ネタバレ

March 10, 2015

7SEEDS 山の章16 印象

以下のあらすじは、7SEEDS 山の章15 地下の星座からの続きです。

2015年2月28日発売 2015年フラワーズ4月号掲載分で、既刊単行本未収録分となります。
従って、7SEEDSを単行本で読み進めている方にとってはネタバレとなります。

■あらすじINDEXはこちら

単行本で読み進めている人、ネタバレを読みたくない人はこの先読み進めないようご注意ください。

なお、あらすじは、感動的なシーンや印象的なセリフを極力書き込みすぎないように心がけています。本物の感動は単行本または本誌でどうぞ!

【注意!この先ネタバレがあります】

【震災復興支援クリック募金】
■ハーティン
■ユナイテッドピープル基金
【本・DVD・ゲームを寄附】
■Books For Japan
【ベルマークを集めて復興支援】
■ベルマーク教育助成財団
【復興支援】
■楽天たすけ愛
【被災企業に寄付+投資】
■被災地応援ファンド























ナツと蝉丸は、口を開けてただただ見上げていた。

建物で言えば2階以上の高さにある通風口、そこから顔を出した男女2人。
ナツと蝉丸にとっては考えられないやり方で2人はそこから下へ降りてきた。
わずかな壁のくぼみを利用しての壁降り。
相当な筋肉と度胸がないとできることではない。
蝉丸はあっけに取られて見ていることしかできず、ナツは見ているだけでも怖かった。
しかも先導しているのは女性だ。
ナツと蝉丸がボーッと口を開けて見ているうちに、2人は無事に降りてきて対峙した。
女性のほうが先に口を開いた。

「あの…初めまして。春のチームの、花といいます」
「あんたが、花?!」

大声で反応したのは蝉丸だ。

「いや、こりゃどーもどーも。オレら夏Bの蝉丸と、こいつ、ナツです」
蝉丸は頭を下げながらナツの頭もぐりぐりと押し下げた。

「えっ?ナツさん?」

花は、少し驚いた。
ひばりが花に教えたナツのイメージは、チョー美人、しっかりしてて、頼りになって、気が利く人。
花はばくぜんとお姉さんぽい人をイメージしていた。
目の前のナツは、自分よりも小柄で年下に見えるくらいだった。

「ナツさん、大変でしたね。無事でよかったです。
あなたが声を上げてくれたからここがわかりました。会えてよかったです。
あの…いちおう、助けに来たつもりなんですが…道がわからなくて…すみません…」

ナツは、ついに出会った花のことをボーッと見つめてしまっていた。
蝉丸に促されて慌ててあいさつする。

続いて新巻が「お2人とも、お久しぶりです」と声をかけ、関東で一度会っていることを告げた。
「ええええ、あんときの犬連れたおっさん?いやいやいや結構若いんじゃん。ゴメン!あれはホントゴメンな!ちょっとビビっててよ」
「いえ、警戒して当然です」
「だよな!まぁ許してくれろ!」

蝉丸は大声で謝りながら新巻の肩をガシガシつかみ、クモの糸に気づき大騒ぎする。
花は、ナツの手紙を関東の倉庫シェルターで見つけた時の話をした。

「あれで初めて他のチームが本当にいることがわかったんです。現実はショックではあったけど…とても心強かった。ありがとう。
落ち着いたらゆっくり、今までの話、聞かせてください」
「…はい…」

それから、花は気になっていたことを確認した。
「それはそうと、うちのチームの、ひばりちゃんって子に会った?」
「あっ…はい」
「口が悪くてエラそうにしてた?」
「あっ、いえ、その…はい」
「あの子の言動から察するに、あなたに意地悪した気がする」
横から蝉丸が「その通り!」とツッコミを入れた。
花は、真っ赤になっているナツを見て、かわいい人だと思った。

ナツのほうは花のキャラクターに圧倒されていた。

…しゃきっとしてて、ニコニコしてて、ハキハキしてる。
…人を助けに危ないところに行ったり、今も、あんな壁を自分の力で降りてきた。
…こんな人を好きになる嵐くんが、あたしのことを見てくれるはずがなかった。

