どうしたらよりよい意思決定ができるのか。近年の心理学、認知科学の進歩によって、人間の考えには様々なバイアスが入り込み、それによって正しい意思決定が妨げられていることが明らかになってきています。例えば、本ブログでも以前にとりあげたダニエル・カーネマン著「ファスト&スロー」では、著者は、判断や意思決定の向上について、よほど努力をしない限りほとんど成果は望めない、と述べています。

では、どうしたらよいのか。カーネマンは、エラーの防止に関する限り、組織のほうが個人よりすぐれている、とも述べていますので、組織的に対応することで意思決定の質が向上する可能性があるかもしれません。現時点では組織的な対応の具体的方法論は未確立な状況だと思いますが、こうした問題意識が広がるにつれ、意思決定の質を向上させるための組織的な取り組みが提案され始めているようです。今回はその例として、ホフマン著「レッドチーム・イノベーション」[文献1]を取り上げます。本書で述べられている考え方の基本は米軍主導で開発した方法論で、戦略上の誤りを発見し改善するための組織(レッドチーム)を設けるというもので、すでにかなりの成果を挙げているようです。本書ではそれをビジネス向けにアレンジした方法が解説されていますので、以下、本書の構成に沿って内容をご紹介したいと思います。

はじめに
・「レッドチーミングの可能性を最初に見いだしたのはイスラエル政府だったが、・・・2001年9月11日の同時多発テロ、その後の悲惨な戦争によって厳しい立場に置かれたアメリカ軍や情報当局は、新たな考え方や分析方法を見つけ出す必要に迫られた。[p.21]」「諜報機関と軍の計画立案担当者たちは、将来同じ過ちを犯さないようにするために、アメリカが世界じゅうで直面する課題や機会についてより深く懐疑的に考えることを決意した。それを実現するために、彼らは集団思考を抑え込む技術や批判的思考(クリティカル・シンキング)についてのさまざまな情報を集め、そこから編み出した手法を用いて戦略や計画を評価するためのレッドチームを作った。[p.22]」

第1章、厳しい教訓――レッドチーミングの起源
・アメリカ軍やイスラエル軍の教訓からレッドチーミングの立案までの紹介。

第2章、レッドチーミングとは何か?
・「レッドチーミングは計画やその基となる前提に疑問の目を向ける。異なる考え方によってビジネスを検討し、ちがう視点から考慮する。批判的・反証的思考を会社の計画プロセスの一部として組み込み、戦略のストレステストのための方法論や技術を組織に与える。レッドチーミングを活用すれば、顧客や競争相手をより深く理解し、事業環境に潜む脅威や機会を見つけることができる。眼のまえの危険を察知し、それを利点に変える方法を見いだすことができるようになる。そのせいで組織は少しばかり不安定な状態になるかもしれない。しかし、レッドチーミングのおかげで後れをとることなく、競争相手を出し抜き、不確かさを増す世界に対応することができるのだ。[p.76]」
・「レッドチーミングの理論的側面は、その方法論や技術を使うことによって人間の意思決定の限界を克服できるという点にある。[p.77]」
・「通常、総合的なレッドチーム分析は三つの段階に分けることができる。まず分析的ツールを使い、一般的な計画プロセスでは見過ごされがちな議論や前提に疑いの眼を向ける。次のステップでは想像力を必要とするテクニックを用い、計画のなかで失敗しそうなポイントと成功しそうなポイントを突き止め、隠れた脅威や見過ごされた機会を見つけ出す。最後に反証的思考で計画を疑い、組織が別の視点から計画を見直すことを促す。[p.78]」
・「レッドチーミングの肝は変化を受け容れること。ビジネス環境でのレッドチーミングは、いかなる会社にも最終状態はなく、市場に均衡状態などないという認識から出発している。唯一の不変なものは変化するということ。[p.79]」
・「レッドチームの役割は決定を下すことでも、リーダーや上司の権限を弱めることでもない。レッドチームの役割は、リーダーや上司がよりよい意思決定を下せる状況を作り出すことにある。そのためにレッドチームは、より客観的な分析、より大局的なビジネス環境の全体像、考慮すべき代替案を示さなければいけない。[p.89]」「レッドチームは何かを計画するのではなく、計画を向上させる・・・それを実現させるためにレッドチームは、組織の戦略や計画の基となる前提を疑い、それに付きものである論理的誤謬を洗い出し、意思決定のプロセスを邪魔する集団思考を断ち切る。[p.90]」

