研究開発マネジメントノート

研究開発とそのマネジメントについてのいろいろ

2015年06月

「世界で最もイノベーティブな組織の作り方」(山口周著)より

イノベーションを実現するには、天才的な個人と、集団の協力のどちらがより重要なのか。そのどちらであっても、個人の能力をひきだし、その努力をまとめあげる組織の能力が優れていなければ大きなイノベーションの達成は難しいでしょう。では、どのような組織が望ましいのでしょうか。

この問いに対する答えはそう簡単に求まるものではないと思いますが、山口周著、「世界で最もイノベーティブな組織の作り方」[文献1]では、「『イノベーションを継続的に起こすことに成功している企業/組織』に共通して見られる特徴」と「それらの特徴がどのようにしてイノベーションの実現に寄与しているのか、それらの特徴をどのようにして獲得できるのか」[p.34]が述べられています。「本書は、その論考の基礎を、ヘイグループがフォーチュン社と共同で行っている『世界で最も称賛される企業=World’s Most Admired Companies』・・・に関する調査において、『最もイノベーティブな企業』として最上位にランキングされた企業への組織開発プロジェクトによって得られた定性的観察に置いています[p.34]」とのことで、それに加えて、著者のコンサルタントとしての経験や考察が織り込まれているのが特徴でしょう。特定の経営理論や特定の分野での研究事例から導かれる方法論とは異なり、実務家にとっても参考になる論考が多いと感じましたので、今回はその内容から興味深く感じた点をまとめてみたいと思います。

第1章、日本人はイノベーティブか?
・「日本企業でイノベーションの促進を阻害するボトルネックファクターは何なのか?それは『組織』です。歴史的に見て多くの領域において個人として発揮されている創造性が、最近の企業組織においてまったく発揮されていないという事実――。それは、組織が個人の創造性をうまく引き出せていないということを示唆しています。・・・事例を並べて考えてみるとわかるのは、日本人は『個人』になれば世界トップレベルの創造性を発揮するものの、『組織』になるとからっきしダメになるということなのです。[p.30-31]」
・「多くの企業が掲げる『どのようにして創造性を高めるか?』や『クリエイティブ思考をどう鍛えるか?』という論点は、そもそも問題設定のピントがずれているということになります。・・・様々な事例は、われわれ日本人が真に向き合うべきなのは『人材の創造性を阻害している組織要因は何なのか』『どのようにすれば個人の創造性を組織の創造性につなげられるのか?』という問題であることを示しているように思います。[p.32-33]」
・「エイブラハム・マズローは、その著書の中で、創造性は誰にでも備わっているものであり、問われるべきは『人間は、どのようにして創造的になれるのか?』ではなく『人間の創造性の発露を損なっているのは何か?』であると指摘しています。[p.33]」

第2章、イノベーションは「新参者」から生まれる
・「『最もイノベーティブな企業』に共通して見られる特徴のひとつに『多様性の重視』が挙げられます。・・・カギは『多様性がもたらす創造性への影響』にあります。[p.36]」
・「『これまでに誰も考えたことがない新しい要素の組み合わせがイノベーションの源泉だ』ということです。そして、この『新しい要素の組み合わせ』を実現するために、多様性が非常に重要な要件になってくる、ということです。[p.47]」
・「多様性が創造性に昇華されるには、組織内に『思考の多様性』や『感性の多様性』が生まれ、それが結果的に『意見の多様性』につながり、組織内に建設的な認知的不協和が発生する必要があります。つまり最終的に重要なのは『意見の多様性』であって『属性の多様性』ではない、ということです。・・・重要なのは、人と異なる考え方/感じ方をどれだけ組織成員ができるか、そして考えたこと/感じたことをどれだけオープンに話せるかという問題です。これは属性の問題というよりも『多様な意見を認める』という組織風土の問題であり、さらには『多様な意見を促す』という組織運営に関するリーダーシップの問題だと捉える必要があります。[p.51-53]」
・「イノベーションの芽となるアイデアを生み出す人と、そのアイデアに資源を注ぎ込んで育てるという意思決定権限を持つ権力者との間には、組織内で大きな距離が存在している・・・。イノベーティブとされる企業であればあるほど、上下間での情報流通が活発に行なわれているという結果が出ています。[p.54]」
・「『目上の人に対して反論したり意見具申したりする』行動に対する心理的抵抗の度合いをオランダの心理学者ヘールト・ホフステードは権力格差指標=PDI(Power Distance Index)と定義しました。・・・権力格差の大きい国では、人々の間に不平等があることはむしろ望ましいと考えられていて、権力弱者が支配者に依存する傾向が強まり、中央集権化が進みます。・・・端的にホフステードは『権力格差指標の小さいアメリカで開発された目標管理制度のような仕組みは、部下と上司が対等な立場で交渉の場を持てることを前提にして開発された技法であり、そのような場を上司も部下も居心地の悪いものと感じてしまう権力格差指標の大きな文化圏ではほとんど機能しないだろう』と指摘しています」。先進7カ国のなかでは権力格差指標の「日本のスコアは相対的に上位に位置しています。」[p.69-72
・「日本など権力格差指標の高い文化圏では、権力と対峙する形でのリーダーシップが生まれにくい」ことが示唆される。「われわれ日本人は、『権威』と『リーダーシップ』を一体のものとして認識してしまうという奇妙な性癖を持っています。しかし、リーダーシップは本来、権威によって生まれるものではありません。それは責任意識によって生まれるものです。[p.79-80]」
・「科学史家トーマス・クーンが指摘しているように、イノベーションは『年齢が非常に若い』か『その分野に入って日が浅いか』のどちらかの人材によって牽引されることがわかっています。・・・しかし、権力格差の大きい日本において『若造』と『新参者』は、最も声を圧殺されがちな人々と言えます。・・・つまり『日本人は、目上の人に対して意見したり反論したりするのに抵抗を感じやすい』という事実と、『多くのイノベーションは組織内の若手や新参者によって主導されてきた』という事実は、日本人が組織的なイノベーションにはそもそも向いていないということを示唆しています。・・・ここに、個人としては最高度に発揮される日本人の創造性が、組織になると必ずしも発揮されなくなってしまう大きな要因のひとつがあるのです。[p.82]」
・「1950年代という時期は、権威に対して媚びへつらう傾向が強い日本人の特性が例外的に希薄になった時期だったと言えるかもしれません。・・・『上が薄い人口構成』と『既存権威の失墜という社会状勢』が、高度経済成長期におけるイノベーションの加速要因になったということは十分に考えられることです。[p.84]」
・「重要になるのは、『指示・表明のリーダーシップ』ではなく、『聞き耳のリーダーシップ』ということになります。・・・リーダーは自分のアイデアをとりあえず伏せつつ、積極的に部下に対して本音の意見を表明させることが必要になります。これが聞き耳のリーダーシップです。[p.99]」「ヘイグループは、・・・『聞き耳のリーダーシップ』を発揮している程度は、組織成員のモチベーションやコミットメントと強い相関があることを把握しています。[p.97]」
・「教育心理学の世界では、・・・報酬、特に『予告された報酬』は、人間の創造的な問題解決能力を著しく毀損することがわかっています。・・・デシの研究からは、報酬を約束された被験者のパフォーマンスは低下し、予想しうる精神面での損失を最小限に抑えようとしたり、あるいは出来高払いの発想で行動するようになることがわかっています。[p.102-103]」「では一方の『ムチ』はどうなのでしょうか?結論からいえば、こちらも心理学の知見からはどうも分が悪いようです。・・・何かにチャレンジするというのは不確実な行為ですから、これとバランスを取るためには『確実な何か』が必要になる。ここで問題になってくるのが『セキュアスペース』という概念です。[p.108]」「つまり、人が創造性を発揮してリスクを冒すためには、『アメ』も『ムチ』も有効ではなく、そのような挑戦が許される風土が必要だということ。さらにそのような風土の中で、人があえてリスクを冒すのは『アメ』が欲しいからではなく、『ムチ』が怖いからでもなく、ただ単に『自分がそうしたいから』ということです。[p.109]」
・マクレランドの3つの社会性動機:1、達成動機(設定した水準や目標を達成したい)、2、親和動機(他者と親密で友好な関係を築き、これを維持したい)、3、パワー動機(自分の行為や存在によって組織や社会に影響を与えたい)[p.123
・「ヘイグループの研究からは、大型のイノベーションに向けて組織を動かす人材は、達成動機よりもむしろ高いパワー動機を持っている傾向が明らかになっています。しかし、こういった人たちは必ずしも『課題優先型のエリート』ではありません。むしろ、言われたことをやるよりも自分の興味や関心にドライブされて仕事をやっているため、上司や経営幹部からは『扱いづらい』という評価を受けていることも多い。・・・動機のプロファイルによって、活躍できる仕事の種類(課題優先型か好奇心駆動型かなど)は変わる・・・。社内で高い評価を継続的に受けてきた・・・『課題優先型のエリート』は、過去の歴史を見る限り、イノベーションの実現という文脈においては『好奇心駆動型のアントレプレナー』に敗れ去るケースが多い。であれば、われわれはイノベーションの実現を、それを自らやりたがる人に任せるべきだ、ということになります。・・・イノベーションの実現という文脈において『適材適所』は重要な論点として浮上してくる、ということです。[p.128]」

