ネタバレ

April 10, 2016

7SEEDS 空の章1

以下のあらすじは、7SEEDS 山の章28 和みからの続きです。

2016年3月28日発売 2016年フラワーズ5月号掲載分で、既刊単行本未収録分となります。
従って、7SEEDSを単行本で読み進めている方にとってはネタバレとなります。

■あらすじINDEXはこちら

単行本で読み進めている人、ネタバレを読みたくない人はこの先読み進めないようご注意ください。

なお、あらすじは、感動的なシーンや印象的なセリフを極力書き込みすぎないように心がけています。本物の感動は単行本または本誌でどうぞ!

【注意!この先ネタバレがあります】

【震災復興支援クリック募金】
■ハーティン
【本・DVD・ゲームを寄附】
■Books For Japan
【ベルマークを集めて復興支援】
■ベルマーク教育助成財団
【被災企業に寄付+投資】
■被災地応援ファンド

おすすめ!↓ 



「灯りが…消えた…」

暗闇の中で、花はつぶやいた。お掃除ロボの通信機能は生きている。

暗闇の中で機械音声が聞こえた。
「発電所が停止しました。予備電源も応答なし」
お掃除ロボからの音声だ。
お掃除ロボからは、他のエリアにいる仲間たちの声が聞こえて、それぞれの様子も伝わってきた。他のメンバーの場所も同じく停電したのだ。

「また真っ暗、イヤー!」
「イヤーッ!」
朔也と蝉丸が騒ぐ。
花とナツは冷静だ。

「あれ…でも、なんだかぼんやり明るいですよ?コケか藻が光ってるみたい」
ナツの声に、男2人は黙った。
「それに、あの…あたし、ロウソクたくさん持ってます。今日見つけたんで」
とナツ。
「あ、あたしも松明は持ってるわ」
と花。
朔也は、ついさっきまで叫んでいたことなどなかったかのように
「光る植物とか、作ってたんじゃないんですかネ?大抵、海の生物の光る遺伝子を…」
などと講釈を垂れ始め、蘭のツッコミを受けた。

花は落ち着きを取り戻し、秋ヲに現状を伝える。

「秋ヲさん、とにかく暗証番号が合わないんで、方舟に続くこのドアは開きません。…方舟は自分で発電できるのか…ドアのロック機能は生きてるみたいです」

「パソが飛んだ。他の手はわからんな」
秋ヲが暗闇の中で答える。

花は考えをめぐらせた。 さっき、秋ヲが言った「スタッフの指紋とカギでも開く」という情報も気になるが、それは今はどうしようもない。ナツの話によると、周囲の水位も上がってきているようだ。

「…戻ったほうがいいか…」



発電所から守衛室へと戻る途中の角又とあゆ。
幸い、カンテラが1つあった。
「…電気が止まったんやったら、途中あったスピーカーも使えんてことか」
「守衛室に戻っても、使えないのね」
「くそー、おしゃべりロボットを探すしかないんかい」
角又とあゆは、足を速めた。



ハルと小瑠璃。
迷う前にいた最初の部屋からハンググライダーを取って中央コントロールルームへと戻る途中で暗闇にまかれたが、幸い、カンテラと油の予備を持っていた。
「ゴウゴウ言ってた音が止まった。…発電所の音だったんだな」
「静かになったね」

静けさの中、ハルの耳がかすかな音を捉える。

「足音が聞こえる。2人分」
「なにも聞こえないよ?!この通路?」
「違う…でも、並んでる感じ。このあたりのパイプはつながってるのかも」

小瑠璃は、ハンマーを取り出し、パイプを叩いた。



先を急ぐ角又とあゆ。
あゆの犬黒田が、通路脇で立ち止まった。

「どうしたの黒田?行くわよ?」
あゆは、黒田を抱き上げようとして近くのパイプに触った。
指先に、規則的な振動が伝わってくる。

「なんや?」
「しっ!」
怪訝そうな角又を、あゆは制止しパイプに耳を当てる。ハンマーを取り出し、叩いた。


小瑠璃とあゆは、パイプを通じてモールスでつながることに成功した。

「発電所でスタッフのノート見つけた。内容をみんなに伝えたい」
「じゃあ、あたしがきいてみんなに伝えるよ」

小瑠璃があゆのモールスを通訳しようとするのを、安居が制止した。

「あゆの音は聞こえている。通訳はいらない、そのまま打たせろ」
「こっちも、聞いてます」秋ヲのそばにいる、中央コントロールルームの鷭。
「僕も。…念のため、虹子さんも聞いてください」
地下水排出作業チームの源五郎、虹子。
「あ…あたしも、わかると思う」と、花。

あゆのモールスに、みんなが耳を傾けた。

「誰か、大柱群って見た?どのくらい傾いてた?」
安居が答え、小瑠璃がモールスであゆに伝える。
「傾いているとかいうレベルじゃなかった。特に、西の方は、倒れてるのもいくつかあった」

