ネタバレ

July 10, 2015

7SEEDS 山の章20 観察

以下のあらすじは、7SEEDS 山の章19 3人からの続きです。

2015年6月28日発売 2015年フラワーズ8月号掲載分で、既刊単行本未収録分となります。
従って、7SEEDSを単行本で読み進めている方にとってはネタバレとなります。

■あらすじINDEXはこちら

単行本で読み進めている人、ネタバレを読みたくない人はこの先読み進めないようご注意ください。

なお、あらすじは、感動的なシーンや印象的なセリフを極力書き込みすぎないように心がけています。本物の感動は単行本または本誌でどうぞ!

【注意!この先ネタバレがあります】

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嵐、新巻、安居の3人が一緒にいる、という情報は、お掃除ロボでつながっている全員に伝わった。

「えーどういう組み合わせだよ?!」と、ハル。
ハルの叫びに引き続きお掃除ロボから様々な反応が伝わってきた。

「安居…」「安居くん…」
穏便な反応は小瑠璃と源五郎。
「やだ!」反射的な拒絶反応は、桃太郎。
「そいつって…?そいつか!」藤子とちさは、先に花から事情を聞いていたから嫌悪感丸出しだ。
「なんでまた湧いてきたのかしら?」あゆは冷ややかな反応。
「接近禁止命令を出したいところですネ」「ウチの子たちに近づかないで」
「多少は悔い改めたかい?シャバの空気はどうよ?」
朔也、蘭、秋ヲも辛辣な言葉を安居に投げた。



蝉丸は、お掃除ロボから伝わってくる露骨な悪感情に苦笑いした。
…すんげぇー。めちゃんちゃ嫌われてるぜ、安居。
…確かに、何かやらかしたんだろうな。
…ま、アイソ悪いしな。

蝉丸はナツの耳元にささやいた。
「…安居がカワイソウだから、何か、言ってやれ」
「えっ」

ナツが発言するより先に、空気を読んだまつりの声がお掃除ロボから響いてきた。

「ねぇ!安居くんと涼くんは、みんなを助けるためにここに入ったんだからね!
安居くん!涼くんを見つけたら止めて!そっちのほうに行くかもー!」
「ああ…」
安居はまつりの呼びかけに返事をした。

続いてナツが安居に声をかけた。

「あの…ナツです、安居くん。今、蝉丸さんと、花さんと、一緒にいます。元気です」

安居は、ナツの言葉を聞いて、花が本当に生きていることに実感が湧いてきた。
が、花については何もコメントしなかった。
「ナツ、気をつけろ。前にも言ったが、緊張しすぎず、緊張してろ」
「はい!」

花は、複雑な表情でナツと安居のやりとりを見ていた。が、特に安居についてコメントはしなかった。
蝉丸が花にニヤリと笑って言った。
「安居はよー、ナツには優しいんだぜ。アホの子が好きと見た」



安居叩きはひとまず置いておくとして、秋ヲたちは嵐、新巻、安居に新たな情報を伝えた。

105人の子供たちが冷凍された状態で方舟に眠っていること。
それをみんなで助けようという方針が決まったこと。
佐渡が崩れて沈むかもしれないということ。

それを踏まえて秋ヲは、嵐、新巻、安居の3人に、誘導に従って動いて欲しいという指示を出した。

冷凍された子供たちの話を聞いて、新巻が冬のチームの話をした。
「…子供たちって…生きてるのかな…?
僕のチームは、最初から亡くなっていた人が何人もいました。…茶色くひからびて…」
「はい、それをまず確認しようと思います」

新巻の言葉に、花が応えた。そして、花は続けて嵐に声をかけた。

「嵐、気をつけて」
「うん、花も」

嵐、新巻、安居の3人は、秋ヲの誘導に従って移動を開始した。
目的地は、小佐渡の海面下にあると思われる、施設の大柱群のあるコンコースだ。



嵐は、花と新巻の会話を聞いていると、心がピリッとすることを自覚していた。
けれど、今はそんな瑣末な感情に構っている暇はないということも、わかっていた。

男3人は、指示に従って下へ向かう階段を下りていった。
嵐は、安居の背中を見つめる。周囲を、安居を、観察する。

嵐は、気づいた。
安居の身のこなし。体重を一箇所に長くかけないようにしている。
異変にすぐ対応できるよう、重心を常に移動させている。
足元に気を遣いつつも、上も見ている。
建物の構造上、より頑丈そうな場所を探しながら歩いている。
とっさに身を預けられるところ、掴めるところを探りながら歩いている。

そして嵐は、新巻の身のこなしも、安居と同様、隙のない動きをしていることに気づいた。
新巻はそれだけでなく、犬の様子にも気を配っていた。
嵐は思った。

…おそらく、人より犬のほうが、あらゆることを先に察知する。
…新巻さんはそうやって、生きてきたんだ。
…見習え!!
…ぼんやりするな、嵐。
…なんとなく歩くな。彼らのように注意深く動けるように、見習え!
…でないとこの先、花を守れない。

