こんにちは。
神谷敦彦です。

去る4月7日(金)にYOSHIKIさんが
新経済サミット2017に登壇されました。
そこでは「100年後に聴かれる、200年後に聴かれる」音楽を、
つくっていきたいとお話しされていました。

そろそろYOSHIKIさんの発言の
全文書き起こしをどこかのWEBニュースが
配信すると思うのですが、
検索しても見つかりませんでした。

そのため三木谷さんから
「YOSHIKIさんはある意味、
ベンチャー起業家ですもんね」と
話を振られたあたりから
書き起こしてみます。

YOSHIKI CHANNELを
見ながら書き起こしましたが、
100%の書き起こしにはなっておりません。
ところどころ聞き取れなかった
単語もございます。

いつもLIVEで感じられる
YOSHIKIさんの熱が
少しでもテキストからも
感じ取れればと思い、
ここに残します。 

【目次】 
(1)YOSHIKIさんスピーチのほぼ全文書き起こし
(2)100年後に聴かれる、200年後に聴かれる音楽
(3)死後も見据える時間感覚 
(4)編集後記
 
(1)YOSHIKIさんスピーチのほぼ全文書き起こし
■三木谷さん
アーティストもね、昔みたいに
CDを出したらいいという時代から
やっぱりね、CDもだんだん売れなくなってきて。
もっとその経営者的な感覚というのが
必要な時代になってきてますよね。
 
残っているアーティストを見れば
自分自身の持っている資産をベースに
どうやって影響力を出していくかとともに
様々なね、ツアーとかCDだけじゃなくて
いかにビジネスにというと
怒られちゃうかもしれないけれど
どうやっていくかという
みなさん頭のいい人だけが残っている。
YOSHIKIさんはある意味、
ベンチャー起業家ですもんね、ほんとに。

■YOSHIKIさん
音楽家になろうと決めたときに
僕はまずお金を稼ごうと思わなかったんです。

たぶんいろんな職業があると思いますが
これに決めようというときに
必ずお金というものは絡んできますけれど
とりあえず僕は音楽家になりたい、
ミュージシャンになりたい、
作曲家になりたいと思ったときに
お金はどうするのと母とかに聞かれますよね。
「どうやって佳樹、生計を立てていくの」って。

わからなかった。どうでもいいと思ってしまった。
でも多分、成功すれば何かついてくるんじゃないか。
もともとその考えからはじまっているので
あまりそこに執着はしない。
たぶん、お金というものを執着するのであれば
違う職業を選んでいたと思う。

何が言いたいかといいますと
音楽著作権ビジネスに関しては
60年、70年のものなんですよ。
200年前なんていうのはやはり
モーツァルトとかベートーベンとか
スポンサーありきで成り立っていた。

だからミュージック、音楽をやって
お金を稼ぐものなのか、
稼いた方がいいものなのかから
考えたんですね、いまこの時代に。

稼ぐのであれば、その間口は
広ければ広い方がいいだろうと。
配信になってストリーミングになって
CD買う人はほとんどいないんですけど。
CDにいろんな特典をつけて売らなくても
そのぶん音楽は伝わる、
コンサートは来ていただける、
コンサートでチケットを売るなり、
またはマーチャンダイスなど
いろいろな方法があるので。
システム自体、 音楽でお金を稼がなきゃいけないのか
ということから執着しないことが
一番だと思うんです。

逆にいうとスポンサーがいないと
成り立たない職業かもしれない、僕らというのは。
実際に200年前など成り立っていなかったので。
この著作権ていうビジネスが成立されて
CDだなんだかんだでいきなり大金が入ってきて
それが普通に思われているんですが、
100年後は全然違うかもしれないですね。

ただその、商品をつくっているという感覚ではなくて
芸術をつくっている感覚で常にいたいんですね。
やはり100年後に聴かれる、
200年後に聴かれるそういうものを
いまつくらないといけない。
だからそうやって100万稼ぐ、
1億稼ぐではなくて、
そっちの方にアーティストたちが
シフトしていかないと。

僕はすごくある種の危機感を感じますね。
何の為に僕はこの職業を選んだのかと。
芸術をつくることに専念したい。

じゃー年収1億、10億円をあげたいなら
不動産屋になっていたら良かったんじゃないかと。
僕は音楽家を選んだので、
ということは芸術をつくることに
専念したいというのが。

その上ででも、色んな可能性があると思うので。
音楽療法とか、いろんなことがありますし。
それはそれで柔軟に
考えていきたいと思いますね。

■三木谷さん
やり方がね、昔とだいぶ変わってきてるじゃないですか。
インターネットも出てきたし。

■YOSHIKIさん
そうですね、でもある種、
そういう時代の変わり目は
チャンスだと思うんですね。
クラウドファンディングがいいとか
そういういろんなことはわからないですけど。

これから日本だとIoT、AIとか、
基本的に作曲パターンなんて
ある程度決まってますので。
ヒット曲もほとんど決まってますので、
データを打ち込んでしまえば
ヒット曲はAIができてしまうんですよね。