第3章、イノベーションの「目利き」
・「イノベーションがもたらす可能性の評価は非常に難しい。であればこそ、多様な視点で多数の人たちが評価することが必要で、そのためには『組織のネットワーク密度』が重要な論点になってくる・・・しかし、ことイノベーションに関連して組織ネットワークを考察する際、ネットワークが外部に対してどれだけ開いているかも重要な論点となってきます。なぜなら、過去の多くの事例において、イノベーションの核となるアイデアは組織の外部からもたらされているからです。[p.141]」
・「最適な構造のあり方は情報処理コストと通信コストのどちらが相対的に高いかによって決定されます。通信コストがプロセッシングのコストより相対的に高い場合、イノベーションのアイデアを生み育てるプロセッシングは一カ所で行ない、ネットワークを流通する情報の量をなるべく少なくして、そこで浮いたお金をプロセッシング(アイデアを出せる才能)に回すほうが全体の生産性は高まるでしょう。一方、プロセッシングのコストが通信コストよりも相対的に高い場合、つまりアイデアを生み出せる才能が希少で、通信コストが劇的に下がった現在の社会のような状況では、プロセッシングは分散処理で行い、分散処理された情報を世界中から集めるというシステムのほうが合理的です。・・・せっかく密度の高いネットワークを組織内に作ったとしても、そこを流通する情報の量が少なくては宝の持ち腐れになってしまいます。組織内における情報流通の質と量を高めようと考えた場合、組織内の『密度』と同時に、組織の外に向かった『広さ』にも目を配ることが必要です。[p.145-146]」
・「本当の意味で『頑張る』『創意工夫をこらす』ということは目の前の業務に粉骨砕身することではなく、むしろ戦略的に『遊び』を取り込むことでイノベーションの芽を育てることにあるはずです。[p.159]」
・「イノベーションという文脈でプロセスを議題に出すと、P&Gで実行されている、いわゆるステージゲート法(段階的に消費者テストにかけて、ある程度の成功確率が担保された段階で開発・販売にゴーサインを出すやり方)のような厳格な管理型プロセスを思い起こす方も多いでしょう。たしかに、こういった仕組みを導入することで商品開発には一定の規律が導入されることになり、結果的に野放図でギャンブル性の高い新商品開発・発売を抑止することが可能になります。しかし一方で、こういった管理型プロセスの導入によって可能になるのはせいぜい漸進型イノベーションであって、世の中の風景を一変させるラジカルなイノベーションを生み出すことは難しいと考えておいたほうがいいでしょう。・・・消費者は、往々にして大きな便益をもたらすイノベーションのアイデアを提示されても、その価値をすぐに理解することができないのです。[p.167-168]」
・「組織内で論理や客観的事実に基づいた合理的なコンセンサスが形成されるのを待っていたら、イノベーションがもたらす果実は『鳥に啄まれた残りかす』にしかならないということです。[p.176]」
・「組織が行う意思決定のクオリティは、必ずしもリーダーやその構成員の思考力やリテラシーに左右されない。むしろ、その組織がどういうメンバーで構成され、どういう前提でもって議論を行い、どのようなプロセスで議論を進めるか――要するに『決め方』によって左右される[p.202]」。
・「杓子定規にルールをあてはめてアルゴリズミックに撤退/継続の意思決定をしていたのではイノベーションの芽を摘んでしまう可能性がある一方で、撤退基準を明確化しなければ組織も構成員も結果的には傷つくことになるリスクが高まる。・・・リーダーは『ルールでは判断できない、論理だけでは整理できない例外事項について意思決定する』ために存在しているのです。[p.214-215]」
・「そもそも専門家の判断能力は過大評価されており、高度に複雑な問題に対する解は、しばしば情報劣位にある『不特定多数』のそれに劣る・・・。環境変化によって知的資産が急速に陳腐化しつつある中、上級管理職や経営管理者に組織の重要な意思決定を今後も任せるというのは、筆者にはどうにも非合理に思えてなりません。[p.233]」

