新しいビジネスを新しい形で立ち上げ急成長している企業の中には、その組織の運営方法においても新しい試みを活用しているところがあるようです。なかでも、チームワークの活用は、協力関係の重視や新たな発想の源としての期待もあって組織運営の方法として注目されているようですが、具体的な方法論は確立されているとは言えないように思います。研究開発においてもチーム運営は重要ですので、まずは、最先端企業の状況を知っておくのもよいのではないか、ということで、今回はショー著「エクストリーム・チームズ」[文献1]の内容をご紹介させていただくことにしました。

この本では、ホールフーズ、ピクサー、ザッポス、エアビーアンドビー、パタゴニア、ネットフリックス、アリババという、特色ある7つの新興企業が分析され、著者はその成功の秘訣を独特のチーム運営にあると見ているようです。こうした成功企業の分析においては様々な理由が成功の要因として挙げられうると思いますので、チーム運営「だけ」が成功の理由だというわけにはいかないとは思いますが、それぞれ特色ある組織運営をしていることは確かなようです。これからの時代のチーム運営にとって示唆に富む知見が含まれているように感じましたので、以下、本書の構成に沿って内容をまとめてみたいと思います。

はじめに、働き方に革命を
・「ホールフーズのチーム体制には、指針となる3つの信念がある。第1の信念は、人間がそもそも社会的な存在であること。小さな集団の一員となっているときに、人は一番居心地よく感じられる――とホールフーズは確信している。・・・仲間意識を持たせることがチーム制の狙いではない。能力と労働環境が適切に整ったチームなら、会社のために発揮する力も最大化できると考えているのだ。[p.12]」「第2の信念として、ホールフーズは、チームが最高の働きをするためには会社全体の統率管理も必要だと考えている。チームにはかなりの範囲で自由裁量権を認められているが、従わなければならない標準の手続きもいくつかあるのだ。[p.14]」「第3の信念として、ホールフーズは会社としてオープンであること、透明性を確保することの利点を信じている。戦略や業務に関する情報を社内で開示する『秘密なし』の環境作りを意識している。・・・対象は給料も例外ではない。[p.15]」「ホールフーズのチーム制と企業文化は、数十年にわたる試行錯誤を経て進化してきたものだ。[p.15]」「ここから学び取れる教訓がある――チームワークに関する何らかのアプローチを導入するためには、実験を重ねていく必要があるのだ。[p.16]」
・「チームワークは良いものだ。・・・チームの運営がうまくいっていれば、他社に対する競争優位になるのは間違いない。[p.16]」「ただし問題もある。チームのデザインとマネジメントというのは、きわめて複雑で難しく、創造性と徹底した努力を要するのだ。・・・基本的かつ一般的な失敗のパターンは、第1に、チーム制が必要でない場面――すなわち個人が取り組んだほうがいい業務に対し、チームを導入してしまうことだ。[p.17]」「たとえチーム制が適した場面だとしても、チーム制を成功に導くサポート(ボーナスなど)を導入していないことも多い。陥りやすい第2の失敗だ。[p.18]」「チーム制を賢く活用している企業は、決して手放しにチーム制を礼賛しているわけではなく、チームには本質的に負の性質も伴うことを理解している。たとえば研究で明らかになっているとおり、チームの一員になると熱心に働かなくなり、自分の努力不足を他のメンバーに補わせる者も出てくる。社会学者はこれを『フリーローダー(タカリ屋)』や『ソーシャルローフィング(社会的な手抜き)』と呼ぶ。・・・ホールフーズの場合は、パフォーマンスを判断する明確な指標と、チームレベルの報酬制度を整えることで、この問題を予防している。[p.20]」「陥りやすいもう一つの失敗として、『チーム制は働きやすい』という決めつけが生じることがある。・・・見過ごしやすいのだが、フレンドリーな職場はたいていの場合、きわめて過酷な労働環境でもあるのだ。有能な人材が仕事に対して執着やこだわりを抱き、高い成果を出すよう、自分と他人を厳しく追い込んでいくからである。[p.20-21]」
・「ピクサーのような企業は、一般的な会社と比べて、よりソフトでもあり、よりハードでもある。学術的には『共同関係』と『交換関係』という言葉で研究されている特徴だ。共同関係とは、見返りを期待しないサポートを基盤として成り立つ人間関係のことを言う。・・・たとえば家族は共同関係である。・・・それに対して交換関係のほうは、・・・ギブ&テイクを基盤として成り立つ。・・・企業はもっぱら交換関係だと言われる。[p.30]」「交換関係と共同関係は両立しないという見解を先に紹介したが、実は、成功している企業ほど、ハイブリッド型の関係が成り立っているのだ。独自のやり方で2種類の関係を巧みに混ぜ合わせ、両方の良いところを組み合わせている。[p.31]」
・「本書が注目する先鋭的な企業は・・・チーム制の持つポテンシャルを理解し、新たなアプローチを実験していこうという意欲がある。こうした企業で活躍しているチームのことを、私は『エクストリーム・チーム』と呼びたい。一般的な企業の先を行く大胆かつ新しいアプローチを果敢に取り入れているからだ。[p.33-34]」
・「先鋭的企業は、革新的な方法でチーム制を活用し、ライバルを打ち負かしている。こうした企業のエクストリーム・チームには5つのサクセス・プラクティスがある。1、チームメンバーが強い執着心を共有している、2,採用では能力よりも企業文化への適性を重視、3,少ない優先順位に焦点を絞りつつ、新たなアイデアを求めて焦点を広げる、4,ハードかつソフトな企業文化を築く、5,リスクと衝突に伴う気まずさを恐れない。[p.49]」

