ネタバレ

June 10, 2017

7SEEDS 最終回 今日、そして明日(後編)

【注意】この記事は 7SEEDS 最終回ネタバレの 後編 です【注意】

以下のあらすじは、最終回 今日、そして明日(前編)からの続きです。

2017年5月28日発売 2017年フラワーズ7月号掲載分で、既刊単行本未収録分となります。
従って、7SEEDSを単行本で読み進めている方にとってはネタバレとなります。

■あらすじINDEXはこちら

単行本で読み進めている人、ネタバレを読みたくない人はこの先読み進めないようご注意ください。

※最終回は100ページという長編です。
物語は一続きなのですが、記事があまりにも長くなりすぎてしまうのでやむを得ず前後編に分けました。ご了承ください。

なお、あらすじは、感動的なシーンや印象的なセリフを極力書き込みすぎないように心がけています。本物の感動は単行本または本誌でどうぞ!

【注意!この先ネタバレがあります】

【地震災害支援情報】
■WEBベルマーク1日1クリックだけで震災支援できます
■赤十字
【本・DVD・ゲームを寄附】
■Books For Japan
【ベルマークを集めて復興支援】
■ベルマーク教育助成財団
【被災企業に寄付+投資】
■被災地応援ファンド

↓熊本応援の気持ちをTシャツに込めて!↓


Gポイント





鍵島にいたメンバーも続々と暖炉の部屋に集結してきた。
しかし、暖炉の部屋はぎゅうぎゅう詰めの混雑で、地上へ進めないように思えた。なぜなら、アリが大量にいるからだ。
部屋中央にはひときわ大きなアリがいる。暖炉のまわりをぐるりと取り囲みそうな大きさの体だ。

「うぇっ…あれ、女王アリ?」
「うわー…」

蛍が言った。
「みなさん、手を出しちゃダメ…です」

蛍はおそるおそるアリの前へ進み出た。
蛍と顔の大きさが同じくらいの大きなアリが、蛍の体を触覚で何度か触る。蛍はひるみながらも踏みとどまり、アリのしたいようにさせた。
しばらくするとアリは蛍に背を向けて、群れの中へ戻っていった。

「もしかして仲間認定してくれたのかしら…?一緒に働いてたから…」
源五郎が補足した。
「アリの巣って本当にいろんな生物が同居してて、なぜか襲われないんですよ」

こちらから攻撃しない限り、アリは襲ってこない、ということがわかって、一同はゆっくり、アリの群れを避けながら地上を目指した。
ここを抜ければ、夏のBチームが乗ってきたぞうとらいおんまるを見つけて佐渡へ向かう。
船の操縦は、牡丹と一緒に虹子が手伝うことになった。



やがて。
佐渡側にいた、藤子とちさが合流。
ひばりも仔犬を連れて合流した。仔犬達は新巻めがけて突進し、新巻は仔犬たちにもみくちゃにされた。

そして。ぞうとらいおんまるも、無事に佐渡へ上陸。
百舌を除く全員が一同に集まった。

無事を喜び合う者。初対面のあいさつを交わす者。紹介し合う者。
お掃除ロボでのサポートを感謝したり、健闘を讃え合う者。
新の誕生を祝福する者。新をあやす者。

牡丹がみんなを見つめてつぶやく。

「不思議…。みんな地下に入る前と、顔が違う…」
「うちの連中もそうよ」
蘭が、牡丹の言葉に同意した。
牡丹は、蘭の顔を見て微笑んだ。
「きっと、あなたもそうでしょう?産まれてきたのね…、もう一度」

牡丹は、思った。

…細くて長い道を、さまよって、苦しんで、傷ついて、救って、救われて。
…光の中に出た。
…まるで産道を抜ける赤ん坊のように。
…もう一度、産まれてきた。
…この世界で生きるために。
…ここで、生きていくために。



「あ、そういえばナツ。前から言おうと思ってたんだけどさ」
蝉丸がナツに話しかけた。
「おまえ、作家になれよ」
「は…はぁ?!」
ナツは、思いがけない蝉丸の言葉に素っ頓狂な声をあげた。
「おまえ、結構本読んでるし。いや別に新しく小説書け、ってんじゃなくてよ。おまえが思い出せる話をテキトーにまとめたり、テキトーに作ったり、くっつけたり、形にしたらどうよ、ってこと。新にだって、絵本とかいるだろ?」
蝉丸の背後からちまきが顔を出した。
「挿絵、しようか?」

ナツは思った。
…さっ…か…。
…そんなこと、考えたこともなかった…。

ナツが思わぬ目標を見つけてときめいているそばで、蝉丸の興味はすでに涼に移っていた。

「そういや涼ちん!てめえ!あそこじゃかばってやったけど、オレらを殺そうとしたってホントか?」
「したな」
「このヤロウ!」

蝉丸は涼に殴りかかろうとして、あっさり返り討ちに遭った。
涼は蝉丸をつかんで投げ飛ばしたのだ。
「1本!」まつりがすかさず右手を上げる。
「フン」
ドヤ顔の涼は次の瞬間、あっさりと投げられて地面に転がされた。

