先日、広島県福山市の大田ゆうすけ市議の「選挙出陣式」で講演をさせていただく機会を得て、福山市に足を運んだ。太田市議はまだ40代前半、二期目の市会議員さんであるが、真面目と純粋を絵に描いたようなお方であり、一般に我々がイメージする「市議さん」とは違ったその清廉かつ頼れるお人柄を慕って、300人近い方が会場に現れたのには大変驚いた。あまりの盛況ぶりに、私ももっと頑張らねばと考えさせられてしまった。この方ほどの人柄をまだ自分は持っていないな、と反省しきりであった。

福山歩兵第四一連隊は、マレー・シンガポール作戦に参加して「イギリスを東洋から駆逐」し、「ニューギニアにおける山岳戦を戦い」、最後は「レイテにて全滅」するという、有名な日本戦史の多くに実戦参加した歴戦の部隊である。精強をもって知られた福山の兵であるが、しかしそのご遺骨の多くは、まだ南瞑の果てに野ざらしになったままである。大田市議は、それらのご遺骨をいつの日か日本に返還するため、一人で現地を積極的に訪問され、慰霊祭を行ってこられた方であるが、静かな物腰の中に秘められた強烈な熱情に打たれた事もあり、私も壇上にあって、それに負けじという感じで、日本にとってパプアニューギニアという国がどれだけ日本にとって重要な国か、という事をいくつかのエピソードと共に話させていただいた。その中で一番強調したのが、

「福山連隊こそ、シンガポール攻略によって何百年に及んだ欧米植民地支配を終わらせた尖兵であり、高知連隊や高槻工兵連隊とともに、パプアニューギニアを親日国たらしめた部隊であり、最後はレイテ島であのマッカーサーを苦しめて散っていった歴戦の部隊である」

という事であった。

他の多くの市町村同様、福山市もまた、これまであまり郷土連隊の歴史についてはほとんど触れてこなかったようであり、実際に会場にいた多くの方々が、それらの事実をご存じなかった。しかしこれもまた、無理なき事であろう。要は、こんな事を地元密着型で発信する人がいなかったのであろうし、これまではそれをやったら「右翼だ」などとレッテルを貼られて終わりであっただろう。しかし、それと兵隊さんたちの無念とはまったく関係がない。誰かがあれらの兵隊さんたちの勇敢さや、無念の思いを伝えねばならないならば、あの場では自分が少しでもそれを語らねばならない、そして大田市議のような純粋な思いをもった政治家の助太刀をせねばならない、と思ったせいで、いつもの悪い癖である「早口」が出てしまった。

大田市議は、福山市の選挙で初めて7800票を取られた方である。しかも最初の選挙で、である。もちろん、トップ当選であった。あの静かで柔らかな物腰のどこに、そんな熱情が秘められているのかと思うが、その大田市議の自宅は、なんと福山連隊跡地の内側にある。ご本人は、様々な偶然が重なり合ってその地を得たとおっしゃったが、これも英霊とのご縁なのであろう。確かに、ニューギニア戦に関係する仕事をし、英霊に思いを馳せていると、時々というか、しょっちゅう不思議なことが起こる。しかも悪い事ではない。うまく行かないと思っていた事が、奇妙な偶然の重なりによって気がつけば全部うまくいってしまったりする。その度に、「英霊の皆さんが守って下さっているのだな」としみじみ思う。実際、大田市議にその話をしたところ、市議も同じような経験をされていた事がわかった。大田市議は、今後も福山市の真の発展のために力を尽くされるであろうが、海外に飛び出さんとするその活動もまた、結局は福山の発展のためへと回帰していくのだろうと思った。

とにかく、大田市議は素晴らしい政治家であり、これも福山の底力である。また、大田市議の周りにいた方々もまた、みなさん実に素晴らしい人たちで、心の底から大田市議を応援しているのがよくわかった。共にあのニューギニアに行かれた方もあれば、お父上が、ニューギニア戦史では有名な「小岩井光夫少佐(福山歩兵第四一連隊第二大隊長)」の当番兵であったという方もあり、また素晴らしい司会を務められた鈴木美穂さんという方(ものすごい美人でした)も、もともと戦争とはまったく関係がないところで司会をお願いしたにも関わらず、お身内にやはり四一連隊関係者がいた、などという事もあり、皆で大田市議を囲みながらも共に「過去」をしっかりと見つめる事で、一つのよりより「未来」を目指そうとしているように思えた。こういう人々に囲まれるには、強烈な信念なるものが不可欠であるが、大田市議にはそれがある。今の日本にも、このように素晴らしい政治家がいるのだなと思い、東京への帰り道、自分も何事かを為すためには今以上の「決断」をせねば、と思った次第であった。私の人生に多大なる影響を与えた「福山小旅行」であった。

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(続く)