2006年10月

2006年10月27日

企業説明会がおもしろかったら

25eaaeaf.gif母親から
「あんた就職どうすんね」
と電話で言われた。

「まだ決まっちょらん」
そう答えると、
「あんた中国新聞はどうね」
と言う。

「なんで」
「いや、帰ってきてほしいなあって」


少ししみじみしながら
「まあいろいろ、がんばるよ」
と言って、家を出る。
きょうもバイトだがんばるぞ。



就職活動は
まだほとんどしていない。

「就活しないと」
って言葉をきくと、
不安、
劣等感、
焦燥感、
そんなものが首を伸ばしてくる。

気づいたら
眉間にしわがよっているような。


でもそれっておかしい。

就職活動って
もっとこう、
これからどんな仕事につこうかなあ
とか
どの仕事がおもしろいかなあ
とか
わくわくするもんじゃないのかな、冷静に考えたら。

小さいころ
「何になりたい?」
って聞かれたら
嬉々として
「ケーキ屋さんか弁護士か声優!」
って答えていたのに。

「蘭ちゃんはなりたいものがいっぱいあるね」
といわれて
「うんでも図書館の人にもなりたい。プロゴルファーか煙草屋さんでもいい」
って答えていたのに。



わくわくしてたよね。
言ってりゃなれるとおもっていたし。

それなのに、
何で大きくなったらなりたいものって減っちゃうのかな。

知ってしまうからだろうか。
いろいろ。

だけど、
知ってしまったらなりたくなってしまった
っていうのも
あるんじゃないかな。




そこで
次のSCRAPのイベントがこれ。





来たれ!就活に悩める人たちよ!!

「輝け!第1回面白企業説明会決定戦! 」2006年10月28日(土)
OPEN 18:30 START19:00
@京都YMCA三条本館
入場無料 ※
主 催: ヤングジョブスポットきょうと
製 作: SCRAP http://www.scrapmagazine.com/
協 力: ヨーロッパ企画
RULE 1:企業とエンターティナーがコラボレーション
企業と京都のエンターティナーのコラボレーションでその企業説明会を作る。
RULE 2:一番入りたくなった企業を投票
見に来てくれたお客さんに投票してもらい、「一番入りたくなった企業」を選出。
RULE 3:SCRAP 1ページをプレゼント!
一位になった企業とエンターティナーにはSCRAP1ページをプレゼント。何でも宣伝してー。


参加企業&エンターテイメント
●Collaboration 1
株式会社インテリジェントシステムズ
 ×
ヨーロッパ企画(演劇)

●Collaboration 2
株式会社おたべ
 ×
SCRAPチーム(スーパー紙芝居)

●Collaboration 3
株式会社フィール
 ×
齋藤 真希(バレエ)

※メールにて事前にご予約いただければ確実にご入場いただけます。
 下記アドレスにお名前とチケット予約枚数を書いて送付ください。
 yjs@kyoto.ai.to





インテリジェンスシステムズとか
おたべとか、
フィールとか、
ふだん何やってるのかわかったら、
もしかしたら入りたい!っておもうかもしれん。


あのさ、
中学とか高校のときって
部活紹介ってあったでしょう。

バスケ部がおもしろかったり、
バレー部が下ネタだったり、
バドミントン部がかわいらしかったりしたでしょう。
それで
「ああ、ここの雰囲気いいかも」
とか
「ここ入ってみようかな」
なんておもったもんです。



