研究開発マネジメントノート

研究開発とそのマネジメントについてのいろいろ

2013年04月

「技術経営の実践的研究」(丹羽清編)より

研究をうまく進め、イノベーションを成功に導くためにはどうすればよいのか、どうすればその方法が見つけられるのでしょうか。技術的な課題に対してなら、過去の成果を調べる、理論を適用する、実験してみるといった手法を用いるわけですが、マネジメントについてはどうでしょうか。丹羽清編、石黒周、板谷和彦、白肌邦生、清野武寿、手塚貞治著「技術経営の実践的研究」[文献1]では、マネジメントにおいてこのような科学的な研究の方法に通じる「実践的研究」の重要性が主張され、その事例が述べられています。

丹羽氏は、「企業が現実に抱える複雑な課題に対して実際に解決法を提案しようとしたときに、基礎的な理論的研究や過去の事例を対象とする分析的研究などのアプローチでは歯が立たない[p.iv]」と述べ、「実践的研究」すなわち「企業で実際に直面する技術経営上の重要課題を扱い、その解決策を提案することを目的とする研究[p.iii]」の必要性を主張しています。本書では、5人の著者による実践的研究の試みと、そこから得られる示唆が述べられており、技術経営学の研究手法としてだけでなく、実用的な示唆としても重要な内容を含んでいるように思われました。このような、課題解決を目指して何かを試み、そこから何かを得る、というアプローチからどんなことが得られているのか、その内容をまとめておきたいと思います。

第1章、研究マネジメント――発見プロセスの支援(板谷和彦)

第1章では、「研究者の発見を志向する意識や行動を促すことを主目的とする、発見を支援するマネジメント方法を提案する[p.15]」ことが検討されています。著者が提案しているのは「発見の現場主導型マネジメント」というもので、発見を目指した活動が主体となる探索研究への適用を想定し、研究者の研究行動に対するマネジメントやリーダーによる干渉を可能な限り抑制することを特徴としています[p.27]。具体的には、階層的組織と成果主義型人事制度に基づくマネジメントの問題点を抑制するために、次の施策が提案されています[p.25-27]。

1、破格の実行権限の委譲(締め切りを設けずフォローもしない、計画段階から結果の解釈に至るまで拡大的に研究者に委譲し、報告義務を負わせない)

2、ビジョン的表現による目標の共有(リーダーと研究者が、目標達成の社会的インパクトや夢などをビジョン的表現による目標として共有する、目標を広く捉えて共有することにより、企業との価値貢献の道筋は共有しつつも微細な目標による束縛感や制約感は抑制する)

3、ゆるやかなコミュニケーション(階層構造上の上下関係に対する意識を感じさせないコミュニケーションを図る、階層構造がもたらす遠慮、義務感や躊躇を取り払った議論や情報交換を促進する)

4、臨機応変な既存組織との整合(成果評価、業績評価を発見のタイミングにあわせて行う、資源確保を臨機応変に行う、既存組織との不整合を臨機応変な対応で解決をはかる)

そしてこの施策を電機系大手メーカーの中央研究所で適用する実験を行ない、これらの施策が発見志向の傾向を高める効果があること、意義ある発見を創出する効果があることが確認されています[p.52]。

第2章、設計と生産の連携――製品開発活動の強化(清野武寿)

第2章では、「設計部門と生産部門とが新製品開発の実際の現場において連携を強化するための実践的なマネジメント方法を提案すること[p.61]」が研究目的とされています。日本の代表的な企業6社(機器、材料メーカー)の生産部門マネジャーへの調査により、こうした連携が不足する原因を推定し、24社へのアンケートで得られた解決事例に基づいて、1)データ・情報の伝達と有効活用(相互に相手が有効活用できる形態で伝達する)、2)機能・役割の置換(機能や役割を互いに代わって実行する)が解決方法になりうることを抽出しています[p.67-69]。この時、生産部門からの働きかけや提案で連携が開始されることが多い[p.83]、という点にも注目する必要があるでしょう。

第3章、技術人材のマネジメント――人材の活性化法(白肌邦生)

第3章の研究の目的は、「技術系企業における効果的な人材活性化マネジメント方法を提案すること[p.98]」とされています。特に技術人材については、「『将来にわたって自分を高めていきたい』という自己向上側面と、『自分の研究成果によって社会に影響を与えたい』という影響側面の、大きく2つのタイプの未来志向性が技術開発業務を推進するうえでの職務意欲の源泉となっているのではないか[p.100]」という洞察に基づいてアンケート調査を行ない、「意欲的に活動している人材は、将来にわたって自分を高めたいというキャリア向上の側面で、より先の将来を見据えていると推測できる[p.106]」という結果が得られたとされています。さらにこの結果から、「技術人材は自らの未来志向性(Vision)が、組織の技術開発目標と意味づけされることで、業務に動機づけられる(Motivation)。意欲的な活動は創意あるアイデア創出(Ideas)や目標達成行動(Actions)につながり、何らかの成果を生む。当該成果が他者に評価され、当人が仕事への成功実感(Success)を得ると、当初見いだしたビジョンと組織目標達成の関係性が個人の中で強化、あるいは新規のビジョン形成につながり、この流れは循環する[p.109]」という技術人材の活動モデルが提案されます。そして技術人材の上記5つのポイント(Vision, Motivation, Ideas, Actions, Success)の度合いが診断された上で、ミドルマネジャーによるフォーマルな人事面談により、個人ビジョンの創造および引き出し、個人ビジョンと組織目標のすりあわせ、アイデア創造促進および行動スタイルの変更、取り組みの評価が行われることによって[p.112]、能動的業務遂行意識が高まるという効果が得られた[p.126]としています。

第4章、研究開発型ベンチャー――企業間の知識連携(手塚貞治)

