リーン・スタートアップという考え方は以前にも本ブログで紹介しました(「リーン・スタートアップ」(リース著)より)。この考え方の特徴は、起業において直面する不確実な状況にうまく対応するために、試行からの学びと方向転換を重視するところにあると考えられますが、こうした状況はスタートアップに限ったことではありません。不確実な状況に対応することは既存企業においても必要なことであり、特に研究開発やイノベーションのマネジメントにおいてはこうした考え方は重要性が高まっているように思います。

ただ、考え方は理解できても既存企業においては、リーン・スタートアップの考え方を実行することはそれほど容易なことではないでしょう。では、どうしたらよいのか。今回は、「リーン・スタートアップ」の続編として、スタートアップのような考え方を大きな組織に適用する方法を主に論じた「スタートアップ・ウェイ」(リース著)[文献1]から、研究マネジャーに役立つと感じた内容をご紹介したいと思います。

はじめに
・著者はGEや起業家との仕事の経験から次のように述べています。「GEは、成功した会社の常だが、アントレプレナーシップで会社の文化を活性化し、今後も成長していきたいと考えていた。スタートアップ側は、起業家的な文化を維持しながら成長する方法を模索していた。・・・いろいろな話をしてきた結果、現代の組織は、由緒あるところも新しいところも、繁栄するために必要な能力が欠けていると思うようになった。新しい製品やビジネスモデルをすばやく試す能力、社員に創造性を発揮してもらう能力、何度も何度も革新をくり返す能力(そのプロセスを厳しく適正に管理する能力も含む)が欠けていて、成長と生産性の新たな源をみつけられずにいるのだ、と。[p.3]」
・「スタートアップ・ウェイとは、厳格な総括マネジメントときわめて漸進的なスタートアップの性質とを組み合わせるものだ。常にイノベーションをめざす組織であれば、その規模、歴史、ミッションにかかわらず、利用することができる。[p.10]」
・「スタートアップ・ウェイを支える5原則は以下のとおり。1、継続的イノベーション――・・・必要なのは、組織の上から下までさまざまな人材と創造性を活用し、新たなブレークスルーをみつける方法だ。2、スタートアップを仕事の原子単位とする――・・・実験のできるチームが必要だ。このチームは社内スタートアップであり、ほかとは異なる組織構造で支えなければならない。3、欠けている機能――組織のエコシステムに追加したスタートアップは、従来の手法と相いれない新しいやり方で管理する必要がある。ほとんどの組織は、マーケティングや財務などと同じく成功に欠かせない機能――アントレプレナーシップ――が欠けている。4、再創業――・・・組織の構造をここまで大きく変えるのは、会社をあらたに創業しなおすに等しい。5、継続的変容――このようなことを実現するには、新たな組織的能力が必要だ――新たな課題に直面するたび組織のDNAを書き換える能力である。・・・変容のやり方を会得すれば、その後、何度でも変容できるはずだし、変容をくり返すべきだろう。[p.11-12]」
・「前著『リーン・スタートアップ』に続く本書では、『どうすれば長期にわたり成長と成果が実現できるのか』という中心テーマにくり返し立ち返るつもりだ。[p.16]」「最近の企業は四半期ごとに厳しく社員を査定することが多いが、そういう会社のほうがさっと実験してスケジュールの短縮を図るはずだと思うかもしれない。逆だ。短期の圧力がかかると、四半期で終わるものはなんでも予測可能でなければ困る。そうでなければ、その成果に基づいて未来の約束ができないからだ。短いサイクルタイムで考えてイノベーションのチャンスを得ようとせず、組織は保守的になり、その四半期や年度の成果を最大化すると信じるプロジェクトにのみ集中してしまう。言い換えれば、十年一日のごとく同じことをくり返す。・・・本書が提唱する新たな枠組みを活用すれば、このジレンマを乗り越え、長期的な成長と柔軟性が得られる持続可能なシステムを生み出せるはずだと私は考えている。[p.17]」

第1部、先進企業
「第一部では、先進的な企業になるとはどういうことなのかを検討し、生き残り、未来に向けた長期ビジョンを体現するのに必要なアントレプレナー的構造をあきらかにする。[p.28]」
