ネタバレ

December 10, 2014

7SEEDS 山の章13 追跡

以下のあらすじは、7SEEDS 山の章12 共鳴からの続きです。

2014年11月28日発売 2015年フラワーズ1月号掲載分で、既刊単行本未収録分となります。
従って、7SEEDSを単行本で読み進めている方にとってはネタバレとなります。

■あらすじINDEXはこちら

単行本で読み進めている人、ネタバレを読みたくない人はこの先読み進めないようご注意ください。

なお、あらすじは、感動的なシーンや印象的なセリフを極力書き込みすぎないように心がけています。本物の感動は単行本または本誌でどうぞ!

【注意!この先ネタバレがあります】

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嵐は、「新巻鷹弘」の名前を聞いて、あの時の自分の態度を心から悔いた。

…ボロボロの服を身にまとい、長く伸びた髪と髭で顔もよくわからなかったあの人。
…あの人が、新巻鷹弘。
…あの時の自分のひどい態度は、穴があったら入りたいくらいだ。

嵐は、しばらくその場に座って、お掃除ロボから流れてくる声からいろいろな情報を得ることにした。

まずハルが、新巻についての情報を教えてくれた。

新巻は、自分たちより早く解凍されて生きてきたこと、冬の仲間全員が死んでしまった後、15年間1人でこの世界をさまよっていたこと。
嵐はあの時の新巻の言葉の重みを感じていた。

『あなたは1人じゃない。ここでは、それはとても素晴らしくて、とても大切なことなんだ』



花、藤子、ちさの3人は、消えた新巻の手がかりを追って、松明を手に、謎の施設の中へと進んでいた。
どこへ続くかともわからない廊下の天井には、クモの糸が奥へと続いていた。

「やっぱ、言おう。ねぇ、花…」
先へと歩く花の背後から、藤子が声をかけた。
「藤子ちゃん?」
「さっき…間に合わなくてごめんね。あたしたち、邪魔になるかな?あんたをこんな化け物屋敷に1人で行かせられない、でも、あんたの足手まといになるのもイヤだ。あんたみたいに動けないからさ…さっき、自分にがっかりしたよ…」

藤子は思いつめたような表情をしている。

花は、藤子とちさに、さっきまで自分が見ていた幻覚について話し出した。
花の言葉はお掃除ロボを通じて、嵐にも、他のメンバーにも共有される。

「あたしが見てた幻覚って、未来へ来てないって設定だったの。
両親も、嵐もいて、学校に通って…昔どおりの日常があったよ。
でもそれって、藤子ちゃんにもちさちゃんにも会ってないってことなんだ。
それがとても、耐えられないほど、悲しかった」

花は、しっかり顔を上げて、藤子とちさの目を見て、言った。

「どんなに危なくて怖いところでも、ここに来てよかったんだって思う。…一緒にいたいよ。滅茶苦茶危なくて、また勝手して、迷惑かけると思うけど…」

花の目から涙がこぼれた。花は思わずうつむいた。

「だって、2人が来てくれなかったら、あたし、クモのエサだったんだよ。…まだ、言ってなかった。…ありがとう」

「花…ちがう!ごめん!」
藤子も花につられて涙目になりながら言った。
「わかった!泣き言言うのやめる!…ちょっと自信喪失したんだよ。ごめん、行こう!」
「…うん…」
「…そうですよ、藤子さん。花さんみたいにできないのは当たり前、一緒に行きましょう」

3人は気持ちを確かめ合い、また奥へと進む。
ちさは、薙刀をやっていたから、少しは役に立つかもと細い棒のようなものが欲しいと言うが、それらしいものは見当たらない。藤子が、二股になっているしっかりとした木の枝を見つけて、ブーメランの材料に、と花に渡した。


蛍が、花たち3人の新巻捜索の会話に割って入った。

「あの、そっちにアリはいないんですか?アリの巣穴とかは?」
「1センチくらいのアリは、森にたくさんいたけど…」
「いえ、人サイズのアリです」
「人サイズ?!いえ、見てません」

源五郎は、大型モニターに映し出されているお掃除ロボの印から、花と蝉丸の位置を探そうとしていた。

花のロボは、アルゴ。蝉丸のは、ペルセウス。

「…ないな、アルゴもペルセウスも。
花さん達と蝉丸さん達は、おそらく佐渡側にいるんです。
…佐渡の地図はここにはない。どこかにあるのかもしれないけど、僕には操作できない。
嵐くんのケンタウルスはあります。僕らからはだいぶ離れてる。東の端です」

「サド、ってどこよ?」と蝉丸。
「どうやって行ったんだ蝉丸?」と嵐。
「知らねぇよ。へんなお椀みたいなボート?で水路を流されてさ」
「今も水路で行き来できるのか」と源五郎。

蝉丸は隣でナツが泣いているのを見て言った。
ナツは、嵐たちの再会に感激して泣いていたのだが、蝉丸はナツにズレまくったツッコミをした。
「…って、ナツよ。いつまでも泣いてんじゃねーよ!」
「…はい」
「嵐は、花にやれ!オレがいるだろーが!」

お掃除ロボを通じて、一斉に蝉丸へのツッコミが入る。
「蝉丸、聞こえてるぞ」
「聞こえてます」
「いやぁぁぁぁぁぁ!」
蝉丸は頭を抱えた。

蝉丸とナツは、とりあえずお掃除ロボの小さい明かりを使って、ナツが見つけたロウソクをなんとか使おうと動き始めた。

蝉丸チームと花チームのお掃除ロボが佐渡側にいるのなら、会えるかもしれないという希望がある。そして、花が遭遇した巨大クモに遭う危険もある。
逆に、蛍が遭遇した巨大アリは、今のところ佐渡側にはいない。

