2006年03月

2006年03月25日

春の訪れを祝うのじゃ

84583881.JPGああ、
春だ。



きょうは
大根とわかめと豆腐のおみそしるに
大根とわかめのサラダ、
そして冷奴
という夕餉でした。


ちょっとずつ
おみそしるが上達しています。
サラダは
三杯酢で食べたよ。
三杯酢、
初めてつくったよ。




ああ、
春だ。



最近バイト三昧です。
きのうもバイトでした。
きょうもバイトでした。
あしたもバイトです。
それはそれで楽しいのでありです。

だけど
あしたは
いつもよりうきうきして
出勤することでしょう。

なぜなら
バイトのあとに
お楽しみがあるからです。

とてもとても
楽しみ。





Blue Garden of SCRAP vol.5
ブルガといっしょに春が来る。
日時:2006.3.26(sun)
   open 18:00 / start 19:00
出演:メス戌&Co. , 24ページ , ヒトリトビオ
場所:@京都二条 NANO
料金:前売¥1,000 / 当日¥1,500 /(+1drink)
問い合わせ:075-254-1930 (京都二条 NANO)

http://www.scrapmagazine.com/



今回もすっごくいいバンドです。
試聴したらめちゃめちゃよかったです。
ほんま楽しみ。




バイトにはちゃりんこで行っているのですが
鴨川沿いを走ると
一本
小さな梅の木が立っています。



梅は咲いたが
桜はまだかいな



ひとあし早く
あしたは桜が咲く模様。




よかったら是非お越しください。

一緒に春の訪れを
お酒と極上の音楽で
祝うのじゃ。




rasen816 at 23:06|PermalinkComments(1)TrackBack(0) イベント 

2006年03月23日

魔法の手


ゆうべ、
おみそしるをつくるぞ

商店街へ繰り出した。

おみそしるなんて作るの、
10年ぶりだ。
初めてつくったおみそしるは
出汁をとらないで作ったため変な味がした。
父に
「ばかやろうもったいないことしやがって
 もう味噌汁なんかつくんじゃねえ」
とひどく怒られ
それ以来作っていない。



味噌を購入。
その種類の多さにとまどい
しばしたくさんの味噌の前で困惑。
けっきょく
毛筆で「みそ」って書いてあるやつにする。
なんか貫禄ある感じだし。マルコメくんより。

かつおぶしも買う。
荒削りのやつにする。
なんか貫禄ある感じだし。ふわふわしてるやつより。

豆腐は全部売り切れていた。
あまりのショックに
「もう作るのやめよっかな」
とおもうも
「でもこれ逃したら一生おみそしる作らん気がするわ」
と、自分を叱咤激励して
ほうれんそうとネギを入れることにする。


