研究開発マネジメントノート

研究開発とそのマネジメントについてのいろいろ

2014年03月

ノート11改訂版:研究組織運営におけるリーダーの役割

1、研究開発テーマ設定とテーマ設定における注意点→ノート1~6
2、研究の進め方についての検討課題
2.1
、研究を行なう人の問題
→ノート7~8
2.2
、研究組織の問題→ノート9~10

2.3
、研究組織営におけるリーダーの役割
ノート10
では、望ましい研究組織の特性とその運営について考えました。そうした運営を行なう上で、研究リーダーの果たす役割は大きいと考えられます。もちろん、そんなことよりもまずは責任者として組織を率いて与えられた課題を解決することがリーダーに求められる、という考え方もあるかもしれません。しかし、与えられた課題をこなしているだけでよいのか、組織の能力を発揮させるために具体的にどんな点に注意して運営すればよいのか、といったことも考えておく必要があるのではないでしょうか。そこでここでは、研究のリーダー、特に第一線に近い研究リーダーは組織運営にどう関わり、何を、どのようにしなければならないのかといった観点から、その役割を考えてみたいと思います。

研究開発リーダー役割の特徴
まず、「未知のことへの挑戦」といった創造性の発揮が求められる研究開発のリーダーと、一般的なリーダーとの違いついて考えてみましょう。開本はリーダーシップに関する諸研究をレビューしたうえで、研究グループを指揮する立場にあるリーダーのリーダーシップ行動について、以下のように述べています。「研究開発部門では、他の部門よりも管理職の技術的スキルの重要性が高い。つまり、研究開発技術者に対するリーダーシップを発揮するには、リーダー自身が技術的知識を持っており、フォロワーの仕事の内容を理解し、必要なアドバイスや情報を与えることが必要である。その際、ゲートキーパーの研究でも指摘されているが、単に情報を提供するのではなく、リーダーなりに必要な情報を加工した後、必要な情報をフォロワーに提供していくことが求められている。一方、人間関係スキルや管理スキルは、相対的に重要性が低い。(中略)研究開発のように不確実性の高い状況のもとでは、細かなスケジューリングやプランニングの有効性は低く、企業全体の方向性と両立する範囲での自律性を与える管理スタイルが求められる。また、研究開発技術者は、基本的に仕事そのものによって動機づけられる存在であるため、人間関係によって直接、成果が影響を受けることは少ないと考えられる。(中略)したがって、仕事を通じてモチベーションを引き出す、テクニカルスキルに基づくリーダーシップが、より重要となる。」[文献1、p.97-98]。このようなテクニカルスキルに基づくリーダーシップの重要性についての指摘は、一般の人材マネジメントとは異なる研究マネジメントならではの特徴と考えられますが、だからといって人間関係や管理のスキルが重要でない、ということにはなりません。特にHerzbergの言う「衛生要因」に分類される欲求、すなわち、それが満たされても動機付けにはならないが、満たされないと不満になるような欲求についてはそれを満たすことが大前提であり、その上で研究者に特徴的とされる「仕事そのもの」による動機付けを考えていく必要があるでしょう。(本ブログ参考記事:研究者の活性化(ノート7)研究の種類による評価指標やインセンティブ技術者にとっての内発的モチベーションの重要性

研究開発リーダーとして注意すべき点
研究リーダーがマネジメントを行う上での注意点としては、研究リーダーの役割と適性と、研究員のそれとの違いをまず挙げたいと思います。多くの場合、研究リーダーになるのは、研究員として何らかの業績を挙げた人である可能性が高いと思いますが、そうした一種の成功体験がリーダーとしての行動の問題点にならないように注意すべきでしょう。すべての「強み」は「弱み」になりうること、隠れていた弱みの存在、成功による傲慢、不運の処理などがリーダーのつまずく原因になるという指摘があります[文献2、本ブログ「リーダーがつまずく原因」]。リーダーというと、どうしても組織を率いることが主な役割と思いがちですが、例えばSASJim Goodnightが述べている「マネジャーは社員の『部下』となり、それぞれが高いモチベーションで働き、能力を発揮するよう努める」[文献3、本ブログ「働きがいのある会社とは」]、という考え方も状況に応じて必要と考えられます。

研究グループにおける多様性の確保
研究グループ内をどのようにコントロールするかについては、まずは多様性の確保を挙げたいと思います。多様性の重要性はノート10でも述べましたが、丹羽は、「異端児といわれる優れた技術者」について、その個人がイノベーションにおいて大きな役割を果たすとしても、『それを認めて採用する能力と決断力のあるマネージャーの存在が企業イノベーションの隠れた、いや、むしろ実質的な立役者』と述べています[文献4、p.31-32]。もちろん、どのような人材を部下に選ぶかはリーダーの自由にはならないかもしれませんが、研究グループ内での考え方の多様性、すなわち様々な発想を大切にし、異なる意見を受け入れる組織風土を作ることは可能ではないでしょうか。言い換えれば、多様な個性を認め、多様な人材の能力をひきだすことがリーダーの役割のひとつであると言えるように思います。

コミュニケーションの活性化
多様な意見を真に役立つものにするためには、コミュニケーションの活性化が必要でしょう。グループ内のコミュニケーションはもとより重要ですが、リーダーはグループ外とのコミュニケーションにおいて、ゲートキーパーの役割を担う必要があると言われています。ゲートキーパーは、情報をさまざまな情報源から収集し、それを最もうまく活用できるか、あるいはそれに最も大きな興味を持っている適切な人材に受け渡す役割を持つ[文献5、p.386]、とされますが、より具体的には、情報収集、グループ内部に理解される言語への翻訳、グループ内への伝達、という業務を担う[文献6、p.69]とされます。加えて、若い技術者にアドバイスを与える先輩の役割、研究開発活動への評価、市場調査などの役割も指摘されています [文献1、p.93]。グループ外からの情報に関しては、生の情報をそのままグループ内に流してもその意味するところが十分に伝わるとは限らないため、その情報の意義、解釈や付随する情報もあわせて伝えることが必要なのでしょう。技術のエキスパートとして、リーダーのコメントをつけることにより情報の価値を高めることができると言ってもよいでしょう。ただし、情報に加工を加えることがゲートキーパーの役割とは言っても、外部からの情報を一人占めしたり、制限したりするような行動は慎むべきと考えます。

グループ外との連携、調整
情報のゲートキーパーだけでなく、リーダーには外部との折衝や調整の役割もあります。特に、オープンイノベーションなど、様々な部署との連携や協力が求められる考え方の下では、自部署だけでイノベーションを完成させようとすることにはこだわらない方がよい場合も考えられます。Govindarajanらは、特に大企業において、収益源となる既存事業の「パフォーマンス・エンジン」とイノベーションチームの協力こそがイノベーションの原動力となりうる、という立場から、「イノベーション・リーダーは『パフォーマンス・エンジン』と相互に尊重し合う関係を築く努力をすべきである[文献7、p.52]」と述べ、「イノベーション・リーダーは自分たちが既存の体制と闘う反逆児だと思いこむ場合が多い。だが、官僚的な怪物に一人で立ち向かっても勝ち目はほとんどない[文献7、p.52]」と述べている点は心に留めておくべきだと思います。一方、「優れたボスは、“人間の盾”となることに誇りを感じ、社内外からのプレッシャーをみずから吸収するか、はねのける。そしておもしろみのない瑣事をみずから引き受けて、部下を働きにくくするような愚か者や余計な口出しと戦うのである。[文献8、(ただし、あらゆる場合に戦うべきだとはしていませんので、詳細は本ブログ「部下を守る?組織を守る?技術を守る?」を参照ください]」、という考え方のように、場合によってグループを守る行動も取れる必要があると思われます。

