もうとっくに転職してしまったのだけど、かつての職場は小石川にある大きな印刷会社でした。

南長崎の家からは都バスの新宿西口行きに乗り、目白通りを直進して椿山荘の坂を下りた江戸川橋で下車して、そこから新目白通りをトボトボ歩いて職場まで通っていた。

当時からサボり三昧のサラリーマンだったので、出社時間はもっぱら昼時。

江戸川橋でバスを降りると、まずは「メシでも…」ということになり、そんな時にもっぱら通ったのが天かめだった。
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そうそう、ここ。

今年の年明け、無性に食べたくなってチャリンコ漕いできちゃいました。
転職してからは江戸川橋なんて来る用事もないので久々だ。

懐かしいなぁ。
かつては少なくとも週に2~3は食べていた。

安いうえに、旨いかどうかは個人の好みとして、どうにも癖になる味が気に入って通っていたのだ。
注文するメニューは一択で、春菊天そば。

自分は北海道出身で三十歳を超えて初めて東京に出てきた人間なので、
この店の「江戸風の塩辛いソバツユ」も「春菊天そば」なるものも初体験で新鮮だった。
(両方とも北海道には無いものだ)
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軒先の発券機で食券を買って、極めて愛想のない店主に券を渡す。

「はい」も「かしこまりました」も無し。
黙って一杯のソバを作るオヤジ。

人によっては「接客がなっとらん」とか言うケースもあるようだけれど、500円未満で旨いもんが喰えるなら、んなこたどうだって良いだろうと思う。
オヤジは客に黙って食わせて、客も食ったら黙って帰っていく。

この殺伐ともいえる不愛想な雰囲気が立ち食いそばの良いところじゃないか。
変に愛想の良いへりくだった立ち食いソバ屋のオヤジとか、ソッチの方が嫌だ。

しかし、店内のBGMがFMというのがミスマッチだ。
この手の店なら文化放送とかだろう。どう考えても。
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どーでもよいこと考えてたらソバが出てきた。

おぉ~、これなのよ。
久々に出合えた!
春菊天そば。

真俯瞰から写真撮ったので伝わらないけれど、円柱状にちょい高さがある大きな春菊天だ。

コロモばかりがモロモロした「もうこれフリッターやないかい!」と突っ込みたくなるような春菊天を出す店も少なくないが、ここのは素揚げに近い薄衣で潔い。

いやー、変わってない。

しかも運が良い事に揚げたてにあたった。
カリッとクリスプ。

オヤジ、不愛想だがやるじゃないか。

あと、何げなく通年で口にしている春菊天そばだけど、年末年始とか春菊って超絶値上がりして高いですからね。
このボリューム維持して安価でいただけるのはありがたいことだったりする。
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ややザラっとしたソバに、塩気の強いカエシが特徴のツユが絡む。

これがたまらない。

最近は自分も少しだけ大人になったので二日酔いの日は少なくなったが、小石川時代はほぼ毎日が二日酔いだったので、この塩気の強いソバを所望したのかもしれない。。

目が覚めるような一杯だ。
実際、当時も朝兼昼メシだったっけ。

まぁ、とはいえ塩分は極力避けたいのでツユは飲まずに麺だけ啜ってごちそうさま。

味わいが濃くて強いので、食後は2~3時間くらい口のまわりがソバツユ臭くなるので、食後のハミガキとブレスケアは必須と覚えておきましょう。

とくにコロナ後はマスク着用がなかば義務になってしまったので、ソバ食った後はけっこう辛いですよねぇ。えぇ。
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満足したので食器を返却トレーに乗せるときに「ごちそうさまでしたー」とオヤジに声をかけた。
すると「はい、あざまー」と小さい声で返ってきた。

かつてはこの店を出ると新目白通りを小石川方面へ進んだけれど、今は来た道を戻るべく目白通りの旧坂をチャリでウンウン唸りながら登って帰っていく。

昔は週3~4だったけれど、今は年1~2くらいの頻度になってしまった。
あれ、ってことは今年は残り1回くらい来ないという事になるのか。。

なるべく足を運ぼう。

味の評価に関してはちょい個人的なノスタルジック補正ありですが。
好きなんです、ここの春菊天そば。