ぶりを購入。
おみそしるにはやはり魚。






おみそしるをきちんとつくったのは初めてだ。
かつおぶしで出汁をとって
おみそをとかして
ネギもほうれんそうもふんだんに散らした。

ぶりも焼いた。

残ったほうれんそうはおひたしにして
錦小路で買った昆布の佃煮もお皿に乗せた。



こたつのうえにそれらを並べ
いただきます
と箸をつける。


「うまい」
ひとりごちてみた。

でも本当は
まだまだだった。
全体的にしょっぱいし
魚はこげていたり生っぽかったり。

まだまだだったけど
がんばったから
「うまいじゃないの」
とひとりごちてみた。






このあいだ
とある雑誌を立ち読みしていたら
ひょろーんとした男の人が
手を差し出している写真があった。


おおきな手。
にょろっとした指。
みじかくきりそろえられたつめ。

その手は
和菓子をつくっているのだった。
朴訥で誠実なようすの和菓子。


あたしはその写真のなかの手から
目が離せなくなっちゃって

あ、すごくいいなあ
とおもった。



すてきだ。

おいしいものをつくりだす手。

なんて
すてき。



彼の手は
和菓子をつくっているけれど
それは結果として

ひとの体を
ひとの記憶を
ひとの感情を

つくっているということになる。





あたしは
すっかりうらやましくなって
自分の手をながめてみた。







あたしのこの手は
これまで、なにかをつくってこれたかなあ

あたしのこの手は
いま、なにかをつくれるのかなあ






つくれないな。


そうおもって
なんだか情けなくなって
なきそうになってしまった。

でもないててもしかたないので
とりあえず
なんかつくってみようとおもったのだ。




で、おみそしる。
ぶりの照り焼き。


一日たっても
部屋が魚くさい。
洗濯物も魚くさい。
まいったなあとおもったけど
手も魚くさいので
なんとなく
わらってしまった。





魔法の手になるには
まだまだのようだけど




でも、今のあたしの手は
魚のにおいがする。











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2006年03月21日

大した理由もなく鬱々した日には

バイトからうちに帰ったら
ふとんがしいてあった。

小人のしわざである。



おかえりなさい。
あれ、元気ないですねえ。

小人が言う。

ほらふとんしいてあげましたから
ぐっすり眠って元気だしてくださいよ

と。



でもねえ小人さん、
あたしがこわいのは目が覚めてからなのですよ。

あたしはそう言う。



大丈夫、
ぼくがおいしい朝ごはんを作ってあげますから。
たくあんをつけたからいっしょにニュースを見ながら食べましょう。




でもねえ小人さん、
あたしがこわいのはごはんをおなかにおさめて
エネルギーをためてからなのですよ。




大丈夫、
ぼくがいっしょに遊んであげますから。
どもんさんの好きなかるたをやりましょう。
飽きたらコーヒーを飲みにいきましょう。



でもねえ小人さん、
あたしがこわいのは遊びおわって疲れてからなのですよ。




大丈夫、
ぼくがおふろをわかしてあげますから。
どもんさんがおふろに入ってるあいだに
ふとんだってしいてあげます。



そうは言っても小人さん、
あたしがこわいのはふとんに入ってからなのですよ。



大丈夫、
ぼくが添い寝をしてあげますから。
なんなら本も読んでさしあげますよ。
眠るまでしりとりをしてもいい。





ありがとう小人さん。
小人さんはあたしのこわいものをすべてぬりつぶしてくれるのですね。
あたしはあなたがいるから生きてゆけます。




小人は眉をひそめて黙りこくった。
そしてやがてぐったりと肩をおとした。



やめてください。
そんなこと言われたら
ぼくは疲れてしまいます。




元気だしてくださいよ

今度はあたしが言う。




もうそんなこと言わないから
元気だしてくださいよ
ほらコンビニで茎わかめ買ってきたから
一緒に食べましょう。




だけど小人は肩をおとしたまま
部屋を出て行ってしまった。



さようなら小人さん。
彼はもう帰ってきません。








しきっぱなしのふとんは
今朝寝坊してほぼすっぴんで飛び出した形跡。

小人なんているかってんだ。






たいした理由もなく鬱々する日もいつかは終わる。

それまでたいした理由もなく鬱々するなりに日を終える。

あたしはたいした理由もなく鬱々しながら
いつもどおり茎わかめをかじる。




こわいものは自分でぬりつぶしていかなくてはならない。


rasen816 at 00:30|PermalinkComments(1)TrackBack(0) 日々 

2006年03月20日

洗濯機がとまるまで


雑誌をおふろのなかで読んだ。
気がつくと角がお湯にひたっていた。

体をタオルでふきながら、
とじたトイレのふたのうえの雑誌をながめた。
へにょへにょだ。

すてきなお顔。加瀬亮。




意味なんてないなあとおもった。




おふろからあがってねまきを着て
そのうえにさらにコートを着て
黄緑のかごをたずさえ
部屋を出る。


ほてったほおが
すーとひえた。



洗濯をしに行くのだ。
1階まで。
あたしはいっかいまでおせんたくをしにいくのです。



ここのマンションには全部でふたつしか洗濯機がない。
だけど、使用中だったことはいちどもなく
あたしはいつだって好きな時間に洗濯ができる。
おそらくみんな、あんまり洗濯をしないのだ。

うらの階段をおりると
洗濯機は白い蛍光灯にてらされ
夜の中にぽつんとある。

今夜も空いていた。

よこに白いかごが置いてあったのでのぞきこんだ。
よれよれの白いシャツや水色のタオルや
いろあせた緑のトランクスや黒いくつしたが
ぎゅうぎゅうに脱水されて
からまったまま押し込まれていた。