第3章、レッドチーミングの心理学
・「多種多様な認知バイアスやヒューリスティックによって判断が歪められることもある。認知バイアスとは人間の思考に生まれつきそなわった系統的なエラーのことで、予測可能なパターンに従うことが多い。ヒューリスティックとは人間の素早い意思決定を助ける心理的近道のことだが、必ずしもいつも正しい意思決定を助けるとはかぎらない。[p.103-104]」
・認知バイアスとヒューリスティック[p.104-129]:著者は次の例を挙げています。感情ヒューリスティック(感情によって意思決定する)、アンカリング・バイアス(はじめに与えられたデータが、議論全体の基準値を設定してしまう)、自動化バイアス(自動化システムに頼るようになると、私たちはそれを疑問視するのをやめる傾向がある)、利用可能性ヒューリスティック(すでに認識している情報を信用しやすい)、バンドワゴン効果(まわりの人が真実だと信じていることを真実だと信じやすくなる)、基準率錯誤(全体的な情報を無視し、さほど重要ではない具体的データに焦点を合わせようとする)、クラスター錯誤(実際には存在しない場面にパターンを見出すことがある)、確証バイアス(すでに信じていること、下した決断を補強する情報を信用しやすい)、知識の呪い(情報に精通した人は、そうでない人の視点から問題を考えることができない)、フレーミング効果(情報がどのように提示されるかによって異なる結論を導くことがある)、ギャンブラーの錯誤/ホットハンドの誤謬(将来の確率が過去の出来事によって変化するという思い込み)、後知恵バイアス(ある出来事が起きたあと、事前に予想できたはず、などと思う)、コントロール幻想(自分が外部の出来事に影響を与える能力をより高く感じる傾向)、損失回避(報酬を得ることよりも損失を回避することを優先する)、ネガティブ・バイアス(不愉快な記憶をより鮮明に思い出す)、正常性バイアス(最悪のシナリオの可能性を過小評価する)、楽観主義バイアス(自分の欠点を過小評価、能力を過大評価する)、ダチョウ効果(悪いニュースを避けようとする)、結果バイアス(肯定的結果が出るとその決定は正しかったと仮定する)、自信過剰(成功すると自分を過信する)、計画誤謬(ベストケースに非現実的なほど近い予測や計画を立てる)、回帰の誤謬(平均への回帰を認めない)、現状維持バイアス(物事が現状のままであることを好む傾向)、サンクコスト効果(現在の行動がさらに大きな損失につながる証拠を見ても損失の食い止めに難儀する)、時間割引(大きな報酬を翌日得るよりも、小さな報酬をすぐに得ることを望む)、
・集団思考とその他の組織的障害[p.131-136]:著者は次の例を挙げています。集団思考(犠牲を払ってでも合意しようとする無意識的衝動)、アビリーンのパラドックス(集団の調和や結束を守るために意識的に自分たちの願いや信念に逆らって行動する)、同調(周囲と同じ結論に至りたい)、満足化(最良の選択肢でなくても、成功しそうな最初の選択肢を選ぶ)
・「合理的な思考を妨げようとするこの脅威の存在に気づくことによって、私たちは自分自身でその影響を防げるようになる。そしてレッドチーミングは、組織がその脅威を防ぐための手助けとなる。[p.136-137]」