育成・指導
部下の育成・指導もリーダーの重要な役割でしょう。研究部隊の特徴として、技術的基盤の確保のための部下の育成は必須の業務と言えると思います。ただ、技術的な専門性に関しては、ある程度の時間をかければ日々の業務を通じて育成していくことはそれほど困難ではないでしょう(部下の学習に適した環境を作ることはもちろん重要ですが)。一方、マネジャーの育成については、様々な議論があり、McCallはリーダーの育成に関して、能力で選抜することの問題点を指摘し、経験から学ぶこと、経験によるリーダーシップ育成の重要性を述べています[文献2]Christensenも破壊的イノベーションの成功のためにはMcCallの方法が有効であると述べていますので[文献9、p.218]、効果的な経験を積ませることの重要性は認識しておく必要がありそうです。ただ、この時、リーダーがプレイングマネジャーとして実務にも関与する場合には、育成指導上の利点(やってみせること等)と、欠点(部下の経験のチャンスを奪うこと等)のバランスを考える必要があるように思います。

ロールモデル
部下と上司の関係でいえば、ロールモデルもリーダーの役割のひとつといえるのではないでしょうか。McCallは成長過程にあるマネジャーに対する上司の影響について最も重要なこととして、「ロールモデルとしての上司の行動とその行動結果を観察することで、組織が何を真に評価しているかについて学ぶ」[文献2、p.116]ことを挙げています。実際、グループメンバーにとって、経営トップがどのようなマネジメントのやり方を高く評価しているかを知る機会はそれほど多くないと思われますので、リーダーのどのようなやり方が効果的で、それが社内でどのように評価されるかを実例として示すことは重要だと思われます。その意味で、リーダーのマネジメントに対する考え方をグループのメンバーに説明しておくことは、将来のマネジャーを育成する上で非常に有益でしょう。

イノベーションリーダーの適性
最後に、イノベーションリーダーが持つべき能力に関するひとつの考え方をご紹介しておきたいと思います。Christensenらは、イノベータに特徴的な行動パターンを抽出しています[文献10、詳細は本ブログ「イノベーションのDNAをご参照下さい]。それは、1)関連づけ思考、2)質問力、3)観察力、4)ネットワーク力、5)実験力、であり、なかでも関連づけ思考が重要で、「誰でも行動を変えることで、創造的な影響力をますます発揮できる」[文献10、p.4]と述べています。研究開発業務において、どのような考え方をすべきか、どのような考え方ができるように育成指導すべきかを考える上で参考になるかもしれません。

以上、組織運営におけるリーダーの役割について考えてみました。研究開発のマネジメントといっても、トップの役割と第一線に近い研究グループのマネジャーの役割は自ずと異なっているでしょう。研究開発は全社的な活動であるため、トップマネジメントの重要性がよく指摘されますが、実務的には、研究グループのマネジメントの重要性もしっかり認識しておくことが必要と考えます。

考察:研究ミドルマネジャーへの注目?
研究開発、イノベーションを成功させるにはどうしたらよいか、この問いへのアプローチは近年かなり具体的になってきたように思います。以前は、研究者はどうすべきか、あるいは経営者はどうすべきか、という議論が多かったと思われるのに対して、イノベーション成功のためには、研究者の努力だけでも、あるいは経営者の戦略だけでも不足であることが認識され、イノベーションの進め方についてより具体的な提案がなされるようになるに従い、ミドルマネジャーの重要性への認識が高まっているように思います(個人的な感覚的意見で恐縮ですが)。もちろん、誰の役割がイノベーションの成功にとって重要なのかは、扱う対象によっても、状況によっても変わるでしょうが、トップから中間管理職を経て第一線に至るまで、すべての階層でそれぞれの役割に応じた努力と協力が求められるようになってきているような気がします。

ただし、研究ミドルマネジャー(リーダー)がどう動くべきかの方法論は、未確立と言わざるを得ないと思います。何をもって研究リーダーを評価すべきかの指標も未確立で、結局のところ、どんなプロジェクトが成功した(あるいは失敗した)のかに基づいて、その時のやり方が良かったのか、悪かったのかを評価することしかできないのが現状のようです。もちろん、今後この分野の知見は増えていくでしょうが、その時にも、研究者がどういう成果を挙げたのか、経営者がどういう戦略に基づいてどう判断したのかだけでなく、ミドルマネジャーがどう動き、どういう組織体制や組織運営が成功をもたらしたのか、という視点も併せて考察していくことが重要になるのではないかと思います。


文献1:開本浩矢、「研究開発の組織行動」、中央経済社、2006.
文献2:McCall, Jr. M.W.1998、モーガン・マッコール著、リクルートワークス研究所訳、「ハイ・フライヤー」、プレジデント社、2002.
文献3:James Goodnight(ジェームス・グッドナイト)、「クリエイティビティを引き出す」、Diamond Harvard Business ReviewSep., 2006, p.3.
文献4:丹羽清、「イノベーション実践論」、東京大学出版会、2010.
文献5:Tidd, J., Bessant, J., Pavitt, K., 2001、ジョー・ティッド、ジョン・ベサント、キース・バビット著、後藤晃、鈴木潤監訳、「イノベーションの経営学」、NTT出版、2004.
文献6:三崎秀央、「研究開発従事者のマネジメント」、中央経済社、2004.
文献7:Vijay Govindarajan, Chris Trimble, 2010、ビジャイ・ゴビンダラジャン、クリス・トリンブル著、吉田利子訳、「イノベーションを実行する 挑戦的アイデアを実現するマネジメント」、NTT出版、2012.
文献8:Robert I. Sutton、ロバート I サットン著、スコフィールド素子訳、「社内外のじゃま者と戦う 部下を守る『盾』となれるか」、Diamond Harvard Business Review, 2011, 2月号、p.86.
文献9:Christensen, C.M, Raynor, M.E, 2003、クレイトン・クリステンセン、マイケル・レイナー著、桜井祐子訳、「イノベーションへの解」、翔泳社、2003.
文献10:Dyer, J., Gregersen, H., Christensen, C. M.2011、クレイトン・クリステンセン、ジェフリー・ダイアー、ハル・グレガーセン著、櫻井祐子訳、「イノベーションのDNA 破壊的イノベータの5つのスキル」、翔泳社、2012.