第1章、成果と人間関係の両立 大きなリスクに挑むチームだけが、大きく前進できる
・「まずは『成果』の定義から考えてみよう。『成果』を広くとらえるならば、それはチームが生み出す製品やサービスの恩恵を受ける存在が期待している内容を、チームがきちんと届けることを意味している。・・・たが、実際には、属している組織の期待に応えているか(特に組織を支配するリーダーの期待に応えているか)という問題にすりかわっている場合が多い。[p.73]」
・「社会学者のロバート・パットナムは・・・『社会関係資本』という言葉を使って、・・・さまざまな環境での人間関係の働きを説明した。社会関係資本とは、簡単に言えば『糊』だ。人と人をくっつけ、集団や組織や社会の機能が効果的に回るようにする。そして何より、この糊は利他的な行為を後押しする。[p.79]」「
たとえばチーム内で社会関係資本が貯まっていると、メンバーがお互いにまたは集団の成功のために協力するので、試練にぶつかったときにも耐えられる。社会関係資本の貯まっていないチームでは、メンバー間の結びつきが薄い、あるいはこじれているせいで、効果的な解決策を導き出す能力が損なわれ、逆境に遭うと崩れてしまう。・・・社会関係資本があるからといって成功が保証されるわけではない。だがチーム内・組織内の成功の可能性を高めることは確かだ。[p.79-80]」「社会関係資本は、次に挙げる3タイプの人間関係で構成されると本書は考えている。タイプ1【結束型】仲間のチームメンバーとの絆・・・共通の目標を持った仲間とのあいだに結束意識が生まれる。タイプ2【橋渡し型】他のチームとの連携・・・お互いが頼り合っていることを自覚して、良い関係の維持のために努力する。タイプ3【意義信頼型】組織またはリーダーに『ついていこう』という決意・・・会社やリーダーが示す価値観と信念を、社員が共有できるのが理想的だ。会社や、その存在意義に対して、心理的に投資をする気になる。[p.84-85]」
・「社会関係資本は、成果を出すことと比べれば、あまり重要ではないと考えられやすい・・・。そう見られる理由はいくつかある。第1の理由は、組織にとってはとにかく結果を出して生き残ることが最優先となるからだ。・・・第2の理由は、それが曖昧であること。・・・計画しにくく把握しにくい。第3の理由は、・・・報酬の対象とはならないこと。・・・第4の理由は、グループやチーム内の人間関係を適切に管理しようとすると、チームやリーダーにとっては負担の増加となることだ。・・・第5の理由として、リーダーによっては、人間的なつながりはむしろ邪魔になると考えている。人やプロジェクトに対して厳しい決断をしにくくなるからだ。[p.86-88]」
・「成果だけを過剰に強調しすぎれば、チームとチームのパフォーマンスを損なうだろう。・・・第1に、成果に固執する文化はチーム内の個人を疲弊させやすい。・・・重要なのは、非生産的な形で社員同士が競い合ったり、職を失う不安につねに怯えながら働いたりするような、ぎすぎすした企業文化にならずに、成果を出せるようにすることなのだ。・・・第2の理由として、倫理的・法的な境界線を踏み越えやすくなるという点がある。[p.92-94]」
・「人間関係を過剰に重視するのも、また考えものだ。・・・団結心の強すぎるチームの欠点その1は、集団思考に陥りやすいことだ。・・・欠点その2として、チーム内の難しい問題や異論の生じる課題を避けようとする傾向がある。・・・その3は、『身内』と『部外者』を分けたがる傾向が生じることだ。・・・その4として、人間関係の過剰な重視は心理的な負担につながる傾向がある。・・・人間関係の構築と維持に多大なエネルギーを擁するので、結果的に『共感疲労』と言われる状態になるというわけだ。[p.96-98]」
・「チームで成果と人間関係のバランスをとるにあたっては、基本的に2種類の危険性がある。一つは、どちらかを過剰に追求し、極端すぎる結果を招いてしまうことだ。[p.100]」「もう一種類の危険性は・・・成果も人間関係も中途半端に追求し、成長できなくなることだ。・・・先鋭的なチームでは、均衡の罠を避けて、成果と人間関係の両方を極限まで追求する。[p.103]」