第4章、イノベーションを起こせるリーダー、起こせないリーダー
・「多くのリーダーシップに関する論考が不毛な『青年の主張』になりがちなのは、それらの主張が、文脈=コンテキストからリーダーシップを分離し、どのような文脈でも通用する『普遍的な原理』としてそれを捉えているからです。リーダーシップというのは文脈=コンテキストに照らし合わせてみないと有効性の議論ができない大変相対的な概念で、・・・別の言い方をすれば、リーダーシップとは、『リーダーとフォロワーの関係性』あるいは『リーダーをとりまく周囲の環境との関係性』の中で成立する概念であって、『リーダーの属性』として独立する概念ではないということです。[p.236-237]」
・「コンテキストによって求められるリーダーシップのあり様は異なる、ということは、リーダーシップには複数の側面があり、それらの組み合わせをいわばポートフォリオのようにコンテキストによって使い分けられるのが最も有能なリーダーだということになります。・・・ヘイグループは『有能なリーダー=結果を残す人々』に共通して見られる行動特性を整理し、6つのリーダーシップスタイルが存在することを明らかにしています。[p.239
・6つのリーダーシップスタイル:指示命令(言ったとおりにやれ=即座の服従)、ビジョン(「なぜ」をわからせる=長期視点の提供)、関係重視(まず人、次に仕事=調和の形成)、民主(メンバーの参画=情報の吸い上げ)、率先垂範(先頭に立つ=模範の提示)、育成(長期的な育成=能力の拡大)[p.240
・「ヘイグループの調査によると、『フォーチュン500』の中でも『最もイノベーティブ』であると考えられる企業において発揮されているリーダーシップスタイルは、『ビジョン型』が63%と最も高く、『率先垂範型』が42%と最も低くなっています。[p.242]」
・「ビジョンに求められる最も重要なポイント――それは『共感できる』ということです。・・・歴史上、多くの人を巻きこんで牽引することに成功した営みには、ビジョンに関する3つの構成要素が存在しています。それはすなわち『Where』『Why』『How』という3つの要素です。『Where』とはつまり、『ここではないどこか』を明示的に見せるということ・・・。次の要件が、共感できる『Why』です。・・・『ここではないどこか』に移動するには、その移動を合理化し納得できる理由が必要です。・・・3つ目の要件が、『どのようにしてそれを実現するのか』を示す基本方針=『How』です。[p.248-261]」

第5章、イノベーティブな組織の作り方
・人材採用/育成/配置:多様性を重視した採用、若手に対しては自分の意見をもつこと、シニアに対しては人に意見を求めること、バックグラウンドの多様性を高める配置換え、コンピテンシーの違いに応じた業務配分[p.268-278
・評価/報酬システム:目標管理は弊害大、フレキシブルな評価、仕事そのものを報酬にする[p.279-282
・意思決定プロセス:撤退についての定量的基準を設けた上で、直観に基づいて判断、過度なコンセンサス重視からの脱却、集合知の活用、余計なアドバイスの排除[p.282-287
・価値観:多様性を尊重する風土[p.288-289
・リーダーシップ:聞き耳のリーダーシップ、サーバント・リーダーシップ、ビジョンの提示[p.289-292
―――

イノベーションと組織の問題に関しては、1995年刊行の野中郁次郎氏らの著書「知識創造企業」で述べられた「組織的知識創造」の概念が有名です。同書では、組織的知識創造に優れた日本企業によるイノベーション事例が多く取り上げられていますが、その後、日本企業のイノベーション能力が低下しているとすればそれはなぜなのでしょうか。山口氏が本書で指摘している「組織」およびイノベーションを取り巻く状況がこの20年で変わってしまったことがその原因なのかもしれません。

イノベーションにとって組織とそのマネジメントが重要であることは、私も全くその通りだと思います(だからこそ、このブログを続けているわけですが)。しかし、イノベーションを生むための方法論は確立されているとは言えません。イノベーションを生むには具体的にどうすればよいのか、組織のあり方に着目した著者の考え方は我々実務家にとっても大変に参考になるものだと思います。もちろん、細かな点では異論のある指摘もありますが(例えば、専門家が役にたたないという指摘は、単に専門家の「使い方」を間違えているだけのように思います・・・特にこの点は一技術者としてちょっと強調しておきたいと思いました)、そもそもイノベーションというものは千差万別ですので、その方法論もある程度異なっていて当然でしょう。読み手は、著者の指摘の根幹部分を重く受け止めた上で、各論部分は考える材料として受け止め、それぞれの状況に応じてそれぞれが活用していけばよいのだと思います。本書の指摘をはじめ、イノベーションの方法論については、実務に使えそうな考え方が多く発表されるようになってきました。そうなると、真に問われるのは、「どういうイノベーションをやりたいのか」という覚悟なのではないか、という気がしますが、いかがでしょうか。


文献1:山口周、「世界で最もイノベーティブな組織の作り方」、光文社、2013.

参考リンク



集合天才を導く(ヒル他著、「グーグルを成功に導いた『集合天才』のリーダーシップ」DHBR2015年5月号より)

イノベーションは優れた能力を持つ天才によって導かれるのか。あるいは、天才は必ずしも必要ではなく、
多くの人の協力によって成し遂げられるのか。どちらの場合もありうる、というのが実際のところでしょうが、そのマネジメントの方法は自ずと異なるはずです。今回は、組織として多くの人の協力によってイノベーションを導く方法について考察した論文、ヒル、ブランドー、トゥルーラブ、ラインバック著「グーグルを成功に導いた『集合天才』のリーダーシップ」[文献1]に基づいて、イノベーションを生み出す組織のマネジメントについて考えてみたいと思います。

論文の題にある「集合天才」(原著では”Collective Genius”)という言葉は広く用いられている用語ではないと思いますので、まずはその意味を確認しておきましょう。「『集合天才』とは一人の天才の出現に頼らず、組織のメンバーの才能を集めることでよい結果を出そうという考え方だ。」とのことであり、「この言葉の起源はゼネラル・エレクトリックの組織運営にある。・・・集合天才として機能するためには、個々の才能や蓄積された情報が有機的に結びつくことが必要であり、そのための環境やプロセスの構築が必要とされている。」とのことです。邦訳論文の表題からは、グーグルの事例分析のように思われるかもしれませんが、原著論文の表題は単に”Collective Genius”なので、一般的な考察を意図した論文と考えるべきでしょう。以下、著者の主張のポイントをまとめておきたいと思います。

著者らの研究の意図は、「より革新的な組織をつくるうえでリーダーが果たす役割」とのことで、その背景には次のような認識があります。「方向性を定めるリーダーシップは、問題の解決法がすでにわかっており、単純な場合にはうまく機能する。しかし、本当に独創的な対応を必要とする問題の場合、どのように対応すべきかを前もって決められる者はいない。ならば当然、人々にビジョンを受け入れさせ、ともかく実行させるという方法でイノベーションを引っ張ることは不可能だ。・・・才能豊かな人材が集まる企業でリーダーとして行動し、組織をつくり上げていくうえで、リーダーはメンバーから『天才の片鱗』を引き出し、集合天才と呼ばれるイノベーションにまとめ上げることもできるだろう。問題は『いかにイノベーションを引き起こすか』ではなく、むしろ『イノベーションが起こる舞台をいかに設定するか』なのだ」。「イノベーションが生まれる時はたいてい、まず、さまざまな人間が協働して多岐にわたる多種多様なアイデアを生み出し、次いで意見交換やしばしば白熱する議論を通じてそれらを磨き、さらには新たなアイデアにまで進化させる。このような協働には、激しい意見の対立があるはずだ。・・・緊張やストレスが生まれることもある。・・・多様性を最低限に抑えるなど、抑制を試みる企業も多いが、それではイノベーションに必要な、アイデアの自由な発現と十分な討論を阻害するだけである。リーダーはこの緊張感をうまくコントロールして、メンバーが互いの天分をすすんで共有するほど協力的でありながら、アイデアを改善し新たな思考をもたらすような対立的な環境をつくり出さなければならない」。「イノベーションはまた、試行錯誤が必要である。・・・イノベーションリーダーは、臨機応変な対応と現実に上がっている成果との間でうまくバランスが保たれている環境をつくり出す。結局、新しいものや有用なものの創造においては、二者択一的思考法から両面的思考法に移行しなければならない」。「また、リーダーは、組織のあらゆる部署のメンバーから素晴らしいアイデアを生まれてくるまで、忍耐強く待たなければならない。それと同時に、社員に切迫感を持たせ、条件を明確に定めて、実際に統合的な意思決定が下せるようにしなければならない」。