第1章、過去を尊重し、未来に投資する――先進企業の構築
・「マネジメントポートフォリオとは、先進企業を経営する枠組みである。多くの企業はいまもごく普通の商品を作っている。だが、イノベーションでしか得られない新たな成長の源を必要としていることが多い。[p.32]」
・「かつては、高品質の製品を予定したスケジュールと予算に従い、大量に作ることが時代の要請だった。どうすればあらゆる部分に品質を作り込めるのかを理解するためには、偏差という統計的科学を身につけ、それを実用に供するツールや手法、研修プログラムなどを準備する必要があった。標準化、大量生産、リーン生産方式、シックスシグマは、そういう苦労から得られた果実なのだ。このようなやり方が前提としているのは、準備、計画、執行をしっかりすれば失敗は避けられるという考え方だ。だが、マネジメントポートフォリオのスタートアップ部分ではこの仮定が成立しない。[p.37-38]」
・「先進企業とは、社員一人ひとりがアントレプレナーとして考え、行動することが可能な会社であり、根本的に、社員とそのアイデアを尊重する。先進企業は規律統制がしっかりしており、中核事業をきっちり遂行できる――規律や統制のないところにイノベーションは生まれない――そして同時に、不確実な状況に対処できる起業マネジメントのツールも用意されている。[p.49]」
第2章、アントレプレナーシップ――いまの組織に欠けている機能
・「先進企業の中核を担う原理にアントレプレナーシップをすえよう。・・・次世代のイノベーションに投資しつづけられるように、組織にアントレプレナーの意識を吹き込み、手法を広げていく責任者を置くのだ。[p.56-57]」
・「アントレプレナーシップ部門の職務は、第一に、社内スタートアップの監督である。会社上層部には、スタートアップを、よくあるプロジェクトチームとは異なる仕事の原子単位ととらえてもらう必要がある。[p.58]」「もうひとつ、成功という問題の管理もアントレプレナー部門の職務である。スタートアップの大半が失敗に終わるのも事実だが、組織という観点で難しいのは、成功したときにどうすればいいのか、である。・・・スタートアップが成功していると危険だ。新しいことが実験できるようにと中間管理職に認めた例外が大きな摩擦を生むのだ。[p.59]」
第3章、スタートアップの精神状態
・「ここでは・・・スタートアップというムーブメントから生まれ、その成功を支える特徴的なマネジメント構造に話を限る。長年の試行錯誤により、我々は、リスクを管理し、生産性を高め、急成長の源をみつけられるシステムを構築した。[p.78]」「このような構造を検討すれば、企業社会で役立つツールをたくさんみつけられる。[p.79]」
・「シリコンバレーに共通する信念としてまず挙げるべきは、『すべてはチーム』だろう。[p.79]」「我々は、小さなチームの力を信じている[p.81]」。「まずは、心を許す盟友が集まることにより、強い絆と密接な人間関係が生まれる。・・・どの人も残り全員に対して責任を負っている・・・状態では、官僚主義が入り込む隙などない。・・・大事な要因がもうひとつある――不足だ。・・・資源不足であらゆる可能性を追求することはできないとなれば、いやでも集中しなければならない。[p.82]」「スタートアップは、機能横断的にならざるをえない。[p.83]」「プロジェクトは顧客が出発点[p.84]」「既存品と比べ物にならないほど優れた解決策を提供し、顧客を『喜ばせたい』と考えるのが、シリコンバレー型企業である。[p.86]」「スタートアップで持ち株制度を提供することほど、学びを推進できるものはない。・・・持ち分とは、遠い将来の利益についてなにを学んだのかを計るものである。学びを金銭換算する方法なのだ。[p.88]」「先行指標に注目する・・・総売上高や利益、ROI、市場シェアなどの遅行指標と、顧客エンゲージメントや顧客満足度、リピート率、コンバージョンレートなど、将来的な成功の予測に使える『先行指標』との違いを頭にたたき込んでおく必要がある。[p.89]」「シリコンバレーでは『計量型財源』と呼ぶものでリスクを和らげている[p.92]」。「スタートアップには取締役会が必ずある。・・・金銭的な利害関係を持つ人々に最新情報を提供するのも取締役の役割だ。[p.93]」「スタートアップでは、社員もマネージャーも報告ではなく成果を出すことに集中できるように、本業の進捗を妨げない形で情報が流れるようにする。[p.94-95]」「社員には、経歴ではなく能力に応じて資源を与え、引き立てるべきだと、広く信じられている。[p.95]」「シリコンバレーでは、ビジョンと、それを実現できるビジョナリーが絶対に必要だとされてきた。[p.99]」「これがなければ、分散分権型のチームをまとめることなどできない。・・・ビジョンがなければ『方向転換(ピボット)』できない[p.94]」