参考リンク

ノート目次へのリンク



科学の話題・目次(2014.3.23版)

「科学の話題」というカテゴリーでは、社会や企業活動、研究開発と関係のありそうな科学の話題について書いています。この目次では記事表題とリンクをリストにし、要約入りの目次は「その1」「その2」に分割して別ページとしました。それぞれの「参考リンク」ページのリンクの接続確認、気付いた新たなリンク追加も行なっています(各ページでは内容変更があったもののみ更新日付を変えましたが、日付が変わっていないページでも接続確認はしています。)

その1・・・要約入りはこちら
科学研究の動向
「GEグローバル・イノベーション・バロメーター」世界調査2012より2012.2.5)、参考リンク
「GEグローバル・イノベーション・バロメーター」世界調査2011より
2011.2.6)、参考リンクは上と同じ
論文から見た各国の科学力比較
2011.1.16)、参考リンク

科学と社会
科学と倫理(今道友信著「エコエティカ」より)2013.1.27)、参考リンク
「もうダマされないための『科学』講義」-科学でダマし、ダマされる状況について考える
2012.1.22)、参考リンク
科学技術と社会の関わり、これからのイノベーション
2011.7.18)、参考リンク
技術で仕事はどう変わる?
2011.8.21)、参考リンク
「機械との競争」(ブリニョルフソン、マカフィー著)感想
2013.11.24)、参考リンク
理系と文系、とイノベーション
2011.5.1)、参考リンク
「科学嫌いが日本を滅ぼす」(竹内薫著)感想
2012.10.21)、参考リンク
「エコ企業」雑感 (ニューズウィーク日本版、2011.2.9号、エコ企業100より)
2011.2.27)、参考リンク
「不完全な時代――科学と感情の間で」感想
2012.3.4)、参考リンク
「科学との正しい付き合い方」感想 (科学者とそれ以外の人との付き合い方?について)
2010.11.21)、参考リンク
動的平衡
2010.10.31)、参考リンク

研究開発事例
2010年のベスト50発明(「Time」2010.11.22号)2010.12.5)、参考リンク
1年後のTime誌「2010年のベスト50発明」
2011.12.25)、参考リンクは上と同じ
3年後のTime誌「2010年のベスト50発明」
2013.12.23)、参考リンクは上と同じ

研究マネジメント事例
祝ノーベル賞:『発見の条件』by根岸英一教授2010.10.11)、参考リンク
iPS細胞研究に見る研究の進め方雑感
2011.12.11)、参考リンク
MITメディアラボの研究マネジメント考
2012.12.31)、参考リンク

研究開発の方法
シチズンサイエンス考2012.7.1)、参考リンク
ロボットに研究ができるなら
2011.4.3)、参考リンク
ビッグデータ考
2013.5.6)、参考リンク
「オープンサイエンス革命」(ニールセン著)より
2013.10.27)、参考リンク
これからのモノづくり(アンダーソン著「MAKERS」より)
2014.3.9)、参考リンク


その2・・・要約入りはこちら
科学哲学関連
「理性の限界」「知性の限界」2011.9.19)、参考リンク
「感性の限界」(高橋昌一郎著)より
2012.11.11)、参考リンクは上と同じ
科学哲学の使い方(「理系人に役立つ科学哲学」感想)
2011.10.10)、参考リンク
「なぜ科学を語ってすれ違うのか」に学ぶ
2011.11.6)、参考リンク
「テクノロジーとイノベーション」感想
2012.4.1)、参考リンク

判断、予測、行動経済学、複雑系周辺
いかに判断、予測するか(ダンカン・ワッツ著「偶然の科学」より)2012.7.29)、参考リンク
科学的判断の受け入れ(「代替医療のトリック」感想)
2012.9.23)、参考リンク
多様性の意義(スコット・ペイジ著「『多様な意見』はなぜ正しいのか」より)
2013.2.24)、参考リンク
複雑系の可能性(ニール・ジョンソン著「複雑で単純な世界」より)
2012.6.10)、参考リンク
ネットワークの力(クリスタキス、ファウラー著「つながり」より)
2013.3.31)、参考リンク
「ファスト&スロー」(カーネマン著)より
2013.7.7)、参考リンク
「ずる 嘘とごまかしの行動経済学」(ダン・アリエリー著)より
2013.8.11)、参考リンク
「集合知とは何か」(西垣通著)より
2013.9.23)、参考リンク
ベキ乗則の可能性(バラバシ著「バースト」より)
2014.2.2)、参考リンク
関連記事
意思決定の罠(モーブッサン著「まさか!?」より)
2012.10.28)、
参考リンク
複雑系経営(?)の効果2012.5.6)、参考リンク

ヒトの行動、社会、進化
「ヒトは環境を壊す動物である」感想2010.12.26)、参考リンク
「利他学」(小田亮著)より
2012.12.2)、参考リンク
進化心理学からの示唆(「友達の数は何人?」ロビン・ダンバー著)より
2012.8.26)、参考リンク
「働かないアリに意義がある」感想
2012.4.22)、参考リンク
利他性と協力
2012.5.13)、参考リンク
天才の創造性の源泉とその活用
2013.6.2)、参考リンク


持続的競争優位をもたらす戦略とは(ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー2013年11月号より)

技術面における持続的な競争優位を確保することは、研究開発の目的のひとつとしてよく挙げられますが、ただ漫然と研究をしているだけではその目的は達成できないでしょう。企業の戦略に沿った研究を行うことや、研究活動自体を戦略的に進めることが必要とされるはずだ、ということは容易に想像がつきます。

しかし、どんな戦略に従うべきか、その戦略はどう立案すればよいのかについては必ずしも明らかではなく、特に、環境変化の激しい現代の経営環境の下では、持続的な競争優位という考え方も見直されているようです(例えば、本ブログ「『世界の経営学者はいま何を考えているのか』(入山章栄著)より」でも少しご紹介しました)。そこで今回は、最近の競争優位に対する考え方について、ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー201311月号の特集記事[文献1]に基づいて考えてみたいと思います。