集合天才のイノベーションを生み出す舞台をどう作り上げるかについて、著者は、イノベーションへの意欲を育むことと、組織のイノベーション能力を構築することが重要であるとしています。


イノベーションへの意欲を育む
・「意欲を育むために、リーダーは目的、価値、取り組みのルールを共有する共同体をつくる必要がある。」
・目的:「目的とは、『グループが何をするか』ではない。『グループのメンバーは誰か』、あるいは『なぜ存在するのか』ということだ。それは集団としてのアイデンティティの問題である。目的のためにこそ社員はすすんでリスクを取り、イノベーションにつきものの重労働もいとわない。」
・価値の共有:「共同体を形成するためには、何が重要かについてメンバーに合意がなければならない。グループの優先事項や選択肢をはっきりさせることで、価値が個人および集団の思考と行動に影響を与える。価値は共同体により異なるが、真に革新的な組織ならば必ず共有されている価値があるようだ。それは、大胆な野心、共同体に対する責任、協働、学習の4つである。」
・取り組みのルール:「取り組みのルールによってメンバーはすべきことに集中し、非生産的な行動を抑制して、イノベーションを育む活動が促されるようになる。・・・協働につきものの緊張感は、進捗を遅らせる可能性があるばかりか、創造的な共同体を分裂させてしまうおそれさえある。取り組みのルールはこれらの破壊的な力を制御するのに役立つ。たとえば、対立の焦点を人の問題ではなく、見解に置くことができる。研究対象となったいずれの組織でも、リーダーはルールを確立し守らせるために、必要とあれば強権的になることもいとわなかった。一般的に取り組みのルールは2つに分類される。第一のカテゴリーは交流の仕方に関するもので、相互が信頼し尊重し、影響を与えあうことを求めている。共同体の誰もが声を発することができ、経験の浅い者や入社して間もない者であっても決定に影響力を持つことが許されるべきだという考え方である。第二のカテゴリーは考え方に関するものであり、すべての者が何事に対しても疑問を持ち、データを根拠として全体を見ることを要求するルールである。」

イノベーションの能力を構築する
・「イノベーションを育むには意欲が必要であるが、それだけでは十分ではない。企業自体にもイノベーション能力が必要とされる。そのために『創造的摩擦』『創造的敏捷性』『創造的決断』という3つのケイパビリティを開発しなければならない。協働には『創造的摩擦』(対話や議論を通じてアイデアを生み出す能力)が必要である。発見主導型の学習には、『創造的敏捷性』(迅速な追求、見直し、調整を通じてテストし実験を行う能力)が必要である。統合的意思決定には、『創造的決断』(本質的に異なる、場合によっては正反対でさえあるアイデアを組み合わせるような意思決定の能力)が必要である。」
・創造的摩擦:「創造的摩擦には、知的多様性と知的対立という2つの要素が必要である」。例えば、「リーダーの言うことを何でも称賛し実行するだけの組織ではなく、リーダーと論争するような組織」。
・創造的敏捷性:創造的敏捷性の3段階は、「我々が研究したほぼすべてのリーダーが推奨するものである。第一段階では、新たなアイデアを迅速に追求し、積極的に多角的な実験を進める・・・ここでは多少の計画立案も行なわれたが、アイデアが実際どのように機能するか、データ収集のほうがはるかに重視された。第二段階では、これらの実験結果を熟考し、そこから学ぶことが期待された。第三段階では、その結果に基づいて計画とアクションを調整し、最終的に解決法が明らかとなるか、基本的アプローチがうまくいかないことが明確になるまで、この新しい知識の導入サイクルを繰り返すことを期待した。」

イノベーションにおける二項対立
・「これまでにない問題解決のために肝要なのは、各メンバーから『天才の片鱗』を引き出すこと、それらを集合天才にまとまるよう活用することの2つである。・・・我々の研究では、イノベーションにおける6つの二項対立が特定された。リーダーにとっての課題は、各対立項の間でたえず調整ができるよう、組織を支援することである。
・6つの二項対立
 「個人の肯定」と「グループの肯定」
 「支援」と「対決」
 「実験および学習の促進」と「業績」
 「即興性の奨励」と「制度」
 「忍耐」と「切迫感」
 「ボトムアップの取り組みの奨励」と「トップダウンの介入」
・「二項対立の後者側に偏るリーダーは社員の『天才』を完全に引き出すことはけっしてできない。・・・前者に偏るリーダーは、試すべきたくさんのアイデアや選択肢を得られるが、それらを有益な新しい解決法に変えることができず、チームは対立と混乱に支配されるだろう。・・・多くのリーダーにとって、一方の極をもう一方よりも好まずにいるのは難しい。たえず再調整していくには、絶妙な判断と勇気と粘り強さが必要である。真に新しく有用な解決法を発見することは簡単ではない。それは、イノベーションのプロセスが非常に複雑で、これら二項対立に内在する緊張に満ちているためでもある。」
―――

「集合天才」という概念は、「集合知」や、イノベーションにおける「協力」とも関係するものと考えられますが、特定の組織がメンバーの持つ天才の片鱗を組み合わせて新たなイノベーションを生み出す、という意味において、単なる「多数の意見」や「分業による協力」とは一線を画すものであると思います。「集合知」や「協力」という概念の中から、イノベーション実現にとって重要な要素を抽出してまとめたものが「集合天才」という概念と言えるかもしれません。そして、その集合天才を活用するための組織運営のあり方を整理し、提言しているところが本論文の特徴なのだろうと思います。野中郁次郎氏らによる「組織的知識創造」の考え方とも重なる部分があると思いますが、野中氏らは、知識が創造されるプロセスに注目しているのに対し、本論文では、知識創造のための組織やリーダーシップのあり方に言及している点で、実務家にとっても参考になる点が多いと感じました。

ただ、本論文だけでは、そこに述べられた方法論がどの程度の根拠に基づいているのかは残念ながらはっきりしません。なぜ著者らは数多くのマネジメントのポイントから上記の方法をまとめあげたのか、他にも注意すべき点があるのではないか、この議論の汎用性はどの程度あるのか、著者が提案している二項対立の調整をはじめとする具体的スキルはどのようなものなのか、なども知りたいところです。著者らによる本「Collective Genius」(2014年刊、未訳)があるようなので、恐らくそこにはもう少し詳しい著者らの研究成果がまとめられているのではないかと思います。

いずれにしても、イノベーションを生み出すためには、従来理想とされてきたような組織やリーダーシップでは不適当な場合があることは肝に銘じておくべきなのではないか思います。


文献1:Linda A. Hill, Greg Brandeau, Emily Truelove, Kent Lineback、リンダ・A・ヒル、グレッグ・ブランドー、エミリー・トゥルーラブ、ケント・ラインバック著、飯野由美子訳、「イノベーションを生み出し続ける組織 
グーグルを成功に導いた『集合天才』のリーダーシップ」、Diamond Harvard Business Review, 2015 5月号、p.98.
原著:”Collective Genius”, Harvard Business Review, 2014 June.

