■街と踊るDJイベント
イベントが終わってから報告のエントリをアップするまで約1週間かかるというのも最早恒例となりました・・・
去る4月13日、中野駅北口暫定広場(中野サンプラザ正面)にて『Re:animation5-Rave In NAKANO-』を開催しました。昨年まで新宿歌舞伎町のど真ん中の広場(旧コマ劇場前)で開催していたイベントですが、コマ劇跡地の再開発で一時的に広場が閉鎖になった為、今回はお隣の中野区に場所を移しての開催となりました。
4月に入ってから激しい寒暖差、大雨、大風と落ち着かない天気が続いていましたが、当日は奇跡的な晴天。文字通りの雲ひとつ無い青空の下、天高くそびえる中野サンプラザの屋上まで届けよ!とばかりにキックやハットのサウンドを轟かせ、無事5度目の開催を終えることができました。
当日は、延べ入場者数1700人がお集まりいただき、沿道や中野駅のホーム、中央線車内から目撃された方も多数おられたかと思います。今回もこの“あり得ない”場所で開催する屋外DJイベントを大きな問題なく完遂できたのは、参加者一人ひとりがイベントを自らのことと捕らえて、モラル維持に努めて下さったお陰です。
イベント運営にご協力いただいた参加者の皆様に、改めてお礼申し上げます。
新宿歌舞伎町では回を重ねる度にイベントが大型化し、最終的には8時間×3フロアという規模にまで拡大しましたが、今回は1フロアというシンプルな体制は初期のフロアの一体感をに重なるところがあり、良かったのではないかなと思います。
驚いたことは、新宿と中野では同じようなことをしているはずなのに「これは全く違うイベントなのではないか?」と疑いたくなるほど、雰囲気の違うフロアが出来上がっていたことでした。四方を高いビルに囲われていた歌舞伎町と、開けた場所で駅のホームからも見えるフラットな会場となった中野では、流れる空気、時間、そして匂い、その全てが違っていました。
暗い店内で踊るクラブの中でも、エリアによって雰囲気が異なるのだから、外的環境が否応無く視界に入る屋外で、それは当然なのかもしれません。“山奥”や“海辺”という一定の環境ではなく、地元の人たちの生々しい生活や経済の匂いが染み付いている“都市”であることも要因かもしれません。
イベントにはその土地のカラーが大きく影響するというのをこれまでも持論としていたのですが、恥ずかしながら場所が持つ力の強さを改めて思い知らされました。新宿と中野だけでなく、23区の東側や、東京以外の街でもこういったイベントが増え、いろんな街と踊れる日がやってきたら、普通の街がもっと色づくのかもしれないですね。
※Re:animation 5 のイベントフォトをFacebookにアップロードしましたのでご覧下さい。
※Re:animation 5 のイベントフォトをFacebookにアップロードしましたのでご覧下さい。
■繁華街から市街地へ
騒々しさも魅力になる繁華街から生活圏に近い市街地へ会場を移し、無事イベントを終えることができたものの、様々な反省点も残りました。見直すべきは見直して、今後どのようにこの街と共存していくか、模索していきたいと思います。
「トラブルを起こさない」「通行者に迷惑をかけない」「ゴミを残さない」「公共のものを汚さない」そういった当たり前のことを簡単な声かけで守っていただける参加者がいることはリアニメーションというイベントの最大の強みです。きっとこれが守られなくなったら、このイベントはやらなくてもいいだろうと思うくらいには、大事にしたい大切なことです。
一方で、より快楽的でありたい、もっと良い音を、大きい音を、もっと気持ちよくという欲望は尽きません。音を楽しむイベントである以上、それは当然のことでありますが、欲を通して潰れてしまっては元も子もないという微妙なバランスがあります。音、そしてお酒。ハメの外し方を知る大人のイベントになれるよう、今後更に改善していけたらと思います。
以前、渋谷のとあるクラブに伺った際に、深夜に隣のマンションからクレームがあるので音漏れにはとても神経を使っているというお話を聞きました。正直、こんな場所に立つマンションに住んでいて騒音も何もないのでは?と思ってしまうような土地なのですが、お店の方は腐ることなく「どのくらい音が出ていたらまずいか判断できる確かな耳を持ってるんですよ!」とちょっと誇らしげだったのが印象に残っています。歴史と実績のあるクラブを守るスタッフさんの背中には見習わないといけないことがたくさんありました。
今回、幸運にも中野の街で初めての実績を積むことができました。この実績を持って、次は商店街やブロードウェイのお店、組合等とお話の席を設けることができます。その中で「どうすればこの街に恩返しができるか」や音の問題についてご理解を得るためのベストの方法についてもっと踏み込んだ相談ができます。
幸い、商店街の方や行政、議会に関わる方などを中心に概ねご好評をいただくことができました。「次回もぜひ」という声も既に届いています。全くノークレームという訳にはいきませんでしたが、ただ街が賑わうことについて、中野も新宿と同様に非常に好意的なので、新宿での対話の成果が中野での開催を実現したように、常に対話を求めて、いろんな人の意見を聞き、1つ1つ信頼を積み重ねていきたいと思っています。
駅前や公園がもっと賑わって欲しいという自治体は結構たくさんあって、賑わい作りには音楽イベントほど持って来いのものはなく、しかし音楽は直ぐに騒音になる。そういうジレンマを解きほぐす試みを、新宿や中野のような全国的に見ても「目立つ街」でやらせてもらえている幸運を、私達が何とか次に繋げたいものです。
■リアニメーション6に向けたプロジェクト近日始動!!