今夜は下弦の月である。





ドトールでもらった砂糖が
つかわれないままコートのポッケに入っている。

これでたまごやきをつくるのはどうだろうとおもったのだ。
あまいたまごやき。





最近どんな音楽きいてるの
ときかれて
ドビュッシー
とこたえると
かっこいい、クラシックきく人なの
といわれたので
いやぜんぜん
とこたえた。
こまったような顔で笑われたので
あたしもこまって笑った。
言うんじゃなかった
とちょっとはずかしくなった。


ただ、
高校のときにならっていたピアノの発表会で
男の子のふたごがいて
奇妙に勇ましいようすで
彼らは鍵盤をたたいていて


それがほんとうに
奇妙な勇ましさだったので


それ以来たまにドビュッシーをきいている。






ふたごはぽっちゃりしていて
髪の毛がさらさらだった。




そういえばむかし
ドビュッシーのことを
ドビッシューだとおもっていた。

椎名林檎のアルバムに
「弁解ドビュッシー」という歌がある。
かっこいい曲名だ。

でもあたしはずっと
「弁解ドビッシュー」だとおもっていて
それをかっこいい曲名だとおもっていたのだ。

へんなの。





ふたごが発表するまえに

あたしは舞台の上で
三拍子の曲をひいた。

もう、その曲はひけない。
ひきかたを忘れてしまった。
曲名は「勿忘草」だったのに
忘れてしまった。







洗濯機がとまるころを見計らって
あたしは部屋を出なくてはいけない。





あのふたごのドビュッシーがもういちどききたい。

でもたぶん、
やつらはもう中学生だから
髪の毛さらさらじゃないわね。





夜はふけていきやがて朝になるのだ

流れ流れていきついた場所はここ

蛍光灯にてらされた洗濯機のまえである





そしてその洗濯機に両手をつっこみながら

どうして子供の髪の毛はあんなにさらさらしてるんだろう。

などなど考えている。







rasen816 at 02:41|PermalinkComments(1)TrackBack(0) 日々 

2006年03月14日

身にあまるもの

d5b29704.JPGおなかが空きすぎて
朝早く目が覚めた。

さむい。


しかしアイスクリームを食べたい。
ハーゲンダッツとか和ごころとか
ちょっぴりお高いアイスを食べたい。
でも、冷凍庫にそんなもなあ入ってない。

寒いのでコンビニに行くこともできず、
冷蔵庫に入っているアロエヨーグルトに手を出す。




テレビをつけると、愛子サマが画面にうつった。
マシマロを思い出す。
マシマロも食べたくなる。

愛子サマがディズニーランドに初めて遊びに行ったと、
みのもんたが言っていた。

おみやげにマリーちゃんの何かを買ったとも。

ミニーじゃないところが現代の幼な子よのうと
アロエをかみ締めながらおもう。

愛子サマは、警戒するような顔で
ミッキーを避けたり
両親と乗り物に乗ったりしていた。

それを観て
フラッシュバックが起きた。





ディズニーランドに初めて行ったのは
4歳ぐらいのときで

1時間ちょっとしかいなかった。

あたしはディズニーランドのベンチで
めそめそ泣いていた。




「おい、ディズニーランド行きたいか」
父親がそう聞いた。
あたしはなんだか不安だったが
「うん!」
と元気よく答えた。
ディズニーランドに行きたがるそぶりを見せるのは
子供の役割である。
自分がなぜ不安になったのかは
自分でもよくわからなかった。


