音楽雑誌のコーナーにいるといまもデヴィッド・ボウイ関連の書籍が
ずらっと並んでいます。 
デヴィッド・ボウイ、グラムロックを知ることで
ヴィジュアル系にも辿り着くのがおもしろいです。

ヴィジュアル系がデヴィッド・ボウイ、グラムロックから受けた影響は大きいであったり、
ヴィジュアル系が受け入れられる土壌をつくったのはグラムロックという話はよく聞きます。
清春さん、Plastic Treeの有村竜太朗さん、摩天楼オペラの彩雨さんも
デヴィッド・ボウイについて言及されていました。
Lycaonのサトシさんもボウイのメイクをして
敬意を表していました。
【デヴィッド・ボウイのヴィジュアル系への影響】摩天楼オペラの彩雨さんのtweetをきっかけに

ここまでヴィジュアル系との関係性の話をあちこちから聞いていると
やはり気になってきます。
ということで「レコード・コレクターズ増刊 デイヴィット・ボウイ アンソロジー」を手に取ってみました。

【目次】
(1)グラムロックのヴィジュアル系への影響
(2)”概念”としてのヴィジュアル系
(3)「ヴィジュアル系はジャンルではない」の意味 




 

(1)グラムロックのヴィジュアル系への影響

音楽ライターの小野島 大さんが書かれている章に
グラムロックの持つ広い影響が記されています。
我が日本のヴィジュアル系を始め、世界中のゴス・カルチャーに絶大な影響を与え続けているのは言うまでもない。
一方でデヴィッド・ボウイにおいて
グラムロックだけを礼賛しているわけではありません。
特に音楽のジャンルやスタイルではなく「”概念”」としてのグラムロックという点は
ヴィジュアル系を知る上でも重要な視点です。
【「ヴィジュアル系」の定義とは】ジャンル?それとも看板?:NoGoDの団長さんのtwitterより

グラム・ロックもまた、特定の音楽スタイルや確固とした音楽的特質を持たない”概念”

音楽面での革新性や衝撃度という点ではグラム以降のボウイのほうが優れた作品を生み出しているかもしれないが、”概念”としてのボウイの特殊性は、グラム時代に端的にあらわれているといえる。

(2)”概念”としてのヴィジュアル系

ヴィジュアル系という言葉はいろいろな使われ方をします。
比較的最近のヴィジュアル系バンドは
ヴィジュアル系であることを誇りに思っていたり
シーンを背負うといったようなプラスにとらえていることが多いです。
最近で言えば、MEJIBRAYの綴さんもブログに書いておりました。
【ヴィジュアル系の音楽性の4つのルーツ】MEJIBRAYの綴さん、MiAさんの「Cure Vol.148」インタビューに寄せて

反対に、矛盾しているように聞こえますが
ヴィジュアル系を作ったといわれる世代は(X JAPAN、LUNA SEAなど)
ヴィジュアル系であることに無自覚であったり
むしろ「ヴィジュアル系」と括られることに違和感を覚えることが多いようです。

これは「ヴィジュアル系をやろう」としてヴィジュアル系を始めたのか、
自分たちのやりたい音楽を視覚にまで広げた結果として
ヴィジュアル系と呼ばれるようになったのかの違いです。

小野島 大さんの言葉をお借りすれば
ヴィジュアル系を特定の音楽スタイルや確固とした音楽的特質としたのが
「ヴィジュアル系をやろう」としたバンド。
ヴィジュアル系を”概念”として捉えたのが
結果として後からヴィジュアル系と呼ばれたバンドとなるでしょうか。
【ヴィジュアル系のルーツとは】Acid Black Cherry『L -エル-』を分析する市川哲史さんと武市尚子さんの記事から

(3)「ヴィジュアル系はジャンルではない」の意味 

「ヴィジュアル系とは何か」という考える人の数ほどありそうな問いに対してよくある答えが
「ジャンルではない」「カテゴリーではない」というものです。
the GazettEのRUKIさんもそう仰っていたような。
【ヴィジュアル系は生の賛歌】the GazettEのRUKIさんの「GODDESS」についての「Black B-PASS」インタビューに寄せて

でも多くの場合「ヴィジュアル系はジャンル、カテゴリーではない」の先にくる答えまで
言及されることはほぼないように思います。
「●●ではない」としてぼんやりと意味は分かるのですが
「●●である」とした明確な定義がなされていないのです。

その一つの定義が「ヴィジュアル系とは”概念”である」ということでしょう。

でも”概念”というと曖昧さをぬぐいきれません。
ただでさえとっつきにくいイメージのあるヴィジュアル系の定義が「”概念”」だった場合、
ますます地下に潜っていってしまうのではと懸念されます。
【ヴィジュアル系のルーツの一つ「ラウドミュージック」を聴く人の性質】NOCTURNAL BLOODLUSTのCazquiさん「PHY Vol.6」インタビューに寄せて

しかし、小野島 大さんは”概念”という言葉を
肯定的に使っているように思います。
”スタイル”ではなく”概念”だから古びない
そのままヴィジュアル系にも当てはまります。
「ヴィジュアル系は”スタイル”ではなく”概念”だから古びない」

ファンとして聴いている側は「あ、ヴィジュアル系の曲だ」とは気づくのですが
その特徴を言葉にするのは難しいです。
ヴィジュアル系は音楽的には歌謡曲、メタル、クラシックなど
ジャンルで統一しようとすることはほぼ不可能です。

・・・「ヴィジュアル系は”スタイル”ではなく”概念”だから古びない」となると気分がいいのですが
次にくる疑問は「では、どんな”概念”なのか」ですね(笑)
誰が作ったのか分からない、しかもどんな意味なのかも分からないという不思議さが
ヴィジュアル系の魅力ということで仮置きしておきます。
【ヴィジュアル系の定義・ルーツは実はない?】X JAPANのhideさん、MEJIBRAYの綴さんの「ROCK AND READ 062」インタビューを読んで

X JAPANのhideさんもMEJIBRAYの綴さんも
ヴィジュアル系については「どんな音楽もつめこんで中で混ぜる容器」のように捉えてますし。

【ヴィジュアル系の定義・ルーツ関連の話】
(1)【ヴィジュアル系の定義・ルーツは実はない?】X JAPANのhideさん、MEJIBRAYの綴さんの「ROCK AND READ 062」インタビューを読んで
(2)【ヴィジュアル系の原点が明らかにされる映画】X JAPANのハリウッド映画公開に期待です
(3)【ヴィジュアル系のファッション・メイクのルーツ】X JAPANのYOSHIKIさんの「Rolling Stone(ローリングストーン) 日本版」のインタビューに寄せて
(4)【「ヴィジュアル系」の定義とは】ジャンル?それとも看板?:NoGoDの団長さんのtwitterより
(5)【ヴィジュアル系のルーツとは】Acid Black Cherry『L -エル-』を分析する市川哲史さんと武市尚子さんの記事から
(6)【ヴィジュアル系のルーツの一つ「ラウドミュージック」を聴く人の性質】NOCTURNAL BLOODLUSTのCazquiさん「PHY Vol.6」インタビューに寄せて
(7)【ヴィジュアル系の音楽性の4つのルーツ】MEJIBRAYの綴さん、MiAさんの「Cure Vol.148」インタビューに寄せて
(8)【「しゃべらないヴィジュアル系」の理由】Lycaonの悠希さんのCureインタビューに寄せて