第4章では、組織間知能について検討されています。組織間知能とは、「組織集合体における集合的な知的問題処理能力」と定義され[p.145]、「企業間連携における提携共同体を一般化したものが組織集合体であり、その組織集合体における知識共有のあり方を『組織間知能』と位置づけることができる[p.145]」とのことです。これは、「ベンチャー企業の場合は、知識習得も外部との関係を頼ることとなる[p.139]」ため、「ベンチャー企業の成功可能性をさらに高めるには、この『知識』の習得こそが残された課題[p.138]」という認識に基づいています。研究の目的は、「イノベーションの担い手としての日本の研究開発型ベンチャー企業が企業間連携を通じて構築している組織間知能の構造を明らかにすること[p.172]」であり、著者は、社歴10年未満の研究開発型ベンチャー企業へのアンケートによって、この問題を検討し、基本構想立案能力(事業フローの最上流にあたる戦略構築や商品アイデア創出・コンセプト設定というプロセスにおける能力)が提携共同体で特に向上し、この能力が向上すれば提携成功とみなされ、この能力向上には長時間かかることが明らかにされています[p.172]。さらに、提携成功の要因として、情報伝達手段の整備、対等性の保持、個人間信頼、コスト負担ルールの設定、事前調査、ベンチャー側の自社技術優位性の保持が重要であり、これらのポイントは提携の形態により意義の重要性が異なることも明らかにされています[p.172-173]。この時、成果配分ルールを決めることは提携成功には負の作用を及ぼすとしている点は興味深いと言えるでしょう。

第5章、長期研究システム――NPO型分散研究システム(石黒周)

第5章の研究の第一の目的は、「従来の長期研究システムがもつ・・・問題点を生じさせない新たな研究システムを提案する[p.185]」ことであり、著者自身が運営・管理に携わったRoboCup(人工知能やロボティクスの研究を推進するために、日本の民間企業の研究所、大学、国立研究所の研究者らが1995年に研究ゴールを提案し、1997年に立ち上げた研究プロジェクト[p.187])という長期研究推進の仕組みを検討対象とすることで、「NPO型分散研究システム」という新たな長期研究システムを提案しています。その組織的特徴は、「ビジョンドリブン組織、NPO組織、ゆるやかな階層性組織、科学者共同体の4つ[p.216]」であり、組織特性として「ビジョンドリブン性(組織として達成することを目指しているゴールがあり、それを達成するためだけに組織が設立され、活動が推進される)、競争と淘汰性(参加者同士が互いに競い合う、価値を見出されないと活動が継続できなくなる)、オープン性(情報の公開性が高く、参入と退出の制約が少ない)、協働性(各セクターの組織がもつ欠陥を補い、相補的関係となり得る)、低制約性(組織立ち上げ条件や、他組織との兼務の可否に対する制度的制約が少ない)、自律分散性(個人あるいは単位組織が自律性をもつ)、サムシングニューイズム(他者に先んじて成果をあげ、それをその研究者の業績とする)、非専門家に対する閉鎖性(専門家集団とその固有の知識体を共有しない非専門家との間で研究に関する知識の共有がはかられない)の8つ[p.190-191]」があるといいます。ちなみに、この運営方法は今のところうまくいっているようで、新しい長期研究の進め方として有望のように思われます。

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以上が5つの実践的研究です。いずれも研究マネジメントの各論的検討ですが、それぞれは単なる思い付きや経験的実践ではなく、従来の研究マネジメントの問題を認識した上で試行、分析が行われており、企業において行なう研究マネジメントの方法についての示唆も大きいように思います。それぞれの成果の詳細については、適用事例以外の場合にも成立する汎用的なものなのかどうか等、今後の検討が必要なものもあると思いますが、各章で述べられた知見や各論は多くの示唆に富んでいて、例えば、第1章では、発見もマネジメントによって促進できること、第2章では、連携のために情報交流だけでなく機能や役割を置換することが有効なこと、第3章では、未来志向の考え方のマネジメントが活性化に有効であること、第4章では、企業提携において重視すべき項目が示唆されていること、第5章では、長期的で連携を必要とする研究プロジェクトの進め方において有効な方法が示唆されていることなどが個人的には興味深く思われました。もし、全体を通して鍵になる考え方をあげるとすれば「自律性」なのではないかと思いましたがいかがでしょうか。実際にこのような各論の議論を統合する考え方がありうるのか、それともこういう場合にはこうマネジメントすればよい、というような各論的議論がさらに必要なのかは興味のある点ですので、今後の発展に期待したいと思います。丹羽氏は研究マネジメントに対するこのアプローチを発展させ、企業で新規事業を行なおうとするには、「これまで経験のない新規事業の設定という課題を何度も試行錯誤しては検討し直すという学問的研究アプローチの採用が有効となる。本書ではこれを「『研究的』実践」と呼ぶ[p.227]」と述べています。企業にとっては、こうしたマネジメントを行なう余裕を持てるかどうかが問題かもしれませんが、研究の成果をあげたいならマネジメントにおいても古い考えにこだわらない「研究的」アプローチは必要なのではないかと思います。



文献1:丹羽清編、石黒周、板谷和彦、白肌邦生、清野武寿、手塚貞治著、「技術経営の実践的研究 イノベーション実現への突破口」、東京大学出版会、2013.

参考リンク<2013.7.21追加>



 


 

ノート1改訂版:どんな研究が必要なのか

1、研究開発テーマ設定とテーマ設定における注意点

研究開発は通常、「テーマの設定」、つまり、何に取り組むかを決めることから始まりますが、ここではまず、どんな研究を行なう場合にも認識しておくべき基本的な事項について考えたうえで、具体的なテーマの設定についての議論に移るようにしたいと思います。

1.1研究活動における基本的な注意点

基本的な事項として考えておきたいのは、以下のポイントです。

1)研究の必要性:なぜ研究をしなければならないのか、どんな研究が必要なのか

2)研究の不確実性:すべての研究が克服しなければならない課題

3)競争相手の存在:環境要因として忘れてはならないこと

1)はテーマ設定の方向を誤らないために、さらには研究に対する支援を受けるために、2)は成功率の高いテーマを設定し、実行段階での研究の成功率を高めるために、3)はアイデアを選択する上で特に重要と思われるポイントで、どんな研究行なうにしてもおろそかにできないことだと思っています。今回はまず1)について考えます。

1)研究の必要性:なぜ研究をしなければならないのか、どんな研究が必要なのか

民間企業における研究の場合、研究の目的は最終的には何らかの形で企業活動に貢献すること、と言ってよいでしょう。企業が保有する資源を用いて研究する以上、研究の結果はその企業にとって何らかの価値を生む必要があるはずです。ただし、ここで言う価値には、一般に期待される直接的な経済的利益だけではなく間接的利益、例えば社会への貢献もその企業の社会的地位を高める意味でその企業にとっての価値に含まれると考えられます。しかし、研究だけが企業活動に貢献しているわけではありません。極論を言えば、技術開発や研究を行なわなくても企業への貢献は達成できるかもしれません。となると、企業への貢献における技術や研究の存在意義はどうなるのでしょうか?。