第4章、レッドチーミングの始め方
・「レッドチーミングは公式・非公式のどちらでも行なうことができる。その形態もさまざまだ。――会社の幹部によるレッドチーム、批判的思考スキルに秀でた選抜スタッフからなる臨時レッドチーム、新鮮な視点で組織の戦略や計画をチェックすることだけを任務とする専門レッドチーム。組織内の専門スタッフがリーダーを務めることもできるし、外部のファシリテーターに任せてもいい。・・・それぞれのアプローチに利点と欠点がある。[p.141]」
・「レッドチームは会社組織図のなるべくトップに近い場所に配置されなければいけない。レッドチームがもっとも大きな影響力を発揮するのは、意思決定者に可能なかぎり近いポジションをとりながら、経営陣から一定の距離を保っているときだ。[p.154]」「レッドチームが優れた成果を上げるためには、組織の前提に疑問を投げかける自由があることをメンバーに認識させなくてはいけない。それどころか、疑問視することが求められているのだと感じさせなくてはいけない。まわりの人々は、レッドチームの提言に必ずしも従う必要はない。しかし、その提言をまとめることを決して邪魔してはいけない。[p.155]」
・「レッドチームに最適な人数は5人から11人。・・・次のような才能をもつメンバーを探そう――優れた分析力、批判的思考スキル、細部への観察眼、既成概念にとらわれない考え方。レッドチームのメンバーに必要なのは、現状に切り込もうとする自信と意欲、自らの偏見や限界を知るための自己認識力だ。くわえて知的誠実さと、組織政治の圧力に抗う強さを持ち合わせていなければいけない。[p.156-157]」「レッドチームを作るときに勘案すべきもうひとつのポイントは多様性だ。・・・多様性のあるレッドチームは、数多くの異なる観点を生み出し、幅広い洞察力を生かしながら分析を進めることができる。[p.158]」

第5章、問題と解決法
・「アメリカ軍は『クネビン・フレームワーク』と呼ばれる基準を使って問題を分類している。この明確な基準はビジネスの世界にも役立つもので、レッドチーミングをするべき問題やその方法を知る手がかりを与えてくれる[p.171]」「クネビン・フレームワークでは問題を『秩序がない』と『秩序がある』のふたつの領域、『複雑な』『込み入った』『混沌とした』『単純な』の四つの領域に分ける。また、それらの中心には不定形の『無秩序な』というエリアがある。[p.172]」「『秩序がある』の領域にある問題の解決には、単純かつ還元主義的なアプローチをとることができる。・・・『秩序がない』の領域にある問題では、『全体は各パーツの合体ではない』ため、私たちはより想像力を働かせる必要がある。『混沌とした』の区分では、因果関係がはっきりとせず、状況が流動的で急速に変化するため、有意義な分析をすることはむずかしい。『混沌とした』状況では、レッドチーミングをする時間の余裕はない。ここでは、軍のルールを肝に銘じておこう――敵が近くにいるときはレッドチーミングをするな。『単純な』の区分にある問題でも、実際にはそれほど解決するのが単純ではないケースはあるものの、簡単に見つかる答えが必ず存在する。・・・『込み入った』と『複雑な』の区分の問題ではレッドチーミングが極めて効果的であり、必要不可欠だといってもいい。『込み入った』問題とは、適切な答えがあるにもかかわらず、それが何かすぐにはわからないというものだ。・・・『複雑な』問題の解決はよりむずかしく、複数の適切な答えと数多くの不適切な答えが存在する。この区分に入る問題では、因果関係を突き止めることは容易ではなく、時とともにその関係性も変わっていく。[p.173-175]」
・「レッドチーミングを始める理想的なタイミングは、計画が立案されてから承認されるまでのあいだ、つまり計画を修正する時間がまだ残っているあいだである。[p.176]」「どんなケースであれ、無期限にレッドチーミングを行なってはいけない。・・・ブレーキがないと、分析が延々と続く危険がある・・・無限のレッドチーミングは意思決定の邪魔となり、行動を妨げ、チームを独りよがりの役立たず集団に変えてしまう。[p.178]」
・「レッドチーミングの目標は、もっとも正確あるいは望ましい答えを選ぶまえに、時間が許すかぎり数多くの異なるアイディア、説明、別の選択肢を検討することである。アメリカ陸軍はこれを達成するための方法をいくつも編み出してきたが、そのすべては単純な『考える、書く、共有する』という概念から始まる。[p,182]」
・「レッドチームを効果的に機能させるためには、それぞれのメンバーの声をうまく反映させなければいけない。・・・そのためアメリカ陸軍の訓練プログラムでは、レッドチーム・リーダーに『解放構造(リベレイティング・ストラクチャー)』と呼ばれる一連の協働コミュニケーション・ツールの使い方を教え込み、メンバーの意見や洞察にきちんと眼を向けることを徹底している。[p.185-186]」
・リベレイティング・ストラクチャーの例[p.188-198をもとに内容を簡単にまとめています]:ひとり、ふたり、4人、みんなで(質問に対する答えを検討する人数を増やしながら練り上げていく)、匿名加重フィードバック(質問に対する答えを匿名でカードに書き相互評価する)、丸シール投票(問題の優先順位を決めるためにリストに丸シールで投票)、金魚鉢(内側の円の参加者から話を聞き、そのあとに外側の円の参加者が質問する)、TRIZ(発明パターンに基づく問題解決手法のTRIZを計画の成功を邪魔するものの特定に利用する)、「そのとおり、さらに・・・」あるいは円環的対応(隣の人の意見を発展させる意見を述べていき、全員の意見を出させる)

