ネタバレ

February 10, 2014

7SEEDS 山の章5 それぞれが

以下のあらすじは、7SEEDS 山の章4 それぞれのからの続きです。

2014年1月28日発売 2014年フラワーズ3月号掲載分で、既刊単行本未収録分となります。
従って、7SEEDSを単行本で読み進めている方にとってはネタバレとなります。

■あらすじINDEXはこちら

単行本で読み進めている人、ネタバレを読みたくない人はこの先読み進めないようご注意ください。

なお、あらすじは、感動的なシーンや印象的なセリフを極力書き込みすぎないように心がけています。本物の感動は単行本または本誌でどうぞ!

【注意!この先ネタバレがあります】

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嵐は安居に殴りかかった。安居は嵐の攻撃をかわした。

「嵐!やめろ!」

安居は叫んだ。しかし嵐の動きは止まらない。
安居の手にはナイフ。しかし安居は防戦のみで、積極的に嵐を攻撃する気はなかった。それでも抜き身のナイフを手にしている以上危険はある。

「やめろ!ケガするぞ嵐!」

安居は、足の裏で嵐の胸のあたりを押し、嵐は尻もちをついた。
しかし嵐はすぐに立ちあがり、安居に向かってきた。
「安居さん…、安居!」
嵐は拳を繰り出しながら喚いた。
「あんたには船で命を助けてもらって…いろいろ世話になった。あんたのつらい話も、トラウマも知ってる。でも!だからって!花を傷つける言い訳になるか!」
安居は嵐の腕を捕え、そのまま地面に押し倒した。
嵐は腕の関節を抑えつけられ、地面に這いつくばり、呻いた。
「ぐっ…くそっ…」
「嵐…悪いが、おまえの拳じゃ、俺には届かん」
「くそっ!ちくしょう!離せ!」

安居はしばらく考え、嵐から手を離した。
嵐はその瞬間、身体を捻り、安居の頬を一発、殴った。
安居は尻もちをついた。

安居はためいきをつき、身体を起こしながら言った。
「…気がすんだか」
「なんだよそれは」
「新巻もそうだったな。…花が死んだと思った時…」
「アラマキ…?おい、まだ話は終わってないぞ」
「冬の生き残りだ。犬を連れた」

嵐は思い出した。
…かなり前。全身ボロボロで人相さえもわからなかった、犬連れの男。
…確か、冬の生き残りだ、と言っていた…。

「あいつは花が好きなんだろうよ。いつもべったりだった。花もそうみたいだったぞ。お前のことなんか忘れてる」
安居は淡々と身支度を整え、自分のいる場所の地形、水の流れを確認しながら話を続ける。
「…嵐よ。オレはおまえには悪かったと思わなくもないが…花に謝る気はない。オレも仲間も、ずいぶん被害を受けたんだ。後味が悪いんで、もう忘れたい」

「いつもいつも、自分だけが被害者だと思うなよ」

安居は、嵐を振り返った。
嵐はまっすぐ、安居を睨んでいた。目には涙が滲んでいた。

「人を傷つける権利があると、思うな」
嵐は安居の目を見て言った。

安居は嵐と視線を外し、ランプを手に取った。道の端を照らす。
水の流れている先は、崖のように数メートル低くなっている。
安居は嵐の目を見ずに、嵐に応えた。

「おまえみたいにのほほんと生きてきたヤツにはわからないだろうよ。…このまま一緒には行けないな。別行動だ、嵐。…けど…」

安居は振り返った。
「なぜかな、おまえに嫌われるのは、少し悲しい」
安居は飛び降りた。そのまま崖下の水の流れを横切って、横穴に入って、行ってしまった。
嵐が呼びとめる間もなかった。

嵐はその場に1人残された。嵐の分のランプは1つ残っている。
嵐は1人、つぶやいた。
「…オレも、悲しいよ…。くそっ…花、ごめん…あいつ、強かった…」

嵐はしばらく、涙と共にいろいろなことを考えた。

…花、虫は全然平気で、オレより絶対たくましくて…そこは大丈夫だと思ったのに。
…こんな危険な場所に来ても、人に傷つけられるんだな。
…十六夜さんが亡くなった。…変わろうとしてたのに…。
…他に危ないことはいっぱいあるのに…人同士で…。
…うちのチームは特別なんだな…みんないいヤツで…。

嵐の脳裏に安居の言葉が蘇る。
『花はもう死んだ!』

嵐は想った。
…生きてるよな。
…でないと、オレがここにいる意味がない。
…捜すから。一生かけても見つけるから。絶対に。1人でボロボロになっても。
…1人でボロボロ…アラマキ…。
…なんなんだよ、アラマキ!



