大学の一つ隣の駅を降りて数分の場所の、どこにでもある学生向けマンションの一室。そこでは午前の授業をサボった二人がベッドの上で裸のままあべこべになって重なっていた。隣人たちが出払っているのを良いことに、気兼ねなく肉欲行動に没頭していたのだ。
使われたばかりのコンドームと、脱ぎ散らかされた衣服が床に散らばる室内は静寂に包まれ、唯一互いの性器を愛撫する水音だけが響いていた。
カーテンの無い窓から差し込む太陽の眩しさは、二人の局部を生々しく、それこそ毛の一本一本の生え際までをも詳らかにしていた。
下になった彼は、興奮で肥大化した彼女のクリトリスを舌先で突き、突起をなぞる様に何周もさせる。既に一度侵入を許したその穴はポッカリと開いており、卓越した愛撫はその中からトロトロと透明な液体を溢れ出させていた。
「感じ過ぎじゃねえの」
「だって・・・かなめさんが上手だから・・・・・」
敏感な部分を強く吸われ、思わず身体が逃げそうになったが、咥えたペニスは意地でも離さない。逞しい男の太腿を抱え込むようにすると、呆れるほどの硬さを誇るそれを握った。そして込み上げる絶頂感に耐えながら、彼女はもう一度ゆっくりと深く咥えこむ。舌全体で、ペニスの上側を根本から先まで一気に舐め上げ、目の前で上下に蠢く睾丸を見つめながら、カリの周りに舌を押し付けて強く執拗に擦り付ける。
「そこ・・・ああっ、マジでヤバいって」
情けない彼の声は彼女を一層駆り立てるのみ。亀頭を呑み込んで喉で締め上げ、右手で睾丸を緩く鷲掴みにされると、毒々しいほどの精液を吐出させたのだ。
「て言うかさ、なんかあんま良くねえよな、こういうの」
「今更それを言う?」
「言うだろ、普通」
「誰の所為なのよ」
クスクスと笑いながら彼女は身支度を始めた。
「俺の所為、なのか?」
「かなめさんだけじゃないかもね」
「だよな、やっぱ」
「で、誰の所為にしたいの?」
「お前だって責任あるよな?」
「ん・・・・ないでしょ」
「いや絶対あるって」
部屋に来た時と同じ格好で、薄いピンクのルージュを片手に鏡を覗き込む彼女。
「でもさ、まさかさ、遼ちゃんが振られるなんて、思ってもいなかったんだよね、私・・・絶対両想いだと思ってたのに」
「まあ、それは俺も分かるけど」
「分かってて、なんで?」
「いや、だって、そりゃまあ、な」
「これ、絶対に言えないでしょ普通」
「でも、やっぱ良くねえよな、こういう関係って」
「本気でそう思ってる?」
「あー、うん、・・・一般的には、という意味ではな」
「ほら、思ってないんだ」
「思ってるって、一応、だけど」
「思ってるから何なの?言うの?遼ちゃんと冴ちゃんに」
「ええ?・・・いや、まあ・・・」
「俺が冴子と付き合ってるんだって、遼ちゃんに言える?俺はまひろと浮気してるって、冴ちゃんに言えるの?」
「・・・・・・」
「言える訳ないじゃん、そんなの」
彼女はベッドの上の彼に躙り寄ると、その鼻先に軽くキスをした。
「悪いのは、だーれ?」
「俺です・・・」
「よろしい。じゃ、私もう行くね」
玄関に向かうまひろを追うかなめ。踵の低いヒールを履いたところで後ろから抱きついた。
「今度いつ会おっか?」
「どうだろうね」
「そんな意地悪言うなよ」
「明日から彼氏と旅行だし。それに浮気はダメって、自分で言ってたばっかじゃない」
「それはそうだけど」
溜息をつきながら振り返る彼女。全裸の彼の下半身は既に臨戦態勢に変容していた。
「冴ちゃんと毎日してるくせに」
「そりゃ彼女だからな」
「・・・もう、最悪・・・」
呆れたまひろは、かなめの両手を握りながら、促されるままにその場に跪いていた。