東京の親戚のうちに寄った帰り、
あたしと父はふたりでディズニーランドに行った。

そこは
あまりに大きく
あまりに華やかで
あまりに乾いて騒がしかった。





あたしは入場して
メリーゴーランドに乗って
三匹のぶたか何かと写真を撮って



「次どこ行きたい?」
と父に聞かれ
返事につまってしまった。



もう、なんか十分だった。
一刻もはやく、うちに帰りたかった。



「アイス食べたい」
父がせかすのでそう言うと、
やたら高いソフトクリームを買ってくれた。




このアイスを食べ終わるまでに
次にどこ行きたいか考えなくちゃ


ベンチに腰をかけて
あたしは必死でぐるぐる考えたが
胸が不安でおしつぶされそうだった。

ひどく心細い。





「次どこ行きたい?」

ついにあたしは泣き出してしまった。
めそめそしくしく
泣き出してしまった。


「何で泣く」
父は驚いて立ち尽くす。


なぜこんなに心細いのかわからず
とりあえずあたしは

「さみしい」
「こわい」

を連発するのだった。


父は
「入場料高かったのによう」
とぶつくさ言いながら
あたしを外に連れてってくれ、
あたしはめそめそ泣きながらまた
「アイスが食べたい」
と言うのだった。

そしてキオスクかどっかで
100円のバニラアイスを買ってもらった。

駅で目を赤くしながら食べている写真がまだ残っている。







奇しくも
アイスを食べたいとおもっているときに
愛子サマのディズニーランド訪問。

愛子サマのむすっとしたマシマロのような顔、
ミッキーから隠れる様子を見て

ああ、なるほどそうか
と思い出した。

テレビをおこたから眺めながら
なぜあたしがあのとき泣き出したのか
わかるような気がしたのだ。




ひとりだったからだ。

父はずっと
「楽しいか」
とか
「おもしろいか」
とか
「次どこ行きたい」
とか聞いてくれたけど
一緒に楽しんだりおもしろがったりどこか行きたがったりはしなかった。

目を細めてたばこを吸うばかりだった。

さあ楽しめ
と、
さあ存分に味わえ
と、
あたしはひとりディズニーランドに放たれた。



しかし

ディズニーランドを楽しむには
ひとりでは荷が重すぎる。





ねえ、ねえ、たのしいでしょう?

ミッキーは不変の笑顔でそう尋ねてくる。

ねえ、もちろんでしょう?





足がすくむ。
かかえきれないほどの世界が
目の前にあるのだもの。


兄弟がいたならば。
友達がいたならば。

あたしがひとりぼっちでなかったならば。


ディズニーランドで遊べるほどの余裕さと勇敢さをもてたかもしれない。



身にあまるものは
人を不安にさせる。



「楽しいねえ」
「おいしいねえ」
「きれいだねえ」


だからあたしたちは
だれかとそれを分け合って
自分にちょうどいいぶん切り取るのだろうね。





コンビニに行ってアイス(和ごころの黒ゴマ小豆)を買って
おこたで食べた。




きょうは久々のお休みである。





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2006年03月13日

ふいうちの入る隙間

129071f5.JPG





明日なにが起こるかわかっていたら
わたしは明日まで生きていられない

と言ったのは寺山修司だっけ。





まったく同感だ。


ふいうちがひつようなのだ

笑ったり泣いたりするためには。
明日まで生きてくためには。




だから
ふいうちの入る隙間をつくるのだ。


だから

卵焼きにネギを入れてみるのだし
ドトールのサンドイッチを制覇してみるのだし
つめの色を変えてみるのだし
バイト先の先輩に話しかけてみるのだし
声を低くしたり高くしたりしてみるのだし
知らない小説を読んでみるのだ。



ふいうちがやってくる隙間を

隙間をつくる作業。









きっと未経験のことをしたら
そこには隙間ができる。


そしてその隙間に
未経験の反応、
未経験の感情が生れる。








ああ、そうか、
よく恋をする人は
よくふいうちを呼び込んでいる。





では、バイトに行ってきます。




(写真はチーズで作った廃墟。
 ジブリをイメージしたと言ったら、
 うーんと困ったように、途方にくれたようにされた。
 未経験の反応。未経験の感情)




rasen816 at 11:55|PermalinkComments(1)TrackBack(0) 日々 

2006年03月12日

SCRAP・アニソン・延期

2bb16945.gifバイトが終わったあとのこと。

先輩があたしの顔をじーっと見て
なにか言いたげなので
このひとあたしのこと好きなのかなと思いつつ

「どうしました?」

と聞いてみました。

「どもんさんってさあ、どもんらんだよね」

そうですが
と言うと
先輩はうーんやっぱり、とうなってから

「どもんさんってさあ、脚本家なの?」

と聞いてきました。



数秒の沈黙。

「いや、ちがいますけど」

「『恋のセブンブリッジ』の脚本、書いたのどもんさんでしょ?」

「何すか、恋のセブンイレブンって」




そう、先輩がかばんから出したのは
今号のSCRAP。

(SCRAPってなあに、という方はこちらをミテネ!
 http://www.scrapmagazine.com/)