Schumpeterは資本主義社会を発展させる源としてイノベーションを考察し、「経済活動の慣行軌道の変更、すなわち、非連続的変化が経済を発展させ」といい[文献1、上p.171-180(文献2p.112]、「非連続変化は新結合の遂行によって起き」[文献1、上p.180-184(文献2p.113]、「新結合が新しい軌道を確立していく過程を『創造的破壊』」[文献3、上p.130(文献2p.113]と呼んだといいます。また、Druckerは「イノベーションとは、従来とは違う新しく価値ある事業やサービスを起こすことであり、それを行なう企業家の責務はSchumpeterが明らかにしたように『創造的破壊』である」[文献4p.26-29(文献2p.116]とし、「企業の基本機能は、マーケティング(財やサービスを市場で売ること)とイノベーション(より優れた、より経済的な財やサービスを作ること)の2つだけである」[文献5p.37,39(文献2p.8]と言っているということです。

イノベーションが企業活動を通じて、企業と社会の発展に貢献する、ということは以上のように広く認められていることのようです。しかし、これらの活動と、技術や研究との結びつきは必ずしも自明のことではありません。技術者としては、経済や会社の発展に技術が深く関与していると信じたい面もありますが、現実には魅力的な技術を持った会社が必ずしも成功するわけではありませんし、パッとした技術もないように見えるのに、業績をあげる会社もあるのは事実のように思います。ということは、イノベーションと技術開発は同義ではない、ということをまず確認すべきでしょう。

実際、後藤は「イノベーションとは『新しい製品や生産の方法を成功裏に導入すること』を意味している」とし、「技術開発はそのなかの(重要な)一部分」とした上で、さらに「イノベーションには(中略)組織革新なども含まれる場合がある」「(上述の『製品』には)液晶ディスプレイのような財と、宅急便のようなサービスの両方が含まれる」と述べています[文献6p.22]。また、Tiddらは「技術のイノベーションのマネジメントは単なる生産や研究開発の効率性の改善といった次元を超え、技術を利益をあげる製品やサービスに変換するという技術開発の効率性の次元までをも含んでいる」と述べています[文献7p.ii]。また、丹羽は「激しい競争に勝ち、社会や顧客に貢献して生き続けるためには企業は何をすべきか、それは、他社にはまねのできない、従来とはまったく異なる新しい価値を生み出す製品やサービス、そして事業を提供することだ。これをイノベーション(革新)という。」[文献2p.111]と述べています。

大胆に要約してしまえば、企業活動に貢献するためにはイノベーションが重要であり、技術がイノベーションに貢献できる可能性がある(必須ではないかもしれない)、ということになると思います。このような考え方は、技術的な優秀性だけで成功が保証されるわけではないという経験からしても納得しやすいものではないでしょうか。さらに、技術と企業への貢献の関係について、Christensenらは、業界をリードしていた優良な企業がある種の市場や技術の変化に直面したとき、(特段の経営上の失敗もないのに)その地位を守ることに失敗した例の分析を通じて、「刺激的な成長事業に乗り出そうと奮闘する企業にとっての根本的な問題が、優れたアイデアの不足であることはほとんどない」[文献8p.19]、「成長を維持できなくなる恐れのある企業にとって、刺激的な成長を生み出すアイデアが不足していることが問題なのではない」[文献8p.338]と述べています。また、Collinsは、良い企業が偉大な企業に飛躍する過程を分析した結果に基づき、「技術そのものが偉大な企業への飛躍や企業の没落の主因になることはない」[文献9p.253]と述べ、さらに、不確実なできごとに遭遇しても躍進しつづける企業の分析においても、「どんな環境下でも、脱落せずに競争し続けるために最低限達成しなければならない『イノベーションの閾値』がある。閾値が低い業界もあれば、閾値が高い業界もある。だが、いったん閾値を超えれば、それ以上のイノベーションにこだわってもあまり意味がない[文献10p.179]」と述べています。技術的な成功を華々しく取り上げて企業の成功に結び付けようとする考え方はたしかにわかりやすいのですが、こうした事例を常に成り立つ真理であるかのごとく単純化して理解しまうことは危険なことと思います。つまり、技術者は技術の進歩のみに関わるだけではなく、技術を効果的に利用し製品やサービスを販売して社会に貢献するところまで視野に入れて活動する必要があり、イノベーションは研究部隊だけの仕事ではない、ということを認識すべきなのでしょう。その意味で「研究、技術開発」よりも広い意味での「イノベーション」を念頭におくことが企業への貢献を目指す上では必要になるものと考えられます。

技術者はとかく、自分の担当である技術の部分に集中するあまり回りが見えなくなることがよくあり、その結果「役に立たない研究」「興味本位の研究」「自己満足」などの批判を受けることがあります。実際、研究がこうした状態に陥ってしまうこともありますが、高度な技術の開発では回りが見えなくなるほど集中しなければ解決できない問題があるのも事実でしょう。企業における研究者として、研究の最終の目的は企業への貢献であることを忘れないようにすることはもちろん重要ですが、研究部門以外の方はイノベーションを技術陣だけに任せきりにしない、ということも現代におけるイノベーションの成功には必要なことではないかと思います。

考察:研究の必要性と役割を理解しておくべきもうひとつの理由

イノベーションや研究開発の必要性など、改めて考えなくても研究はできる、という意見もあるでしょう。実は私もそう思います。このブログでは実際に使う立場から研究マネジメントに関する知識をまとめようとしているわけですから、今回のような総論的な議論は不要と思われる方もあるかもしれません。しかし、現実にはイノベーションや研究開発に懐疑的な人々もいます。もちろん、イノベーションが不要だと声高にいう人は少数かもしれませんが、内心は必要だと思っていない人、あった方がよい程度にしか考えていない人もいるのではないでしょうか(例えば、研究は売り上げをあげていないとか、研究は利益処分の手段のひとつだと言う人はそういう気持ちを持っていると思います)。こうした懐疑論に立ち向かうため、研究の意義や必要性を考えておくことは実践的にも必要なことだと私は考えています。