それぞれの性春を謳歌する大学生の春休みは短い。複雑に絡み合った二人の思惑は綱渡りのように危うく、たとえ辿り着く先が不確かであろうとも、ブレーキの壊れた機関車のように欲望のまま突き進む若い滾りに塗れていた。
使われたばかりのコンドームと、脱ぎ散らかされた衣服が床に散らばる室内は静寂に包まれ、唯一互いの性器を愛撫する水音だけが響いていた。
カーテンの無い窓から差し込む太陽の眩しさは、二人の局部を生々しく、それこそ毛の一本一本の生え際までをも詳らかにしていた。
下になった彼は、興奮で肥大化した彼女のクリトリスを舌先で突き、突起をなぞる様に何周もさせる。既に一度侵入を許したその穴はポッカリと開いており、卓越した愛撫はその中からトロトロと透明な液体を溢れ出させていた。
「感じ過ぎじゃねえの」
「だって・・・かなめさんが上手だから・・・・・」
敏感な部分を強く吸われ、思わず身体が逃げそうになったが、咥えたペニスは意地でも離さない。逞しい男の太腿を抱え込むようにすると、呆れるほどの硬さを誇るそれを握った。そして込み上げる絶頂感に耐えながら、彼女はもう一度ゆっくりと深く咥えこむ。舌全体で、ペニスの上側を根本から先まで一気に舐め上げ、目の前で上下に蠢く睾丸を見つめながら、カリの周りに舌を押し付けて強く執拗に擦り付ける。
「そこ・・・ああっ、マジでヤバいって」
情けない彼の声は彼女を一層駆り立てるのみ。亀頭を呑み込んで喉で締め上げ、右手で睾丸を緩く鷲掴みにされると、毒々しいほどの精液を吐出させたのだ。
「て言うかさ、なんかあんま良くねえよな、こういうの」
「今更それを言う?」
「言うだろ、普通」
「誰の所為なのよ」
クスクスと笑いながら彼女は身支度を始めた。
「俺の所為、なのか?」
「かなめさんだけじゃないかもね」
「だよな、やっぱ」
「で、誰の所為にしたいの?」
「お前だって責任あるよな?」
「ん・・・・ないでしょ」
「いや絶対あるって」
部屋に来た時と同じ格好で、薄いピンクのルージュを片手に鏡を覗き込む彼女。
「でもさ、まさかさ、遼ちゃんが振られるなんて、思ってもいなかったんだよね、私・・・絶対両想いだと思ってたのに」
「まあ、それは俺も分かるけど」
「分かってて、なんで?」
「いや、だって、そりゃまあ、な」
「これ、絶対に言えないでしょ普通」
「でも、やっぱ良くねえよな、こういう関係って」
「本気でそう思ってる?」
「あー、うん、・・・一般的には、という意味ではな」
「ほら、思ってないんだ」
「思ってるって、一応、だけど」
「思ってるから何なの?言うの?遼ちゃんと冴ちゃんに」
「ええ?・・・いや、まあ・・・」
「俺が冴子と付き合ってるんだって、遼ちゃんに言える?俺はまひろと浮気してるって、冴ちゃんに言えるの?」
「・・・・・・」
「言える訳ないじゃん、そんなの」
彼女はベッドの上の彼に躙り寄ると、その鼻先に軽くキスをした。
「悪いのは、だーれ?」
「俺です・・・」
「よろしい。じゃ、私もう行くね」
玄関に向かうまひろを追うかなめ。踵の低いヒールを履いたところで後ろから抱きついた。
「今度いつ会おっか?」
「どうだろうね」
「そんな意地悪言うなよ」
「明日から彼氏と旅行だし。それに浮気はダメって、自分で言ってたばっかじゃない」
「それはそうだけど」
溜息をつきながら振り返る彼女。全裸の彼の下半身は既に臨戦態勢に変容していた。
「冴ちゃんと毎日してるくせに」
「そりゃ彼女だからな」
「・・・もう、最悪・・・」
呆れたまひろは、かなめの両手を握りながら、促されるままにその場に跪いていた。
それぞれの性春を謳歌する大学生の春休みは短い。複雑に絡み合った二人の思惑は綱渡りのように危うく、たとえ辿り着く先が不確かであろうとも、ブレーキの壊れた機関車のように欲望のまま突き進む若い滾りに塗れていた。