特集は

「これがほんとのアニソンじゃい!!」。


まあ詳しい説明ははしょりますが
(詳しい説明がほしい、という方はこちらをミテネ!
 http://www.scrapmagazine.com/meet/)


4つの架空のアニメがあって、
それぞれに
4組のミュージシャン
(キセル/Limited Express (has gone?)/ロボピッチャー/ヤベミルク)
が曲をつけてくれるという、

そんなうふふな特集となっております。



で、そのアニメのひとつ

「恋のセブンブリッジ」の脚本(っつうかあらいあらいあらすじ)を
あたしが書いて
それを
先輩がたまたま見つけたわけですね。



へい。




ちなみにそのアニメの曲は
キセルが
歌ってくれるそうで、

先輩はキセルが好きなのだそうです。





へい。







で、4曲入りのそのCD、

発売予定日は
3月10日だったのですが



3月23日になりました。



ひええ。

なぜなぜどうして。






理由が知りたい人は
編集長宛にメールを送ったらいいとおもいます。

でもなかなかメールを返さないので
ライブに行ってそこで聞いてあげたら確かだとおもいます。

(編集長のバンドってなあに、という方はこちらをミテネ!
 http://www.robopitcher.com/)


きっと喜びます。

それにしてもきょうのあたしは気がききすぎですね、URL直接うちこんでますもん、なにげにロボピッチャーの宣伝もしてるし、やっぱあれですかね、人間働き出すとかわるもんなんですかね。



へい。





アニソンのCDは
SCRAPのHPとか
京都のいろんなお店とかで買えます。


たぶんあたしたちスタッフが
手作業でCDつめていくんで
「これ誰の指紋だろー」
「きっとF原のだよ!うへhっへえへへ」
とか
ちょっと通な楽しみ方もできます。




こりゃあ買わないと!

そして一緒に歌おうぜ、アニソン。
あたたかくなってきたことだし
お花見でもしながら。





それではみなさま、
23日、楽しみにしていてください。



rasen816 at 23:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0) イベント 

2006年03月07日

仕事人間

うちの母さんはスナックのママをやっていて、
よく働いている。

年に一週間も休まない。
ほんとによく働いている。




ありゃあ何歳だったか。
おそらく小学3年くらいだったか。

あたしの誕生日には仕事を休んでくれ
と言ったことがある。
いっしょに夕飯を食べて
いっしょにテレビを観ようと。

そしたら母さんは確かに「そうじゃねえ」と言った。

ほんまじゃね絶対よ
念をおしたら
困ったような顔で笑った。


でも
誕生日の夕方、
母さんは化粧をしていた。

それを見て
あたしはかあっと頭に血が上った。

手当たり次第に化粧道具を投げつけて
もう帰ってくんな
とかなんとか叫んでいた。

母さんはそれでも靴をはいた。
「早く行かなきゃお客さんがまっとる」
と言っていた。




そのときおもったのは

あたしは母さんみたいに仕事人間にはならない
ということ。
自分の時間のない人間にはならない
ということ。



あれから10年くらいたったけど
あいかわらず母さんは働きつづけている。




そして娘のあたしは今
本屋で働いている。


こないだレジをうっていると
「店長が呼んでる」
と言われた。

うーむ
きのうレジでだいぶ違算出しちったもんにゃー
とびくびくしながら行くと

思いがけず
お褒めの言葉をもらった。

そして
研修終了
とのことだった。

そしてそろそろ
担当を持たせてくれる
とのことだった。


いやあ、
はい、
あ、そうですか
ありがとうございます

と、口では平静を装っているものの
心の中ではガッツポーズで
体がぶわあっと熱くなって
てのひらとおでこにじわりと汗がにじんだ。



本屋で働き出してから
あたしはここで早くいろんなことができるようになりたい
とおもっていた。
そのためには
それなりの立場というものが必要で
まずは足場からと
がつがつ仕事を教えてもらった。
がりがり店内改善案を書いて出した。