第4章、リーン・スタートアップの教訓
・リーン・スタートアップ方式の基本:「1、スタートアップが成功するために真でなければならない信念をあきらかにする。これを要となる仮説(Leap-Of-Faith Assumptions)と呼ぶ。2、この仮説を出来る限り短時間で費用もかけず検証できる実験を用意する。これを実用最小限の製品(Minimum Viable Product, MVP)と呼ぶ。3、科学者のように考える。実験は、なにがうまく行ってなにがうまくいかないのかを学ぶチャンスだととらえる。この『進捗の単位』を検証による学び(Validated Learning)と呼ぶ。4、実験で学んだことを持って最初に戻る。このくり返しを構築―計測―学習のフィードバックループ(Build-measure-Learn Feedback Loop)と呼ぶ。5、一定の間隔(ケイデンス:Cadence)で、戦略を変更(ピボット:Pivot、方向転換)すべきか、いまのまま方向性を維持辛抱(Persevere)すべきなのかを判断する。[p.106]」
・「要となる仮説のなかでスタートアップにとって基本となるのが、価値仮説と成長仮説のふたつだ。価値仮説とは、製品やサービスを使いはじめた顧客に心から喜んでもらえるのかを検証する仮説であり、成長仮説とは、顧客が増えていくのかを検証する仮説である。[p.116]」
・「すごく成功したスタートアップを見ると、ほぼ例外なく、途中でピボットしなければならない事態に陥っている。スタートアップは不確実性がとても大きな環境で仕事をするわけで、そうなるのが当たり前なのだ。どこかでピボットしなければならないのであれば、にっちもさっちもいかなくなるまで待つことはない。方向転換か辛抱かの検討会議をあらかじめ予定に入れておこう。[p.136]」
・「リーン・スタートアップでは、文化、考え方、習慣のレベルでマネジメントのアプローチを変えなければならない。そのなかでもぬぐいがたいのが、リーダーを権威とする考え方だ。リーダーが方針を決め、部下がそれを実行する。不確実性があるなかで、リーダーは明快な解決策を提供する。そして、その解決策を部下が実行できなければ、適切な罰を与える。・・・これは古いパラダイムであり、いまはこれに反する状況があふれている。多くの場合、失敗の原因は実行が下手だからではなく、計画に組み込まれた仮定のとおりに現実が展開しないからだ。・・・そのような状況なので、リーダーシップのパラダイムは学びを中心としたものに変わりつつある。[p.142]」
第5章、大規模イノベーションのマネジメント方法
・「イノベーションの必要なプロジェクトや不確実性が高いなかで実施するプロジェクトで、起業マネジメントのツールをすでに採用している場合でも、アントレプレナーシップの場所を組織内に用意する必要がある。アントレプレナーシップには一定のスキルセットとほかと異なるベストプラクティスが必要だと認識すれば、組織図のエンジニアリングやマーケティング、営業、IT、人事、財務などと並ぶ場所に位置付けるのが当然だろう。・・・アントレプレナー機能が用意されると、純粋に社内のプロジェクトやプロセスにもアントレプレナー的手法が浸透し、ほかの機能においても仕事の進め方が変わる。[p.154]」

第2部、変革のロードマップ
「変革は、一般に、三つのフェーズからなる。第2部では、私が観察してきたこの三つのフェーズを順番に検討する。[p.173]」
第6章、フェーズ1――クリティカルマス