あゆは、理可子のノートの内容を伝えた。

まず、柱の傾きが30度を超えているようなら、多分、手遅れ。
何もしないほうがいい。
あの2人は、もっと近い未来を想定してた。
次に、重要なのが発電所。動いている限り、なんとか秩序を維持しているはず。
もし、発電所が停止したら、あらゆるブレーキが外れる。
予備電源を入れてみて、もし、入るなら、その間に逃げて。
くれぐれも、電気の止まった状態で小佐渡を切り離したりしないように。大変なことになる。
おそらく、防止弁が作動せず、海水がどっと入ってくる。
海水と土砂で、施設は崩れていく。
電気は止まってても、隔壁は重さで勝手に下りてくる。
それがかえって厄介になる。
ガス漏れにも注意して。パイプラインが老朽化してる。
引火したらもちろん、大爆発になる。
水と火と土と水が一気に襲ってくる。
方舟は、多分唯一それらに耐える。
だから、最悪、方舟に乗って脱出する方法が、なくはない。

モールスが理解できる人間の間で素早く情報共有された。

その情報を元にそれぞれが次の行動の検討を始める。

小瑠璃・ハルは、発電所へ向かい、予備電源を入れる。
あゆは、予備電源を入れる方法が書かれている理可子のノートを持って、小瑠璃・ハルに発電所で合流することにした。

安居・嵐・新巻、そして涼とまつりは、小佐渡切り離し作業中止を了解した上で、念のため切り離し作業のために行く予定だった機械室へ行くことにした。

「花…、いてるか?」
角又が、あゆのモールスの通訳を通じて、花とコンタクトを取った。

「方舟はどうなってる?」
「今、方舟の分厚いドアの前にいる。でも、暗証番号じゃ開かなかった。スタッフの指紋とカギでも開くらしいけど、それは無理だし、だから入れない」

角又は、花の言葉でピンと来た。
さっき、理可子のふところから取り出した、ビニールに包まれたアイテム。それだ!

「ある!あるで!花!オレもそっち行くわ、方舟に行く、道教えてくれ!」

あゆが角又の言葉を伝えつつ、方舟の中には角又の子供が入っていることを伝えた。

角又が方舟に行くとしても、あゆと角又のもとにはお掃除ロボはない。
方舟への道案内は無理かと思われたが、思わぬ連携プレーで情報が伝わった。

まず朔也。頭の中には鍵島・佐渡・発電所の地図が入っている。
朔也は、口頭で発電所から方舟へ向かうルートを説明した。

「…行き当たったら右デス、すぐ階段、一番下まで降りて左・右・左。階段下りて正面のドア、それを開けて右…」
朔也は複雑なルートを完全に覚えていた。
さらに、途中でお掃除ロボらしきものを見かけたことも指摘し、その場所も教えた。
朔也の説明を、小瑠璃がモールスであゆに伝える。
あゆはモールスを聞きながらメモを取った。

花・ナツ・蝉丸は、思わず朔也に拍手を送ったが、朔也は「フツーですよ?」と涼しい顔だ。

角又は思わずつぶやいた。
「…なんか、おのれらどいつもこいつも…やるやん?」

花・ナツ・蝉丸・朔也は、途中までボートで角又を迎えに行くことに決まった。



あゆは、朔也が説明した道順をメモ書きにし、角又へ渡しながら言った。
「じゃあこれ、道順。わたしは発電所に戻るから、ここでお別れね。…カンテラ、持ってって」
「…あんたは?」
「小瑠璃ちゃんと合流するまでだから、大丈夫よ。一本道だし。ロウソクも持ってるし、木の枝をくり抜いて松ヤニもどきをつめたやつも。結構、長持ちするのよ」
「…まぁ…ほな、気ィつけてな」
「あなたも」

あゆはあっさりと背中を向けたが、角又が呼び止めた。
「あ…オレそのノート、まだ全部読んでへんから…」
「あとでちゃんと返すわよ」
「なんやろ…」

角又とあゆの視線が合う。角又が口を開いた。
「…妙に、名残惜しいわ」
「…あの…」
あゆは一瞬目を伏せ、角又の目を見返して言った。
「いろいろ、ありがとう。…多分、勉強になったわ」

角又は思わず「ええええええええ?!」と素っ頓狂な声を出した。
「何よ!お礼言ったのに」
ムカッとするあゆ。
対して角又は、破顔一笑という感じの満面の笑みを浮かべて、言った。

「あんた、絶対新巻さんと合うわ。そのままでぶつかっていったらええんちゃう?…ほな」

角又とあゆは、反対方向へと歩き始めた。
角又は、あゆにかけた言葉の続きを、心の中でつぶやいた。

…花は、新巻さんに体当たりは、できへんからな…。



花・ナツ・蝉丸・朔也は、ボートで角又を迎えに行くために移動を開始した。

「…角又迎えに行こう」
「そいつ、子供いんの?」
「あたしも初めて聞いた」

花は、ずっと足元が冷たい、と思った。

…確かに、水が増えてきている気がする。
…さっきの、ノートにあったという言葉。「手遅れ」
…この、心臓がきゅっとする感じ。
…最悪、方舟で脱出する。
…それってかなり、一か八かだ。
…一応、心に留めとこう。



