鼻水が止まらない。

俺のビートも止まらない。

生活も止まらない。

鼻水に殺されそうさ。
だけど、俺のビートは俺を殺さない。俺のビートは誰も殺さない。俺の生活は俺を殺さない。生活に殺されるまで生活はつづく。ビートもつづく。

でも鼻水は止まる。パブロン鼻炎カプセルSで。少しだけ脳の端っこが溶けだして血液の中に牛乳を混ぜたようなトロピカルな模様を頭の後ろらへんに浮かばせながら夜がはじまりだす。それは煙のようにするするとほどけてゆき、後から思えば、「ああ、あれが夜だったんだな」と思える朝が来る。

今まで朝が来ない夜はなかった。だから夜は夜のように振る舞うことができた。俺はいつだってそんな振る舞いの夜を少し離れた場所で眺めてるだけだった。後ろめたさは朝が運んでくるのか、夜が背負わせてるのか。ただ今晩は俺の頭にも夜が垂れ込んできたらしい。ゆっくりねじれながら染み出してゆく。
そして夜とゆう現象が形成されていった。


あ、いけない!また。
垂れ流してた、ただの言葉を!
紡いでおった。ただの言葉を。
鼻炎カプセルで脳に甘いスモッグを焚くといつもこうなるんだ。気をつけよう。


まあしかし垂れ流れる鼻水に悲惨な思いをしている人も多いことだろう。
「垂れ流れる」と書いたのは、もはや鼻水は我々が制御できる範疇を越えて、ひとりでに流れ出そうとする。たぶん鼻の中の世界では今のエジプトみたいな騒動が起こっているのだろう。鼻水たちによるデモ。アウトオブコントロール。


俺も色校正屋に勤めていた頃、垂れ流れる鼻水を制御できず、お客の印刷用ポジフィルムに鼻水をぽたぽた落としたこともある。
ポジは水に濡らすと溶けたようにベタベタになる。俺は鼻水でさらにベタベタにしてやった。もちろんわざとではない。
しかし垂れ流れる鼻水たるやさらっさらなのだ。


その鼻水に悩む人の原因の多くは花粉だ。

だけど、俺は花粉症ではない。

花粉症ではないが鼻水を垂らす。いや鼻水が垂れる(勝手に)。

俺は重要なことを言った。

「俺は花粉症ではない。」

これこそ花粉症に打ち勝つ為のキーワードだ。
俺は花粉症を集団ヒステリーだと思っている。

いや、たしかに花粉によるアレルギー反応は医学でも裏付けされている。
でも本当に花粉によってアレルギー反応を起こしている人は少数で、花粉症に悩む大多数の人間が、実は植え付けられたヒステリーによるアレルギーに悩んでいるんだ。

ニュースに流れる花粉が飛ぶ映像。花粉がもたらす症状。花粉の量。そういった大量の情報を受け取って、脳が余計に過敏になる。
そんで季節が暖かくなってくるとなんだか花粉が飛んでる雰囲気も出てくる。風が強いと尚更だ。

飛び交う花粉よりホコリだらけの部屋に住んでる人が、たかが花粉で鼻をヤラれたりしない。

花粉症なんてゆうのは何かのまやかしなんだ!!
こんなに大勢の人間が花粉にヤラれちまってんのなら人類はとうに絶滅している。花粉で。

花粉症は製薬会社がつくりあげたインチキなんだ!
なんて言うと映画の「12MONKEYS」を思いだすなあ。

とにかくこんなウソっぱちに立ち向かうツッパリが必要だ。
「俺は花粉症じゃない!」
ガリレオばりに。
「それでも俺は花粉症じゃ…」


春なんて最高の季節なのに、憂鬱な気分になってんのは動物界の中でも人間(花粉症の)だけだ。
うまい酒がもったいないぞ!

目を覚ませ!


…と誰に言い聞かせているのかというと実は自分自身であり、なぜなら今年の花粉は恐ろしいとニュースが俺を脅しにかかるからである。
ニュースが俺の花粉症論を崩してやろうと脅迫してくる。
こうなったらやったる!
真剣勝負だ!かかってこい。


でもさ、ニュースの報道にわいわいのっかってるだけの人も大量にいるんだから花粉症に悩む人も大勢いても納得するしかねえな。

なんて言うと、
あんたわかったようなこと言って花粉症の本当の辛さを知らないだけなのよ!このタコ!

と言われるので、まあ冗談だとして、人間たまには鈍感であることが必要な場合もある。


かの有名な漫画「ドラゴンボール」に印象的な場面がある。


天下一武道界でクリリンと対するはバクテリアン。
バクテリアンが放つ悪臭にくじけそうになるクリリン。
バクテリアンにやられっぱなしのクリリンに悟空はこう言った。

「臭うのは気のせいだ!お前には鼻が無いじゃないか!!」


この場面は現代社会を嘲笑っているかのようだ。

もう一度言おうかしら。

俺は花粉症じゃない!


みんなも言ったもん勝ちだ。

私、花粉症じゃないもんっ!

じゃあなんだ、その鼻水の原因は!え?言ってみろ!

こころの隙間よ♪


こころに花を。少しの余裕を。強い信念を。包み込む退屈さを。静かな焦りを。染みる音楽を。ちょっとのお酒を。アルコールランプで炙られ結晶にされた思い出を。それを笑い飛ばす勇気を。夕焼け空を。

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あ、そんなん書いてる間に25歳最後の夜が終わった。さらば25歳。また会おうぜ。思い出の酒場で。
これで厄年前後賞すべておしまいな訳だ。よっしゃあ。

おい、26歳。覚悟しとけよ!

雪が降ってるなあ、子供たち。
みぞれか。

ご安全に!!