「一時的競争優位こそ新たな常識 事業運営の手法を変える8つのポイント」、リタ・ギュンター・マグレイス著、辻仁子訳、p.32、(原題”Transient Advantage”, Rita Gunther McGrath, HBR June 2013
・「本当に持続する優位性を築ける企業は稀である。競合他社や消費者の動向はあまりにも予測が難しく、業界も刻々と変化しているためだ」。「実際には、戦略はいまでも役に立つ。・・・ただし、昔ながらの戦法に固執していてはだめだ。・・・先頭を走り続けるためには、常に新しい戦略的取り組みを打ち出すことで、多くの『一時的な競争優位』を同時並行的に確立し活用していく必要がある」。「どこで競争し、どのように勝利を目指し、いかに古い優位性を捨てて次の優位性へ移るのかが極めて重要になる」、「現状維持の戦略はもう通用しない」
・競争優位のライフサイクルは、開始、成長、活用、再構成、撤退の各段階からなる。競争優位の寿命が短い場合は、「ライフサイクルの初期と終末期のプロセスをより深く理解する必要がある」。
・7つの危険な罠(業務遂行の流儀を変えられない固定観念):1)先手必勝の罠(「ほとんどの業界では、先発優位は長続きしない」)、2)優勢の罠(現時点で優勢な「すでに確立された製品・サービスについては、それを改善するための投資が必要だとは考えない」)、3)品質追求の罠(「活用フェーズに該当するビジネスは、多くの場合、顧客が買いたいと考えるレベルを上回る品質を提供することに固執している」)、4)リソース囲い込みの罠(「新たなベンチャー事業にリソースを移そうというインセンティブが働かない」)、5)空白地帯の罠(「チャンスが到来しても、それが組織体制にフィットしなかった場合、組織を再編しようとせずに見送るだけ」)、6)帝国化の罠(「多くの企業では、マネジメントする資産や従業員が多ければ多いほど優れたリーダーだという図式が成立する・・・部下の囲い込みや官僚主義が助長され、現状維持への圧力が非常に強くなる」、7)散発的イノベーションの罠(組織的に新たな優位性を次々に生み出す仕組みを持たない・・・結果、イノベーションが個人主導で行われる散発的なプロセスとなる)
・一時的優位の戦略:1)業界ではなく競技場(市場)で考える(「業界レベルで分析しても全体像は見えてこない・・・顧客の『解決すべき課題』(jobs to be done)にその場で対応することを重視する」)、2)大きなテーマを設定して、実験を促す(「大きなテーマ・・・の範囲内で、さまざまなアプローチやビジネスモデルを組織内で自由に試させる」)、3)起業家精神の成長を促すような評価基準を採用する(例えば、正味現在価値(NPV)の代わりに、リアルオプション(将来本格的に関わる権利を得るための小規模な投資)の論理を使う)、4)エクスペリエンスとソリューションに焦点を当てる(「一時的優位の活用スキルが高い企業は、顧客の立場に立って、顧客が求めている結果を慮れる」)、5)強固な関係性とネットワークを構築する(「顧客との強固な関係を築くことが優位性の豊かな源泉になる」)、6)非情な業務再編を避け、健全な撤退策を学ぶ(「いかに混乱を最小にしつつ最大のメリットが得られる方法で撤退するか」)、7)初期段階のイノベーションに組織的に対応する(「最終的に優位性は消滅するという前提に立てば、次々と新たな優位性を生み出すプロセスを持たないのは賢明ではない」)、8)実験し、反復し、学習する(「新たな発見があるたびに針路変更したり重要度を変えたりするつもりでなければならない」)。

「戦略は価値観に従う 成功する企業セオリーが持つ3つの”sight”、トッド・ゼンガー著、倉田幸信訳、p.46、(原題”What Is the Theory of Your Firm?”, Todd Zenger, HBR June 2013
・「企業セオリーは価値創造をもたらす戦略行動の発生源なのである。企業セオリーは、地図なき領域へと踏み出す際に必要となるビジョンを提供し、不確かなものとならざるをえない戦略的実験の選別についてもガイド役となってくれる。」
・「自社のセオリーがどのくらい優れているかを判別するチェック項目:1)フォアサイト(フォアサイトが示唆するのは、予想される世界の将来像において、どのような資産買収や投資や戦略行動が価値をうみだすことになるか)、2)インサイト(組織の既存の資産と活動に対する深い理解に基づき、その企業だけに通用するもの)、3)クロスサイト(その企業だけが構築し、推進できる相互関係)。

「ケイパビリティこそ競争優位の源泉である 戦略の賞味期限が短くなった時代」、佐藤克宏著、p.60
・「企業が競合他社に対して持続可能な競争優位を実現していくためには、戦略それ自体も重要だが、事業環境の変化に合わせて機敏かつ柔軟に戦略をつくり変え、その戦略を確実に実行していく能力こそが重要となる。・・・ケイパビリティとは、競合他社に対する圧倒的な差別化による持続可能な競争優位を実現するために、企業それぞれが分野を特定して組織として構築するスキル」、「いわゆるスキルだけでなく、それを支える効果的な社内プロセスおよび各種ツールなども含まれる」。「スキルは、・・・暗黙知として構築してきたものである。それらを組織の形式知として定式化し、組織の各部門・各階層にわたる『共通言語』として定着させることによりケイパビリティとなる」。
・マッキンゼーにおけるケイパビリティの構築を成功させるための方法:1」自社の現状理解に基づく、独自のケイパビリティ構築プログラムの設計、2)実験的な導入によるプログラムの改良、3)改良されたプログラムの大規模な本格展開、4)展開の継続とプログラムの自己進化。

VCM:価値獲得モデルで戦略を考える 競争優位はエコシステムで決まる」、マイケル・D・リアル著、辻仁子訳、p.82、(原題”The New Dynamics of Competition”, Michael C. Ryall, HBR June 2013
・従来の戦略の考え方とは異なる新たな戦略のモデルとして提案されているVCMvalue capture model)とは、「立場の違い(企業、サプライヤー、顧客)にかかわらず、1つの業界に属するプレーヤーに働く競争要因はたった1つ」と考え、「その競争要因の強さは、あるプレーヤーが現在の当事者グループとともに生み出している価値と、別の当事者と組むことで生み出せるかもしれない価値との張力で決まる。実際に生み出した価値に対し、生み出せるかもしれない価値が大きければ大きいほど競争要因は強くなる。そして競争要因の相対的な強さに基づいて、各プレーヤーが獲得できる価値の大きさが決定する」、と考える。まだ完成された理論ではないが、戦略の影響の定量化が可能で、意思決定にも利用できると期待されている。

感想:VCMについてはこの論文だけではよくわからないところが多い、という印象です。現段階ではVCMの成果から何かを学べるというものではなさそうですが、経営戦略のモデル化がはたして有効なのか、今後の発展には注目が必要かもしれません。

GEの競争優位はなぜ持続するのか 戦略論の系譜から読み解く」、森本博行著、p.96
・「競争優位が持続できずに一過性で終わる多くの場合は、意思決定や経営劣化の問題に起因するが、組織として戦略を一貫性のある価値観の体系へ再編成し、意識的に構築した柔軟性によって創発された新たな形で導入できなければ、競争優位を持続させることはできない。有効な戦略策定プロセスのドライバーとなるのが基本理念である。」「GEは持続可能な競争優位を時代の変化に合わせて強化してきたのである。このシンプルで確かな基本理念こそ、持続可能な競争優位の源泉である」。
・「日本企業は総じて従来の競争優位を質的に転換強化させることができていない。その理由の第一は、日本企業におけるコンセンサス・マネジメントが経営劣化を招いていることにある。・・・組織内調整、株主価値を過剰に意識した数値分析過多の戦略計画の策定などによって事業部門も本社部門も柔軟性を失い、創発戦略で本来発揮すべき時間や精力を削がれている。」

「世界の同族企業からしたたかさを学ぶ」、ニコラス・カシャナー、ジョージ・ストーク、アラン・ブロック著、編集部訳、p.112、(原題”What You Can Learn From Family business”, Nicholas Kachaner, George Stalk, Alain Bloch, HBR Nov. 2012
・「好景気の時は、同族企業は株主構成が分散している非同族企業に比べ、業績がよくないことがわかった。しかし、不況になると、同族企業はそうでない企業よりもはるかに業績がよい。」「同族企業は業績よりも再起力(resilience)を重視する」「同族企業の経営者は、10年ないし20年先を見て投資することが多い。それは次世代に利するためにいま何ができるかを重んじるからだ。また、プラス面よりもマイナス面に何とか対処しようとする傾向がある。たいていのCEOが好業績を挙げて名を成したいと考えるのとは対照的である」
・同族企業には、好況時も不況時も質素倹約、設備投資のハードルが高い、負債がほとんどない、買収をあまりしない、多角化しているケースが多い、グローバル化が進んでいる、人材の定着率が高い、といった特徴がある。
・「『経営者はオーナーのように考えよ』といわれるようになってから久しい。同族企業の行動原則は、そうした思考をどのようにして実際の戦略に転じればよいかを教えてくれる」
―――