第2章、執着心の共有 ビジネス以上、カルト未満
・「必要なのは『オールイン[ポーカーで手持ちのチップをすべて賭けること]』をする人材、すなわち仕事と会社に全力投球し、強い熱意を注ぐ人材だ。[p.121]」「チームや企業内に、執着するほど熱心な社員が一定数以上いなければ、大きな成功をつかむことはほぼありえない。やたらと固執するのは健全ではないかもしれないが、執着心は偉大な企業とチームの中核的な性質でもある。[p.122]」「先鋭的企業のリーダーたち・・・は、他人から見れば異様としか言えないほどの熱心さで、目標に向けて力を尽くし続けるのだ。・・・執着と言えるほどの強いこだわりは、ハイパフォーマンスに到達するために必要不可欠なものだ。[p.124]」「画期的と言われる製品には、決まって、仕事と製品に並々ならぬ愛情を抱く少数精鋭のチームがかかわっているのだ。[p.126]」
・「強い執着心は、3つの形で発生する。・・・1つ目が一番重要で、仕事そのものと、仕事の結果として完成する製品やサービスに対するこだわりだ。先鋭的企業とそのチームにいる人たちは、仕事を自分のアイデンティティの中心に位置づけている。[p.127]」「2つめは、企業を卓越した存在にしていくために全身全霊で打ち込む、すなわち心理的投資をしていこうとする点だ。・・・成果だけに執着すると、製品やサービスに比べて人間関係を軽視することになりやすい。先鋭的企業はこうしたアプローチの危険性を理解しており、社員には、企業文化に対しても同等の強さで執着することを期待するのだ。[p.130]」「3つめの形は、社会に貢献したいという強い願望を持つことだ。[p.133]」
・「執着心は『やり抜く力(グリット:Grit)』にもつながっている。やり抜く力とは、『一つの仕事に情熱を持ってかかわり、揺らぐことなく専念できる資質』のことで、執着心が生産的な形で行動になる場合を指す。[p.136]」
・「執着するチームは、一般的なチームと比べて、長所も短所もスケールが大きい。欠点なしで利点だけ選ぶことはできないのだ。たとえばチームがつねに何かに対して固執するため、間違った対象を追いかけてしまう可能性がある。みんなで執着していても、その内容が正しいとは限らない。・・・厄介なことに、チームに執着心があれば、こうしたマイナスの影響も多少なりと生じるのは避けられない。だから社員やチームが仕事に執着することを望まない企業が多いのだが、マイナスの大きさで言えば、『社員がただ仕事をこなすだけ』のほうが深刻だ。黒にも白にも振り切れないグレーでは勝利はつかめない。執着心こそが、大きな成果を生み出す基盤となるのである。[p.139]」

第3章、能力より適性 最高の人材を探そうとするな。ふさわしい人材を選べ
・「企業やチームの文化が強固であればあるほど、独特であればあるほど、そこにフィットするかどうかというのは大問題なのだ。[p.145]」
・「企業文化とは、『その会社でのものごとの進め方』だ。・・・これらは単なる社内の習慣ではなく、・・・『グループとして成功するためには何が必要か』など、根本的な認識と結びついている。[p.146-147]」
・「先鋭的企業とそのチームは、次に挙げる3つの面で企業文化に適するかどうかを判断し、採用判断を行う。1,会社の目的を信じているか・・・その会社の存在意義に対し、情熱または執着心を抱いているか。2,成果を出す能力はあるか、3,人間関係を築く能力はあるか、チーム内外と協力してやっていく意欲や気質を備えているか。[p.163]」
・「ハードルが高い業務であればあるほど、協力関係は必要不可欠だ。人を雇うといのは、一つのポジションに一人の個人を迎え入れるというだけの問題ではない。多様な能力、価値観、スタイルを持ったチームを形成するという意味なのだ。・・・メンバー同士が補い合い、チーム制の本領が発揮されるよう、相性のいいチームにしなければならない。だからといって、クローンの集まりにすべきだということにはならない。・・・メンバー同士の複製ではなく、お互いに足りない性質を併せ持つチームを形成する。[p.164-165]」