「無料」は無敵だ!!
今回は規模縮小、場所移転にもかかわらず、過去最高の1700人規模となりました。
そりゃ、孫正義も「無料」にこだわります。
そりゃ、孫正義も「無料」にこだわります。
それだけではなく、リアニメーションのようなイベントにとってはもう1つ大きな意味があります。
例えば、今回のような自治体が管理する場所を利用しようとすると、何らかの形で自治体とのアライアンスが必要になります。そして多くの場合、それには非営利であることを求められます。非営利とは売上を立ててはいけないということではありませんが、チケットを販売したり、入場料を徴収した場合、ハードルは極端に上がります。「営利でなければイベンターも企業も集まりませんよ!」という正論を認めてもらうために頑張るという手もありますが、かかる労力を思うとあんまり賢くありません。
そこいくと「無料」という分かり易さはとても素晴らしい!これはリアニメーションの開催を望んで、支援して頂いた多くの方々の声援と行動の賜物です。
無計画に全額持ち出しで開催していては、先に待つのは開催中止(理由:主催のお金が尽きた為)しかありません。
しかし、リアニメーションは無料開催にも関わらず、運営で主催が身銭を切ることはありませんでした。クラウドファンディングという手段で事前に応援して下さる方からの支援を集まっていたからです。この資金を“予算”とし、運営資金計画を自治体に提出、ちょうど今、最終的な収支報告をまとめているところです。後ろめたい謎の収入は生まれておらず、みんな気持ちよく書類が回ってます。
運営資金が手配できないことが原因でGOが出ないプロジェクトは結構多いそうです。一方、同じような条件で使える会場が全国各地に埋もれています。地域のお祭や区役所主催の賑わい作りの催しをしているような場所はだいたいそうです。そういう場所が「無料」の魔法で、エンターテイメントイベント向けの会場に変身するとしたら、いったいどのくらいの会場が埋もれていることでしょう?イベンターや企画屋が知恵を絞れば、日本中もっと楽しいことになるのではないか。
コミュニティがあって、そこに(緩く)所属する人たちが何か目的の為にお金を出し合って、その資金でイベントを興すというのはこれからの時代に合っているのかもしれません。CDを出してもそうそう売れる時代ではないですし、数百人~数千人のイベントにほいほいとキャッシュスポンサーが付く時代でもないです。けれども、もっと近しい顔の見える人たちが協力し合って1つのムーブメントを起こす、そういう中でよく似たコミュニティ同士が合流しあって大きな川になって、海に流れて、大波がくる・・・そういう土壌が、まだまだ不便ながら、できつつあります。
いろんな人がキーになる年としてあげる2007年頃に生まれた様々なコンテンツやWebツールはその最初の一歩でした(私にとってはmixiでした)。そして、今回活用したクラウドファンディングもそうです。個人が自分の企画に対してこれだけ簡単に事前に資金を募る方法はかつてありませんでした。参加費を事前決済できたらどんなに素晴らしいことか!と日々頭を悩ませなかったmixiや2chの大型オフ会の幹事はいません。たぶん。
ただ、やっぱり今でもそれをしようとすると結構です。だから、1つ1つ不便を解きほぐしながら、もっとやりやすい形を探していきたいと思っています。例えば、今のところクラウドファンディングは毎回プロジェクト単位になっているので、毎回リセットされていますが、もっと上手くやれないかと思います。例えば、これが単発じゃなくて最初から続き物として動いていれば「ボッチ参加不安・・・」みたいな声が少しは減るのではないか。
今、その仕込みをしています。
察しの良い方はお気づきとおり、それは既に一部始動している「Re:animationファンクラブ」がそれなのですが、これを上手く活用することでまずはリアニの開催を毎回ハンチョウ博打の目に掛けるようなことをしないでもいいようになるといいなと思っています。
近日中に、次回『Re:animation 6』に向けた発表ができると思いますので、期待してお待ちください!