競争優位の戦略といえば、ポーターの枠組みが有名ですが、こうした論文を読むと、もはやその考え方だけでは不十分と思われます。実務的には、ポーターの枠組みはわかりやすく有効なものだと思いますが、おそらくその有効性は、その枠組みで有利な戦略を構築できるということから、戦略を考える上での基本(いわばチェックリストのようなもの)という位置づけに変わってきているのではないかと思います。時代が変われば、経営環境も変わる、従って、戦略も変えていかなければならない、ということが認識されつつあるということなのでしょう。従来の戦略の考え方に「時間」という要因を加えること、環境との相互作用や、不確実性への対処も戦略に求められるようになってきたということかもしれません。研究開発の進め方も「研究戦略」であるなら、研究戦略の枠組みとはどのようなものか、考えていく必要があるように思います。

文献1:「競争優位は持続するか」(各論文の表題、著者は上記記事をご参照ください)、Diamond Harvard Business Review, November 2013, p.32-118.


これからのモノづくり(アンダーソン著「MAKERS」より)

技術力を誇りとし、モノづくりを得意としていた日本企業の最近の苦戦とその打開策については様々な議論があります。もはや日本でのモノづくりには限界があるという意見もあれば、モノづくりの力にこそ日本企業の強みがあるのだという意見もあり、また、モノづくりをするにしてもどんな製品をつくるべきか、どんなビジネスモデルにすべきかなど、考えるべきことは多いように思います。

なかでも大きな環境の変化として、インターネットを含むデジタル技術の進歩は無視できないでしょう。そこで今回は、アンダーソン著「MAKERS」[文献1]に基づいて、最近のデジタル技術がモノづくりにどのような影響を与えたか、与えつつあるかを考えてみたいと思います。

新産業革命
・「産業革命が生み出したのは、なににも増して長時間の余暇であり、それが近代を象徴するほぼすべてのものの発明につながった。[p.55]」
・「情報の時代を第三次産業革命だと言う人たちがいる。製造業におけるオートメーションと同じように、コンピューティングとコミュニケーションもまた、『能力増幅装置』だ。・・・目の前の仕事を早く片付けることを可能にし、新しいことを始める時間を生み出すからだ。[p.55-56]」
・「1950年前後の情報時代の幕開け、1970年代後半から1980年代はじめのパーソナル・コンピュータの開発、そして1990年代のインターネットとウェブの出現は、確かに革命だった。しかし、それは製造業を民主化し、その能力を増幅することではじめて、『産業』革命となる。それが、いまやっと起きはじめている。第三次産業革命とは、デジタル・マニュファクチャリングとパーソナル・マニュファクチャリングが一体となったときにこそ起きるもので、それがメイカームーブメントの産業化だといえる。[p.55-56]」

技術の変化
・「大量生産には技術と設備と投資が必要になるため、製造業は、大企業と熟練工にほぼ独占されてきた。・・・それがいま変わりはじめている。・・・もの作りがデジタルになったからだ。・・・いまでは、発明や斬新なデザインを思いついたら、製造サービスサイトにファイルをアップロードして、望みの個数だけ製品を作ってもらうこともできるし、3Dプリンタのような高機能の卓上デジタル工作機械を使って、自分で作ることもできる。」[p.26-27
・メイカームーブメントの大きな特徴:1)デスクトップのデジタル工作機械を使って、モノをデザインし、試作すること、2)それらのデザインをオンラインのコミュニティで当たり前に共有し、仲間と協力すること、3)デザインファイルが標準化された・・・おかげでだれでも自分のデザインを製造業者に送り、欲しい数だけ作ってもらうことができる。また自宅でも、家庭用のツールで手軽に製造できる。これが、発案から起業への道のりを劇的に縮めた。[p.32
・「『デスクトップパブリッシング』が主流になって20年がたち、いまでは産業機械に『デスクトップ』という言葉が着くようになった。・・・デスクトップ3D印刷。コンピュータ制御によるデスクトップルーティング/フライス/機械加工。デスクトップレーザーカッター。コンピュータ制御のデスクトップ刺繍/織物/キルティング。さらに、デスクトップ3Dスキャン・・・。デスクトップ工作の行き着く先は、デスクトップ製造業だ[p.73]」。「つまり、いまの3Dプリンタは、25年前にジョブズのマッキントッシュとレーザーライターがいた場所にいる[p.77]」。

ニーズの変化
・「人間は、20世紀の市場が思っていたよりもずっと多様だったのだ。僕らが若かった頃、店舗での品揃えが限られていたのは、当時の小売業の経済合理性によるもので、人間の嗜好に幅がなかったからではない。人はみな、異なる欲求とニーズを持つ、唯一無二の存在だ。インターネットには、物理的な市場にはない、僕たち全員の居場所がある。[p.82]」
・「物質的なモノの品揃えが限られていたのは、20世紀に特有の3つのボトルネックがあったからだ」。1)大量生産に見合うこと、2)大量流通に見合うこと、3)消費者の目にとまること(広告、または最寄り店舗での販促を通じて)。「アマゾンが良い例だが、ウェブを利用すれば、2と3の関門は難なく突破できそうだ」。「この10年間に起きた最大の変化は、人々がプロのコンテンツのかわりにアマチュアのコンテンツを楽しむようになったことだ。」[p.82-84
・「いま注目を浴びている『幸福の経済学』によると、人間はある水準まで満ち足りると、高給でもやりがいのない仕事より、給料は劣っても(といっても生活が保障されれば)やりがいのある仕事を、むしろ積極的に選ぶという(デビッドソン)[p.91]」。「消費者には、自分が創造に手を貸したと感じる製品をより高く評価する傾向がある[p.91]。(イケア効果)」
・「新しいもの作りのモデルは、『ニッチ製品にとってのマスマーケット』に対応するものだ。100万個(マス)でもなく、1個(マス・カスタマイゼーション)でもなく、1万個の単位でもの作りを考えてみよう。・・・ソーシャルメディアや口コミをフォローしてこだわりの商品をオンラインで買うような、目の肥えた消費者に向けて、eコマースを利用すればいい[p.101]」。「デジタル・ファブリケーションを普及させるキラーアプリは、パーソナル・ファブリケーションだと気がついた(ガーシェンフェルド)[p.101]」。「ジェイソン・コトケは、この新しい起業家層――つまり、需要が分散されたニッチ市場でグローバルに展開する家内工業をなんと呼ぶべきか、頭を悩ませた。・・・彼が提案したのが、『スモールバッチ』という・・・言葉だ。[p.102]」

新しい技術の特徴
・「デジタルなファイルはだれとでも共有でき、何度コピーをしてもほぼコストはかからず、品質も劣化しない。だが、それより重要なのは、コピーやシェアと同じくらい簡単に変更を加えられることだ[p.96]。」
・「とはいえ、3D印刷やその他のデジタル製造技術には、できないこともある。規模の経済が働かないことだ。1000個作るのも、単位当たりのコストに違いはない。だが、逆にそこが利点でもある。ひとつひとつ違う物を作っても、同じものを数個だけ作っても、コストが変わらないのだ[p.114]」。「ひと世代前まで、『モノのロングテール』を実現する唯一の手段は、手作りしかなかった。だが、現在ではデジタル工作機械が製造工程を自動化し、最小ロットでもほぼ完璧な品質のものができあがる。[p.116]」