嵐たち男3人は、佐渡の最深部、メインコンコースの大柱群にたどり着き、秋ヲに報告した。

「…傾いている、というレベルじゃないんだが」
「特に、西側がひどい。東側はわりとまっすぐだけど」
「地面も裂けた感じで、水がたまってきてます。天井は、まだ落ちてない」

大柱群のある空間は、すでに空間そのものが奇妙に歪んでいた。
すでにちぎれて横倒しになっている柱も数本あり、倒れていない柱も、程度の差こそあれ傾いていた。柱の傾き、地面の割れ目を見ると、この空間がくっきりと一方向へ向かって引っ張られていることがわかる。

「…てことは、先人が危惧したように、沈んだ小佐渡に引っ張られてる、ってことか…」
「鷹さん、気をつけて」
突然、あゆが声を出した。
「さっきみたいに、あっさり死にかけたりしないでね。わたしのためにも」
あゆは、いつも通りのごく普通の口調で、当然のように言った。
あゆの言葉を聞いて、安居と嵐は思わず新巻の顔を見た。
「いや…あゆさんは、表現が独特なんで…」
新巻はリアクションに困って口ごもった。



このやりとりの中、桃太郎と蛍は、コントロールルームから、そもそもの出発点になった「暖炉のある部屋」へ行ってみようと移動を開始した。
そして、1人、コントロールルームへ合流しようとしていた朔也は、途中で資料室を見つけ、この施設の全体図を手に入れた。

「ねー、秋ヲさん、みんなの位置を座標で言ってくれる?…佐渡のほうも頼みます」
秋ヲと、ひばりが、現在お掃除ロボと行動しているメンバーの名前と座標を、朔也に告げた。
そして朔也の頭の中で、鍵島と佐渡の全体図と全員の位置が構築された。

「…だいたい把握できマシタ。鍵島は、わかってたら迷うような規模じゃないです。佐渡は、海面より上の部分はほとんど倉庫か保管庫ですね。…あと、動植物園」
「朔也くん、それ、今陥没して、穴だらけです」
新巻が朔也の情報につけ加える。
「そデスカー。居住区や避難シェルターは小佐渡側にあったので沈んでますネ。方舟は図面に載ってませんー」



朔也の頭の中の図を文字で説明すると、ざっとこうなる。

鍵島の内部。
二等辺三角形の一番上に、暖炉のある部屋があるとすると、
ほぼ中央にコントロールルーム、そこに秋ヲと鷭。
所在不明の流星とくるみは、おそらく暖炉の部屋近くのどこか、コントロールルームより上の階層にいると推測される。
桃太郎と蛍は、コントロールルームより少し上の階層を、暖炉の部屋へ向かって移動中。
二等辺三角形の左側の頂点あたりに、最深部の虹子。
虹子の少し上の階層に牡丹、蘭、ちまき。 その3人に合流しつつある刈田。
刈田の近くには、コントロールルームから虹子を手伝うために出発した源五郎と茜がいる。
二等辺三角形の右側頂点が佐渡への水路。
おそらく涼と百舌は、佐渡への水路近くを移動中と推測される。
涼たちよりも少し上の階層で、コントロールルームよりも下の階層にいるのが、朔也、そして小瑠璃とハル、まつりだ。


佐渡側は、規模は大きいが、各施設の規模も大きいのでざっくりとした構図になる。
佐渡に地上から海中へとつらぬく大きな縦孔が3つ。
地上はゆるやかな山だったが、現在は陥没して上の部分がなくなり、台形状になっている。
一番左側エリアの中間層にひばり。サブ調整室。
ひばりより下の階層に、角又とあゆ。
まんなかの縦孔エリアの一番下の最深部に、嵐、新巻、安居。
まんなかの縦孔エリアの上側には、広い範囲で動植物園があり、その少し下の階層に藤子とちさ。
一番右側の縦孔エリアの、さらにはしっこ、かつ、下の階層に花、ナツ、蝉丸がいる。
嵐たち男3人と、花たち3人組がいるのは、海面より下のエリアで、鍵島との水路も近い。



全体の構造が頭に入った朔也が、今後の攻略について提案した。

「で、花さん!無事でよかったデスネ!まぁボクは、そんなこったろーと思ってましたケド」
「泣いてたくせに」
「何のことですかお蘭さん!で!デスネ、花さん達は方舟に行ってくだサイ。行けるかどうかが問題デス。道は多分、ペルセウスが知ってますー」
「で…子供たちが無事眠ってたら、どうする?」と花。
「カプセルを1個ずつ運びだすとか?」と蝉丸。

「方舟は独立してる」
突然、確信に満ちた声を出したのは、角又だった。
「角又…?」
「方舟は独立してる。…多分、宇宙船の脱出ポッドみたいに。施設が海に沈んでるとしても、方舟は海中に放出できる。…ちゃうか?」
「らしい。書いてある」
角又の発言を肯定したのは、秋ヲだった。
「あんた、なんなんだ」
「角又、あの…」
「ちょっと待ってくれ」
秋ヲと花の疑問の声を遮るように、角又は言った。
「オレも、何か、ようわからん。確認したいんで、彼女がいたらしい発電所のあたりに行ってくるわ」