第6章、疑う余地のない事実を疑う――分析的テクニック
・「批判的思考で大切なのは、たんに正しい質問をすることだけでなく、その答えをきっちり調べることだ。・・・不完全な論理、つまり論理的誤謬にも眼を光らせなくてはいけない。[p.205]」
・一般的な論理的誤謬[p.206-211]:対人論証(議論している人を攻撃する)、年齢や伝統に訴える論証、感情や恐怖に訴える論証、衆人に訴える論証、新しさに訴える論証、疑わしい権威に訴える論証、論点先取(議論の結論が、結論そのものの前提に基づいている)、標本の誤り、原因と結果の混乱、名称をつけて説明に変える議論、誤った二分法、まちがった類推、決めぜりふになる美辞麗句、早まった一般化、誘導尋問、中間を取る解決、共通の原因の無視、過度の単純化、前後即因果の誤謬、論点のすり替え、滑りやすい板の誤謬(対応手段があるにもかかわらず、提案された行動が一連の好ましくない出来事を引き起こすと決めつける)、わら人形論法(議論を歪めたり誇張したりして攻撃しやすくする)、希望的観測
・他の分析テクニック[p.211-243]:議論の切り分け、主要前提チェック、確率分析(各前提の可能性を評価)、真珠の首飾り分析(計画の基となる前提だけではなく、計画が機能するために必要なすべての事象、それによって生じる「カスケード効果」について注目する)、ステークホルダー・マッピング(利害関係者が協力的かどうかを予想)、競合仮説分析(様々な仮説の証拠との整合性をチェック)

第7章、考えられないことを考える――想像力によるテクニック
・4つの見方:「主要な関係者があなたの会社、業界、そしてお互いをどのように見ているか[p.247]」を検討する。
・アウトサイドイン思考:「広い環境についての検討から始め、レッドチームが扱う問題に戻ってくる[p.253]」
・代替的未来分析:変わりやすい要素として、もっとも問題の多い要素と、最終的な結果にもっとも大きな影響を与える要素の視点から分析[p.255
・死亡前死因分析:「計画が失敗すると仮定し、その失敗の原因を探し出そうとする。[p.259]」
・自分自身にとって最悪の敵になる:「レッドチームが競争相手などの敵の役を演じ、組織が考えた戦略や計画に対して相手がどう反応するかを予想する。[p.266]」
SWOT分析:強み、弱み、機会、脅威を分析[p.269
・なぜなぜ分析:「『なぜ』と5回尋ねて真の原因を見つける。[p.272]」

第8章、すべてを疑問視する――反証的テクニック
What-If分析:「前提を根本的にくつがえすような出来事が起きたときの影響[p.281]」を見極める。
・私たちvs彼ら分析:2つのグループに相反する提案を割り当てて正しいことを証明するような主張を考える。[p.284
・悪魔の代弁者:「組織の戦略の核となる信念や主張を突き止め、その反対が正しいことをできるかぎり論理的に説明する[p.287]」