オープンハードウェアとあたらしい研究のかたち
・「今日の発明家たちは、まったく特許の保護を受けずに、イノベーションをシェアするようになっている。それがオープンソースであり、従来の知的財産権保護に代わる、クリエイティブ・コモンズやその他の仕組みである。それはどうしてだろう?。与えるよりも多くのものを受け取れるとクリエーターたちが信じているからだ。発明を無料で手助けしてもらえるからだ。・・・発明家はフィードバックを得るだけではく、宣伝やマーケティングやバグの修正を手助けしてもらえる。それらは、いわゆる社会資本――関心と評判(善意)――として積み上がり、発明家がさらにアイデアを前進させるために、今後それを利用することができる。オープンイノベーションの環境から生み出された製品は、特許を受けた発明と同じ法的な保護は受けられない。だが、特許で守られていない方が、商業的に成功する可能性が高いともいえる。おそらく、秘密のうちに作られるよりも速く、安く、より良い開発ができるからだ。・・・あらかじめ市場調査が行われているといってもいい。」[p.141-142
・「オープンイノベーションの上に成り立つ企業は、競争や模倣からどうわが身を守ればいいのだろう?。・・・自分たちを守るためのただひとつの盾は、生態系ということになる。ユーザーのコミュニティではなく、僕らの製品に付け加えたり、補完したりするような商品を作っている企業やイノベーターのコミュニティだ。・・・関係者全員の善意により生み出されるネットワーク効果は、ただのコードと違ってはるかに模倣しにくいからだ。・・・もし同品質の製品を安く作れたとしても、顧客サポートの問題がある。そこでは僕らのコミュニティが差別化の要因となる。・・・商標は、守るべき唯一の知的財産権だ。」[p.147-149
・「オープンソース・コミュニティでは、自分の欲しいものを製作している人たちが、その過程で援助とアドバイスを求めて投稿し、完成したものをふたたび投稿する。・・・同好の士が集い、つながり合うことで、コミュニティはうまく機能する・・・そこに『人材のロングテール』が存在する。資格や経歴を持つ人々に限らず、技能とアイデアと人助けの時間のある、さまざまな分野の多くの人材がそこにいる。上司の命令よりも自分の情熱に従いたいプロや、なにかに貢献できるアマチュアの隠れた能力を表に出すことが、オープンイノベーションの真の力なのだ[p.167]。」

ものづくりの革新
・「オートメーションの占める割合が増えて労働力に依存する部分が減れば、人件費の低い国で生産する意味はあまりなくなる。・・・ロボット工場の台頭によって、これまで数世紀ものあいだ続いてきた、安い労働力へと向かうグローバルな貿易の流れは、終わりを迎える可能性がある。[p.183]」
・「企業に比べてコミュニティでは自由と平等が保たれやすい。それは、企業と違って法的責任とリスクがないからでもある。当然のことながら、コミュニティは万能ではないし、ボランティア精神だけでは世界経済は動かない。しかし、・・・労働市場が変化しつつある・・・。インターネットのおかげで、たまたま隣に座っている人に仕事を頼まなくてもよくなった。」[p.187-188
・「一定以上の数量を生産する場合には、中国の巨大工場が今後も圧倒的に有利だろう。しかし、規模によっては地元に近いところで生産し、遅延を最小限にとどめながら柔軟性を最大限にする方がいい場合もある。オートメーションがさらに進めば、中国生産と国内生産の価格差は縮まっていくだろう。[p.203]」

新しい資金調達
・「クラウドファンディングは、メイカームーブメントのためのベンチャーキャピタルだ。・・・彼らは企業への投資家ではなく、製品への投資家であり、もっと正確にいうならば『製品アイデア』への投資家である。」[p.222-223
・例えば、キックスターターには、1)利子を支払わず、会社の一部を譲ることなく資金調達できる、2)市場調査に役立つ、3)口コミ、マーケティングになる、というメリットがある。[p.222

21世紀のもの作り経済p.290-291
・「製品開発面では、メイカームーブメントは安い労働力よりもイノベーションを促す文化に有利に働く。協創(コ・クリエーション)やコミュニティによる開発を大切にする社会が勝つだろう。」
・「製造面では、オートメーションの拡大と高度化によって、欧米とアジアがますます同じ土俵で戦うようになり、長くて脆いサプライチェーンにかかる直接間接のコストの増大は、調達の見直しにつながるだろう。」
・「『ロングテール』が示すように、新しい時代とは、大ヒット作がなくなる時代ではなく、大ヒット作による独占が終わる時代なのだ。・・・より多くの人が、より多くの場所で、より多くの小さなニッチに注目し、より多くのイノベーションを起こす。・・・50万人の従業員が大量生産品を製造するフォックスコン1社につき、ほんの少量のニッチ商品を製造する新しい企業が数千社は生まれるだろう。そうした企業の総和が、もの作りの世界を再形成することになるはずだ。」
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著者がメイカームーブメントと呼ぶ新しい製造の仕組みは、もちろん、まだ始まったばかりの動きであり、この仕組みが今後直ちに産業革命と呼べるような大きな流れになり、機械化によって失われた雇用を創造できると考えることは早計に過ぎるでしょう。しかし、インターネットを活用した新たな製造業が興りつつあることは事実ですし、それらの製品と製造プロセスにはどんな優れた点があり、そんな場合にうまく成立するのかは、本書に示されたとおり徐々に明らかになってきているように思います。著者はこれからの発明者に送るエールとして本書を書いているようにも思われますが、既存のメーカーにとっても学ぶべきことは多いはずです。

例えば、本書の示唆を参考にすると、既存メーカーも以下のような点を考え直してみる必要があるのではないでしょうか。
・既存企業は大規模化による生産の効率化にばかりとらわれていないか?
・高付加価値化とは何か?、高スペック化は本当に消費者のニーズに合っているのか?
・自前技術による開発(NIH)にとらわれていないか?
・特許による自社技術の保護にとらわれていないか?、オープンにするメリットを忘れていないか?
これらは、従来の発想からの大きな転換を迫るものもあるかもしれません。しかし、そうした発想の転換が必要なのだとしたら?、手を拱いてはいられないのかもしれません。

イノベーションを行う上でも、インターネットによる新しい製品開発の可能性は認識しておく必要があるでしょう。特に、誰でも自他の成果を自由に使え、開かれたコミュニティで開発が行われるというオープンソースのイノベーションは、現在多くの人が認識しているような社外協力や協創よりもさらに進んだ形のオープンイノベーションの進め方として、多くの示唆を含んでいるように思います。イノベーションのやり方も時代とともに変化するはずです。著者が考えるような製造業の未来がくるのかどうか、本書に述べられた変化が今後どうなるのか、注目していきたいと思います。


文献1:Chris Anderson, 2012、クリス・アンダーソン著、関美和訳、「MAKERS〔メイカーズ〕21世紀の産業革命が始まる」、NHK出版、2012.
原著表題:MAKERS: The New Industrial Revolution