「それでデスネ」
朔也が話を続けた。
「もし花さんたちが方舟を救出できたら、その後は新巻さん達の出番です。花さんたちの無事を確認してから、小佐渡を切り離してもらいます。やり方は秋ヲさんの指示で。
その後、3本ある縦孔の海面から下の部分を閉鎖します」
「どれもホントにできるなら…だな」
秋ヲが朔也の提案を聞いて反応した。
「まぁ、そもそも方舟まで行けなかったら、そんときゃ全部ナシ。逃げようぜ」
次に新巻から要望が出た。
「流れ込んでくる地下水をなんとかしてください。これ以上増えると動けなくなります」
新巻の提案を受けて朔也が応えた。
「ハイ、そこは鍵島のほうで、虹子さん、お願いしマス。お蘭さんや茜さんたちと合流して、一時的にでも地下水の流出を止めてくだサイ」
朔也はまとめた。
「つまり、鍵島組は水を止める、花さんたちは方舟を探す、新巻さんたちはその後の佐渡の閉鎖、以上、役割分担でお願いしマスー。ボクも佐渡側に行きマスー」


みんながそれぞれの目的を持って動き出した。
まず刈田が、蘭、牡丹、ちまきと合流。
刈田が満身創痍の蘭を背負って牡丹とちまきと共に移動し、無事に虹子と合流した。

まつりは、涼を追うと右往左往したあげく、小瑠璃のアドバイスもあって涼が残した目印を見つけた。どうやら涼は佐渡方面に向かったらしい。
まつりは佐渡方面に行こうかと考えた。

「小瑠璃、どうする?一緒に行く?」
ハルは小瑠璃に尋ねた。
「佐渡へ行く。…でも、その前に取ってきたいものがある」

小瑠璃は、秋ヲに、暖炉のあった部屋へ行けるかどうか質問した。ちょうどタイミング良く、桃太郎と蛍が秋ヲの元へ戻ってきた。
「秋ヲさん、ダメだったー!上のほう、アリだらけ!」
「卵も幼虫も運んでて、水から避難しようとしてるんです」
秋ヲは小瑠璃に伝えた。
「…てなワケで、部屋までは行けないようだぜ」
ハルは、小瑠璃に、暖炉の部屋で何を取ってきたかったのか尋ね、小瑠璃はグライダーだと答えた。
「グライダー?!あんな、大きくて重い…。使うことないでしょ?」
「うん…邪魔だし、ここでは使わないと思う…でも…」

小瑠璃はハルの言葉を肯定しながらも、自分はグライダーを持っていなきゃいけないと思う、と答えた。
あのテストの時、もしグライダーがあったら、繭ちゃんのところへすぐに行けた。それに、安居たちとの通信の時に聞こえたが、佐渡には強い風が吹いている。
だから、グライダーを持っていなきゃいけないと思う、と。

「うん、じゃあ、アリをかきわけて、取りに行こう。小瑠璃の荷物は、オレが半分持つよ」
ハルはニッコリ笑って小瑠璃に言った。
「あのー、これ」

まつりが荷物からタオルと洋服を出して小瑠璃に差し出した。

「ミミズのフンに漬かった服とかタオルとかー、これ持ってたらアリがあんまり寄ってこないから、貸すよ。水で洗ったけど、まだくさい…」
小瑠璃は、まつりがごく自然にものを貸してくれたことに、ちょっと感激した。
「ありがとう…えっと、まつりちゃん…」

お掃除ロボから蛍の注意が届く。
「みなさん!アリには攻撃しないでください。あの人たち、人をエサにする気はないんです」
「そうそう」
すぐ近くから声が聞こえた。朔也が、まつりたちのところにやってきたのだ。
「戦った人たちだけが噛まれたみたいヨ。…朔也デース!」
朔也はややチャラいくらいに明るく、まつりに自己紹介した。
「うわー、かわいい人ですネー!まつりちゃんでしたっけ?」
「えー、ウソくさーい」
「あわわ、ボクも一緒に行ってイイデスカ?こっち行くと、佐渡へ向かうルートなんですヨ」
「そっか、涼くんは安居くんのところに行くかな。…じゃあ、小瑠璃ちん、あたし、行くねー!」

まつりはあっさりと朔也との同行を決め、小瑠璃とハルに手を振った。
「あ…あの、まつりちゃん!」
小瑠璃は大きな声でまつりに言った。
「いつかまた、くりくり同盟を作ることがあったら、入ってもらえますか?」
「おっけー!」
まつりは満面の笑顔で手を振り上げた。

こうして、ハルと小瑠璃、まつりと朔也は別々のルートへと歩き始めた。
まつりは朔也に尋ねた。
「…くりくり同盟って、何?」
「ボクに聞かれても。…あなたも調子いいですネ」



涼は洞窟の中を静かに進んでいた。
手には銃。視線の先には人影。
涼は、その人影を要さんだと確信していた。

「要さん。安居のところへ行く気だろ。…させねぇぜ」
次号へ続く。


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