花が、ナツと蝉丸に尋ねた。
「お2人は、嵐と仲がいいですか?」
2人は即答した。
「そりゃもうマブダチだぜ!オレら3人トリオって感じな!なぁナツ!」
「はっ、はい!」
「おっつけあいつも来るだろ。安居を追っかけて、こっちにつながってる水路を来てるってよ」
「安居?!」

花と新巻の顔色が変わった。

「あんたらも知り合いなんだよな?」
「ここに来てるの?!」
「安居と涼はさ、だいぶ前フラッと現れてさ」
「涼も?!」

蝉丸が、自分達夏のBチームは、安居と涼とずっと一緒に行動していたことを話し始めると、新巻が質問をかぶせてきた。

「その間、おかしなことはありませんでしたか?」
「おかしな?」
「誰かが危ない目に遭ったり、死にかけたりしませんでしたか?」
「あー、そりゃまぁ…」

蝉丸は記憶を辿りながら、それなりに危険や死にかけたこともあったけれど、それは単に不注意だったからだと答えたが、花がたたみかけるように、それは安居と涼が仕組んだことかもしれない、と指摘した。

「あたしもハルも、殺されかけたんです。事故に見せかけて。実際、ガイドの人を殺してるし、…女の子を…襲ったこともあります…。気を許さないで…」

話し続ける花の顔の前に、蝉丸が手のひらをかざした。ストップ、のしぐさ。
蝉丸は真面目な表情をしている。

「…あのさ、片方からだけ話聞くと、間違うから。だから、今度安居と涼に、直で聞くわ」

花は口を閉じ、蝉丸を見つめた。
そしてパァッと笑顔になった。
「あなたみたいな人が、嵐のそばにいてくれてよかった。きっと、たくさんお世話になったと思います。ありがとう、蝉丸さん」

「あっ、いやあ、その!ハハハ!オレってホラ、つい、いいこと言うでしょ」

蝉丸は照れてしどろもどろになった。
そして蝉丸は思った。

…エエ子やないの、花。
…安居、花のこと、生意気、って言ってたけどよ。
…「花のことを、まず生意気だと言う人は、必ず何かやましさを抱えてる」か。
…なるほどな。安居よ、確かにイロイロあったと見たぜ。じっくり、聞き出してやる。



源五郎は、虹子から地下の様子を聞き、お掃除ロボを通じて情報を共有しようとしていた。
地下の水車は、すでにいくつか止まっているものや、さっきまで動いていたけれど壊れたものもあるということ。
どうやら、排水のための動力源がよく働いていない可能性があり、さっきの振動もその影響が考えられること。
排水ができなくなれば、施設は水没すること。

「虹子さん、脱出できそうですか?そこにいるロボットの名前は?」
「ヴェラ、って言ってたけど」
「お蘭さん、虹子さんがわりと近くにいます。そこから東へ行けますか?さらに下へ。できれば合流して、脱出の道を見つけてください。
…みんな、聞こえましたか?早く、ここから出ましょう」



百舌は、朦朧としていた。
アリの大群と戦って、かなり体力を消耗しているうえ、全身傷だらけの状態だった。
戦っても戦ってもキリがないと思えたアリの大群が、なぜか退却を始めた。
満身創痍の百舌にとってはありがたいことだったが、百舌は怪訝に思った。

…どうした?
…アリが引いていく。

ヨロヨロと薄暗い洞窟の中を歩く百舌の耳に、人の話し声が入ってきた。

「安居を見なかったか?」
「佐渡へ続く水路を行ったよ」
「源五郎、佐渡へは?」
「君たちは、西の端にいる。東の端から、何本か佐渡への通路があるはず」

遠くに明かりが見える。
声はその明かりのところから聞こえている。
百舌はヨロヨロと明かりの方向へ歩いていく。



百舌は、明かりの中の人物を見た。涼、まつり、ハル、小瑠璃。
反射的に身を隠したが、一瞬遅かった。
百舌は、4人に姿を見られた。

「あっ!えっ…今、百舌さん?!えっ、ちょっと、すごいケガしてたよ!百舌さん、待って!」
「あれが…要さん…?くそ」

涼はリュックから銃を取り出した。まつりは驚いた。
「えっ…何?涼くん?!」
「まつり、お前はここまでだ。小瑠璃たちと一緒にいろ。小瑠璃、頼む」
「何するの?!ピ…ピストルで!」
「することがある」
「ちょっと待って!あたしも行く!」
「ダメだ」