何を僕らはAIに勝てるのかというと、
人の無謀さとかそういうものじゃないか。
計算不可能なもの、それがある種の
芸術なんじゃないかと僕は思うんです。
(2)100年後に聴かれる、200年後に聴かれる音楽
このYOSHIKIさんの発言が
何よりも雄弁に語っているので
特に付け加えることも
正直ないといえばないのですが。。。
少し解釈を加えてみます。

音楽家を目指そうとしたときに
最初からゴールは「年収1億、10億円をあげたい」ではなく
まずは「音楽家になりたい、ミュージシャンになりたい、
作曲家になりたい」というところから
はじまったとお話しされています。

ただ、だからといって
お金やビジネスを軽視しているわけでは
ないということはこれまでの発言から
伺うことができます。
常に優先順位の最上位に音楽があり
次にビジネスやお金があるという
順番を崩さないという事なのだと思います。

理由はシンプルですが
音楽を含む芸術は
制作するのに時間もお金も
莫大なものになります。

お金が必要という事だけでなく、
「他にないものをつくるための研究」に
お金も時間も求められることを
村上隆さんも「芸術起業論」の中で
はっきりと仰っています。
■村上隆さんの「芸術起業論」からの引用
新しいものや新しい概念を作りだすには、
お金と時間の元手がものすごくかかります。
お金や時間を手に入れなければ
「他にないものをひきよせるために
毎日研究すること」は続けられません。
つまり、ビジネスセンス、マネジメントセンスがなければ
芸術制作を続けることができないのです。
ビジネスセンス、マネジメントセンスでいえば
例えば下記の記事では
YOSHIKIさんが音楽を流通させるための
ブランディングについてお話しされています。
>参考記事:ハローキティ×YOSHIKIで「ヨシキティ」 X JAPAN・YOSHIKI、独自のブランディング術を語る

(3)死後も見据える時間感覚 
そしてもうひとつ、
YOSHIKIさんのスピーチで見えてくるものは
時間感覚が自身の死後を
見据えている点です。

アルバムが21年リリースされなかったり、
LIVEが1時間を以上遅れてはじまるなど
その時間感覚が話題になることは多いですが、
新経済サミット2017で垣間見えた時間感覚は
100年後、200年後を捉えていました。

再び村上隆さんに登場していただきますが、
「創造力なき日本」の中の言葉をお借りすれば
YOSHIKIさんのこの死後を見据えた時間感覚は
死んでからの勝負を挑んでいると
解釈することができます。
■村上隆さんの「創造力なき日本」からの引用
芸術とは”死後の世界をつくること”だという
絶対的な事実があるにもかかわらず、
美術書でも美大でも、なかなかそれを明言しません。
(中略)
”時のふるい”にかけられたときに、
残ることができるか、できないか。
ある意味でぼくは、死後に備えて
作品をつくり続けているともいえるのです。
それはつまり、
「死んでからが勝負」という発想です。
「WE ARE X」を見て喚起された興味のひとつに
YOSHIKIさんはニーチェの永劫回帰を
どうお答えするかということがありました。
つまり、喜びも悲しみもすべてそのままに
いまの人生が未来永劫リピートされるとしたら、
それでもいまの人生を
もう一度生きたいかという問いに対して
どう考えるかということです。

このニーチェの問いは
究極の問いだと思っていたのですが、
YOSHIKIさんはすでに
答えが出ているのかもしれません。

YOSHIKIさんにとっては
この問いは不毛な問いともいえます。
「100年後に聴かれる、200年後に聴かれる」音楽を
つくろうとしているアーティストなので
100年後、200年後も聴かれているか知りたいので、
答えは「はい喜んで」になりますね。

それに「WE ARE X」の中でも
YOSHIKIさんは「死の瞬間 僕は自分に問うだろう
全てをやりきったか?と」いうように
仰っていました。
■「WE ARE X」の中でのYOSHIKIさんのセリフの引用
The day I'm gonna die...I'm gonna tell myself...at least I tried everything. I did everything.
もしくは「すべてやり切ったので、もういいです」と
花占いしながら答えるYOSHIKIさんも
後世に残る絵になるかもしれません(笑)

(4)編集後記
よく言われる批判かもしれませんが
「●●をアーティストと呼ぶのには
違和感がある」というものがあります。
となると、アーティストである・ないの基準は
どこにあるかが気になってきます。

その基準はYOSHIKIさんと
村上隆さんのご著書から考えると
「100年後、200年後に聴かれる」音楽をつくろうとしているか、
「死んでからの勝負」に挑んでいるかにあると
いえるかもしれません。

私たちリスナーも
YOSHIKIさん、X JAPANの音楽が
100年後も200年後も聴かれるのかは
想像するしかありませんが、
ベートーベンやモーツァルトと一緒に
音楽の教科書に名を刻んでいる未来を
期待しています。

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