参考リンク



「人と『機械』をつなぐデザイン」(佐倉統編)より

人間の生活の向上に科学技術が大きな役割を果たしてきたことを疑う人はいないでしょう。しかし、技術が災厄をもたらす場合があることも事実です。どんな研究開発にどのように取り組むべきかを考える際には、技術と人との関わりの視点からも、技術を社会に適用することの影響をよく考えておくことが必要だと思います。

佐倉統編、「人と『機械』をつなぐデザイン」[文献1]では、この問題に関するいくつかの考え方が紹介されています。この本は、「2011年度-2013年度におこなわれた、オムロン・グループの人文社会系シンクタンク、ヒューマンルネッサンス研究所(HRI)と、東京大学の学際的教育研究部局である大学院情報学環の佐倉研究室との共同研究≪人と機械が理想的に調和する社会≫[p.iii]」の成果をもとにまとめられたとのことで、トピックス的な議論が中心の本ですが、今回はその内容から個人的に興味深く感じた点を抜き出させていただきたいと思います。書かれていることをまとめるように抜き出しているわけではありませんので、実際に述べられている内容、議論については本書をご参照ください。

第1部、人と「機械」の行方

01、日常生活とテクノロジーの行方(歴本純一氏へのインタビュー)
・「不便とチャレンジに関係する大きな領域があります。それはゲームです。ゲームはわざわざ面倒な問題を解こうとしますよね。・・・『便利なゲーム』は概念的に存在しえないものです。・・・チャレンジを達成する喜びみたいなものが『不便のインターフェース』だと思うのです。・・・不便の先に達成したときの充足感のような快感が巧みにデザインされていなければならないというわけです。[p.9]」
・「『面倒くさい』ことと機械にやってほしいこととが必ずしも一致しないということもあります。[p.12]」
・「本当にいい道具はその存在自体が意識から消え、意識を拡張させる。それが一体感であり、僕の考える人と機械の理想的な関係です。[p.20]」

02、コンピュータと脳の関係の行方(金井良太)
・「個人の脳構造の特徴は、遺伝子によって生まれつきに決まっている部分もあるが、環境の違いやトレーニングの効果によってもMRI画像で確認できるほどの脳構造の大きな変化が生じることが明らかになっている。[p.25]」
・「インターネットが脳に与える影響は、論者によってポジティブにもネガティブにも捉えられている。・・・ポジティブな意見もネガティブな意見も現時点では未検証の仮説[p.28-29]」。

03、サイエンス・エンジニアリング・デザイン・アートの行方(八谷和彦×川端裕人)
・「やっぱり科学的なアプローチだけじゃ説得されない部分があって、当事者ではない小説家とかアーティストみたいに科学との利害関係があまりない人の言葉のほうが、すんなり頭に入ることもありますよね。特に科学者の信用がなくなっているときには、そういう利害関係のない人たちが科学コミュニケーションをやったほうがいい局面もあるのかもしれない。[p.52-53、八谷氏]
・「人が物事の善悪を判断するときって、そのものの性能だけから合理的に判断するというよりも、誰がつくったかで判断している部分もあると思うんです。・・・対象に応じて対応を変える必要があるんじゃないかと思います。[p.62、八谷氏]
・「自分の興味のあるものをとことん追究したい人もいますが、それとは別に『地図を描きたい』人もいると思うんです。[p.64、川端氏]

04、身体との調和に向かう義足の行方(渡部麻衣子、大野祐介、臼井二美男)
05、義足とポスト近代的モノづくりの行方(臼井二美男×大野祐介×梅澤慎吾×山中俊治)
・具体的事例としての義足
・「人と機械の『調和』が、機械の側の発展や、機械を作る人の技能の発達によって達成される事象としてのみならず、作る人と使う人の相互行為によって生成されていく現象として読み解くことができる。[p.92-93]」
・「近代産業が合理的になればなるほどそこから振り落とされるマイノリティがいることがはっきりしてきたので、それに対する補償や補完作業の必要性をデザイナーたちが感じはじめた[p.108、山中氏]」
・「人と技術の『調和』というものが、社会における人に対するパースペクティブの変容を必要とする、ということが示唆される。これは、具体的には、技術的合理主義に基づいて標準化された『人』の理念型から離れて、人を、一人一人固有で変容し続ける存在として捉え直すということを意味する。[p.119-120、渡部氏]

第2部、技術と環境をつなぐデザインの行方
06、センサーと生活環境の行方
(森武俊氏へのインタビュー)
・「技術的に自動化はどこまでも進むだろうと考えていて、むしろ社会的にどこまで進む『べきか』については、その時代に応じた判断が必要なのでとても難しいと感じますね。むしろ自動化がどこまで進む・進まないは、『自分に対してポジティブなフィードバックが返ってくるのが早いこと』を一つの判断基準として決まると思います。[p.137]」

07、歩きやすさと都市環境の行方(山田育穂)
・「歩くことを促進するウォーカブルな都市は、自動車依存度を低下させエネルギー消費を抑えるエコロジカルな都市でもある。・・・住民の健康だけでなく、資源・環境問題にも貢献できる可能性を秘めたウォーカブルな都市環境は、それぞれの面で弱点を抱える日本の都市にとって大きな希望となるだろう。[p.135]」

08、デジタル・ネットワークと読み書きの行方(中村雄祐)
・「研究者も実務者も、そして受益者である住民も、それぞれの立ち位置でICT(Information and Communication Technology)を使っていかざるをえない・・・そして、20世紀的な『文系対理系』、『基礎対応用』といった棲み分けでは歯が立たなくなることは覚悟しておきたい。[p.179]」

09、デジタルファブリケーションとコミュニティの行方(田中浩也×渡辺ゆうか)
・「ファブラボとは、3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機械の普及によって実現される『新しいものづくり』の可能性を、そこに集う多様な方々と共同で開拓していくための実験工房だ。[p.183]」
・「公文俊平先生・・・のお話ですが、コンピューテーションとコミュニケーションという二つの流れ――産業のデジタル化の流れ(第三次産業革命)と、コミュニケーションがソーシャルになっていく流れ(第一次情報革命)――とがあるんです。このソーシャルな流れがファブラボになっていて、メイカーズムーブメントみたいなものが産業のほうになっているんだと考えています。[p.189-190、田中氏]」

10、イノベーションとデザイン思考の行方(澤田美奈子)
・「本来は人間のための技術だったはずが、次第に技術の要求が社会を変容させ、人間側が技術に順応せざるをえないといった倒錯や葛藤を引き起こしているのではないか。ものづくりを今一度、人間中心の発想に戻す必要がある。[p.201-202]」
・「人々のありのままの姿を実際の生活世界の中で観察し、問題解決のための道具のプロトタイプを制作して実験を繰り返しながらデザインを行っていくことでイノベーションを目指すというのが『デザイン思考』に基本プロセスだ。・・・『デザイン思考』の方法論の大きな柱が『エスノグラフィー』による踏み込んだ人間理解および、つくりながら考える『プロトタイプ』発想法である。[p.203]」
・「統計分析や平均的な人間観・機械観、現状の延長線上的思考回路を飛び越えたところにイノベーションは存在するのだ。人間視点のイノベーションを実現するためには、イノベーションの担い手が主体的な創造力を発揮できる、組織・社会への転換も必要なのではないか[p.216]」。

