2012.2.19版)はこちら。


「GEグローバル・イノベーション・バロメーター」世界調査2012より(2012.2.5)

2011年につづいて行なわれたGEによる経営者のイノベーション意識の調査結果です。2012年は日本の意識の特異性が気になりました。世界からは高く評価されているのに、自らの能力には自信がなく、手詰まりのように見えます。

「GEグローバル・イノベーション・バロメーター」世界調査より(2011.2.6)

GEが実施したイノベーション推進要素、課題認識に関する世界規模のアンケート結果です。GEは、イノベーションは経済的な利益を生むものから人々の暮らしを改善するものに変わりつつある、と結論づけているようですが、どうでしょうか。

GEグローバル・イノベーション・バロメーター参考リンク

「もうダマされないための『科学』講義」-科学でダマし、ダマされる状況について考える(2012.1.22)

菊池誠、松永和紀、伊勢田哲治、平川秀幸著、飯田泰之+SYNODOS編、「もうダマされないための『科学』講義」に基づいて、科学コミュニケーションの問題を考えました。科学についての理解を深めるために研究マネジメントの知識も活用可能であるように思われます。

「もうダマされないための『科学』講義」参考リンク

科学技術と社会の関わり、これからのイノベーション(2011.7.18)

3.11震災は、科学と社会の関わり方の見直しを我々に迫っていると思います。民間企業においても、その企業の収益源となっている科学と社会の関係の重要性は言うまでもないでしょう。どのように関わるべきなのかを考えてみました。

1年後のTime誌「2010年のベスト50発明」(2011.12.25)

2010年に発表されたTime誌のベスト50発明が1年後にどうなっているかを調べてみました。実用化に近い発明はほとんど検討が継続しているようですが、アイデアに近いものはその後の発展がないものもあるようです。

2010年のベスト50発明(「Time」2010.11.22号) (2011.12.5)

Time誌に発表された2010年のベスト50発明について、ニーズ志向かシーズ志向か、破壊的イノベーションの可能性について評価を試みました。

Time誌ベスト50発明参考リンク

iPS細胞研究に見る研究の進め方雑感(2011.12.11)

朝日新聞大阪本社科学医療グループ著「iPS細胞とはなにか 万能細胞研究の現在」の中から、研究の進め方の部分について考えてみました。期待は大きいものの不確実性の高いこのプロジェクトがどのように花開くのか、マネジメントの観点からも注目していきたいと思います。

iPS細胞研究に見る研究の進め方雑感 参考リンク

「理性の限界」「知性の限界」(2011.9.19)

高橋昌一郎著「理性の限界」、「知性の限界」の簡単なまとめと、科学哲学の有用性について考えました。科学的に「正しい」ことにとらわれるよりも、科学哲学をうまく使うことが実務者には求められているのだと思います。

「理性の限界」「知性の限界」参考リンク

科学哲学の使い方(「理系人に役立つ科学哲学」感想)(2011.10.10)

森田邦久著「理系人に役立つ科学哲学」の簡単なまとめと感想です。我々に判断の際の考え方、基準を与えてくれることが、科学哲学の最も「役に立つ」ところなのではないかと思います。
理系人に役立つ科学哲学 参考リンク

「なぜ科学を語ってすれ違うのか」に学ぶ(2011.11.6)

ジェームズ・ロバート・ブラウン著「なぜ科学を語ってすれ違うのか」を参考に、「科学」をめぐる人々の理解の違いについて考えてみました。この本では知の欺瞞で有名なソーカル事件を題材に、科学に対する様々な考え方が解説されますが、こうした違いを超えた理解のために科学哲学が有用なのではないかと思います。

「なぜ科学を語ってすれ違うのか」参考リンク

「テクノロジーとイノベーション」感想(2012.4.1)

ブライアン・アーサー著「テクノロジーとイノベーション」の感想です。著者は、「科学はテクノロジーの一形態」とし、「現代テクノロジーの本質は一連の新たな変化を迎えつつある。安定した運営から不断の適応へ。」というあたりが興味深いと思いました。

テクノロジーとイノベーション 参考リンク

複雑系の可能性(ニール・ジョンソン著「複雑で単純な世界」より)(2012.6.10)

複雑系の特徴、本質、予測と制御などの問題について考えてみました。従来の要素還元的アプローチの限界を認識し、複雑系の本質と可能性を正しく理解してマネジメントに反映させていく努力が必要なのではないかと思います。

ニール・ジョンソン「複雑で単純な世界」参考リンク

いかに判断、予測するか(ダンカン・ワッツ著「偶然の科学」より)(2012.7.29)

人間が関与する判断は科学的な判断に比べて困難と認識すべきでしょう。著者は、「未来を予測する自分たちの能力はあてにならないと認めてはじめて、われわれは未来を見出す方法を受け入れられる」と述べ、『予測とコントロール』から『測定と対応』への変化が重要と考えているようです。