源五郎が、巨大クモと巨大アリは、お互いに多少の棲み分けをしているかもしれないという可能性を指摘した。

源五郎は、新巻について花に尋ねた。
新巻は犬たちと一緒に行動していなかったのか?と。 花は、吹雪と美鶴さん、その他の成犬たちが大勢山火事で死んだことを告げた。

源五郎は、花に告げた。

「花さん。この施設の人たちは、死ぬとわかってて幻覚を見ることを選びました。…その方が、幸せだったから。新巻さんが、そうじゃないといい」
「新巻さんは大丈夫です。強い人だから」

花はそう答えながら、なぜか心の奥がヒヤリとした。
花は心の中でつぶやいた。

…大丈夫、どんな幸せな幻覚を見たって、それはウソだ。それで命を捨てたりしない。
…だって、15年も、たった1人で生き抜いてきた人なんだから!



「…誰のとこの音?ゴウゴウ言ってる」

暗闇の中で耳をすましているハルの指摘で、花たちは気づいた。
花たちはホールのような、広くて天井の高い部屋にたどり着いていた。
そこから、何か機械音のようなゴウゴウ言う音と、風を感じる。
巨大な通風孔か換気施設でもあるのだろうか。

「天井が高い…うわっ!下がって!」

松明に照らされた天井は、一面クモの糸が張り巡らされていた。
暗いのとクモの糸とで、上のほう、天井の奥が全然見えない。

蛍が指摘する。
「こっちでも、クモはそういう場所に巣を作ってました。縦移動で襲ってきます。気をつけてください」

花たちは慎重に観察する。
さっきのクモかわからないけれど、上のほうにクモの姿が見えた。
他に何匹いるのかわからない。
クモの網にかかった動物の残骸もある。
源五郎が指摘したように、体液を吸われて皮だけが残っているようなスカスカな遺骸も。

花は、床に何かが落ちているのに気づいた。
カバン。
見覚えがある。
…これは、新巻の荷物。

花は視線を上にやった。

「新巻さん!!」

新巻はクモの糸でぐるぐる巻きにされた状態で、宙吊りになっていた。

「新巻さんだ!あれ!助けなきゃ!」
「花、ダメだ」
新巻の姿を発見して動揺しまくる花を、藤子が抑える。
ちさは、源五郎に質問する。

「源五郎さん、クモに聴力はあるんですか?」
「本来、クモに耳はありません。空気の振動で聴く」
巨大な空間を満たす、ゴウゴウ言う何かの機械音のおかげで、クモは花たちに気づいていないのだ。

「火でクモの糸を焼き切れたとしても、新巻さんは落ちるね」と、藤子。
「全然動いてない…まさか…」と、ちさ。
花は源五郎に尋ねた。

「クモって何が天敵ですか?」
「ある種のハチとか、鳥とか…コウモリは食ったり食われたり、自分より大きいものはエサになる」
「どうしよう…どうしたら…」
「せめて意識が戻ってくれたら…」

嵐が声をあげた。
「じっとしていられない。オレも行きたい、佐渡へ」
源五郎が、嵐の近くの水路が佐渡へつながっている可能性を指摘した。

嵐は気づいた。
…あの水路は、安居が行った方向だ。
…安居に、先に行かれたらまずい。

「…行ってみます。佐渡に、つながってるかも」
「嵐?無茶しないで」
「花ほどの無茶はしない。…でも、今無茶しないで、いつするのさ」

嵐はお掃除ロボを抱えて、水路に足を踏み入れた。
水の流れは速いけれど、深くはない。

嵐は言った。
「…そっちに行く。花、今も、これからも、そばにいる」



花は、嵐の言葉が心強かった。

…嵐が来てくれる。もうすぐ、会える。
…でも。
…それまで待っていられない。

クモが、キノコの卵嚢らしきものを持って新巻に近づいていく。
源五郎が告げる。

「その卵嚢は、菌糸を伸ばして生き物の血管へ入り込む。それに取り付かれたら終わりです」

花の頭はフル回転した。
音。空気の振動。

「ハル、あんた笛持ってたでしょ。ある?」
「あたし持ってます」と小瑠璃。
「小瑠璃さん?合図したら吹いてもらえますか?思いっきり、高い音で」

花は、藤子からお掃除ロボと松明を受け取り、走り出した。
「隠れてて!荷物、見てて!」

花は、新巻が吊られている近くに、お掃除ロボを置いた。
位置関係を確認する。

…大丈夫、見えてる。何メートルか先くらいは、見えてるよ、嵐。
…新巻さん。幻覚の中であなたがいないこともさびしかった。
…このちょっとやましい気持ちは、墓まで持っていく。

花の合図で、小瑠璃が思い切り笛を吹いた。
ピーーーッという甲高い音が空気を震わせる。

「来い!」

花はクモの注意を引き付けた。
クモは、さっきと同じように花にクモの網を投げつける。
花は、投げられた網を左腕で受け止めた。
クモは花を引き上げる。
花はクモに引っ張られながら、松明を持ったままクモに向かって飛んだ。

「新巻さん!目を覚まして!戻って」
花は叫ぶ。
次号へ続く。

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