11、科学技術とイノベーションの行方(網盛一郎)
・「社会が未成熟で社会ニーズが豊富にあり、科学技術の進歩が社会ニーズに応えやすかった時代は、技術シーズを社会ニーズに転換させやすかったのでリニアモデルが適用でき、従来型のイノベーションを起こしやすかった。ところが社会が成熟すると、生活が満たされ、人のニーズが多様化する。社会ニーズがなくなったわけではないが、科学技術の進歩で応えられるものがだんだん少なくなり、問題解決型はどんどん難しくなっていった。一方でニーズの多様化により重要度が高まってきたのが職人型イノベーションである。職人型イノベーションでは、きっかけは誰のニーズであってもよい。・・・職人型では既存市場はなく、市場規模はおろかそこに市場があるかすら直感に頼ることになる。・・・ヴィジョン(Vision)がそれを後押しする。つまり問題解決型はMission-orientedであり、職人型はVision-orientedである。・・・Vision-orientedな職人型イノベーションを目指してはどうだろうか。・・・研究開発と市場の間には『ダーウィンの海』、すなわち成功の予測が困難な淘汰のプロセスがあるという考え方があり、いわゆる『選択と集中』ではなく『多産多死』こそ、経営あるいは科学技術政策の観点で有効な戦略である。[p.232-234]」

第3部、身体と技術的環境の行方
12、ロボットと心/身体の行方
(石原孝二)
・「情報が価値を持つためには、あるいはそもそも情報が情報として成り立つためには、情報を利用する利用者の関心体系に位置づけられ、『関連性(relevance)』を持つ必要がある。[p.245]」
・「機械やコンピュータによって支えられた環境の中で、またそれらに媒介されながら発揮される人間の『本来の能力』とは一体何なのかという問題に関する議論を進めていくことが現在の課題となっている。[p.249]」

13、身体-環境系の行方(佐々木正人×佐倉統)
・「ドーキンスは生物の身体は遺伝子の乗り物だということを言っているんだけど、遺伝子から見たときの表現型はその個体の身体に限ったことではないと主張しています。たとえばビーバーがつくるダム。ダムがうまくできたかできないかによって遺伝子が子孫を残せる確率が変わってくるわけだから、その個体が獲物をうまく狩ることができるかできないかという個体の能力と同じだと。・・・それを『延長された表現型』と呼んでいます。[p.263-264、佐倉]」
・「最近、ロボティクスとか建築とか、それから身体運動に関する研究でキーワードになっている一つに『テンセグリティ(tensegrity)』があります。引っ張る力、張力“tense”と、それに抵抗して突っ張る力、圧縮力との『統合』。“integrity”をくっつけた造語です。20世紀の半ばにアメリカのバックミンスター・フラーが言いだした。・・・1970年代にハーヴァード大学の細胞生物学者が一個の細胞の構造にもテンセグリティ構造が見られることを発見してから、俄然からだの構造を見直す原理として脚光を浴びている。[p.265、佐々木]」

14、科学技術と人間の行方(佐倉統)
・「生物は周囲の環境を自分たちに都合の良いように改変し、それによってみずからのニッチを作りだしていく。そうして改変された環境が次の生物の進化に影響を与えていくこの機能をニッチ構築(niche construction)という。・・・ぼくたち人類は、機械という強力な延長された表現型を発展させ、さらなるニッチ構築を続けてきた生きものだ。[p.289-290]」
・「通常の生物が次の世代に伝える情報は遺伝情報だけだが、人間はそれに加えて文化情報も伝えていく(遺伝子と文化の二重伝承モデル)。[p.291]」
・「機械を含む人工物の進化について、進化理論で扱えるような地ならしをしたのが、ドーキンスのミーム理論である。彼は、生物進化の情報の最小単位が遺伝子であるのになぞらえて、文化進化の情報の最小単位をミーム(meme)と名づけた。・・・ミームの考え方をそのまま適用すれば、要するに機械を含む人工物もある種の生命体のように振る舞う、ということになる。[p.292]」
・「機械を含む人工物システムが、独立した生命系のように進化していくのだとすれば、ぼくたちにてきるのは、そのメリットを少しばかり大きくする(あるいはデメリットを少しばかり小さくする)ための、ちょっとした工夫や心構えの仕方を考えることぐらいだ。[p.299]」
・「機械は、人間個人も、社会も、大きく変える力をもっている。であれば、その変化の幅は、できるだけ小さくするような社会的規範を設けておくべきなのだ。急激な規範や理念の変化は、社会を不安定にする。不幸になる人間が続出するかも知れない。新しい規範についていけない人たちも出てくる。格差が広がる。これは良くないことなのだ。一方で、新しい技術に習熟している人々からすれば、技術革新の進み型が遅すぎて、進歩的な人たちが苛立ちながら舌打ちをしている、それぐらいの変化がちょうどいいのだと思う。[p.300]」

おわりに(近藤泰史)
・人と機械の関係の進化:機械が人の担っていたことを「代替」→人と機械が互いの適性を発揮して「協働」→人が機械の支援を得て、自らの可能性や能力を「創発」[p.306
―――

本書に述べられた機械と人間の関係についての議論は、もちろん定説として理解すべきものではないでしょう。しかし、これからの時代における技術の方向性を考える上では重要な視点を含むものと言えると思います。実務者としては、これらの指摘を頭に入れて自らの行動を考えることがよりよい技術開発や判断につながることを認識すべきだ、ということになるのでしょう。不確実な未来に対応するための羅針盤となるとまでは言えないかもしれませんが、未来を考えるヒントとして実践的にも有用なのではないか、という気がします。


文献1:佐倉統編、「人と『機械』をつなぐデザイン」、東京大学出版会、2015.

参考リンク



Thinkers50「イノベーション」より

現代における重要な経営課題のひとつとしてイノベーションが注目を集めていることは、多くの方が認めておられることでしょう。しかし、イノベーションの考え方、捉え方は様々で、誰もが納得するような見解が確立されているようには思えません。とは言っても、ここ10~20年の進歩は大きく、イノベーションとは何か、どういうイノベーションが必要で、可能性があり、どういう進め方をすると成功しやすいのか、といった点に関して、様々な意見のなかでも多くの人が支持する有望そうな(人気のある)考え方というものも明らかになってきているように思います。

Thinkers50
は、本ブログでも何回か取り上げた経営思想家のランキングですが、近年はイノベーションを扱う思想家が上位にランクされる傾向があります。今回は、そのThinkers50の選定に深く関わっているクレイナーとディアラブが、経営思想家たちがイノベーションをどう考えているかについて、インタビューも交えてまとめた本(「Thinkers50 イノベーション」[文献1])の内容をご紹介しておきたいと思います。その内容には、本ブログですでに取り上げたものもありますが、思想家へのインタビューにより、その考え方のポイントがより明確になったり、その思想家とは違う角度からその考え方に光が当てられていたりする面もあるように思いました。以下、本書の構成に沿って、重要と感じた点をまとめておきたいと思います。