安居・嵐・新巻・涼・まつりは、機械室についた。
ずっと、どこからかゴゴゴ…という重苦しい音が聞こえていた。

「秋ヲ、機械室とかいうところに着いたぞ」
「…なんの音だろ、電気は止まってるんだよな」
「何か…動いてる…?」

秋ヲは暗闇の中で、さっきパソコンで見た情報を伝える。
「そこに、でっかいレバーみたいなのが30コほど並んでいるらしい。あるか?…手動の場合、そいつで小佐渡を切り離すらしい」

カンテラで空間を照らすと、大きな機械が見えた。
レバーらしきものは、1つ1つが軽自動車くらいの大きさの箱の上に設置されていた。

「…ここは冷えるな…」
ブルッと震えながら嵐がつぶやいた。

新巻は思った。
…底冷えがする。
…あの、雪の大地の、冷えだ。

安居が秋ヲに確認する。
「とにかくこれは、触らずにいた方がいいんだな?」
「…何か、おかしなところはないか?」
「…特に…」

安居が答えようとしたちょうどその時、すぐそばで大きな機械音がした。

ギッ。ガコン。

「えっ?」
「こっちも!」

レバーがひとりでに動き出している。

「レバーが勝手に…、ちょ、待って!」

嵐がレバーに飛びついて動きを止めようとしたが、逆にレバーに弾き飛ばされた。

「ダメだ!人の力じゃ!」
「秋ヲ!手動のはずが、勝手に動いてる!」
安居が叫んだ。
「勝手に小佐渡を切り離してる!」

空間の中のレバーたちは一斉に動き出した。機械の動くギギギ、ガコンという重苦しい音が空間を満たす。

秋ヲがつぶやいた。
「…手遅れ、って…そういうことか。小佐渡にひきずられて、ちぎれてしまうのか」
「さっきのスタッフの話が正しいなら、海水が入ってくる」
涼の言葉に、まつりが驚きの声をあげた。

新巻の顔色が変わった。
「…花さんたちが、まだ、小佐渡側に…」

新巻は手近にあったバールのようなものを必死でレバーに噛ませたが、そんなものではレバーは止まらない。

新巻は叫んだ。

「花さん!そこから逃げろ!」
「小瑠璃!電力を戻せ!」安居も叫ぶ。
「まだ着かない!」小瑠璃も叫ぶ。

「花!」「花!」

嵐と安居が、同時に花の名を呼んだ。
嵐は一瞬、安居の声にひるんだ。安居は続けて叫んだ。

「お前が一番、動けるだろ!ナツと蝉丸を守れ!間違うな判断を!状況を必ず読め!」

花たちがいる空間にも、重苦しい音が響いてきた。

花たちがいる空間。さっきまでは、ただの洞窟の中の水路だった。
今、重苦しい音とともに、天井から隔壁が降りようとしている。いくつも、いくつも。

「え?壁?隔壁?こんな洞窟なのに、きっちり閉まんの?…急げ急げ!」

蝉丸はあせってボートを漕ぐ手を早める。
ナツはつぶやいた。
「水が…、水が、また、増えてます」

花は、さっきのモールスの言葉を反芻しながら、思った。
…隔壁は、重さで勝手に、下りてくる。
…海のにおいだ。


角又は、やっとお掃除ロボを見つけることができた。

「花!聞こえるか?…もうちょっとで着くわ。このへんな道、まっすぐやな?」
「角又…」

花は呆然とつぶやいた。
「…間に合わない…、走っても…、カギと指紋、間に合わない…」

角又は、花の言葉の意味がわかった。
自分が行こうとしていた道が、ゆっくりと閉ざされていく。
隔壁が下りてくる。何重にも何重にも。

「花、他に道は?」
「わからない…ない!」

角又は、理可子が残したアイテムを握り締めた。

…これを。理可子さんが残した、これを。
…なんとかして届け…。

角又は、理可子の弓を見た。

…割れるな、弓。
…クモの糸、保てよ。

角又は、矢の先に、アイテムの入ったビニールを差し込んだ。

…重さのせいで、どう飛ぶかわからない。どれだけ飛ばせばいいのかも。
…的がわからん。
…三十三間堂の通し矢は、60メートルで競う。けど昔は、端から端まで120メートルやった。
…射流しやったら400も飛ばせる。…けど、空に向けて射った場合や。

角又は構え、つぶやいた。
「どこにも、ぶつかるな」

角又は弓に矢をつがえ、放った。

「花!頼む!」

次号へ続く。


■あらすじINDEX
■ブログ更新状況はブログ右サイドの「次の更新は…?」欄でお知らせします!
※ブログ右サイドはスマートフォン等PC以外のデバイスでは表示されないことがあります。





reading7seeds at 00:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)