第9章、レッドチーミングの工程表
・イギリス国防省が作ったレッドチーミングのための工程表:診断の段階(土台となる情報、データ、前提をチェックする)、創造の段階(思考の幅を広げ、選択肢を考える)、疑問視の段階(解決策やアイディアを徹底的に検証する)[p.306
・「世界でもっとも質の高いレッドチーム分析をしたとしても、その結果がみんなに無視されてしまったらなんの意味もない。・・・だからこそ、効果的なコミュニケーションは、効果的なレッドチーミングには欠かせない要素となる。[p.311]」頼まれてもいない分析を勝手に行なうのは逆効果になりかねない。「忘れてはいけないのは、計画に欠陥があるからといって、それが必ずしも悪い計画であるとはかぎらないということだ。弱点や欠点に対する現実的な対処案も示すことなく、レッドチームがただやみくもに計画を否定すると、計画立案担当者がより防御的になってしまうだけだ。・・・留意しておきたいのは、レッドチームがもっとも大きな効果を発揮できるのは、仕事が協調的な方法で行なわれたときであるということだ。[p.312]」

第10章、レッドチーミングのルール
ルール1、嫌われ者になるな
ルール2、トップからの庇護が必須
ルール3、レッドチーミングが機能するかどうかはあなた次第:「レッドチームによる分析の結果がたんに無視されてしまう例は少なくない。・・・それを防ぐ最良の方法は、レッドチームが上級幹部の庇護を受け、彼らに結果を直接報告できる環境を作っておくことだ。[p.325
ルール4、レッドチーミングのやりすぎに注意する:「組織のすべての決定についてレッドチーム分析しようとすると、逆の効果を生むことになる。つねにレッドチーミングを行なうということは、従業員のあらゆる動きをチェック・疑問視することを意味する。[p.327]」
ルール5、レッドチームをレッドチーミングする:「レッドチーミングをルーティン化してはいけない。レッドチーミングでなにより大切なのは、物事を異なる視点から見ることだ。[p.329]」
ルール6、いつも正しい結論を出す必要はないが、いつもまちがった結論を出すのはダメ
ルール7、あきらめない

第11章、レッドチーミングを始める
・「今日のビジネスシーンでは、誰もがつねに変革することを迫られている。多くの会社は、日々新しい挑戦と機会に向き合っている。レッドチーミングは、その挑戦に立ち向かい、その機会を利用する手助けをしてくれる。その効果は、私がこれまで出会ったどんなビジネス手法よりも強力だ。なぜなら、レッドチーミングで未来を予測することはできないとしても、未来のための準備をする助けになるからだ。[p.339]」
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考えないで行動するよりも、考えて行動する方がよい結果が得られるのは当然だと思います。しかし、その考えが一面的なものであったり、バイアスにまみれたものであれば、狙ったほどのよい結果にはならない可能性が高いでしょう。従って、本書に示されたような手法でレッドチーミングを行ない、より多くの選択肢を検討することは非常に重要なことだといえると思います。

研究開発を進めるにあたっては、そのプロジェクトにどのような不確実性があるかをよく検討することが重要だと思います。しかし、検討すべき不確実性を正しく認識することは容易なことではありません。本書のレッドチーミングは、計画の問題点を抽出することに主眼がおかれている点が特徴でしょうが、この手法は未知の不確実性を発見し、その重大性を評価することにも役に立つのではないかと思います。さらに、新しい研究の発想を得る手助けにもなるかもしれません。人間のバイアスに対抗するだけではない、創造力を高める方法としての可能性も感じましたが、いかがでしょうか。


文献1:Bryce G. Hoffman, 2017、ブライス・G・ホフマン、濱野大道訳、「レッドチーム・イノベーション 戦略的異論で競争に勝つ」、早川書房、2018.
原著表題:Red Teaming: How Your Business Can Conquer the Competition by Challenging Everything