そういう感じ。
企業説明会とか
堅苦しくて疲れるもんだって
なんとなくおもっちゃうけど、
行ってみたら
「ここいいかも」
っておもうかもしんない。



このイベントは
エンタテインメント集団が企業紹介をするから、
就活中でない方もきっと大いに楽しめるとおもう。


入場無料だから、
絶対行きたい!という方はメールを送りましょう。
席が確保されますよ。

編集長も安心するはず。







rasen816 at 14:42|PermalinkComments(2)TrackBack(0) イベント 

2006年10月26日

眠ミン眠

27a13686.jpg
はじめて眠眠打破を買った。
これを飲んだら一晩眠たくならずに起きていられるという話をきいたのだ。
そらおそろしい清涼飲料水である。

こういう薬品っぽい飲み物があまり好きでないので、
ふだんなら絶対に買わないところだけど、
もうそんな悠長なこと言っている場合ではない。

今夜は眠れないのだ。
あしたはゼミの発表なのに、
ゼミの発表はあしたなのに、
レジュメに着手できていない。
なんてこった。

眠眠打破を買おうとローソンへ。
なぜだか値段がテープで隠されていて、
「200円くらいかなあ」
と予測しつつレジへ向かう。

そうしたら一本350円だったのでちょっとぎょっとして、
おとなしくお金を払い、
「思ったよりたかいんだなあ」と、お店を出る。



午後11時。
資料の波でわさわさになりながら、
少しまぶたが重くなってきたので眠眠打破を飲まんと
冷蔵庫まで這う。
眠眠打破を手にして、
頼むよミンミン、とうっかり話しかけてしまい、
ああもう、もうなんか、あたしはきっとだめなんだろうな
とおもう。



ふたをあけて飲む。
まずさに目がさめる。
あまりにまずいとわたしは鳥肌がたつのだけど(みんなもそうなんだろうか)、
きちんと鳥肌がたった。
でもがんばって全部飲んだ。



だからこうして今も起きている。
しかも眠たくない。
すごいよ眠眠打破。
まじで眠眠を打破してるよ。
レジュメは4時ごろできあがりました。
でも眠眠打破飲んだあと、ちょっとしたら、
ひとりごとがものすごく増えた。
「新しい擬音語擬態語をつくろう」と言って、
「めさめさ」
とか
「てなてな」
とか
実に危険な遊びを気づいたらしていた。

おそるべし眠眠打破。





きょうは朝の9時からバイトで、
お店についたら、
エレベーターの前に
ミンキーモモみたいな娘さんがいた。

なつかしい気持ちになりながら
「おはよーございまーす」
たぶん新しく入ったアルバイトさんだろうとおもい声をかけてみる。
「あ、あ、はじめまして!!」
彼女は頭をぶんっとふって、
ひざこぞうにおでこがつきそうなくらい体を曲げた。
わたしは驚いて目をみはった。

気をとりなおして自己紹介。
一緒にエレベータに乗る。
ミンキーモモはめちゃくちゃ人の顔を見るので、
つい目をそらしぎみに話してしまう。
それでも緊張しているようで、
エレベーターの「開」ボタンを押してあげただけで、
「おそれいります!!」
だの
「申し訳ございません!!」
だのぶんぶん頭をふるので、
どれほぐしてみしょうと、ちょっとばかし冗談を言ってみる。
ミンキーは「え、そんなに?」とおもうくらいに笑ったので、
もういいか、と冗談を言うのをやめた。


昼休みをすぎ、
一緒にレジに入ったら、
ミンキーはいくらか緊張がほぐれたらしく、
めちゃくちゃ顔を近づけてひょうきんなことを言うので、
つい身をかわしてしまう。

ひらり、と身をかわし
ミンキーをちょっぴり遠くから盗みみてみる。
わたしはミンキーからどのように見えているのだろう。
ミンキーはもう、わたしの名前をおぼえたのであろうか。

世間にはいろんな人がいるもので、
ひょんなところでミンキーとわたしの線がまじわった。
そんな水曜日。
晩御飯は実家から届いたうなぎを食べる。




志村貴子の「ラブバズ」を読んでいる。
彼女の描く女の子がすごくすきだ。
清潔そうでやわらかそうでエロチック。
ぶあいそなところとか、
まじめなところとか、
ちょっといじわるなところとか、
いらないものはいらないと言うところとか、
「うるさい」「てめー」「なんで」「いやだ」
って、語尾になにもつけない言い方とか
すごくいいとおもう。
うるさくなくて、過不足なくて。
わたしが男の子だったら、こういう女の子をすきになるなあ。




