パプアニューギニア(PNG)ニュース by 南太平洋島嶼研究会

<$パプアニューギニア(PNG)ニュース by 南太平洋島嶼研究会(丸谷元人)近い将来「日本の生命線(含むシーレーン)」となる南太平洋、特にパプアニューギニア(PNG:Papua New Guinea)周辺の情報を先取りして分析し公開しています。$>

ジュリアス・チャン

ナマ氏と「遊ぶ」暇はない。(by オニール氏)

今回の総選挙の結果を受け、オニール氏を首班とする「元老内閣」が正式に発足しつつある。AFP通信の記事によると、マイケル・オギオ総督は8月1日の段階で、オニール氏は正式に組閣を要請したという。オニール氏率いる国民議会党(PNC)は、単独で26議席を獲得しており、連立パートナーを含めると、過半数以上の議席を十分に確保している。この事により、ついに「2人の首相」という建国以来の政治的混乱はめでたく「手打ち」となり、憲法違反だなんだという問題も有耶無耶になっていくだろう。これは、「憲法違反」と認定されたオニール首相を「正式な首相」といち早く認めてしまったため、ちょっとまずい事になりかけていた諸外国(豪、米、日本など)にとっても、大変にめでたい形になったというわけだ。

そのオニール首相、早速かつての盟友であり、目下最大の敵となったナマ氏に対し、警告を発している。曰く、

「ナマさん、焦って仲間集めのために奔走したり、策謀なんか張り巡らせるより、これからは自分の選挙区の民草のために頑張って下さいよ。我々はこの国を動かしていくので、あなたに付き合っているほど暇じゃないんです」
「もし、あなたが十分な支持を得ているというのなら、実際に数を集めて証明して下さいよ」

というのである。余裕たっぷりという具合だ。

確かに、パプアニューギニアにはもはや悠長に政争をやっている暇はない。 エクソンモービルの天然ガス計画では、すでに採掘作業を開始したし、ニューブリテン沖のソルワラ1鉱区や、ガルフ湾における第2の天然ガスプロジェクトもある。ここまで、資源バブルが一気に加熱して国を富ませて来たが、欧米の金融問題と中国の減速も現実的となる今、下手をすると大きな国家財政の減退という事態さえ招きかねない。バブルはいつか必ず終わるのだ。その前に、動かしておくべきものは動かさねばならない。

「オニールとソマレで結局何も変化なしか」という声も確かにある。ある意味で、そう思う向きも理解出来る。しかし同時に、ソマレ氏やジュリアス・チャン氏らは老獪老練、かつ有能な政治家である事には間違いなく、資源バブルで振り回されて来たこの国をうまく舵取りするのは、正直、オニール氏だけでは物足りないともいえるだろう。まだまだ経験不足、という事だ。その経験不足も、元老内閣の中で徐々に洗練されていく事であろう。そうすれば「温情家」のオニール首相は、もしかしたら今後の5年で、肝も能力も備えた素晴らしい政治家になるかもしれない。

この国は今、資源バブルと凄まじいインフレ、そして諸外国の景気の影響に左右されながらも、800以上の部族をまとめなければならないのだ。そう考えると、確かにナマ氏あたりと「遊んで」いる暇はない。とにかく、停滞していた様々なプロジェクトを早急に動かすべきである。さすれば、この国は今後数年でさらに安定して発展する事になるだろう。

(続く)

 

「元老オールスター内閣」VS「孤立無援のナマ氏」の戦いとなるか

今回のパプアニューギニアにおける総選挙は、予定では明日までにすべての開票作業を終わらせるという事になっているが、まだまだ先は長そうだ。しかし、昨日連立政権樹立で「電撃的」合意をしたオニール氏は、3人の首相経験者という「元老」を政権に招き入れる形で、すにで自身を支える議席を56ほど獲得している。全議席の過半数を支持者で占めたわけだ。

このまま行くと、パプアニューギニアの新首相にはピーター・オニール氏が選ばれ、重要閣僚には首相経験者であるマイケル・ソマレ氏やジュリアス・チャン氏、 パラス・ウェンティ氏らが選ばれ、安定した強力な政権が生まれる事となる。豊富な資源といくつもの大型開発によって、パプアニューギニアはこの数年、史上初となる未曾有の好景気を経験して来たが、それを阻害する最大の問題の一つが政治の不安定さであったから、これは進出企業にとっては大歓迎すべき結果であろう。これによって、これまで停滞しかけていた天然ガスや鉱山開発事業は、安定した政府の後押しを受けて一気に前進する可能性が出て来た。そうなれば、諸外国による投資も一層盛んになるだろう。

一方、ナマ氏の方では、自身の政党が獲得したのはわずか6議席に過ぎない。それでも相変わらず彼は強気だ。独立系候補を大量に味方に引き入れて、自分が首相になると言い続けている。折角、何億円もの「ポケットマネー」を政党に寄付する太っ腹ぶりを見せ、億単位のプライベートジェット機も購入し、新車のランドクルーザーを10台近く自分の選挙区に放り込み、投票箱と大金を一緒に運ぼうとしていたなどと噂され、「オレが王様だ!」と意気軒昂たる活躍ぶりであったのに、結果的にはわずか6議席というのでは格好がつかないではないか。そうなると、あとは豊富な「貯金」を使って独立系や弱小政党の候補者らを「買う」しかないのだ。

とはいえ、もはやナマ氏が復権する可能性は極めて低くなったと言うべきだろう。 「元老オールスター政権」の樹立がほぼ確実になった今、なんでナマ氏の「黒い金」欲しさに自らを野党陣営に放り込まねばならないのか。たしかに数日前、ナマ陣営に鞍替えした議員がいたが、そんな「先見の明」のない議員は、自らの「運」を早速選挙だけで使い果たした事を嘆き、最初からとんだ間違いを犯してしまったと落胆しているに違いない。もはや大勢は決まりつつある。

ただ傍観者としては、ナマ氏の今後の「活躍」も見てみたい気がする。

(続く) 
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