第1章、イノベーションの歴史How We Got Here
・「イノベーションとは、物事を変えるための新たな方法を見つけることなのだ。『新たな価値を創造する』と言い換えてもいい。このことがいつの時代にもまして今日、重要になったのは、わたしたち消費者が常にモノやサービスに新たな価値を要求するようになったからである。[p.11]」
・「今日のマネジャーが直面する最大の課題、それは非連続イノベーションを生む能力を組織としてどう構築するかということだ。それは本書が答えようとする問いの一つである[p.13]」。「本書では、近年イノベーションのあり方を大きく変え、また今後イノベーションをかたちづくるであろう、最も重要なアイデアや視点を取り上げる。[p.15]」
・「20世紀の大半は、優れた製品やサービスを有する企業の優位が何年も、時には何十年も続くことが期待できた。実際、規模の経済を利用してコストを下げ、高価格を維持するために競争優位を保つことが、大企業の一番の目的であり原理だった。大企業の成功は、イノベーション能力ではなく、規模の経済からくる効率性によって高い利潤を獲得できるかどうかで決まった[p.25]」。「イノベーションがビジネスに旋風を巻き起こし、産業全体の姿を変えるという現象は、新しいことではない。ただ、これまでと違うのは、イノベーションが定期的に競争優位を吹き飛ばし、産業全体を再構築するスピードだ。[p.26-27]」

第2章、破壊的イノベーションDisruptive Innovation
・破壊的イノベーションは、「既存市場を破壊し、新たな市場を創造する力を持つ、非連続的なイノベーション。既存技術を置き換えるような新たな技術が、破壊的イノベーションを生み出す。[p.28]」
・「顧客の要求に耳を傾けることは、一般的に優れた経営慣行と見なされているが、常に顧客に寄り添うことでもたらされる弊害もある。具体的には、顧客の意見に耳を傾けることで、最終的に自分たちの市場を破壊するような新しいテクノロジーを見過ごしたり、それに投資しなかったりすることである。[p.38]」
クリステンセンとの対話より
・「破壊的イノベーションは、よい製品をよりよくするような技術革新ではありません。この言葉には非常にはっきりとした定義があり、従来はかなり裕福でスキルを備えた一握りの人だけが手に入れることのできた高価で複雑な製品を、根本から一変するようなイノベーションを指しています。[p.44]」
・「未来を見通すただ一つの方法は、有効なモデルを使うことです。データはありませんから、有効な理論を持たなければなりません。考えなくても、理論が行動を予測してくれます。理論というレンズを通して未来を見ることをマネジャーに教えれば、未来がはっきりと見えるようになります。それが破壊理論の成果だと思います。[p.49]」
・「すでにそこにあるものを利用する限界費用と、まったく新しいものをゼロから生み出す総費用とを比べれば、必ず限界費用に軍配が上がります。そうやって、既存の大企業は、次第に未来から取り残されていくのです。[p.52

第3章、未来を共創するCo-creating the Future
・「現代のイノベーションはチームスポーツだ。これを確立した第一級の知識人の一人が、・・・プラハラードである。[p.53]」
・「プラハラードとラマスワミはこう論じている。『われわれは価値創造の新たなかたちへと向かいつつある。そこでは、企業が生み出した価値を顧客と交換するのではなく、消費者と企業が共に価値を創造する』。[p.54]」
・「MS・クリシュナンとの共著によるプラハラードの遺作となった『イノベーションの新時代(The New Age of Innovation)』で、プラハラードは共創の概念をさらに推し進め、二つの単純な原則に基づく新たな競争環境を描いた。その原則とは、N=1(対象顧客=1人、個人への対応)とR=G(資源=グローバル、グローバル資源の活用)である。[p.59-60]」
・「共創の源泉として最も見過ごされているのは、・・・顧客と従業員である。[p.68]」
プラハラードとの対話より
・リーダーのあり方への影響:「リーダーは人々を導かなければなりませんが、未来志向でなければ、人々を導くことはできません」。「リーダーとは、リーダー自身ではなく他者の最良の部分を引き出せる人物です」。「譲れない一線を明確にすることで、倫理的な拠り所が生まれます。」[p.66-68
バーンド・シュミット(コロンビア・ビジネス・スクール)との対話より
・顧客体験の今後:「消費者は企業とのより身近で、より強いつながり、しかも精神的なつながりを求めるようになるでしょう・・・。自分とは何の縁もない、倫理的に怪しそうな、顔の見えない巨大な複合企業とは付き合う気になれません。ですから、企業と顧客のかかわりは、より双方向でオープンなものになると思います。[p.71]」

第4章、オープン・イノベーションOpening Up Innovation
・チェスブロウは言う。『われわれは閉ざされたイノベーションから、新たなロジックに移行した。それがオープン・イノベーションだ。この新しいロジックは、役に立つ知識は、社会や非営利団体、大学、政府機関といったさまざまな規模や目的を持つ組織に広く分散されているという認識の上に成り立っている。それは、重複を避けてイノベーションを加速させる手法である』。「『膨大な知識が分散された世界で、テクノロジーを囲い込むことは自分に限界を設けるようなものだ。どんな組織も、たとえ最大手企業でも、社外に存在する膨大な知識の蓄積をもはや無視することはできない』[p.86-87]」。
・リスク:「企業がイノベーションを含むすべてを外部委託してしまえば、ブランド以外にどのような独自の価値が残るのだろう?[p.89]」。「イノベーションのパートナー間で、どうしたら価値を公平に交換できるかは、難しい課題だ」。「リスクは、テクノロジーの移転や漏洩、延々と長引き費用のかさむ訴訟などにとどまらない。こうしたリスクを管理する手段を見つけなければ、新しいイノベーションのモデルは単なる素晴らしいアイデアに留まり、ビジネスの現実とはならないかもしれない[p.90]」。
・「一方、競争優位を得られる点で、オープン・イノベーションには大きな可能性もある。[p.90]」
・「すべての産業がオープン・イノベーションに移行したというわけではないし、今後移行するわけでもない。たとえば、原子炉産業は、・・・オープン・イノベーションに移行するとは考えにくい。反対に、かなり以前から開かれている産業もある。たとえば、ハリウッドは、・・・専門家間でのパートナーシップや提携のネットワークを通してイノベーションを起こしてきた。[p.91-92]」
・「現実には、イノベーションの大部分は、堅苦しい官僚制が立ちはだかる大企業の内部で生まれる[p.93]」。
・セレンディピティーの科学:「イノベーションが起きるときの一見幸運な偶然、セレンディピティーは、私たちが思うほどランダムな現象ではないとキングドンは言う。どのようにセレンディピティーが起きるかのパターンをよりよく理解すれば、大企業に幸運な偶然が起きる確率を上げることができる。」
・素晴らしいアイデアを得るために必要な行動(5つの要因):「イノベーションの牽引者は組織を尊重するが、ガチガチに規則に縛られるほどには組織を盲信していない」、「発想を呼び起こすような刺激を注意深く探している」、「簡単な模型や試作品を使ってアイデアを具体的な形にし、素早く現実に近づける」、「異なるプロジェクトにつく人たちが偶然に顔を合わせアイデアを交換するような、物理的な環境を設計しなければならない」、「イノベーションを妨げる組織内政治にどう対処するかについて、キングドンは次のようにアドバイスをしている。『それは組織人生につきまとうものだ。受け入れて対処しろ』」[p.95]。