・「スタートアップ・ウェイによる変革の始まりは、草の根的だ。・・・プロジェクトがひとつ、またひとつと成功して大きな命題を証明し、マネジメントへも試験を実際に行うチームへも広がっていく・・・。このあたり、一見すると組織によって異なるが、共通するパターンもある。●最初は少数のプロジェクトではじめ、だんだんと数を増やしてケースやストーリー、成果を十分に蓄積し、新しいやり方が自分たちの組織に効果的だと示す。●機能横断的な専任チームでパイロットプロジェクトを推進することで、最初から、多様な機能をカバーする形とする。●成長委員会型の仕組みを用意し、役員クラスがプロジェクトについて明快な意思決定をすばやくできるようにする。●リーン・スタートアップ型の実験をデザインする方法を先鋒のチームに教え、不確実な領域で進むべき道をみつけられるようにする。●適切なスタートアップ型評価指標を使い、実験の成果を測定する。●組織内でリーダーのネットワークを醸成し、新旧のやり方がぶつかって起きる問題を解決できるようにする。動きやすいように最初は例外措置としてスタートし、組織構造の根幹にまで手を付けるのは段階が進んでからにする。●新しい概念を自社に適した表現やツールに落としこむ。[p.188-189]」
・「クリティカルマスが達成できれば経営幹部の信任が得られ、それを原動力として変化が連鎖して会社の隅々まで広がっていく。[p.192]」
第7章、フェーズ2――スケールアップ
・「自分たちの組織にとって有益だとフェーズ1ではっきりした手法をどんどんスケールアップし、全社に広げていくのがフェーズ2だ。・・・フェーズ2にも『正しい道』など存在しない。だが、この段階の組織に共通する重要なパターンやタスクは存在する。●フェーズ1のチームやプロジェクトが直面した課題を洗い出す。●新しいやり方を広く応用する仕組みを用意し、広げていく。●新しいやり方を擁護してくれる役員レベルの人物を特定し、てこ入れしてもらう。●社内の各種機能を変革のプロセスに巻き込む。●社内にコーチングのプログラムを用意する。●成長委員会を置き、計量型財源による資源の割り当てを始める。[p.228-229]」
・「計量型財源では、お金は好きに使える。ただし、次の予算を獲得するには、検証による学びによって厳しい基準をクリアしなければならない。[p.263]」
第8章、フェーズ3――深層の仕組み
・フェーズ3でなすべきこと:「目標は、イノベーションを続けていける機能にすること。組織深層の仕組みを変えることで、イノベーションを支え、長期にわたって価値を生み出して会社が長生きできるようにすることだ。[p.272]」「だが、どの仕組みを変えなければならないのかは、その組織でそれまでに進めてきた変革の成果次第であるため、共通のパターンが見えにくい[p.272]」。
・「早すぎる段階で組織深層の仕組みに手を伸ばすのは自殺行為だ。フェーズ1とフェーズ2で説得材料を集め、政治力を手に入れるまで触れてはならない。[p.277]
・「既存の製品や組織の仕組みに応用しただけでは、スタートアップ・ウェイ採用が真に成功したとは言いがたい。一番大きなインパクトが得られるのは、その考え方ややり方を組織のDNAにしっかり焼き込んだときだからだ。そうできれば、・・・『働き方そのものになる』のだ。新しいやり方が文化になると表現してもいいだろう。[p.314]
第9章、革新会計InnovationAccounting
・「革新会計とは、普通の会社で使われている評価基準(売上、顧客数、ROI、市場シェアなど)がすべてほぼゼロのとき、前進度合いが評価できる手法である。[p.326]
・革新会計の3レベル:レベル1――ダッシュボード、「検証による学びを説得力のある形で示すのが革新会計だ。そのためには、実験をくり返すなかで顧客の行動がどう変化したのかを見せる必要がある。[p.328]」「まず、重要だとチームも同意した評価基準をずらりと並べたダッシュボードを用意する。[p.329]」「『鍵となる問い』に応えられるものでなければならない[p.330]」。レベル2――ビジネスケース:「レベル2では、よく考えた事業計画があること、そのもとになる要となる仮説が特定されていることが必要になる。ビジネスケースを前に進める力として要となる仮説をとらえることが大事なのだ。・・・レベル2のダッシュボードは、顧客との関わりを漏れなく反映するものにする。[p.332]」、レベル3――正味現在価値:「レベル3の革新会計は、データが得られるごとにビジネスケースを再計算し、学びをお金に換算するのが目標だ。[p.336]」「学びをすべて正味現在価値へと換算する。[p.337]