考える際のポイントは2つ、第一は自らも懐疑的になって考えてみること、第二は懐疑論に対抗できるような研究の意義を考えておくことです。本稿でSchumpeterDruckerを取り上げ、研究開発よりも広い意味でのイノベーションを考える必要があると述べたのはそのためなのですが、SchumpeterDruckerを信じない人、イノベーションの必要性にすら懐疑的な人に対しては、十分ではないかもしれません。様々なイノベーション論においても、イノベーションの必要性は当たり前のこととされているものが多く(中には、「苦しいときの技術開発頼み」になっているものもあるように思います)、懐疑的な人々を説得するためには、もっと強くイノベーションの必要性を納得させる根拠が必要なのではないかと感じます。現時点ではSchumpeterDruckerに頼らなければならないところがイノベーション論の限界であり、より有効な理論の出現を待つしかないのかもしれませんが、実践的な立場からするとそう言ってはいられませんので、私はイノベーションの概念をより広げて、何らかの新しいことに取り組むこと自体が本質的に重要なことである、と考えるようにしています(これなら懐疑論は出にくいので)。

第二のポイントについては、研究が具体的に何を行ない、どう企業に貢献できるのかを明確にすることが必要と考えます。この点に関連して重要だと思うのは、「製品開発は、情報を生み出す非定形の業務」とするThomke、Reinertsenの考え方[文献11]で、その考え方に従えば、研究開発はモノやカネを生んでいるのではなく、判断の拠りどころとなる「情報」を生んでいるのだ、ということになります。具体的には、「こうしたら、こうなるはずだ」という未来予測のための情報を提供すること、そのために、アイデア出し、情報収集、理論の適用、試行錯誤など様々な手法を磨き、活用することが研究開発部隊の役割、存在意義と言えるのではないでしょうか。現場のちょっとした改善であっても、未知のことに関する新たな情報を生んでいるならそれは研究の一部、ただし、それを専門の研究部隊が行なうかどうかは、課題の困難さなどの状況に応じて決める、と考えれば、研究不要論には対抗できる(ただし、専門の研究部隊不要論に対しては、別の検討が必要ですが)と思います。

イノベーションを実現するためには、研究部隊だけでなく様々な人々との協力が必要です。懐疑的な人も含めた様々な人々とうまく協力していくために、研究者自身が研究の必要性と役割を認識しておくことは実務的に役立つのではないか、というのが私の考える、研究の必要性と役割を理解しておくべきもうひとつの理由です。



文献1Schumpeter, J.A., 1926、塩野谷祐一、中山伊知郎、東畑精一訳、「経済発展の理論」岩波書店、1977.

文献2:丹羽清、「技術経営論」、東京大学出版会、2006.

文献3Schumpeter, J.A., 1950、中山伊知郎、東畑精一訳、「資本主義・社会主義・民主主義」東洋経済新報社、1995.

文献4Drucker, P.F., 1985、上田惇生訳、「(新訳)イノベーションと企業家精神」、ダイヤモンド社、1997.

文献5Drucker, P.F., 1954、上田惇生訳、「(新訳)現代の経営」、ダイヤモンド社、1996.

文献6:後藤晃、「イノベーションと日本経済」、岩波書店、2000.

文献7Tidd, J., Bessant, J., Pavitt, K., 2001、後藤晃、鈴木潤監訳、「イノベーションの経営学」、NTT出版、2004.

文献8Christensen, C.M, Raynor, M.E, 2003、桜井祐子訳、「イノベーションへの解」、翔泳社、2003.

文献9Collins, J., 2001、山岡洋一訳、「ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則」、日経BP社、2001.

文献10Collins, J., Hansen, M. T., 2011、牧野洋訳、「ビジョナリーカンパニー4 自分の意志で偉大になる」、日経BP社、2012.

文献11Thomke, S., Reinertsen, D.、有賀裕子訳、「製品開発をめぐる6つの誤解 製造プロセスでの効率性は通用しない」、Diamond Harvard Business Review, 2012, 8月号、p.76.

参考リンク

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ファシリテーションの意義

イノベーションが個人の力だけでは達成しにくくなってきたのではないか、これからは多分野の協力や組織としての能力の発揮がますます求められるようになるのではないか、ということは今まで何度か述べてきました。しかし、組織としての力をひきだす具体的な方法についてはあまり取り上げていなかったように思います。今回は、森時彦著、「ファシリテーター養成講座」[文献1]に基づいて、ファシリテーションによる組織の能力発揮の具体的方法とその意義について考えてみたいと思います。

著者はファシリテーションを、「集団の知的相互作用を促進する働き[p.7]」と定義し、「本質は参加者を活性化し、人と人との相互作用を促すもの[p.210]」としています。ファシリテーションについては、会議をうまく進める方法ととらえられることもあるようですが、著者は「単なる会議術ではなく、組織の生産性を高めるインフラである[p.27]」と述べています。まさに研究開発を組織的に進め、多くの人の協力によってイノベーションをつくりあげていくために必要なスキルと言えるのではないでしょうか。以下、本書の流れに沿って、ファシリテーションの原理や特徴とツールについて、重要と思われる点をまとめてみます。

はじめに

・ファシリテーションの3つのパターン:1)全体像を考えさせる(人は、全体像を前にすると自分のやっていることを客観視できるようになる)、2)分解して考えさせる(要素に分解して分析的に考えられるようにする)、3)異なる視点を組み合わせて考えさせる(複数の要素が絡み合って判断を難しくしているときには、それらを整理してから組み立て直してみせる)[p.ix-x

・ファシリテーションにはIQ的側面(集団で思考するためにフレームワークを利用するなど)と、EQ(こころの知能指数)的側面がある。[p.x-xi

講座1、ファシリテーションとは何か?:解けない問題を「解けるカタチ」に変換する

・「いい議論をするためには、実はコンテンツ(中身)だけでなく、正しいプロセスで議論する必要がある。そのプロセスを管理するのがファシリテーターの役割」[p.16]。「ファシリテーターは、プロセスに集中することが大切だ。・・・コンテンツに関する思考をできるだけ抑制し、チームがどう思考しているかを詳細に観察し、どうすればより効果的にチームの力を引き出すことができるかを考えつづけなければならない。[p.17]」

・「私たちは自分で考えたことはやり遂げようとする。押しつけではなく、「これでできる」と自ら気づくこと。行動を変えていくためには、内発的な動機づけをいかに創り出すかが重要である[p.18-19]」。「課題を解決していくのは当事者たちである。・・・ファシリテーターは、当事者たちが本気になってやれるように、道筋を整える役割である[p.21]。