第5章、バック・トゥ・ザ・フューチャーBack to the Future
・「組織とは基本的に効率を追求するためのもので、イノベーションのためのものではない、とゴビンダラジャンは説いている[p.112]」。
ビジャイ・ゴビンダラジャンとの対話より
・「イノベーションの一面はアイデアの創出です。もう一つは実行で、わたしが重要だと思うのはそこなのです。[p.112]」
・大企業で真のイノベーションを可能にする原則:「コア事業とは別の専任チームをつくるべき」、「専任チームは・・・孤立させてはいけません。企業の原動力となるチーム、すなわち競争優位の源泉と協力しなければなりません」、「イノベーションとはすなわち実験だということ、そして実験には予想外の結果が伴うということです。ですから、イノベーションチームを結果で評価せず、学習能力で評価すべきです。[p.115]」
・「1970年代半ばにわたしたちが研究を始めた頃、マイケル・ポーターがファイブ・フォース分析で描いたように、戦略とは安定を意味していました。・・・戦略が流動的なものだと言われ始めたのは1990年代の半ばになってからです。それは変化を生み出すことであり、イノベーションを起こすことです。[p.118-119]」
・「歴史を振り返ると、グローバル企業は自国、つまり先進国でイノベーションを生み出し、開発した製品を途上国に持ち込んでいました。リバース・イノベーションはその反対です。新興国でイノベーションを起こし、それを先進国に持ち帰るのです。[p.123]」、「大組織でリバース・イノベーションの一番の妨げとなるのは、過去の成功です。[p.127]」

第6章、マネジメント・イノベーションInnovating Management
・ジュリアン・バーキンショーとゲイリー・ハメルは、「マネジメント・イノベーション、つまり、組織における人間の働き方に根本的な変革を起こす能力に焦点をあててきた」[p.132]。「二人は次のように主張している。・・・多くの組織において、物事のやり方にイノベーションを起こすことが、競争優位を確立するための鍵になっていた。また、マネジメント・イノベーションによって獲得した優位性は、きわめてライバルに模倣されにくく、時には模倣が不可能だった。[p.133]」、「人をやる気にさせ、組織し、計画し、配置し、それらを評価する手法の根本的な変革が、長期に持続する優位性を生み出すことが明らかになっている。[p.139]」
・21世紀の成功を妨げる2つの罠:経費削減と段階的改善。「ハメルは断言する。『ほとんどの企業は、経費削減以上の戦略を持っていない。経費削減は成長をもたらさず、未来につながらない。せいぜい時間稼ぎにしかならない』。段階的改善は前世紀の戦略だとハメルは言う。[p.135]」
ハメルとの対話より
・「経営は人間の成果を生み出すテクノロジーなのです。[p.142]」

第7章、イノベーションを導くLeading Innovation
・「いまではイノベーションが経営者の課題となり、イノベーションにかかわる人たちを導くことが経営陣の責任の一部になっている。だが問題は、イノベーションを起こすような人間は、しばしば伝統的なリーダーシップに反抗的であることだ。・・・かれらに際立った特徴が一つあるとすれば、それは指図されるのを嫌うということだ。・・・最も優秀な経営者なら知的なノウハウやそれを生み出す人材を上手に管理できなければ問題だということを理解している。[p.152]」
・ニーランズによる、イノベーションと創造性を育てるためのオープンスペースのコンセプト:「フロー」、「遊び心」、「一つにまとまること(アンサンブルの一員として働く)」[p.153-155
リンダ・ヒルとの対話より
・「リーダーシップとは、『目的地はこっちだから、みんなわたしについて来い』というようなものでもありません。というのも、どこへ行くのか、リーダーにもわからないのです。・・・リーダーシップとは、人々が自ら進んでイノベーティブな問題解決に取り組めるグループやチームをつくることです。[p.165-166]」

第8章、イノベーションと戦略Where Innovation Meets Strategy
レネ・モボルニュとの対話より
・「これまでにない価値を低コストで生み出すこと、トレードオフではなく、非凡な価値と低コストを両立させることが、バリュー・イノベーションです。[p.173]」
コンスタンチノス・マルキデスとの対話より
・「経済環境がよく、右肩上がりの時代には、戦略などなくても成長できます。ですが、ジャングルの中で危機に直面したときこそ、戦略が必要です。しかし、戦略を超えて、企業が一番にやらなければならないのが、イノベーションです。[p.182]」。「イノベーションにもいくつか異なる種類があり、それぞれに達成のメカニズムが異なります。[p.183]」、「ラジカルな製品イノベーションを起こすための処方箋は、ビジネスモデル・イノベーションを起こす手法とまったく違います。ですから、イノベーションを一般論として語り、マネジャーに一般的なイノベーションへの取り組みを教えるのは間違っていると思います。[p.184]」、「企業がイノベーティブであるかどうかは、実行の段階で決まると言ってもいいでしょう。[p.185]」、「わたしにとってイノベーターとは新しいアイデアを思いつき、それを実行することで新しい価値を生み出す人です。その前半はクリエイティブな思考です。後半は行動です。その両方が一つになってイノベーションが起きるのです。[p.189]」

第9章、社会を変えるイノベーションWhere Innovation Meets Society
・「社会問題もまた、人々に共通する進歩への欲求をとおして取り組むことができるという認識が高まりつつある。それが『社会的イノベーション』である。[p.196]」
・社会的イノベーションにおいて企業が犯しやすい2つの過ち(イオアノウ):効率性の罠(廃棄物処理、エネルギー管理、リサイクリングなどに力を注ぐ)、チェックマークの罠(付加価値を生み出すイノベーティブな活動よりも、正しいことをミスなく行うことにこだわる)。[p.199
ドン・タプスコットとの対話より
・「わたしたちの問題はますますグローバルになり、問題解決の主体として国家は必要ですが十分ではありません。[p.211]」。グローバルなネットワークは「地球の大きな問題の解決に役立つような、途轍もない可能性を持っています。[p.215]」
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本書にとりあげられたイノベーションについての考え方は様々ですが、その中には、似たようなことを言っている部分もあり、また対立するような主張も見受けられます。科学技術の分野でもそうですが、研究の最先端の状態というものは、混沌としている場合が多いものです。イノベーション論の現状もそういうことなのでしょう。実務家としては、まずは、イノベーションについての考え方は、様々な意見を含んだ未確立のものだということを認識し、議論の大まかな流れを理解してその中から本当らしく思えるような考え方を自ら選び出していくことが求められているのではないでしょうか。


文献1:Stuart Crainer, Des Dearlove, 2014、スチュアート・クレイナー、デス・ディアラブ著、関美和訳、「Thinkers50 イノベーション 創造的破壊と競争によって新たな価値を生む営み 最高の知性に学ぶ実践的イノベーション論」、プレジデント社、2014.

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