安居は、ここがどこともわからないまま闇雲に歩いていた。
そうこうしているうちに、1匹の犬と出会う。
「犬?ハルの犬か…?まさか新巻…」
犬は人懐っこく安居に吠えかけてきた。
その犬は、蘭・朔也・刈田・ハルと一緒に水に流されたダイだったのだが、安居は知るよしもない。

「オレは源五郎じゃないんで、動物とは話せない」

安居は犬を無視したが、犬は嬉しそうに安居の後をついて行く。



百舌は、追ってくる大量のアリをかわしながら考えていた。
…オレはどうやら、とんでもないことをした。
…嵐が言いかけたこと。『他の人はどこです!虹子さん以外全員行方不明で…』
…それはつまり、オレだけじゃなく、みんな幻覚に誘われてこのアリの巣に迷い込んでるってことだ。
…大失態だ。こんな島に皆を連れて来て。
…マスクやゴーグルで幻覚は防げるのか?
…しかし、最初に島に来た時も、マスクもゴーグルもしていた。
…あの時も幻覚を見ていたのだとしたら?
…最初に島に来た時と、幻覚物質の濃度が変わっているのか?
…くるみはどうしてる?鷭が一緒ならいいが…。

アリはしつこく百舌を追ってくる。



源五郎は、まだ例の立体映像ディスクの再生を続けていた。
新しいディスクの再生が始まった。フルハシが淡々と状況を説明する。

『あの日から半年が過ぎました。皆、ようやく落ち着いて来たようです』



暗闇の中のナツは、物音に気づいた。人の声のように聞こえる。

「せ…蝉丸さん!蝉丸さん!」
寝ていた蝉丸が、ナツの声に目を覚ます。
「あー?」
「なんか…人の声みたいなのが聞こえるんですけど」
「あ?!」

2人は耳を覚まし、音のするほうへ顔を向けた。
「ホントだ。そういやあっちのほうがぼーっと明るいな。行ってみるか」

2人は暗闇の中、そろりそろりと前進する。音が近づく。
…人の声だ。灯りがついてる。助かった!
ナツと蝉丸は灯りのついている部屋を覗き込んだ。

「お…?」
部屋の中には、白衣を来た人間が数人。

『ヒマですよねー所長』
『重苦しい日常が続くだけなのが、苦痛です』

「誰…?」

『所長―!見てくださいボクのアリ。でっかく育ったでしょ?エナジーバーのせいですかね?もっと大きい巣箱を作らなきゃ』
『若者たちは元気だわ』
『キミたちは何をしてるんだね』
『ヒマなんで、お掃除ロボットを改良しようかと…』

「なんなんだこりゃ?」
「どう見ても…映像、ですよね?」
「誰か、これ動かしてんのか?おーい!誰かいるかー?おい!返事しろよ!」

蝉丸の呼びかけに反応はない。
ナツは、富士号の時のように、勝手に機械が動いている可能性を指摘。
蝉丸は、ナツの推測通りだとしても、電気が通っているということはよかった、と、少し安心する。

ナツは部屋の中を見回した。奥に道具類の入った棚がある。
そこにカンテラらしきものがあった。
ナツがあっ、と思った次の瞬間、また部屋は暗闇に包まれた。

「でええええ!消えるんかい!ナツー!ナツ!」
「ここです!」
蝉丸とナツは暗闇の中で合流。
そして、ナツはさっき見かけたカンテラらしきものを取って来ようと試みる。

「蝉丸さん、ここでじっとしててくださいね。後でここに戻れるように。カンテラらしきものが見えたんです。使えるかもしれないから取ってきますから」
「おいナツ」
「動かないでくださいね」

蝉丸は暗闇の中に残された。
すると突然、蝉丸の元にシチューのにおいが漂ってきた。

「いやそんな…気のせいだろ…」

『…蝉丸…蝉丸!できたから、お皿取って』
『はいー』

…なんだ、母ちゃんじゃん。

蝉丸は幻覚の中にいた。幻覚の中の蝉丸は子供だった。
言われた通りにお皿を運び、シチューを食べる。

…母ちゃんがシチューを作るのは、男にフラれた時。

『仕事行くの?』
『ううん、今日は休み。明日も休みだよ。…もうずっと休み。あんたとずっと一緒にいる』
『ホント?!』

ナツは手探りでカンテラらしきものを見つけた。周囲も手探りする。
隣の箱の中には、ロウソクのような形状のものが数本、入っていた。

「蝉丸さん!ロウソクがありましたよ!」
蝉丸の返事はない。蝉丸は幻覚の中だ。
「蝉丸さん!返事してください!どこですか?蝉丸さん!返事して!」
ナツが途方にくれそうになった頃、またフルハシの姿が暗闇に浮かびあがった。

『今日があの日から3年め…生き延びた我々は、無為に日々を過ごしています』

フルハシの映像の灯りで、ナツの目は蝉丸の姿を見つけた。
蝉丸は壁にもたれて眠っていた。ナツは急いで蝉丸に駆け寄る。

「蝉丸さん!寝ないでください!どうしたんですか?!」

ナツの周囲で、フルハシ達の事態が展開していた。
育てていたアリが1匹残らず、幼虫や卵さえも一緒に逃げだしたのだ。
フルハシは事態の収拾を指示しつつも、今さらもうどうなってもいい、と投げやりなコメントを残し、映像は消えた。
部屋はふたたび暗闇に包まれた。
蝉丸は幻覚の世界に囚われたまま、ナツの呼びかけには応えない。

しばらくして、また映像が始まった。

『更に、2年が過ぎた…。我々は、まだ外に出ることはできません』
フルハシの、閉じ込められた日常への呪詛がしばらく続く。
ナツは無視して蝉丸を起こそうと試みる。
『…そうそう…、昨日、今日と、おかしなことがありました。数人の職員が、幻覚のようなものを見たと言うんです』
ナツは顔を上げ、映像の中のフルハシを見た。



ひばり、角又、あゆの3人は、ついにご神体の丸い岩を見つけた。

大きな球体。その周囲の地面は大きく陥没していた。
次号へ続く。

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