まつりは必死で涼の腕をつかんだ。ひたすら「待って待って」を連呼した。
そしてまつりは叫んだ。

「何をするかわからないけど、あたしが一緒にいるほうが、いいことがあると思う!」

涼はまつりを振り返り、まつりを見つめ、左手の手袋を外した。
そして涼は左手で、まつりの頬をそっと触り、言った。

「…そうかもな。…じゃな、気をつけろ」

涼は走り去った。まつりは必死で後を追う。
けれど、まつりは涼を見失ってしまった。
とりあえず、小瑠璃とハルのところへ戻る。

「ねぇ、ねぇ…涼くん、何するの?ピストルで」
「要さんに、何かするんだと思う」
小瑠璃が答えた。平坦な表情、遠くを見るような目。
「ギャクタイした変態教師の1人だから?!ダメだよそんなの!止めなきゃ!」
「止めない」
「あたしは、止める!」

動揺して喚くまつり。それと正反対に、無表情で静かに立っている小瑠璃。
ハルは、ただ、小瑠璃を驚いて見つめていた。



花、新巻、ナツ、蝉丸は、座って休憩していた。
というのも、蝉丸が空腹を訴えたからだ。
花たち4人は、水路から少し離れた、施設の廊下のような場所に腰を落ち着けていた。

花たちは、佐渡エリアで見つけた果物っぽい実を蝉丸たちに分け、佐渡エリアには、森も川も動物たちもいて、すごくいい場所だと説明した。
そんな話をしているうち、お掃除ロボのペルが近づいてきた。
さっきまで充電スポットにいたのだが、どうやら充電完了したらしい。

蝉丸はペルを通じて、嵐に話しかけた。

「おい嵐!聞こえるか?花ちゃんと会ったぞ!」
嵐の声は聞こえにくくなってきていた。

蝉丸たちには見えていないが、嵐の状況は、かなり厳しくなっていた。
水流が激しい。そしていつのまにか水かさが増してきている。
そろそろ嵐の太ももあたりまで水が届きそうだ。

「…水が、いきなり増えてきた。花、無事か?」
「うん、大丈夫。新巻さんもいるよ!蝉丸さんとナツさんに会ったの!」
「花、よかった。蝉丸もナツも頼りになるから。蝉丸、花を頼む」
雑音まじりの嵐の声が、花を不安にさせる。

「嵐?!大丈夫?!」
「こいつさ、防水じゃないだろうから、もうじきダメになると思う。でも、泳いででもそっちに行くから」

新巻が席を立った。水路のほうから聞こえる水音が、大きくなってきている。
新巻が水路のそばから声をかけた。

「ここも、さっきより増水してますよ」

新巻はそう言いながら、花たちを振り返る。
花たちは、新巻の声の方向を見る。

突然、新巻と花たちの間に、上から大きな壁が降りてきた。

「えっ?うそ!」
新巻は走った。しかし、壁は完全に降りきってしまった。



サブ調整室にいるひばりの耳に、うるさいブザー音が飛び込んできた。
ブザー音とともに、アナウンス音声が今の状況を告げた。

「流れ込む水の量が警戒レベル3を超えたので、一部隔壁を閉めます。方舟を守ります」



嵐は地下水路の中で立ち尽くした。
目の前に、いきなりシャッターが下りてきてしまった。
前には進めない。水かさも、さらに増した。

「…そんな…」

次号へ続く。

■あらすじINDEX
■携帯用トップページへ戻る
■ブログ更新状況は右サイドの「次の更新は…?」欄でお知らせします!





reading7seeds at 00:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)