(もうひとつ
店長の存在も大きかった。
あたしは彼に
ほめてもらいたかった。
「土門さんやるねえ」
って言われたかった)


だからおもいついたことはすべてやった。
もってるやる気はほぼぜんぶ出した。


とりあえずだけど
ひとまずだけど

効をなした。
認められた。
そんな感じだ。



「がんがん仕事覚えてもらうから
 春休み中は週休2日でいい?」
「はい」
即答している自分におどろいた。
ちょっと前までは仕事のために遊びの時間が削られるなんていやだあ
とおもっていたのに。


いまではもう
仕事が遊びに近くなっている。
いつかは飽きるかもしれない。
でもいまはとても楽しい遊び。



店長室のドアを閉めながら
あの誕生日を思い出した。

母さんは
仕事が楽しくてしかたなかったんだろう。
そして今も。

ほとんど趣味もなく
自分の時間をもっていないように見えた母さん。
ぜんぜんクリエイティブじゃねえや
と正直けなしていた。

でも
店の方針から
メニューから
接客から

何から何まで自分でつくっていた母さんは、
実はクリエイティブで

そんな自分でつくったお店に
常連客がついて
その人たちに
「ママ、ママ」
と呼ばれている母さんは
やはりいきいきしていたようにおもう。

仕事の時間が
自分の時間だったのだ。



今は少しわかる。

あんときあたしの誕生日よりも仕事を選んだことは
水に流そう。






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2006年03月04日

気のせいかなって思えば平気よ

こないだ気づいたのだけど
うちに遊びにくる人の5割は
「ティッシュある?」
と言う。

テーブルの上になんかこぼしただの
鼻がたれただの
めがねをふきたいだのと
様々な理由であたしにティッシュを要請するのである。


うちにはティッシュがない。
エリエールとかクリネックスとか
そういう箱に入ったティッシュがない。

運のいい人には
ポケットティッシュを進呈するが
そうでない人には
トイレットペーパーを放り投げる。
気分のいい日にはタオルを渡すときだってある。



「なんでティッシュ買わないの?」
とそのたびに聞かれる。
「めんどくさいけん」
とそのたびに答えるが
それは半分本当、半分嘘だ。



ティッシュはたいがい5個詰めで売られている。

あたしにはそれがちと重い。

1個使うのに1ヶ月以上かかるのだ。
この5個詰めパックを使い終わるのに
約半年かかる計算になる。

約半年、
部屋のどこかに
補充されるのを待つ箱ティッシュが存在するのだ。

あたしにはそれがちと重い。





物をもつのが
苦手だ。
できることなら
もたずに暮らしたい。

身軽でいたいとおもうのだ。
ずっとここにいるわけではないから、
常に荷は少なく
と。

いつかは
違う場所に住む。

どこに住んでも、そうおもう。
(ずっと借家育ち
 ということが関係しているのかもしれない)

だからあたしは
土地を買って家を建てることはしないのだろう
とおもう。






でもついに、
おととい箱ティッシュを買った。


悩んだあげく買ったにしては
なんてこたあなかった。


未使用ティッシュ4箱くらい
どこにでも置けるのであった。
あたしはそれを所有するくらいの余裕を
もっていたのであった。


なにを怖がっていたんだろ
なにを気にもめていたんだろ。



ついでに缶切りと
洗濯物入れバスケットを買った。

どちらも
ないならないで
なんとかやってける代物。
持つのが億劫で
二年間持たずにいたが
持ったら持ったで
なんてこたあない。


とりあえず便利だわ。





物を持つまいとして
逆に物にがんじがらめにされていた模様。

物に執着して
物に生活を制限されていたのは
実はわたしだったか。






高野文子描くるきさんより。

「るきさんは腕時計を二個もっている
 同じのを二個もっている

 スニーカーも三足もっている
 やっぱり白ばっかり
  
 他にお茶筒二かん
 ふとんたたき二本
 耳かき四本
 龍角散三個

 鋏なんか五ちょうもある」


エッちゃんは言う。

「多すぎて目がチカチカしない?」

るきさんは答える。

「気のせいかなって思えば平気よ」




今は
カッターを買おうとおもっている。




rasen816 at 09:15|PermalinkComments(7)TrackBack(0) 日々