・ファシリテーションが注目される理由:1)従業員の意識の変化(「『やりたいことをやらせてくれる職場』を求める従業員に対して、納得感の少ない従来の指示命令型ではうまく機能しない[p.22]」、2)問題の複雑化(「異種専門家チームが協働するプロジェクト・・・では、職位や専門知識に頼った従来型のマネジメントは通用しない[p.23]」

・ファシリテーションのスキル:1)プロセスをデザインする、2)場をコントロールする、3)触発する、噛み合わせる、4)合意形成、行動の変化

・紹介されているツール:プロセスマッピング(業務プロセスを可視化しボトルネックを見いだす)、ファシリテーションの利用としてのワークアウト、チェンジアクセラレーションプログラム

講座2、プロセスをデザインする:集団思考の落とし穴に陥らないために

・会議をダメにする7大悪癖:1)目的がはっきりしない、2)アクションを決めない、3)コントロールできない、他部署のせいにする、4)過去の話の蒸し返し、5)部分最適の主張を繰り返す、6)堂々巡り、7)問題のすり替え[p.40-41

・プロセスデザインのポイント:1)目的は明確か?、スポンサーは合意しているか?、2)その日の会議のゴールは明確か?、3)メンバーが気兼ねなく発散できる場になっているか?、4)収束の方法にメンバーの納得性があるか?、5)シミュレーションし、メンバーの反応を予測したか?、6)メンバーのいろいろな反応に備えているか?、7)「集団思考の落とし穴」に陥らない工夫をしているか?[p.42-50

・発散させるだけでなく収束するためのプロセスデザインが必要。

・代表的な集団思考の落とし穴:1)社会的手抜き(自分はやらなくても支障ない)、2)感情的対立、3)声高少数者の影響、4)集団圧力・同調行動、5)集団愚考(極端な意見の競争や、万人受けする意見が採用されたりする)[p.50-52

講座3、共感を得る、場をコントロールする:ファシリテーションのEQ的側面

・「人が納得するには、情報(言葉)だけではなく、そのコンテクスト(背景)が必要だ。そしてその割合は文化によって異なる(エドワード・T・ホールによる)[p.82]」。「日本人は・・・より多くのコンテクスト(背景)を必要とする[p.83]。

・場をコントロールする方法:1)メンバーとの信頼関係を構築する(ファシリテーターの傾聴力、理解力、議論を整理する論理力、人間性(普段の言動)、実績による)、2)メンバーの活性度、率直度、集中度を高いレベルで保つ(会議のグランドルールを決める、締め切り効果、アイスブレークを利用する、活性度、率直度、集中度の自己評価により気分を変える、などの方法がある)、3)「集団思考の落とし穴」に的確に対処する[p.89

・紹介されているツール:リーダーズ・インテグレーション(リーダーとメンバーの信頼関係を築く手法、ジョセフ・ラフトとハリー・インガムによるジョハリの窓(対人関係における気づきの図解モデル-自分自身について私にわかっていることいないこと、他人にわかっていることいないことの2軸で考える)を活用)[p.62-78

講座4、クリスタルシンキング:ファシリテーションのIQ的側面

・クリスタルシンキングとは:「複雑に錯綜する問題を明解にとらえ、切り分けて定義できること。そのうえで、解決のためのロジカルパスを明示的に説明できる力[p.104]」であり、ファシリテーターに要求される能力。

・紹介されているツール:ゴールツリー(目的と手段を明確にしていくときに便利、目的→手段→アクションの順に整理する、自分の役割と組織の目標を一体として理解するのに役立つ)[p.110-118]、二分割法(例えば競合品との強みの比較、「いいところ」と「悪いところ」を分けて感情を整理する、「過去」と「未来」に分けて未来の議論に注力する、制御可能vs制御不能、など、リフレーミング(見方を変える)を促す作用もあり、視点を分け分析的に考えることで戦術面での行動の変化をもたらす)[p.120-129]、オポチュニティマッピング(市場機会マッピング、全体像を考えさせることで戦略的発想を促す)[p.129-136

講座5、ビジョンに向かって進む:力の場を分析する手法

・ビジョンとは:自分たちのありたい「未来の姿」[p.142]。

・ビジョンをつくるために、ファシリテーションは有力な武器になる[p.144]。

・紹介されているツール:二分割法、SWOT分析[p.154-163]、フォースフィールド・アナリシス(人の心に作用する見えない力を見える化し分析する(レビンによる手法)、例えば変革の推進力と抵抗力を二分割で分析するなど)

講座6、合意形成と危機への対応:日々の打合せの中でのファシリテーション

・「コンフリクトの少なすぎる組織は、環境の変化に適応できない。適度なコンフリクトは・・・必要なものである[p.183]」。コンフリクトには、競争的、回避的、協調的、受容的、妥協的という5つの対応モードがあり、これは自分の考えを表現する能力と他人を深いレベルで理解する能力の2軸でコンフリクトへの対応を分類したもの(トーマスとキルマンによる)。協調的モードは自己主張しつつ相手の考えも理解するモードで、win-winの関係を作りやすい。ただし、重要なのは最適なモードを使い分ける力。[p.182-189

・紹介されているツール:ペイオフマトリックス(選択肢を成果の大きさと対価の大きさ(困難さ)の2軸で評価する、合意を促す効果がある)[p.189-197]、TCASPL問題など危機への対応方法で、Triage(優先順位づけ、問題定義)→Contain(封じ込め、緊急対応)→Analyze(原因究明)→Solve(対策、再発防止)の順に対応すべき)[p.192-207]、リスクアセスメントテーブル(関係者の衆知を集めて優先順位をつける)[p.206-207]。

講座7、風土改革、組織変革のファシリテーション

・リーダーシップが指示命令型からファシリテーター型に変わってきている[p.213-214]。

・タックマンの組織変革モデル:組織変革に伴う組織行動(組織をつくっている人の集団の行動)は、新しい組織の形成(Forming)→すぐには機能せず混乱する(Storming)→新しい秩序が形成(Norming)→機能しはじめる(Performing)という経過をたどる。[p.215

・コッターによる組織変革の8つの落とし穴:1)緊急課題であるという認識が不徹底、2)推進チームの指導力不足、3)ビジョンの欠落、4)社内コミュニケーションが絶対的に不足、5)ビジョン実現の障害を放置、6)計画的な短期的成果の欠如、7)早すぎる勝利宣言、8)変革の成果が浸透不足。[p.217

