戦争を知らない子どもたち/ジローズ 反戦歌のスタンダードナンバーになっている名曲。 発表は1970年。 1945年の終戦からは25年が経過していました。 この年は大阪万博が開催され、日本は高度経済成長にまい進していく一方、ベトナム戦争は泥沼化の一途をたどり、基地提供などで対米協力をしていた日本でも学生を中心にベトナム反戦運動が盛り上がりを見せていました。 作詞はザ・フォーク・クルセダーズの北山修。 大阪万博でのコンサートで初めて歌われ、この年を代表するヒット曲になりました。 共に1946年生まれの北山や杉田二郎らが、「戦争も知らないくせに」と、反戦や平和に対する大学生の主張が軽んじられる風潮に一石を投じる意図を込めたことが知られていますが、それだけでは、ここまでのスタンダードナンバーにはなりえないでしょう。 この曲には明らかにそういった世代的な主張を超えた普遍性がある。 私が一番好きなのは、三番の歌詞ですね。 青空が好きで 花びらが好きで いつでも笑顔の 素敵な人なら 誰でも一緒に 歩いていこうよ きれいな夕日が 輝く小道を 昨日と同じ、明日もきっと繰り返す何気ない一日。 でもそれが、ある日突然戦火によって引き裂かれる。 そういうことがかつて本当にあったし、今も世界中である。 戦時中でも青空も夕日も花びらも、変わることはないかもしれないけれど、決して今と同じ色として見ることはできない。 音楽も、アイドルも、野球も、おいしいものも楽しむことができなくなります。 そんなの嫌じゃないですか。 何気ない日常の美しさを描くことこそ、最強の反戦メッセージになる、ということを、やさしいメロディーとともに教えてくれます。 戦争を知らない子どもたち'83/ザ・ナターシャー・セブン リンク先から試聴 こちらは、いわゆる第一次歴史教科書問題を受けて北山が綴った続編。 満州事変、日中戦争、朝鮮の植民地支配について具体的に言及していますが、もともとは南京占領の実態への言及を含む、もっと長い曲だったそうです。 レコード会社はこの曲をプレスせず、自主制作でリリースされたため、音源のLPは非常に貴重なものとなり、メディアでもほとんどオンエアされないため、現在でも多くの人に知られる70年版にくらべて、あまり知られていませんよね。 生々しい歌詞ですが、私は、つまらない悩みと大仰な理想主義が渾然一体となった、若くすがすがしい青春の美しさをすごく感じてしまいます。 窓を開ければ表通りに クラスメイトが走ってゆく 窓を開ければ表通りに あの日と同じ空が続く という部分の、ためいきの出るような美しさ。 何気ない日常や、かけがえのない青春の日々の美しさを描くことで、戦争への強烈なアンチテーゼとする点は、70年版となんら変わることはない気がします。 私も33歳になるまで、本当の不自由や苦労をほとんど知ることなく、「もてない」「めんどくさい」「死にたい」なんて言いながら、楽しく生きてくることができました。 今大学生の人も、中学生の人も、これから生まれてくる人も、平和な青春をすごす権利くらいはある。 それは守らなきゃ。 今こそ多くの人に聴いてほしい名曲です。 ※本記事は、こちら↓の記事にインスパイアされて書きました。 「とかげ日記」YOYOラジオ 第五回(戦争ソングス ,平和ソングス -セカオワ,うみのてetc-)
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