(参考)著書(邦訳)webページ
http://pr.nhk-book.co.jp/makers/

参考リンク<2014.3.23追加>




「P&G式『勝つために戦う』戦略」(ラフリー、マーティン著)より

アラン・ラフリー氏がCEOとして率いるP&Gのマネジメントについては、今までにも2回取り上げました(P&Gのすごさ-ニュー・グロース・ファクトリー戦略策定の科学的アプローチ)。今回は、近著「P&G式『勝つために戦う』戦略」(アラン・ラフリー、ロジャー・マーティン著)[文献1]に基づいて、P&Gの近年の躍進を支えた戦略について考えてみたいと思います。

戦略とは
著者らは、「手短に言えば、戦略とは選択である。もう少し具体的に言えば、戦略とはある企業を業界において独自のポジションに位置付け、それによって、競争相手に対して、持続可能な優位性やより優れた価値を生み出すもの[p.14]」と述べ、「本当に重要なことは勝つことである。偉大な組織・・・は、・・・勝利を選択している[p.16]」と述べています。しかし、「選択をするのは苦しい・・・明確で、選り抜かれた、敢然とした勝利の戦略を持っている企業は少なすぎると思う。・・・行動重視の組織の場合、えてして思考は二の次になる[p.14]」とし、その結果、取捨選択のできないビジョンを戦略としたり、競争優位性が強まるわけではない単なる計画を戦略としてしまったり、世の中の変化が急速だからといって戦略を立てられないとしてしまったり、単なる改善を戦略としたり、ベンチマーキングによって競争相手と同じことを戦略にしてしまったり、という過ちを犯すと述べています[p.14-16]。

著者らの戦略
・「戦略の核心は勝利であるべきだ。私たちの表現によれば、戦略とは調和し統合された5つの選択である。勝利のアスピレーション(憧れ)、戦場選択、戦法選択、中核的能力、そして経営システムである。・・・この5つの選択は戦略的選択カスケード(滝)を構成する[p.17]」。これに、戦略的選択を生むための枠組み「戦略的論理フロー」と、相容れない戦略的選択に折り合いをつけるための「リバース・エンジニアリング」と呼ばれるプロセスが一緒になって、「どんな組織にも通用する戦略の組み立てのプレーブック(兵法)を構成している[p.17]」。
・「一貫性ある選択の積み重ねが、業界内の独特のポジションと競争相手への持続的な優位性、より優れた価値を持たせてくれる[p.28]」。
・「戦略を決するには、何をし、何をしないのかを選べ」、「5つの選択をまとめてやれ。・・・実行可能で行動的で持続的な戦略を作るには、5つの選択全てにまとめて答えなければならない」、「戦略を双方向のプロセスと考えよ。カスケードのある段階で知見を得るごとに、他の段階の選択を考えなおさなければならないかもしれない」、「唯一完璧な戦略などないと知れ。自分にとって有効な明らかな選択を見いだせ」[p.50-51

以下、それぞれの要素についてまとめます。
勝利のアスピレーション(第2章)
・「アスピレーション(憧れ)は、組織の目標を導く[p/54]」。「どんな勝利を望んでいるのか?――は他のすべての枠組みをもたらす。・・・有用だが抽象的でもある勝利というコンセプトは、アスピレーションとしてしっかりと定義されなければならない。[p.33]」
・「ある業界の価値創造の不釣り合いなほどの大部分は、業界のリーダーが得る」。「企業が勝利のためにではなく、漫然と参戦した場合には、厳しい選択と膨大な投資を強いられ、勝利の可能性はますます低くなる。穏やか過ぎる目標は、高すぎる目標よりもずっと危険なのである。」[p.55
・「大半のリーダーは選択を好まない・・・選択肢を温存したがるのだ。選択は任意の行動を強い、それに拘束され、嫌と言うほど個人的なリスクを生み出すからだ。・・・選択をする代わりに選択肢を考え、勝利を定義する苦しみを避けることによって、こうしたリーダーは勝利よりも単なる参戦を選んでいる。これではせいぜい業界平均並みの業績を上げることしか望めない[p.69]」

・「従業員や消費者にとって意味のあるアスピレーションを描け・・・組織が何のために存在するかについての、より深い意味につながるものだ」、「製品ではなく消費者からスタートせよ」、「ここで立ち止まるな。アスピレーションは戦略ではない。単にカスケードの第一段階に過ぎない」[p.68-69

戦場(第3章)、どこで戦うか
・「どこで戦うかと、どうやって戦うか・・・は、互いに緊密に結び付いており、戦略のまさに中核を成す」。「戦場とは、競争の場を絞り込む一連の選択を意味している」。「どの戦場を選べば最も確実に勝てそうかを理解しなければならない」[p.34-35]。「どこで戦うかを選ぶとは、どこで戦わないかを選ぶことでもある[p.81]」。「P&Gでは、戦場選択は消費者の実像を探ることから始まる[p.82]」。「戦場選択には、ユーザー、競争環境、自身の能力に対する深い理解が必要[p..96]」
・戦場選択のドメイン:地理(国や地域)、製品タイプ(どんな製品やタイプを提供するのか)、消費者セグメント(消費者グループ、価格帯、消費者ニーズ)、流通チャネル(消費者にどうやってリーチするか、チャネル)、製品の垂直的段階(製品製造のどの段階か、バリューチェーンのどの位置か、広くあるいは狭く)[p.80-81
・3つの危険な誘惑:1)選択を拒み、すべての戦場で同時に戦おうとすること、2)避けられないつらい選択から逃れようとすること、3)現在の選択を、不可避で不変とすること。「これら3つの誘惑のいずれに屈しても、戦略的選択が弱まる。」[P.84-85
・「完全撤退してしまう前に、じっくりと考え抜け」、「戦場がしっかり決まるまで戦略を実施するな」、「奇襲につながり、最も抵抗の少ない戦場を探せ」、「相手の反応を数手先まで読んでおけ」、「えてして、未開拓地と思った場所には手強い敵が潜んでいる。単に見落としていただけだ。」[p.97-98

戦法(第4章)、どうやって勝つか
・「勝利とは、顧客や消費者に対して競争相手よりもよい価値を生み出し続けることである。・・・そのための一般的な方法はたった2つしかない。コストでリーダーシップを取ること、そして差異化である[p.106]」。「コスト・リーダーになるなら、調達、設計、製造、流通、など様々な段階で強みを生み出せる。差異化プレーヤーなら、ブランド、品質、特定のサービスなどの点で大きなプレミアム価格を取れる。だが、どんな会社にとっても、これなら勝てるという唯一の戦法などない。・・・戦法選択とは、戦場を背景に、広くも深くも考えることだ。[p.121]」
・「未知の戦法を編み出せ」、「どんなに探しても戦法が見いだせないのなら、新たな戦場を探すか、降伏すべきだ」、「戦法を戦場と同時に考えよ」、「業界の習慣は固定的で不可変だと思うな」、「上げ潮に乗っているのなら、ゲームのルールを自分で決めるか、よりうまく戦え。もしそうでなければ、ゲームのルールを変えてしまえ。」[p.122

