集中豪雨。
急激に水量が上昇し、急激に水量が下降しはじめた日。
その水量と水色を見ると、奴らの居るであろう流れを探したくて堪らなくなる。
日が昇り、気温はグングンと上昇。
辺りはクマゼミの鳴き声で騒々しい夏の朝。
浸かれば涼しいから。
と、自分にバカな言い訳を探す。
セオリー通りに攻めれば答えが出るまでにそう時間は掛からないハズ。
とりあえず1尾で良いから、綺麗な鱸が見たい。
衝動的に計画したので、準備は万全とはいかず、ラインシステムが不安になり組み直す。
過去に何度も痛い目に遭ったラインシステムの不備。
こうゆう時に限ってその日一番のビッグサイズがバイトし、涙で枕を濡らすことになる。
浸かり始めると、最適な流速よりやや早いと感じた。
しかし、水色は予想通り最高に近い。
一番可能性の高そうな位置は後の楽しみに取っておくことにし、
3番目から2番目に向けて打ち始めた。
次は?次か?そこか?やっぱりそこ?ここしかない?
気付けば1時間程経過し、まさかのノーバイト。
既に実績ルアーもローテーションしきり、最終的にX-Rap10でレンジを下げてアプローチ。
ロッドアクションを加えてアプローチしまくるも異常なし。
「まさかの不在ですか?」
今までも、期待を大きく裏切られた事は数え切れない程ある。
「今日もそれなのか?」
タバコに火を付け流れを見ながらしばし考えを巡らせた。
この流速では1番目も2番目も3番目も気に入らないのか?
だとすると・・・。
過去の実績で1尾は居る可能性のある場所へ目を向けた。
激浅だが、良いヨレ場ではある。
とにかく1尾釣ろう。
それで、今日は満足だから。
ルアーはそのままX-Rap10で居そうな流れを打てる立ち位置へ。
クロスに入れ、リトリーブを開始すると10m程手前の位置からボトムにゴツゴツとノックし始めた。
「やはり浅い」
そのまま手前5m程まで来た所でゴツっと鈍いバイトが出ると同時にギラっと奴らが反転した。
まさかのまさか・・・。
こんなドシャローのボトムノックで喰ってくるとは・・・。
しかも久しぶりのキレイなタイリクスズキに気持ちが高まる。
撮影を素早く済ませて、下流まで歩き、しっかりと蘇生させると元気良く泳ぎ去ってくれた。
もう、目標は達成したんですが、もしかしてもしかするのか?
と、変な欲が出始める。
まだ、もう1本ぐらい居てもおかしくないのでは?
淡い期待を抱いて、もう一度同じ流れへX-Rap10を同様にボトムノックさせる。
ボトムノックするルアーがイレギョラーなアクションを起こすからなのか?
またもや、ゴクっ!とリーリングが止まる。
ロッドを瞬時に煽り、フッキングさせると、もの凄い勢いでストラクチャーに向かって突っ走りはじめた。
ラインを擦られるまで、もうあと1mもないのが見える。
一瞬で20m近く走られた。
キツく締めたハズのドラグが面白いように滑るのを左手でそっと押さえる。
MHパワーのロッドはブチ曲がり、腕の疲労はドンドン蓄積する。
0.8号のSufix832が切れそうな寸前までテンションを掛け、耐えながらもロッドワークで
鱸の頭を強引にこちらへ向けてやるとエラ洗いを魅せてくれた。
これをチャンスと判断した僕は、素早くラインを巻き取りながら、下流へと小走りに近づいていく。
決して、ラインテンションを緩めないように。
つづく