「い…1本!見事な1本です!」
まつりの声が響く。

涼を投げたのは刈田だった。
「スキだらけだ。…こんなとこで人を投げたら、ケガさせるかもしれないだろ」
「くそ…」

涼は、立ち上がりながらつぶやいた。
「どうして…殺そうとしたんだろうな…」

安居は、遠巻きに集団を眺めながら、思っていた。
…要さんは、いないんだな…。


日が暮れた。
火を焚いて、源五郎が司会となって今後について話し合いが始まった。
「当面、これからのことですが」

源五郎が口火を切り、他のメンバーも意見を出していった。
まず、この島の全体像を把握することが必要。
地形はもちろん、食料、危険な生き物、動植物の個体数、捕食関係などを調べる。
とはいえ、年間の気候状況や降水状況がわからない以上、すぐには住居が建てられない。
佐渡自体が安全なのかどうかも、まだわからない。
大人数が一緒に生活するとなると、土も水も一気に汚染が進む。
排泄物と生活排水の徹底した管理は必須事項だ。

牡丹は微笑みながらそばにいる蘭にささやいた。
「ふふっ…。旅とサバイバルの日々だったのに、これからは日常の生活になっていくのね」
「それが何より重要よ。…たとえ、何度やり直すことになっても…」

話し合いは、やがてみんなの眠気によって停滞しはじめた。
源五郎はまとめた。
「…皆さん、休んだほうが良さそうですね」



少しずつ「生活」が始まった。
安居と涼だけは、少し離れた場所で別行動している。とはいえ、まつりなどは頻繁に行き来しているので、2人が完全に孤立しているわけでもなかった。

ある日、嵐は海で、あるものを見つけた。たちまち人だかりができる。
「どうしたの?」
何事かと人だかりに寄って来た牡丹に向かって、嵐が言った。
「牡丹さん!海岸で、手紙入りのビンを見つけたんです」
「あなたが前に流したやつじゃないの?乙女クン」
「ビンが違うんですよ!」
蝉丸はニヤッと笑いながら言った。
「そんな渋いことをするヤツがおまえのほかにもいたとは。大昔の手紙かな?」

嵐はビンのフタを開け、中の手紙を取った。
「…英語!誰かわかる人!」
「貸しなさい」
蘭が手紙を受け取り、日本語に訳しながら声に出して手紙を読んだ。


『親愛なる日本のトモダチ、アラシへ

あなたが海に流した手紙を拾いました。大変驚きました。今も存命でしょうか。
わたしはアメリカ人で、7SEEDSプロジェクトの生き残りです。
大きく崩れた西海岸を旅して2年、数日前やっと別のチームに出会えました。
あなたともいつか会えるといいですね。お互い生き延びましょう。
遠くより幸運を祈ります。

チームフロンティア アーサー・ベネイ
チームディスカバリー  ブライアン・デンソン』

アメリカにも人がいる。
大きな衝撃と感動と期待が広がった。

「チーム名がアメリカくさいー」とまつり。
「人がいるんじゃねえか!いるのかよ!いるのかよチクショー!めちゃくちゃホッとしたわ!」
蝉丸は怒ったような口調で涙ぐみながら感動していた。
「もっといそうですネ。ヨーロッパとかも、きっとたくさんいますヨ」
朔也はいつも通り、淡々としている。
新巻は手紙の差出人の名前に反応していた。
「アーサー・ベネイと…ブライアン・デンソン…」
「何か?」
牡丹の質問に、新巻は答えた。
「いえ…メジャーリーグの若きスターに、そんな名前の人がいるんですよ。いた、というべきか。…本人だったりしてね」

蝉丸は嵐にビン手紙で文通しろと無茶振りをしたり、英語の勉強をしなきゃと頭を抱えたり、忙しい。
勉強、という言葉に角又が反応した。
「…アメリカに、方舟のことわかるお人はいてへんのかな…。オレも、勉強せなな。なんとかして、方舟の子供たちを解凍してやらんと。いつか、息子に会うためにも」


少しずつ、生活が進んでいく。

「ごはんですよー!」
ナツは大声でみんなを呼んだ。

…ここに来た時は、大声も出せなかった。
…友達もいなかった。気力も体力もなかった。
…生きていけないと思った。
…でも。
…お父さん。お母さん。あたしは今、笑っています。
…心配しないでください。大丈夫だから。元気でいます。
…今日の日を、くたくたになるまで頑張って、明日が予定通り訪れる、それが当たり前になるように、そんな世界になるように、1つずつ学んで、試して、力を合わせています。
…わたしたちは、今日も、この場所で。
…生きています。

「ナッちゃん!」
花がナツを呼んでいる。
「川向こうの、でっかい木の実取りに行こう!そしたら、名前つけてー!」
「はい!」

ナツは力強く返事をした。

  【終】

※7SEEDS番外編は8月28日発売 フラワーズ10月号から掲載予定です。


■あらすじINDEX
■ブログ更新状況はブログ右サイドの「次の更新は…?」欄でお知らせします!
※ブログ右サイドはスマートフォン等PC以外のデバイスでは表示されないことがあります。





reading7seeds at 00:01|PermalinkComments(26)