能力(第5章)、強みを生かす
・「組織の中核的能力群を最大限に発揮すると戦場選択や戦法選択に命が吹き込まれる。これは企業活動を補強するシステムであると考えるとわかりやすい[p.137]」。「企業は様々な力を持ち得るが、強みになる能力、戦場と戦法の選択を下支えする能力は限られている」、「要するに問題は、参入している競争領域において勝つために持たなければならない能力とは何か」[p.139]。「それによって企業は、能力維持のための投資を続けられ、他の能力を培え、戦略に必須ではない能力への投資を止められるようになる[p.138]」。
P&Gの場合、中核的能力は、消費者知見、イノベーション、ブランド・ビルディング、市場攻略能力(流通チャネルや消費者との関係づくりの能力)、グローバルな規模。[p.43-44
・「目標は、戦場や戦法の選択を下支えする、統合的で、相乗的で、実行性があり、独自で、防御性のある能力を開発すること[p.144]」。「競争相手が、瓜二つの能力群やそれを支える活動を持っていたなら、相手はあなたの戦場や戦法に進出し、競争優位性に食い込んでくる[p.143]」。「システム全体を簡単にまねできたり、容易に覆されてしまうようなら、・・・有意義な競争優位性を生まない[p.144]」。
・「事業間にも全社と事業の間にも、中核的な活動群に共通性がなければならない。様々な事業間や全社を串刺しにするこうした共通の能力が・・・社を一体にする」。(相互補強的な柱)[p.146]」
・「活動システム立案は容易ではなく、数回ほどの試行錯誤は優にあり得る」、「自分の選択に合った独自の能力群を開発せよ」、「不可分活動段階から手をつけよ。それよりも上位の全てのシステムは、勝つために必要な能力を支援するものでなければならない」[p.153-154]。

経営システム(第6章)、能力を実現し、選択を支援するシステムと手段
・「選択と能力をしっかりと支援する経営システムを持たない限り、大敗を喫することがある。・・・真の勝利は、戦略を立案し、レビュー(検証)し、伝達してこそ得られる。そして戦略の効果を得るには、具体的な経営システムが必要だ。[p.156]」
P&Gにおける支援システムは、新しい消費者調査手法、イノベーション(イノサイトと共に創造的破壊によるイノベーション・プロセスを研究、コネクト+デベロップというオープン・イノベーション事業を創設)、ブランド・ビルディングの枠組みを公式化、小売店との戦略的パートナーシップ、スケールメリットのための大型投資[p.169-170]。
・「戦略的ディスカッションを常に継続し、重要な選択から目をそむけない風潮を社内に生み出せ」、「組織内に重要な戦略的選択を伝えるに当たっては、明確さと簡潔さを旨とせよ」、「必要な中核的能力を全社横断的と事業ごとに生み出し、それを支援するシステムと方法を作り出せ」、「戦略的選択の達成度を測定する短期的・長期的な指標を定義せよ」[p.180-181

戦略的論理フロー(第7章)、戦略を考える枠組み
・4つの局面(分析)をめぐる7つの問いからなる[p.185-204
業界分析-セグメンテーション:戦略的に明瞭に識別できるセグメントはどこか?
業界分析-セグメントの魅力:そのセグメントは構造的にどう魅力的なのか?
顧客価値分析-流通チャネル:どんな属性が流通チャネルにとって価値を生むのか?
顧客価値分析-最終消費者:どんな属性が最終消費者にとって価値を生むのか?
相対的ポジション分析-中核的能力:自社の能力蓄積は競争相手に比べてどうか?
相対的ポジション分析-コスト:自社のコストは競争相手に比べてどうか?
競争他社分析―予測:競争相手は投射の行動にどう反応するか?

リバースエンジニアリング(第8章)、勝機を高める選択の方法
1)選択の案を出す:「選択肢がわからないと、問題をしっかり認識できないか、進むべき方向感がつかめない[p.214]」
2)選択肢を広げる:「創造的で型破りな案を組み込むチャンスだ。選択肢は目標に至るまでの幸福な物語の形で表現する[p.215]」
3)前提条件を特定する:「条件を決めつけるのではなく、一丸となって仕事を進めるためにはどんな条件が揃わなければならないのかの論理を整理する[p.216]」
4)選択肢の障害をはっきりさせる:「まとめた案に批判的な目を向け、実現の難しい条件を整理する[p.221]」
5)実現性の検証方法立案:「検証方法は、それらに最も懐疑的な人物に設計させるべき[p.223]」
6)検証の実施:「まず、最も得がたい条件を検証してみる[p.223]」
7)選択する


なお、戦略的論理フロー戦略を考える枠組みとリバースエンジニアリングの方法については、本ブログで以前に取り上げた(戦略策定の科学的アプローチ)論文にも書かれています。表現や説明のしかたが多少異なっていますが、両方をあわせると著者らの主張がよくわかると思います(ただ、以前の論文だけでは多少わかりにくく、本書を読んで理解が深まった点も多く感じました)。
―――

以上が、本書の概要です。一般に、企業における戦略策定の考え方が外部に発表されることは少ないので、他の企業との正確な比較は困難ですが、P&Gほど論理的に戦略を構築してマネジメントを成功させている企業は少ないように思います。本書のような形でその考え方を公開しているのもその自信の表れとも考えられますが、少なくとも戦略策定と実行の方法を明確化していることは、P&Gでは経営トップのみならず各部署においてもこうした方法が実行されやすくなっていると考えられ、それが成果につながっている可能性もあると思います。経営には暗黙知的な部分があるとしても、それをなるべく形式知化して多くの人が実行できるようにしておくことは、特に大きな組織においては重要なことなのではないでしょうか。

ただ、著者のラフリー氏は、2010年にP&GのCEOを引退してこの本を書いた後、2013年5月に再びCEOに復帰していますので、ラフリー氏抜きでは本書の方法がうまく機能しなかった、という可能性もあるかもしれません(もちろん、別の理由かもしれませんが)。今後の動向には注目していきたいと思います。

研究マネジメントの立場から見ても、本書の考え方は興味深いものです。私の経験に照らしても、本書の方法は様々な部署において活用できる、汎用性の高いものだと思われますが、例えば、勝つための「研究戦略」を考えるとしたら、以下のような示唆が得られるのではないでしょうか。
・研究テーマのアスピレーションでメンバーを鼓舞し、成果を企業的勝利に結びつけやすくすべき。
・競争相手の少ない独創的な分野を戦場として考えることも有効かもしれない。
・未知の手法、独創的な考え方は戦法として有効かもしれない。
・独自の(得意な)手法は研究を有利に進める材料となりうる。
・創造的な研究活動を支えるシステムも重要。
こう考えるだけでも、焦点の絞りにくい研究戦略についてのヒントが得られる点は興味深いと思います。

本書の考え方の原点が、P&Gの事業分野に基づいたものであるとしても、「競争において勝つ」ための汎用的な考え方を示している可能性もあり、P&Gでの実績に基づいて磨き上げられた方法として、戦略を考える際には一考の価値は十分にあると思います。


文献1: A.G. Lafley, Roger L. Martin, 2013、A・G・ラフリー、ロジャー・L・マーティン著、酒井泰介訳、「P&G式『勝つために戦う』戦略」、朝日新聞出版、2013.
原著表題:Playing to Win – How Strategy Really Works


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