まだまだ眠たくならない、午前7時。
実家から届いたりんごを食べる。


rasen816 at 07:27|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 日々 

2006年10月18日

桃色の傍線

さんまを食べることをすっかり忘れていた。
夜、バイトでこってり残業したあと、
ぐったりした体で学食に足をふみいれてから
そのことに気づいた。
ガラスケースの中にはさんまが何匹かよこたわっていたのである。

わたしときたら
と、なかば自分にあきれ返り、
なかば不測の事態を喜びながら

「さんまください」
と、言った。



さんまは思いがけないほどにおいしかった。
ふっくらと肥えた身には
しっかりと火が通っており、
かみしめるとちょうどよい加減で脂がしみでる。

にがい内蔵もすべてきちんといただくと、

さんまは、お皿の上で頭と尻尾、
そしてそれらをつないでいた一本の骨だけになった。

恰幅のよいさんまだった。
気前のよさそうな。
お祭りが好きそうな。





そのまま授業を受けるために教室へ向かった。
水曜日は夜の8時から授業がある。
夜中の教室は、幼いころにみた「学校」という映画を思い出す。
それは夜間学校の映画だった。
田中邦衛はその映画で、
字の書けないじいさんの役を演じていた。
初めて送った葉書には、
ものさしで書いた字がちぐはぐに置かれていて、
「俺の書いた字を、配達屋さんが読んでくれた」
と、彼は喜んでいた。

その映画の最後らへんで、
「真っ黒いくそが出るんだ」
と田中邦衛は言った。
たぶん大腸癌にかかったのだったとおもう。

わたしはその映画を金曜ロードショーでみながら
泣きに泣いた。
夜の教室は
そのときのふとんのにおいを思い出す。




授業では三島由紀夫の劇の脚本をとりあつかっていて、
そのなかできょう、こんなせりふが出てきたので、
わたしはそこに、
桃色のペンで傍線をひいた。



「僕には何もかも終つたやうな気がしてゐるんです。
 それでゐていつも明日だけはあるやうな気がするんです」


何もかも終って
明日だけがあるならば、
それを絶望と呼ぶんではないだろうか。

わたしはこの言葉をしっかり覚えておこうとおもった。

自分が絶望したときに、
きちんとそれとわかるように。





授業が終ってから喫煙所で煙草を吸っていると、
目の前のベンチの下を、ちゃいろくて長ぼそい生き物が走り抜けた。

いたちだ。

そばにいたカップルが、
それに目をつけてきゃいきゃい言い出した。

「あ、りす!」
女の子が言って、
「りすじゃないやろ、いたちやろ」
男の子が言う。
「あ、いたちかあ」
女の子は納得する。

いたちを知ってるならなぜ今りすと言ったんだ
と思いながら煙をはいていると

「かわいいなあ」
と男の子が言ったので驚いた。
「かわいいなあ」
と女の子も言ったのでますます驚いた。

わたしはいたちをかわいいとおもったことがなかったので、
この人らほんまはまだりすだとおもってんじゃないかしら
と疑る。

ふたりはぼんやりいたちの後姿を見送ってから
「プリンたべたーい」
とかなんとか言いながら
手をつないで帰っていった。




わたしは彼らの後姿を見送ってから立ち上がった。





あたしもプリン買ってかえろ
とおもいついたら、
さきほどの桃色の傍線が光った。






だいじょぶだよん
とおもった。


だよんだよーんと
心の中でうたいながら帰った。







rasen816 at 23:53|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 日々 

2006年10月13日

うわのそらの原因は

ちゃんとした人になりたいな

というわたしに
彼女はふうんと言ったきり
よそみばかりしている。


ごめんね、ちゃんとしていなくて

うなだれたわたしがそう言うと



そのこはようやっとこちらを向いて

みてみて

と指さした。
うわのそらの原因はその指のさき。

みつけた
あれから、このにおいがしていたんだね


きんもくせいの木を
そのこはずっとさがしていたんだって。





おそらくわたしを許していないのはわたしばかり。
そしてわたしが許せないのはわたしばかり。


やっと今
きんもくせいのにおいに気づいて
顔をあげると
きらきらひかる日差しだ。


とりあえず今は
鼻の穴をふくらませて
きんもくせいのにおいと
きらきらひかる光とを
たっぷりと吸い込む。





お、
わたしのなかが秋になった。




すると
ちょっとだけ許せるような気がした。



すこし笑って、うちに帰ろう。







rasen816 at 13:54|PermalinkComments(1)TrackBack(0)