・「危機感のない組織の変革プランは机上の空論」[p.220]。「危機感は情動の働きであることを理解し、個々の情動に働きかけるプロセスを工夫するしかない。ファシリテーションは、そのプロセスデザインやディスカッションの場で力を発揮する。[p.222]」

・紹介されているツール:4W1H(W)WhatWhoby Whenを明確化して行動を促す)[p.227-229]、ステークホルダー分析(キーマンを分析し、早期に成功事例をつくり変革の味方を増やす)[p.229-232

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研究開発にとってのファシリテーション

以上が本書に述べられた内容の私なりのまとめですが、研究組織の運営においても、組織の能力をよりよく発揮させるためにファシリテーションのスキルやツールは重要だと思われます。一般に研究者は知識(IQ的側面)に頼って議論しがちですので、自部署内あるいは他部署との協働を行なう場合には感情(EQ的側面)の影響を忘れてしまいがちです。また、研究者はある専門分野の考えに集中するあまり、周囲の状況の把握がおろそかになることがあり、場合によっては同じ研究グループの中にも意識の違いが生まれる可能性すらあります。そのような時には、ファシリテーションの考え方やツールを活用して組織として成果を生むように組織運営の軌道修正を行なう必要があるでしょう。意思疎通や協力体制に問題のある組織では、組織的知識創造や外部との協力によるオープンイノベーションも困難だと言わざるを得ませんので、ファシリテーションは様々なイノベーションの方法を支える基礎となるスキルであると言ってもよいように思われます。

ファシリテーターは誰が務めるべきでしょうか。研究者はつい、研究課題の議論には専門知識が不可欠だと思ってしまいがちですが、問題の本質が技術的専門以外のところにある場合もあるでしょう。また、研究者に限らず自分の状態は自分では認識しにくいものです。日常の研究グループの運営にファシリテーションの考え方を取り入れて組織の力を発揮させるようにすることは第一線の研究マネジャーの仕事でしょうが、ファシリテーターはコンテンツ(技術的内容)に深入りすべきでないことを考えると、技術の詳細を知らない人材こそファシリテーターにふさわしいのかもしれません。ファシリテーションを外部コンサルタントに依頼することも可能でしょうが、例えば、研究グループのリーダーのひとつ上のレベルのマネジャーや、研究部門全体のスタッフ、企画部門、人事部門の人材がファシリテーターとしてプロジェクトに関わることも考えてもよいと思います(もちろん上位のマネジャーが関わる場合には権威的な方法でプロジェクトをコントロールしないようにしなければなりませんが)。

経験的にも、研究プロジェクトが技術的要因以外のところで躓いたり、思わぬ反対にあって苦労したりすることは多いものです。もしそうした障害が感情的なものであったり、問題点の整理が不十分なために発生しているとすれば、大きな損失ではないでしょうか。問題の本質をすばやく見つけ、解決できる可能性があるファシリテーションのスキルやツールは組織運営の基礎としてもっと積極的に活用すべきなのではないかと思います。


文献1:森時彦著、「ファシリテーター養成講座 人と組織を動かす力が身につく!」、ダイヤモンド社、2007.


(参考)森時彦、「ファシリテーションの道具箱(全10回)」、DIAMOND online2007.10.18-2008.3.6

http://diamond.jp/articles/-/5384



参考リンク<2013.8.18追加> 

 

 

参考書・文献・読書録インデックス(2013.4.7版)その1

今まで内容の紹介をさせていただいた参考書、文献のリストその1です。関連記事やコメントを加えると容量が大きくなり見にくくなってきたため、このリストから多少詳しいまとめに行けるようにしてみました。その文献をまとめた記事には直接リンクしましたが、その他の文献からの引用についてはまとめページをご参照ください。概ね著者(グループ)ごとにまとめ、特に重要だと思う文献にはコメントをつけています。文献リストその2(科学に近い内容)はこちら。

まとめページその1収録文献

丹羽清、「技術経営論」、2006

 コメント:技術経営の全体感をつかむならこの本がおすすめです。

丹羽清、「イノベーション実践論」、2010

丹羽清(編)、「技術経営の実践的研究」、2013

後藤晃、「イノベーションと日本経済」、2000

Tidd, J., Bessant, J., Pavitt, K.、「イノベーションの経営学」、2001

 コメント:技術経営の主要トピックスを網羅。現在は新版(第4版)あり。

Christensen, C.M.、「イノベーションのジレンマ」、1997

 コメント:技術経営を考えるなら必読。

Christensen, C.M, Raynor, M.E.、「イノベーションへの解」、2003

 コメント:「イノベーションのジレンマ」続編。これも重要な指摘が多いです。

Christensen, C.M, Anthony, S.D., Roth, E.A.、「明日は誰のものか」、2004

Anthony, S.D., Johnson, M.W., Sinfield, J.V., Altman, E.J.、「イノベーションへの解実践編」、2008

 コメント:クリステンセン著ではありませんが関係者の著書。破壊的イノベーション実践の手引とし有用。

Brown, B., Anthony, S.D.、「P&Gニュー・グロース・ファクトリー イノベーションの成功率を高めるシステム」、Diamond Harvard Business Review2011ブログ記事へ

Dyer, J.H., Gregersen, H.B., Christensen, C.M.、「イノベーターのDNA」、Diamond Harvard Business ReviewApr. 2010p.36.ブログ記事へ

Dyer, J., Gregersen, H., Christensen, C. M.、「イノベーションのDNA 破壊的イノベータの5つのスキル」、2011.ブログ記事へ