・「成長委員会とはスタートアップ取締役会の社内バージョンであり、定期的に会議を開いて進捗の報告を受け、さらなる投資の可否を決断する仕組みだ。[p.345]」「成長委員会のルールは『与えたお金は自由に使っていい。ただし、検証による学びを示せなければ追加はない』だ。[p.351]

第3部、大局的見地
第10章、アントレプレナーシップの統一理論
・「いまの組織は、大きかろうが小さかろうが、だいたい、以下のようなことをしている。●新しい製品を開発し、新たな成長の源を探す、●ITシステムや人事ポリシーなど『社内向け製品』を開発する、●会社やスタートアップを買収する、スピンアウトする、ベンチャーを設立する、技術のライセンス供与や技術移転をするなどの形で事業開発をする、●新しい働き方を導入するファストワークスのようなチームを置くなどして、組織の再編や変革を行う[p.376]」「これらはアントレプレナーシップという『欠けている機能』を支える柱なのだ。[p.376]
・「継続的変革とは、組織の構造や手続きについて実験を行ってそこから学び、そうやってベストだと確認されたやり方は全社に適用し、それ以外は利用をやめるか制限する能力のことであり、いまは、これなくして組織が栄えることはありえない。[p.381]」「社員全員にアントレプレナーとなるチャンスを提供し、進化のタネをまくマネジメントシステムが、スタートアップ・ウェイの真髄だ。こうすれば、幹部に新たなチャンスが生まれるし、リーダーとなるべき人材にとどまってもらえるし、時間とエネルギー、両面の無駄が減らせるし、すばやく柔軟に課題を解決するシステムが作れる。[p.382]
第11章、アントレプレナーシップを支援する社会政策をめざして
・「本書では、ビジネスエコシステムを発展させるツールとしてアントレプレナーシップを見ることが重要だとくり返し指摘した。[p.383]
・「今後起きるであろう変化は、これまで経験したものとは比べものにならないはずだ。我々は、この不確実な未来に向けて準備を整えておかなければならない。私の提唱する組織図がマネジメントの終着点でないことは、本書でくり返してきたとおりだ。こうすれば万事解決というマネジメントの万能薬でもない。あくまで、進化の種を内包した出発点である。組織構造そのものについて実験をくり返せば、技術面のブレークスルーを活用して組織をもっとパワフルにできるはずだ。そのためには、アントレプレナーシップを社員全員に求める必要がある。驚くようなアイデアがどこで生まれるかなど、わかるはずもないからだ。[p.416]
・「アントレプレナーシップで・・・問題すべてが魔法のように解決すると言いたいわけではない。ただ、解決策の重要な部分であることはまちがいないと考えている。
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本稿では割愛しましたが、本書にはGEでリーン・スタートアップの考え方を適用したファストワークスの事例も紹介されています。GEというと、シックスシグマに代表されるような管理重視のマネジメント手法で業績を挙げてきた、という印象が強いのですが、アントレプレナー的な考え方を重視した方向への変革を図っている、という点は時代の変化を象徴しているのかもしれません。アントレプレナーシップについての理解や、リーン・スタートアップ、スタートアップ・ウェイの考え方、手法は、これからも改良が進んでいくと思います。少なくとも、研究者にとって、不確実な課題に対して実験からの学びを重視する手法の有効性は疑いのないところだと思いますので、この手法、考え方の発展には期待して注目していきたいと思います。


文献1:Eric Ries, 2017、エリック・リース著、井口耕二訳、「スタートアップ・ウェイ 予測不可能な世界で成長し続けるマネジメント」、日経BP社、2018.
原著表題:The Startup Way: How Modern Companies UseEntrepreneurial Management to Transform Culture and Drive Long-Term Growth