第4章、焦点を絞る。焦点を広げる 難しいのは「何をしないべきか」を知ることだ
・「優先事項が増えるのが良いこととは限らない。・・・どんな企業でも人と時間と資金は限られているのだから、成長戦略に照らして、最も投資効果の高い領域に集中する必要があるのだ。・・・優先事項の乱立は業務の足を引っ張る。全部を網羅して、たくさんの賭けをして、リスクを広げてしまう。[p.170]」
・「優先事項に向けて全員の足並みをそろえるためには、まず前提となる流れや背景(コンテクスト)について、共通認識を育てなければならない。[p.174]」「優先事項を整理し社内で周知するにあたっては、『何を土俵に載せないか』という判断にも共通認識が必要となる。[p.180]」
・「社員に『もっと多く』と求めるほうが全体的なパフォーマンスが伸びる――と信じているリーダーもいる。・・・この理屈の問題点は、社員が真に重要な領域に集中できないせいで、あるいはリソースが適切に配分されないせいで、一番肝心な成果が損なわれる可能性があることだ。同様の失敗として、優先事項が複雑すぎる場合もある。[p.183]」「優先事項を明確に定める際の第1の注意点として、シンプルで説明しやすい内容にするほうがよい。・・・これが第2の注意点につながってくる。目指す結果は具体的に、そして可能なら数字で計測できる条件も合わせて提示しておくことだ。・・・第3の注意点として、説明責任のことも考えておかなければならない。・・・次はオーナーに許される自由裁量権の範囲を定める。・・・第4の注意点として、進捗のレビュー方法を決めておく必要がある。[p.183-186]」
・「先鋭的企業とそのチームには、一つ矛盾に見える特徴がある。彼らはこのように焦点を絞りながらも、基幹事業の内外に広く目を向けて、新しいアイデアをあれこれと試そうとするのだ。狭い領域だけに重点を置き、幅広い実験をせずにいると、ビジネスが新たな機会や脅威に適応できない可能性があると察しているのである。[p.189]」「同様の傾向として、先鋭的企業は、失敗から早めに学んでいくことを奨励する。[p.197]」

5章、ハードかつソフトな企業文化 すべての偉大な文化は、矛盾を孕んでいる
・「企業経営にはハードエッジ(システムやプロセスなど、実行にかかわる部分、数値に表れる部分)とソフトエッジ(社内の信頼関係や、理念・情熱など)がある。そしてほとんどの企業は、ハードエッジか、それともソフトエッジか、どちらかに重心が傾いている。[p.202]」
・「重要な点として指摘したいのは、そもそも企業文化のベースに感情があるという点だ。[p.204]」「『その会社でのものごとの進め方、考え方』だけでなく、それ以上に、『その会社で働く私たちの感じ方』という部分が大きいのである。[p.205]」「企業文化とは、頭で考える認識と、感情を伴う体験、その2つを組み合わせたものだと考えることができる。先鋭的企業はこの両方を意識しているが、卓越したチームほど、職場環境における感情の側面を重視する傾向がある。[p.209]」「ミシガン大学教授キム・キャメロン・・・は、人の感じ方が会社の業績に及ぼす影響を研究し、ポジティブな職場環境を生み出している企業は全般的に業績が高いことを突き止めた。キャメロンが言う『ポジティブな環境』とは、人と人が互いに助け合い、ものごとがうまくいかないときにも互いのせいにせず、感謝と尊敬を持って接する雰囲気のことを言う。こうした心のあり方は、協力し合う能力、創造的な発想力、逆境から立ち直る力を伸ばすので、結果的に仕事の成果が伸びるのである。[p.210]」
・「本書に登場する先鋭的企業のチームは、さまざまな形で、次の・・・特性6つをすべて備えている。・・・オールイン・・・自由裁量権・・・情報の透明性・・・説明責任・・・楽しむ・・・共同関係[p.220-221]」