Johnson, M.W.、「ホワイトスペース戦略 ビジネスモデルの<空白>をねらえ」、2010ブログ記事へ

まとめページその2収録文献

Collins, J.C., Porras, J.I.、山岡洋一訳、「ビジョナリーカンパニー」、1994

Collins, J.、「ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則」、2001

Collins, J.、「ビジョナリーカンパニー③衰退の五段階」、2009ブログ記事へ

Collins, J., Hansen, M. T.、「ビジョナリーカンパニー④自分の意志で偉大になる」、2011.ブログ記事へ

 コメント:ビジョナリーカンパニーシリーズでは②と④が重要と思います。

Nonaka, I., Takeuchi, H.、「知識創造企業」、1995

 コメント:知識創造理論の基本。ただし、その後の発展もフォローが必要と思います。

野中郁次郎、竹内弘高、「『実践知』を身につけよ 賢慮のリーダー」、Diamond Harvard Business Review2011ブログ記事へ

野中郁次郎、遠山亮子、平田透、「流れを経営する――持続的イノベーション企業の動態理論」、2010.ブログ記事へ

野中郁次郎、紺野登、「知識創造経営のプリンシプル 賢慮資本主義の実践論」、2012.ブログ記事へ

 コメント:知識創造理論が体系的にまとめられ、知識創造理論の全体像を把握するのに最適。

野中郁次郎、勝見明、「イノベーションの知恵」、2010ブログ記事へ

池田信夫、「イノベーションとは何か」、東洋経済新報社、2011.ブログ記事

Berkun, S.、「イノベーションの神話」、2007ブログ記事へ

Rogers, E.M.、「イノベーションの普及」、2003ブログ記事へ

 コメント:イノベーションを実用化する上で認識すべき普及学の基本。

Kim, W.C., Mauborgne, R.、「ブルー・オーシャン戦略」、2005

Moore, G.A.、「ライフサイクルイノベーション」、2005

Moore, G.A.、「エスケープ・ベロシティ キャズムを埋める成長戦略」、2011.ブログ記事へ

Chesbrough, H.、「Open Innovation」、2003

伊丹敬之、東京理科大学MOT研究会編著、「技術経営の常識のウソ」、2010ブログ記事へ

Davila, T., Epstein, M.J., Shelton, R.、「イノベーションマネジメント」、2006ブログ記事へ

Immelt, J.R., Govindarajan, V., Trimble, C.、「GEリバース・イノベーション戦略」、Diamond Harvard Business Review, Jan.2010, p.123, (2010).ブログ記事へ

Govindarajan, V., Trimble, C.、「リバース・イノベーション 新興国の名もない企業が世界市場を支配するとき」、2012.ブログ記事へ

 コメント:現在進行形の新イノベーション手法として重要と思われます。

Washburn, N.T., Hunsaker, B.T.、「新興国市場発のアイデアを橋渡しする 破壊的イノベーターの条件」、Diamond Harvard Business Review, 2012, 5月号、p.116.ブログ記事へ

まとめページその3収録文献

Carlson, C.R., Wilmot, W.W.、「イノベーション5つの原則 世界最高峰の研究機関SRIが生みだした実践理論」、2006ブログ記事へ

Mullins, J., Komisar, R.、「プランB 破壊的イノベーションの戦略」、2009.ブログ記事へ

Thomke, S., Reinertsen, D.、「製品開発をめぐる6つの誤解 製造プロセスでの効率性は通用しない」、Diamond Harvard Business Review, 2012, 8月号、p.76.ブログ記事へ

堀井秀之、「社会技術論 問題解決のデザイン」、2012.ブログ記事へ

東京大学i.school編、「東大式 世界を変えるイノベーションのつくりかた」、2010ブログ記事へ

Leonard-Barton, D.、「知識の源泉」、1995

 コメント:研究をする「人」の問題についての重要な指摘が多いです。

Leonard, D., Swap, W.、「『経験知』を伝える技術」、2005

 コメント:「知識の源泉」とあわせて重要。

Polanyi, M.、「暗黙知の次元」、1966

Rasmusson, J.、「アジャイルサムライ――達人開発者への道」、2010.

Schwaber, K.、「スクラム入門 アジャイルプロジェクトマネジメント」、2004.

勝見明、「石ころをダイヤに変える『キュレーション』の力」、2011ブログ記事へ

三崎秀央、「研究開発従事者のマネジメント」、2004

 コメント:基本的な説明も多く、研究者を考える上で参考になります。

開本浩矢、「研究開発の組織行動」、2006

 コメント:基本的な説明も多く、研究者を考える上で参考になります。

福谷正信、「研究開発技術者の人事管理」、2007

八木洋介、金井壽宏、「戦略人事のビジョン 制度で縛るな、ストーリーを語れ」、2012.ブログ記事へ

Kelly, T., Littman, J.、「イノベーションの達人!」、2005ブログ記事へ

McCall, Jr. M.W.、「ハイ・フライヤー」、1998

Dixon, N.M.、「ナレッジ・マナジメント5つの方法」、2000

Rosenzweig, P.、「なぜビジネス書は間違うのか」、2007ブログ記事へ

Levy, P.F.、「模範的チームはなぜ失敗したか」、Diamond Harvard Business Review, Feb.2010, p.154, (2010).ブログ記事へ

Heath, C., Heath, D.、「スイッチ! 『変われない』を変える方法」、2010.ブログ記事へ

Gardner, H.K.、「メンバーのプレッシャーを克服させる法 大事な時に限って、萎縮してしまう」、Diamond Harvard Business Review, 2012年9月号、p.84ブログ記事へ

Schein, E.H.、「人を助けるとはどういうことか 本当の協力関係をつくる7つの原則」、2009ブログ記事へ

金井壽宏、「危機の時代の[やる気]学」、2009ブログ記事へ

 コメント:モチベーション理論の説明が参考になります。

 

参考書・文献・読書録インデックス(2013.4.7版)その2

今まで内容の紹介をさせていただいた参考書、文献のリストその2です。関連記事やコメントを加えると容量が大きくなり見にくくなってきたため、このリストから多少詳しいまとめに行けるようにしてみました。その文献をまとめた記事には直接リンクしましたが、その他の文献からの引用についてはまとめページをご参照ください。概ね著者(グループ)ごとにまとめ、特に重要だと思う文献にはコメントをつけています。文献リストその1(マネジメントに近い内容)はこちら。

まとめページその4収録文献

Roberts R.M.、「セレンディピティー」、1989

 コメント:技術系以外の方にもセレンディピティーの概念は知ってほしい。

Shapiro, G.、「創造的発見と偶然」、1986

根岸英一、「発見の条件」、有機合成化学協会誌、vol.54No.1p.1(1996).ブログ記事へ

朝日新聞大阪本社科学医療グループ著、「iPS細胞とはなにか 万能細胞研究の現在」、2011

Moss, F.、「MITメディアラボ 魔法のイノベーション・パワー」、2011.ブログ記事へ

Hand, E., “People power”, Nature, vol.466, No.7307, 2010.8.5, p.685.