ダンカン・ワッツ「偶然の科学」参考リンク

シチズンサイエンス考(2012.7.1)

アマチュアまたは非職業的な科学者によって、その一部または全部が行なわれる科学研究としてシチズンサイエンスが注目されているようです。科学者のパートナーとして市民が楽しみながら研究に参加し、本物の科学に触れることはSTSの観点からも意義深いと思います。

シチズンサイエンス参考リンク

技術で仕事はどう変わる?(2011.8.21)

新井紀子著「コンピュータが仕事を奪う」を参考に、コンピュータが人間の仕事を奪う可能性と、人間の仕事がどう変わっていくかを考えてみました。技術は人間に労働観の見直しを迫っているかもしれませんが、仕事の内容が変わっても仕事がなくなるわけではないと思います。

技術で仕事はどう変わる? 参考リンク

理系と文系、とイノベーション(2011.5.1)

理系と文系という区分のしかたは面白いとらえかたではあるのですが、重要なことは、違う発想や知識を持った人とどうつきあっていくかではないでしょうか。これからのイノベーションも、いかに違う発想を生かすかがカギになるかもしれません。

理系と文系参考リンク

ロボットに研究ができるなら(2011.4.3)

ロボット技術の発達によって、ロボットが研究作業の一部を担うようになるのは時代の流れでしょう。では、人間は何をすべきなのか。ロボットに研究の楽しみがわかるのでしょうか?。

研究ロボット参考リンク

「エコ企業」雑感 (ニューズウィーク日本版、2011.2.9号、エコ企業100より)
(2011.2.27)

エコに優れた企業とは、どんな企業なのでしょうか。ひとつ評価の考え方としてニューズウィークのランキングを紹介、考察してみました。

エコ企業参考リンク

「ヒトは環境を壊す動物である」感想(2010.12.26)

小田亮著「ヒトは環境を壊す動物である」の感想です。進化によって人間が獲得した認知能力では、地球温暖化などの環境問題に対応するのは難しい、という視点が新鮮に感じました。

ヒトは環境を壊す動物である 参考リンク

進化心理学からの示唆(「友達の数は何人?」ロビン・ダンバー著)より(2012.8.26)

人間の合理的な判断には限界があることは、人間が進化の過程で獲得した認知や思考能力の特性によるのかもしれません。自らをよく知ること、人類や科学の力を評価しすぎない(思いあがらない)ように注意しなければならないと思います。

友達の数は何人?参考リンク

「働かないアリに意義がある」感想(2012.4.22)

長谷川英祐著「働かないアリに意義がある」の感想です。では、社会的な昆虫といわれるアリやハチの生態が解説されています。同じく社会を形成するヒトの行動について安易な類推はできないかもしれませんが、社会の中の「多様性」が重要なのではないかと思います。

働かないアリに意義がある参考リンク

利他性と協力(2012.5.13)

協力を促す上で、利他性は重要な因子でしょう。人間は本来利己的なものとする考え方がありますが、本来的に利他的な要素も併せ持っているのではないか、とする考え方もあります。マネジメントの視点からも利他性の活用はもっと検討されてもよいのではないでしょうか。

利他性と協力参考リンク

論文から見た各国の科学力比較(2011.1.16)

世界各国の論文数シェアと被引用数シェアの比較です。中国の論文数の伸びが顕著ですが、韓国、インドなども存在感を増しているようです。

論文による科学力評価参考リンク


「不完全な時代――科学と感情の間で」感想2012.3.4

坂村健著「不完全な時代――科学と感情の間で」に基づいて、科学と情報、感情の問題を考えてみました。合理的な判断とはいってもそこには必ず感情が入ってくることはまず認識すべきでしょう。その上で、科学と感情の歩み寄りが必要なのではないでしょうか。

不完全な時代参考リンク


「科学との正しい付き合い方」感想 (科学者とそれ以外の人との付き合い方?について) (2010.11.21)

内田麻理香著「科学との正しい付き合い方」の感想です。科学を扱う人とそれ以外の人とのコミュニケーションの問題などが主題ですが、ついでに事業仕分けにおける科学研究費の問題についても考えてみました。

「科学との正しい付き合い方」参考リンク

動的平衡(2010.10.31)

福岡伸一著「動的平衡」の感想です。動的平衡という考え方はマネジメントにおけるアナロジーとしても面白いと思いますし、読み物としても面白いのですが、若干の疑問も感じました。

動的平衡参考リンク

祝ノーベル賞:『発見の条件』by根岸英一教授(2010.10.11)

根岸教授の研究マネジメント手法について、根岸教授が1996年に発表された記事をもとに考えました。大学における基礎的な研究の進め方について述べられたものですが、特に探索的な研究を行なう場合には有用な示唆が含まれていると思います。

根岸英一教授参考リンク

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