第6章、気まずさを恐れない 私が聞きたくないであろうことも、聞かせてちょうだい
・アリババの「マーの考えによると、大企業が往々にして伸び悩む理由は、『小さな白ウサギ文化』が広がってしまうからだ。仲間同士で仲良く固まって、お互いに挑み合おうとしない。そのせいでパフォーマンスが伸びず、会社として衰退していくというわけである。[p.244]」「社会学者アーヴィング・ゴッフマンが、社会的相互作用を支配する非公式なルールについての研究をしている。人間の行動を左右する最も強力なルールは、彼いわく『メンツを保つこと』だ。ゴッフマンが言う『メンツ』とは、人が文化の中で作り上げる自分の役割のことで、特に公共の場や集団において見せている自己像を指している。・・・ゴッフマンの考察によれば、人はそうした役割を全うするために熱心に努力し、そのとおりに見られているというお墨付きを他人に求める。その役割に疑いの目を向けられると、たちまち不安になり、たいてい人間関係が緊迫して、集団内で大きな問題につながる。これを避けるために、人は他人の自己認識もサポートする形で行動しようとする。社内やチームにおける相手の立場を守ってやろうとするというわけだ。[p.245-246]」
・「チームが生産的に衝突していくためには、次に挙げる要素が必要となる。1,衝突に伴う気まずさは必要であり、生産的なものだという理解。ハイパフォーマンスを妨げるのは衝突ではなく自己満足だ。2,大胆な目標を追求していこうという主体的責任感。それがチーム内に健全な緊張関係をもたらす。3,目標達成につなげるため、チームの衝突を、少数・必須の最も違いを生み出す領域に絞り込む能力、4,生産的にぶつかり合えるメンバーの性質やスキル。[p.259-260]」
・「チームが優れた意思決定をできるかどうかは、心理的安全性があるかどうかに左右される。心理的安全性とは、ハーバード・ビジネススクールのエイミー・エドモンドソンが中心となって完成させたコンセプトだ。革新性のあるチームほど、安心して自己表現や意見表明のできる雰囲気を巧みに作り上げているという。そうしたチームでは、仲間が自分の考えや感情や見解を理解し尊重してくれる、という安心感が生まれるのだ。[p.267]」

第7章、エクストリーム・チームを作る 冒険なきチームは衰退する
・新しくエクストリーム・チームを作ろうとする場合には、正しい目的、正しい人選、正しい優先順位、正しいチーム・プラクティスを明確にすることを著者は推薦しています。[p.278-284
・停滞したチームをエクストリーム・チームに立て直すには、まず「現在のパフォーマンスを客観的に査定」して「何がどう不振なのか把握」し、次に「チームのパフォーマンスが伸びない原因を特定する」ことを推薦しています。[p.284-290
・「チーム制には魅力が多い。チームのデザインとマネジメントが理想的に整っていれば、よそから模倣されにくい競争優位が生じる。だが、卓越したチームがなかなか存在しない理由は、そうしたチームの構築には厳しい代償が伴うからなのだ――組織とリーダーが、支配力を多少なりとも手放さなければならない。組織も、リーダーも、多くの場合は前例のないことを試したがらない。チームに自由を与えることで生じる不安や不確実性を好まない。一方で、チームのほうが、自由を与えられることで生じる責任を好まない場合もある。・・・だが、ビジネスや社会における優れた成果というものは、ほぼ例外なく、野心的な目標のために協力し合う小さな集団が生み出すものだ。リーダーの役目はチームのメンバーを選び、そして、メンバー自身が行けると思うよりも一歩先へと背中を押していくことだ。・・・最高のチームはお互いを支え合う。どんな人間でも、誰かと一緒に大きなことを達成したいという欲求を抱いているものだが、優れたチームはそのニーズを満たすのだ。・・・何か大きな目的のために邁進しようというときは、強く結ばれた仲間の存在が必要となる。エクストリーム・チームなら、それが叶うのだ。[p.295-296]」
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この本に取り上げられた7つの企業は、一般の企業から見たら特殊な例だと思います。その企業でエクストリーム・チームがうまく機能していたとしても、その特徴をそのまま一般の企業に適用できるものかどうか、という疑問はあるでしょう。また、研究開発という仕事も新興企業の立ち上げとは異なる側面を持っているでしょう。しかし、これらの事例には、チーム運営の方法についてのヒントが多く示されていることは間違いないと思います。本書の手法について特に印象的だったのは、メンバーのやる気を引き出し、その方向を揃えつつ、個性を活かす手法です。研究開発に限らず、チームで仕事に取り組む意味は今後も大きくなっていくのではないでしょうか。チームが機能するメカニズムについての知見の発展には今後も注目していきたいと思います。


文献1:Robert Bruce Shaw, 2017、ロバート・ブルース・ショー著、上原裕美子訳、「エクストリーム・チームズ アップル、グーグルに続く次世代最先端企業の成功の秘訣」、すばる舎、2017.
原著表題:Extreme Teams: Why Pixar, Netflix, Airbnb, and Other Cutting-Edge Companies Succeed Where Most Fail