Goodnight, J.、「クリエイティビティを引き出す」、Diamond Harvard Business ReviewSep., 2006, p.3.

上木貴博、「エスノグラフィー 人類学に学ぶ現場主義」、日経ビジネス、2010.12.6号、p.78.

橋本紀子、「『エスノグラフィ』という手法」、RANDOM誌、vol.53p.1(2007).

Bruch, H. Menges, J.I.、「社員を追い詰める『加速の罠』」、Diamond Harvard Business Review, Dec. 2010, p.76.ブログ記事へ

Perlow, L.A., Porter, J.L.、「プロフェッショナルこそ計画的に休まなければならない」、Diamond Harvard Business Review, Mar. 2010, p.102.

鬼塚俊宏、先読み!人気のビジネス洋書、「卓越した知識・技術を持つ米国版「オタリーマン」を企業で活かす『ギークを指導すること~テクノロジーをもたらす従業員を管理・指導する方法~』 Leading Geeks : How to Manage and Lead People Who Deliver Technology――ポール・グレン著」、DIAMOND online2011.6.10

DIAMONDハーバードビジネスレビュー編集部編訳、「いかに『問題社員』を管理するか」、2005

内田賢、「研究者と年齢的限界」、組織行動研究 (Keio studies on organizational behavior and human performance). No.26 (1996. 3) ,p.67- 75.

文部科学省「科学技術要覧平成22年版」

大竹文雄、「競争と公平感-市場経済の本当のメリット」、2010ブログ記事へ

Joni, S.A., Beyer, D.、「あえて戦うべき時、協調は譲歩は本当のチームワークではない」、Diamond Harvard Business ReviewMar. 2010, p.40.

田嶋清一、「自分と向き合う心理学」、2007

Peterson, C.、「実践入門 ポジティブ・サイコロジー 『よい生き方』を科学的に考える方法」、2006ブログ記事へ

Achor, S.、「PQ ポジティブ思考の知能指数 幸せな気持ちになると、何事もうまくいく」、Diamond Harvard Business Review, 2012, 5月号、p.58.

Spreitzer, G., Porath, C.、「社員のパフォーマンスを高める 幸福のマネジメント」、Diamond Harvard Business Review, 2012, 5月号、p.46.

Gilbert, D.、「些細な出来事の積み重ねが幸福感を左右する 幸福の心理学」、Diamond Harvard Business Review, 2012, 5月号、p.34.

白石久喜、石原直子編、「事業創造人材の創造」、リクルートワークス研究所、2011.6.1.

COACH A 、「今日から変わるコミュニケーション」

高橋克徳、河合太介、永田稔、渡部幹、「不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか」、2008ブログ記事

沼上幹、「やらせメール ご無体な命令が思考を止める」、朝日新聞、2011.7.15.

McGrath, R.G.、「マイクロソフト、3Mが実践する『知的失敗』の戦略」、Diamond Harvard Business Review20117月号、p.24.ブログ記事へ

SuttonR.I.、「社内外のじゃま者と戦う 部下を守る『盾』となれるか」、Diamond Harvard Business Review, 2011, 2月号、p.86.ブログ記事へ

小林三郎、「ホンダイノベーション魂 第16回 自律、信頼、平等」、日経ものづくり、2011年7月号、p.103.

まとめページその5収録文献

Heath, C., Heath, D.、「アイデアのちから」、2007.ブログ記事へ

小田亮、「ヒトは環境を壊す動物である」、2004ブログ記事へ

小田亮、「利他学」、2011.ブログ記事へ

Dunbar, R.、「友達の数は何人? ダンバー数とつながりの進化心理学」、2010.ブログ記事へ

長谷川英祐、「働かないアリに意義がある」、メディアファクトリー、2010.ブログ記事

Benkler, Y.、「生物学、心理学、神経科学の知見が教える 利己的でない遺伝子」、Diamond Harvard Business Review, 2012, 2月号、p.8.

Sargut, G., McGrath,「ビジネスリーダーの新しい経営学 [入門]複雑系のマネジメント」、Diamond Harvard Business Review, 2012, 1月号、p.118.ブログ記事へ

Johnson, N.、「複雑で単純な世界 不確実なできごとを複雑系で予測する」、2007.ブログ記事

Watts, D.J.、「偶然の科学」、2011.ブログ記事へ

Mauboussin, M.J.、「まさか!? 自信がある人ほど陥る意思決定の8つの罠」、2009.ブログ記事へ

Page S.E.、「『多様な意見』はなぜ正しいのか 衆愚が集合知に変わるとき」、2007ブログ記事へ

Christakis, N.A., Fowler, J.H.、「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」、2009ブログ記事へ

高橋昌一郎、「理性の限界」、2008

高橋昌一郎、「知性の限界」、2010ブログ記事へ(上記文献とまとめて)

高橋昌一郎、「感性の限界」、2012ブログ記事へ

 コメント:科学哲学入門ならこの限界3部作がおすすめ。

森田邦久、「理系人に役立つ科学哲学」、2010ブログ記事へ

今道友信、「エコエティカ 生圏倫理学入門」、1990.ブログ記事へ

Brown, J.R.、「なぜ科学を語ってすれ違うのか ソーカル事件を超えて」、2001ブログ記事へ

Arthur, W.B.、「テクノロジーとイノベーション 進化/生成の理論」、2009.ブログ記事へ

菊池誠、松永和紀、伊勢田哲治、平川秀幸著、飯田泰之+SYNODOS編、「もうダマされないための『科学』講義」、2011ブログ記事へ

Singh, S., Ernst, E.、「代替医療のトリック」、2008.

菊池聡、「超常現象をなぜ信じるのか」、1998

平川秀幸、「科学は誰のものか 社会の側から問い直す」、2010

新井紀子、「コンピュータが仕事を奪う」、2010

平川克美、「移行期的混乱-経済成長神話の終わり」、2010

内田麻理香、「科学との正しい付き合い方 疑うことから始めよう」、2010ブログ記事へ

竹内薫、「理系バカと文系バカ」、2009ブログ記事へ

竹内薫、「科学嫌いが日本を滅ぼす 『ネイチャー』『サイエンス』に何を学ぶか」、2011.ブログ記事へ

坂村健、「不完全な時代――科学と感情の間で」、2011ブログ記事へ

福岡伸一、「動的平衡」、2009.

福岡伸一、「生物と無生物のあいだ」、講談社、2007.




 

 

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