2006年10月05日

ただそれのみの


幼いころ、
夢をみた。

それは
誰もいなくなった世界で
ひとりで生活をするという夢。

忽然といなくなるのだ、町中のひとが。

それは夏で、
午後で、
せみが鳴いている。


わたしはひとりぼっちでプールで泳ぎ(何しろひとりだから水着をきなくてよいのである)、
アイスクリームを食べ(何しろひとりだからお金を払わなくてよいのである)、
木陰でぼんやりして、
居眠りをする。

夜が来て、
朝が来て、
昼になったら、
また夜が来る。




さみしいという感情がわかない。

幸福でも不幸でもない。

絶望も希望もない。

すごく落ち着いて、
穏やかで、しずか。

ただ生きており、
死ぬまで生きるだけであり、
その時間をすごすだけであり。




理由も目標もない。

朝が来て息をしていたら
夜まで生きるだけ。

そんな世界で
生きる夢。




その夢のなかで
わたしは確かに完全体だった。



rasen816 at 14:20|PermalinkComments(1)TrackBack(0) 日々 

2006年10月02日

霊がおなかのなかにいるって言うのだ

ずっとずっと前。
ノストラダムスの予言がまだ信じられていたころ。

「君には霊がとりついているね」

小学4年生のあたしに
そう言って近寄った男のひとがいた。



「霊をおっぱらわなきゃ」

30歳くらいでめがねをかけた、
不潔な感じのその男の人はそう言って、
公園の隅のシーソーにあたしを座らせ、

「大きく息を吐きなさい」

と言った。
あたしは言われたとおりに息を吐いた。
そうしたら彼は

「まだまだ吐きなさい」

と言った。
もう吐く息がなくなっても、

「だめだよ、まだ吐きなさい」

と言った。

まだだ、
まだだ

彼はあたしの背中をたたきながら

「霊がおなかのなかにいるよ」

と言った。



苦しいし、
背中は痛いし、
霊はおなかのなかにいるし、
このめがねのおじさんはきもちわるいしで、

あたしはすっかり心細くなってしまい、
泣きそうになった。

「僕は警察なんだよ」
彼はそんなことを何度か言ったが、
それがどういう意味なのかあたしにはわからなかった。



そのとき6年生の男の子がシーソーのそばにやってきて、

「土門さん、行こう」

と言った。
あたしは急に正常な世界に戻された気になった。
うなずいて、おじさんの隣から走り出る。

「霊がおなかのなかにいるよ」

おじさんの声が後ろから追っかけてきた。
あたしたちは振り返らずに、公園を走り出た。

6年生は走りながら

「あいつ頭くるっとる」

と言った。









レジで商品を
茶色い紙袋に入れながら

「手提げ袋ご用意いたしましょうか」

とたずねると
その客は

「いや」

と言い、

「そういうのを過剰包装っていうんじゃないですか」

と言った。






顔を上げ、
彼の顔を見ると
あのときの男のひとにそっくりだった。
自分は警察だと何度か言った、あのときの男のひと。




聞こえなかったので、もう一度お願いします

という顔で、
あたしが首をかしげると、
彼は目をそらした。


くだんない


心の中でつぶやく。



くだんない
くだんない
くだんない!





もう二度と来んなとおもいながら

「ありがとうございましたー」

とにっこり笑う。









そうやって稼いだお給料をおろして、買い物をした。
画鋲も買った。



「海辺の部屋」
という題名の
静かな絵を
壁にはりつける。




早く忘れて、
この絵でいっぱいになって
きれいになりたいなあ。


そうおもいながら
たばこを吸う夜。






rasen816 at 00:07|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 日々